「ケーシィにエモリュージョンしたフーディンって、そんなことが起こりえるのか……?!」
「ところが実際に起きている。こうして実現しているでしょ?エモリュージョンは可能性の力、想像力を働かせればこういうことも出来るってことだよ♪」
とんでもない力だな、エモリュージョン……マジでぱっと見分からんかった……
「今回はね、中身は変わらず外見と特性を変えていたんだ。自分が至るかもしれない可能性の力、それを引き出して使っているポケモンの力にしてあげるのがエモリュージョンだね」
「とんでもない力でした……もしかしてメガシンカさせることも?
「そうだね、カケル君が思っていることも出来るよ。フーディンをキーストーン無しでメガシンカさせることも出来るし、Z技を使うことも出来る」
「やっぱ思っていることが出来るのか……けどこれだけのことが出来る現象だ。メリットだけがある強化形態じゃないですよね?」
「もちろんデメリットもあるよ。エモリュージョンはトレーナーの想いの力がそのままポケモンの力になる、だからトレーナー側の負担が大きすぎるんだ」
(結構なデメリットだな……俺は今使えないし関係ないっちゃ関係ないんだよな)
「さて、取り敢えずはこんなもんだね。説明だけされてもピンとこないと思うし、続きは使えるようになってからにしよう」
「了解です。今やらないといけないのはポケモンバトルに慣れる事、そして他のポケモンをゲットしないといけないか……」
「ゲットすることも焦らなくていいと思うよ。まずはリオルで慣れてからでも遅くはないし」
言われれば確かにそうだとカケルは思う。今ポケモンを増やしても慣れてなければ扱うことすら出来ないな、ならばやることは1つしかないな!
「よし!さっそくポケモンバトルをしましょう!早くなれるためにも回数はこなすべきだ!」
「待った待った!カケルくんは元気かもしれないけどリオルが分からないでしょ?ねんりきとはいえ最終進化ポケモンの攻撃を喰らっているんだよ?」
「ッ!」ぶんぶん!!!
「はは!リオルはやる気十分らしい!さあ博士!俺たちともう一回勝負だ」
「勘弁してくれよ…ッ!」
俺たちは夜が明けるまで戦い続けた。リオルも俺もぶっ倒れるまで戦って、博士たちは意気消沈してた。ちょっと申し訳ないとは思う……いや、初見殺しされたからやっぱノーカン。
ぐっすり寝てご飯を食べ、特訓を繰り返す。そんな時間を数日過ごし、ふと気付く。
「そうだ博士、次元を超えるって言ってもどうやって飛ぶんです?」
「あぁ、それ用の入る場所があるんだ。あとは入れば改変されてる歴史に飛べるよ」
聞けば聞くほど不思議な地方だな。ここ数日で自分の目で見て改めて思う、青かったはずの黄色い空、生い茂っているあまりにも深すぎる森。そしてここ数日で俺は民家から人が出入りしているのを見ていない。
家の中だけで完結しているのか、それとも寝たきりで動くことすら出来ないのか…
確かめることも出来ないから何とも言えないけど、この地方に言えることは1つ。
ただただ気味が悪い。この一言に尽きるだろう。
高齢化が進んでるとはいえ度が過ぎている。子供や青年どころか大人すら出入りしていないのは余りにもおかしい、しかしそれに気付く素振りを見せれば俺が何をされるのか分かったもんじゃない。下手したらこの地方より他の次元に飛んだあとの方が安全な可能性があるからな……
「よし、またバトルをしようか!フーディンとばっか戦ってると変な癖がつくかもしれないからね。今日は違うポケモンでバトルをしよう!」
「了解です、未だに白星をあげられてないからな。今度こそ勝ってやる!」
「いや、それでフーディンに簡単に勝たれたら僕かなりへこむよ???」
外に出てまたボールを構える。カケルが使うのはリオル、技を変えてきているが刺さるといいなと思いながらウィアドを見る。
ニヤリと笑ってボールを構えるウィアド。今回も負ける気がないのか自信満々に宣言する。
「いくよ‘ヤドラン‘!セットアップだ!」
「ヤァン!」
【ヤドラン】
《やどかりポケモン》
『特性:どんかん』
タイプ:みず・エスパー
ウィアドが出してきたポケモンはヤドラン。
防御ととくこうが高いエスパータイプのポケモン、リオルとは相性最悪である。
「また相性が悪いポケモンを…!だが相手にとって不足はねぇ!気張るぞリオル!」
「ッ!!」こくこく
全力で頷いているリオル、今度こそ勝つと気合を入れてヤドランと対峙する。
「いいね!気合十分じゃないか!今回は負けるかもしれないな♪」
「冗談言ってんじゃねぇ…!負ける気なんてサラサラない癖によ!」
「アハ!バレちった!」
そんなことを話しながらリオルは構え、ヤドランはボケーっとした顔でリオルを見つめている。戦うほどに洗練されてゆくリオルの動きには目を見張るものがあるが、それでもまだウィアドのポケモンには届かない。
「先手必勝!ヤドラン!【あまごい】だ!」
「リオル!【ふるいたてる】!」
先行で動いたのはヤドラン。【あまごい】で天候を変え、自分に有利に動くつもりだろう。
対するリオルは【ふるいたてる】を使用する。これでこうげきととくこうが1段階上がり、ギアをあげてゆく。
「積まれすぎるとこっちがしんどくなるからね!」【ハイドロポンプ】をぶち当てろ!」
「【みきり】だリオル!ギリで避けて【でんこうせっか】!
凄まじい勢いで飛んでくる水の大砲。
あまごいで威力も上がり、喰らえばひとたまりもないのは当たらなくても分かるだろう。
そんな大砲を顔を掠めるぐらいで避けるリオル。チッ!と音がするぐらい強力な威力だが、掠る程度ではどうということもない。
「【かみなりパンチ】だ!」
「そうはいかないよ!【リフレクター】
近づき、【かみなりパンチ】をお見舞いしようとするが【リフレクター】で完全に防がれる。
その【リフレクター】を目を凝らしてみれば何層にも重なっているようで、ダメージを完全にシャットアウトしているようだ。
そして攻撃によって砕かれた【リフレクター】を【サイコキネシス】で操り、刺状にしてリオルに突き刺していく。
「リオル!【ふるいたてる】をしながら【リフレクター】を振るい落とせ!」
「それをさせないための【サイコキネシス】さ!」
「ッ!!!」
「ヤヤァン!!」
リオルは更にギアを上げていく。
しかし、そのギアさえヤドランには届かない……
いや―――『まだ』届かない。
「気張ってけよリオル!ここが正念場だ!まだまだ【ふるいたてる】!」
「そんなふるいたてたって、拘束が解けるわけないし当たらなきゃ意味ないよ!甘いんじゃない?!」
「勝手に決めつけてんじゃねぇよ!俺らの戦いはこれからだ!【ふるいたてる】!」
リオルのギアは既に4段階上がっている。
それに伴い【リフレクター】の刺にヒビが入っていくが、それだけを気にしていては勝てはしない。
「気が逸れすぎだね!【サイコキネシス】でさっきの【ハイドロポンプ】を操れ!」
「っ!リオル!【みきり】ながらジャンプで避けろ!」
「だから甘いのさ!そのまま着地を狩れ!」
「ッ!!!」
「ヤァン…!!」
先ほど避けた【ハイドロポンプ】が再び襲ってくる。これだけ連続で技を使えば頭がパンクすると思うところだが、ヤドランはボケーっとした顔で平気そうに操ってくる。。
着地したリオルにハイドロポンプが直撃し、カケルの元へと吹っ飛ばされる。
既に【リフレクター】の刺に【ハイドロポンプ】と、かなりのダメージを負っているはずだがまだ倒れない。
「流石だね、【みきり】の効果が続いてたのか」
「どうもおかげさまでな!【みきり】の精度はどんどん上がってきているぜ!!」
「まさか当たる直前で後ろに飛ぶとはね、直撃の勢いを殺したわけだ。刺も刺さって集中しづらいだろうによくやるよ!!」
「そりゃどうも!行くぜリオル!もう少し我慢しろよ!」
(気付いたことがある…それはポケモンが同時に技を使うのは思っているよりも難しくはないってことだ)
【サイコキネシス】に【リフレクター】、【ハイドロポンプ】とヤドランは技を同時に繰り出している。フーディンは【でんじほう】を溜めながら【テレポート】を使っていた。
3つも同時展開、いや、【あまごい】の効果もみれば4つだろう。それを出来ているのはヤドランの技量の高さゆえだろうが、2つならばリオルでも出来るのではないだろうか?
転移する前によく見ていたアニポケのあの技、2つの技を使えば再現できるのではないかとカケルは考えたのだ。
「だからこそのこの技だ!あと2回!【ふるいたてる】!」
「何をしたいのか分からないけど、付き合ってあげる義理はないよね!【リフレクター】マルチセット!からの【サイコキネシス】!浮かせて周りに展開しろ!」
これでギアは5段階、あと1回で最大パワーとなる。しかし、それを易々とやらせるウィアドとヤドランではない。
【サイコキネシス】で【リフレクター】を固定。
それをリオルの周りへと展開し、次の指示を飛ばす。
「奇抜な戦い方は君の専売特許じゃないってことさ!受けてみな!飛び回る水の砲弾を!!!」
「なんか不味い気がするな…!今のうちにもう一回【ふるいたてる】!!!」
展開された【リフレクター】、それを覆っている【サイコキネシス】。ヤドランの口元でチャージされている【ハイドロポンプ】、そして砲弾の威力を底上げするための【あまごい】。
この4つを組み合わせることによって、1つの技へと昇華させる―――!
「ヤドラン!【リフレクター】に向かって【ハイドロポンプ】球体バージョンだ!!!
「ヤァアアアンッ!!!」
ヤドランから放たれるハイドロポンプ。見てみればウィアドの言う通り、球体で放たれるハイドロポンプ。しかし撃たれた方向は【リフレクター】、何をするのかと見ていたが……それが失敗だったとすぐに気付くことになる。
カンッ!
カンカンッ!
「こいつはまさか…!」
「さっきも言ったろ!跳ね回る水の砲弾だってね!見ているだけでいいのかな?!」
「避けろリオル!」
「ッ!!!」
「このドロポン……跳ね返るたびにどんどん早くデカくなってやがる!」
カンッ!となるたびにドンドンと早くなる【ハイドロポンプ】、しかし砲弾が早くなっているのではない…
「違うな!【リフレクター】が近づいてきてるのか!」
「ご名答!更に【あまごい】を吸収してるのさ!そしてこっからが仕上げ!!ヤドラン!【ハイドロポンプ】フルチャージッ!!!」
「ヤァアアアアアア……ッ!!!」
ヤドランの口元に極太の水球が溜まっていく。カケルとリオルは察知する、あれが本命の攻撃だと……この跳ね返る水弾は対象をこの場に止めておくための1つのトラップ。しかし
、いくらトラップとはいえ当たればひとたまりもないのは間違いないだろう。
「気張れよリオル!ぶっつけ本番だが
「ほう?この状況で何が出来るってんだい?!水球に当たるのも時間の問題、逃げることも出来なければ対抗手段もないだろう?!」
「さっきも言ったがよぉ、やってみなきゃ分かんねぇだろうが!!!リオル!【かみなりパンチ】をフルチャージッ!!!」
カケルの一声で拳にでんきのエネルギーを溜めるリオル。
今リオルが取れる攻撃手段は【かみなりパンチ】と【でんこうせっか】しかない。それ以外を使うことも出来るが余りにも体力の減少が激しい中で少しでも弱点を取れるのが【かみなりパンチ】だ、それ故に必然的にこれとなるのだが……
「けどいささか心もとないんじゃない?その程度でヤドランの攻撃をなんとかしようだなんて―――ッ!なるほどね!」
「そのためにふるいたてたんだよ!!!攻撃もとくこうも最大限まで上がってんのさ!」
「けどリオルだって満身創痍!今回も勝たせてもらうよ!」
でんきエネルギーを溜め、【みきり】を使いながら避け続けるリオル。しかし自分でふるいたてたエネルギーは己に牙をむき始める頃だろうか、限界が近いのかリオルの拳からどんどんと黒い煙があがってゆく。
「避けるのも限界が来るよね!そろそろ止めを刺させてもらうよ!」
「くっそ…!まだ最大じゃねぇがやるしかねぇのか…?!」
「まだ戦って数日しかたってないだろうによくやるぜカケルくん!君本当に才能あるな!」
「勝たせる気ないのにうるせぇよ!だがリオルも限界だ……もうやるしかねぇ!」
【みきり】を解除し、迎え撃つ姿勢を取るリオル。普段なら無謀というところだろう、しかし今回は【ふるいたてる】を使い、物理も特殊も最大まで上がった状態、この状態だからこそ模倣出来る技がある。
「そう、この技だ。この技達じゃなきゃ再現出来なかったんだ!」
「ならやってみなよ!受けてたとう!」
お互いにチャージが終わり、いざ放とうとする瞬間―――
バァンッ!!!と響き渡る音……音の元に視線を向けてみれば、リオルに跳ね返っていた【ハイドロポンプ】が直撃した瞬間だった。
「あらら、そっちに当たっちゃったか。ならこの勝負は僕のk―――
「おい……!勝負はまだ終わってねぇぞ……!!!」
ッ!へぇ……?!この土壇場でかよ…!」
かすりもすれば倒れるはずのリオルが立っている。
しかしウィアドは一目見るだけで理由を看破する、その答えはいたって簡単。
「よく
「本当にまさかだよ…リオル!君は負けず嫌いなんだな!!!」
「ッ……!」
この土壇場に覚えた【こらえる】。ゲームで言うならHP1の状態、いつ倒れてもおかしくはない。しかし、ここにきてリオルの性格が邪魔をする。倒れるな、まだ終わってないとささやいてくる。ボルテージは2つの意味で最高潮、放つのなら今しかない……!
「けどねぇ、今回も勝つのは僕たちだ!既にチャージは終わっている!いくぜヤドランッ!放て必殺!アクアルマ・キャノンッ!!!」
「ヤァアアアアアアアンッ!!!!!」
『ヤドランの アクアルマ・キャノン!!』
【あまごい】の相乗効果もあり、散らばる岩すらその余波で削り取ってリオルへと突き進む特大の【ハイドロポンプ】。しかし、今この瞬間にも新たな境地へと至りそうなほどの気迫を持つポケモンがここに一匹―――
「こっちも準備万端だァ!いくぞリオル!!!」
「ッ!!!」
迫りくる水流を見定めて、放つは雷光を纏うその拳。数日間何度も瀕死になり、今回に至ってはかつてないほど死に近づいた。死に際に見た波動の核心、自分の力の本質を見極め始めたからこそ成り立つ一撃。まさに電光石火となりうるだろう―――!
「雷光一閃―――!疑似ボルテッカーだぁあああああ!!!」
「ッ!!!!!」
『リオルの ボルテッカー(偽)!!』
ぶつかり合う2つの必殺技。激しく衝突し、今にも押し返されそうなほどの激流に膝をつきそうになる。ヤドランの『アクアルマ・キャノン』は【あまごい】の効果とチャージの影響もあり、かなりの高威力となっている。だがリオルも威力だけなら負けていない、しかし覆すにはもう一歩足りない。
「くっそ…!ここにきて体力切れが響いてきやがった……!」
「発動までに時間をかけすぎたね!このまま押し切らせてもらうよ!」
身に余る威力とエネルギーにリオルの体が焼け始める。元々HP1なこともありいつ倒れてもおかしくはない、それでも倒れないのはもはや意地と言えるものがリオルを支配しているからだ。そしてここで、また1つリオルは壁を越え始める。
対抗していた技同士が爆発する、その場に留まり続けるエネルギーが許容量を超えたからだろう。水と電気の必殺技だろうか、水が電気分解され、更に水蒸気爆発が発生する。
『アクアルマ・キャノン』が解除され、その場に爆発したときに発生した水蒸気であたりが包まれる。
「まさか僕たちの必殺技が相殺されるなんて……けどこの勝負は僕たちの勝ちかな?」
違和感
「けど煙のせいで何も見えないな…おーい!カケルくん大丈夫かーい?!」
違和感
「聞こえてるか―い?!返事をしておくれー!」
違和感―――
「油断したな……?」
「は……?」
瞬間、ヤドランの後ろに現れる『修羅』。電気エネルギーを身に纏い、今にも相手を砕かんとするリオルがそこに現れる。
「やっちまえリオルッ!!!!!」
主人の声と共に、その拳が振るわれる―――
To Be Continued…….