通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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今回は短めで。
1つの地方終わらせるのに1年以上ってマジ?


異変からの帰還、そして新たな異変へ

 シンオウ地方での異変はイジクがケセドを追い出すような形で幕を閉じた、しかし最後の足掻きによる”みちづれ”によって相棒であるジャラランガが再起不能となってしまう。

 イジクとジャラランガの最終奥義、『熱界臨星・蛇螺乱打』をそのまま自身に受けたような威力にしばらくの間活動を停止せざるを得ない状況となってしまった……

 

「さて……こっからどうすっか」

「どうもこうもないだろ……ジャラランガもリオルも戦闘不能で今襲われたらひとたまりもないしな……」

 

 カケルの言っていることは間違いない、今すぐにでもトラウムに戻り2匹のエースポケモンを休ませるべきだろう。カケルの方も通常通りに喋るぐらいには回復したようだ。

 

「そもそも異変はこれで解決のはずです、けれどなんでしょうか……この、何とも言えない後味の悪さは……」

「ふむ……取り敢えずはトラウムに戻るべきだろう。私たちがこの地方で出来ることはもうないはずだ」

「えっと……みんなさっきから何を言っているんですか?異変?トラウム?一体何が……」

 

 コウキが何もわからずにおどおどする、それもそうだろう。

 当人からすれば訳も分からずカケルとバトルをさせられ、死ぬような思いをしたかと思えばイジクとジャラランガが全てを持って行ったのだ。これで状況を把握できる方がおかしいのである。

 

 そして別れは唐突に……カケル、エディ、イジクの体から淡い光があふれ始め少しずつ体が薄くなっている。シンオウ地方に入れる時間はもう少ないようだ。

 

「みんな体が?!」

「もう時間なのか……ごめんなコウキ、俺達はやらないといけないことがあるんだ」

 

 唐突なことにカケルもコウキも動揺を隠せない。本来ならば交わることのない2つの地方の冒険の幕が下りろうとしている、カケル達の冒険は続いていくがコウキはカケル達と出会うことはもうないだろう。

 それこそこまた異変が起きなければ出会うことはもう……

 

「そんな……ヒカリ先輩やジュン、シロナさんに俺はなんていえばいいんですかぁ……」

「面倒な訳を押し付けてごめんな、けど俺達がまたシンオウに来れる保証もないんだ」

 

 コウキはその目に涙を浮かべる、そして何かを思いついたのかまっすぐとカケルの方を見て言い放つ。

 

「なら今ここで約束してください!また……また俺とポケモンバトルをしましょう!」

「んな無茶な……」

「勝ち逃げなんて許しませんよ!次こそ俺は先輩に勝ちます!いや、俺達で勝つんです!」

「ウッキャア!」

 

 いつの間にか横にいたゴウカザルもリオルの入ったモンスターボールを見て鳴く。

 どうやらリベンジをしたいのはコウキだけではないようだ。

 

「はぁ……よし、約束だ。またその時が来たら俺とポケモンバトルをしよう、ただ俺たちに簡単に勝てると思うなよ?」

「望むところです、壁ってのは高ければ高いほど壊しがいがあるってもんですよ」

「いや乗り越えろよ、壊す想定じゃねぇか」

 

 お互いに笑って別れを言い合う、それこそ最初と同じような穏やかな空気だが違うのは互いの距離感。

 カケルはコウキを認めているしコウキはカケルに対する憎悪はない、この旅を通して成長したのはカケルだけではなかったようだ。

 

 そして体の光は更に強くなっていく、残された時間はもうない。

 

「本格的に時間のようだな……」

「ごめんなさいコウキさん、シロナ様にお願いいたします!」

「私は初めて会ったが私とも戦おうな!血沸き肉躍る戦いをしようぜ!イシツブテ磨いて待ってるぞ!」

「絶対絶対約束です!次に会うときは俺はチャンピオンにも上り詰めてますからね!!!」

 

 こうしてシンオウでの冒険は終わる、しかし残された爪痕は決して小さいものではない。

 未だに凍えるリオルに動くことが出来ないジャラランガ、問題は山のように残っているが牛歩でも進まなければならないだろう。

 

 そして眩い光が引いていく……目を開ければ見慣れた研究所。部屋に乱雑に置かれた本にテーブルの上に載っている大量の料理の数々、そしてカケルの背中に張り付いている斧の形状をしたヒトツキ……ん???

 

「なんか張り付いとる??!!!」

 

 トラウムに帰ってきて真っ先に起きた違和感はその背中、このヒトツキはしろがね山にいた個体と同一個体だろう。

 

「随分綺麗に張り付いているな……これ剥がせるのか?」

「そのレベルなの???」

「いやもう、こんなに収まりのいい場所はないってぐらいに綺麗に……」

 

 なんとか剥がそうと四苦八苦してると奥の部屋から髪がボサボサのウィアドが現れる。

 こちらを見つけると目を輝かせるがカケルの背中に張り付いているヒトツキを剝がそうとするエディ、そしてそれを見て爆笑しているイジクを見て目を細める。

 

「かえって来て早々君たちは何をしているんだい???」

「博士助けてくれ!背中のヒトツキが離れん!」

「なんだこの形状?!ちょっとそのままでいいから研究させてくれないかな?!」

「せめて剥がせよ!それからでも研究は遅くないだろ!」

「このままで頼むよ!」

「なんの目的で??!!!」

 

 本当にこのままデータの採集を始めたウィアド、なんでこのまま始めたんだい???

 一通りデータを採集し終えたのか満足したような顔でノートを見ていた。確認されているヒトツキの形状は本来ならば剣、形状斧のヒトツキなんて見たことがなかった。

 

「よぉしよしよし、いい感じのデータが取れたぞ!」

「表側しかデータ取ってないだろ、何がいいデータ取れただ」

「充分だろ?」

「どうせ取るならしっかり取れよ、だから剥がせって」

「それはちょっと」

「なんで渋るの?????」

 

 そんなこともありながらなんとかヒトツキを背中から剥がすことに成功する。

 剝がされたヒトツキは即座に腰のモンスターボールに頭突きをして中に入る、勝手にカケルのポケモンとして登録されてしまった。

 

「あれま、自分から収容されに来ちゃったよ」

「本当になんで?????」

「きっと恥ずかしがり屋なんですよ、可愛いですね!」

「前から思ってたけどエディって感覚ズレてるよね?」

「そんなことないですよ?可愛いですよね?」

「えぇ……?」

「可 愛 い で す よ ね ? ? ?」

 

 エディからの圧が凄い、ズレてるよ()

 そんなことはさておいて4人は席に着く、リオルとジャラランガは肉体を治すために治療中だ。

 机の上に置かれた様々なライス料理の数々を口に頬張りながら作戦会議を始める、おぉい食べきれないからそれ以上運んでくるなレジライス。

 

「取り敢えずシンオウ地方の異変は解決したわけだ……そしてその影響か結晶が結構出てきたよ」

「そうか、異変を解決すると出てくるって言ってたな」

「その通り、そして今回の異変はかなり異質だったようだね。推定していたより多くの結晶が手に入った」

 

 持ってきた布袋の中から出てきた結晶の数は10個前後、1つ割ればトラウム地方に帰れることを考えればかなりの量と言えるだろう。

 

「だが博士、異変自体はまだまだあるんだろう?私はカケルのおかげで返ってこれたがみんなは囚われたまんまだ」

「そんなんだよねぇ……みんなを助けて尚且つ異変もってなると更に大変になる。またみんなの命を脅かす脅威が襲ってこないとも限らない……いや、必ず襲ってくるだろうね」

「ケセドみたいなやつがまだまだいるってことだもんな……」

 

「取り敢えず今日はもう休むべきだ。リオルとジャラランガの容態も確認しないといけないし、何より2人はフィールド展開を、カケルくんに至ってはエモリュ―ジョンも使っている。思っている以上に体の負担は大きいはずだよ」

「それもそうだな……思い出すとなんだか眠くなってきた……」

「エディも眠くなってきました……明日からも忙しいと思いますし寝ませんか……?」

「そうしなよ、次の地方に行くための準備は僕が終わらせておくからさ」

 

 ウィアドの言葉に甘えてカケルとエディは眠りにつく、イジクはウィアドと一緒に準備をするようだ。

 次の地方ではどんな異変があるのか、どんな冒険があるのか、そしてどんな戦いが出来るのかを想いながら眠りにつく。しかし、朝起きて状況を見れば芳しくないものであった。

 そんな状況で次の冒険はどうするつもりなのか……それは今後のカケル達に委ねられるだろう……

 

To Be Continued……

 

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