通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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勝利への道

早速マサゴタウンに戻り、早速家の中の探索を始める。

中はちゃんとしっかりとした内装になっており、キッチンも風呂場もある。シンオウ地方の絵の間取りにそっくりな家だった。

 

「ふむ、ちゃんと家になっているんだな。キッチンもしっかりしたものだし美味いもん作れるな」

 

冷蔵庫にもちゃんと食材は入っているしガスも電気も通っている、しばらく拠点にしても問題ないぐらいには充実しているのは確認できた。しかし家のことは解決できてもまだコウキのことがまだ解決していない、勝負に関してはセンスの塊なのが分かったが相手が悪かった。

 

「けどこの地方に来てから異変という異変は起きていない……つまりこれから異変が起きるってことだ。なら俺も冒険に出た方がいいのか…?」

 

このまま異変が起きるまで待っていてもいいのだが…それは得策ではないだろう

と考える。

何故なら新しい仲間を迎えに入れることもなければリオルが強くなることもいないからだ。それは好ましくない、ならばチャンピオンになるためにと言って自分も冒険に出た方がいいだろう。

 

「それに…色んなところを見て冒険すればリオルも喋れるようになるかもしれないしな」

 

ならばやることは決まった、早速冒険に出るために色々と準備を始めなければならない。

だが図鑑は必要ないだろう、そもそも貰ったとしてポケモンを見つけ捕まえることが目的ではないからだ。だったらやることは1つ―――

 

「ジムバッジ集めか…なら今後の地方もそれが目的でいいな」

 

そんなことを思いながら準備を始める、だがこの地方に来る前にウィアドが準備してくれたこともあり早めに終わった。明日には出れそうだなと思いながら床に就く、明日にはモンスターボールも買ってなど色々考えながら気持ちよく寝落ちをして朝起きた。

 

「よし、準備も出来たな」

 

ナナカマド博士とも会話をしてここは既にコトブキシティ、ヒカリにも挨拶をしようとしたがどうやら家にいなかったらしく、そのまま冒険に出てきてしまった。そして203番道路を通りクロガネシティに着いた。道中で他のトレーナーに絡まれたがリオルが全部ぶっ飛ばしていき胸が熱くなるような勝負とはならなかったのが少し残念ポイントである。

 

「コウキくんのことは正直どうにもならん、俺がこのまま謝っても同情したみたいでむしろ嫌われかねん」

 

人との引き際は理解している男である。なので今現状では放置が無難であるが……この行動がのちに自分の首を絞めることになるとは思わなかっただろう。

 

「早速ジムに挑もう、名前は確か……ヒョウタさんだったかな」

「僕を呼んだかい?」

「へあっ?!」

 

横を見たらジムリーダーがいた、驚きである。だがそうと決まれば話は早い、早速ジムリーダーに勝負を挑むことにする。

それを伝えると早速と言わんばかりにジムに移動する、本来ならジムトレーナーとの戦いを経てジムリーダーと戦えるのだが…その理由はすぐに分かった。

 

「え?コウキくんが?」

「そうだよ。凄く強い先輩がいて手も足も出なかったって言ってた、その先輩って君なんだろう?」

 

手も足も出なかったというほどでもなかったのだが、と思うのは本人だけである。何故ならそう感じて評価するのは自分ではなく他人だからである。

早速バトルをするためにフィールドに着くのだが…何故かヒョウタが持っているのはハイパーボールである。

 

「僕はね、凄く楽しみだったんだ。コウキ君と戦って凄く心が昂ったんだよ、本当に楽しかったのさ!コウキ君のようにマサゴタウンから冒険を始めたトレーナーはほぼ間違いなく僕のところに来る、だからいつも本気を出せずに戦っていたんだ」

 

コツ…コツ…と靴の音を鳴らし、ハイパーボールを握りしめてヒョウタはこちらを見る。先ほどまでの優しい顔は鳴りを潜め真剣に、そして今から始まるであろうバトルに目を輝かせながらボールを前に突き出してくる。

 

「だからこそ、僕はジムリーダーとしてではなく―――1人のトレーナーとして君と戦いたいと思うんだ」

 

辺りに闘気が満ちていく気配がする。強者が持っている特有のオーラの気配が満ち溢れ、こちらに刺してくるような感覚さえ覚える。普通のトレーナーはこれだけで萎縮してしまうだろう、だがここに立っているのは普通のトレーナーではない。格上と戦い、自分の糧にしてきたとんでもトレーナーである。

 

「・・・いいんですか?先に言っておきますが俺自身もここ最近トレーナーになったばかりのペーペーですよ?」

「らしいね、けど君から感じるのは強者の気配だ…いや、強者になろうとしているが正しいかな?言ってしまえば君は宝石の原石なんだよ!!!

「なぜそこまでして…?」

「僕は石が好きなんだ、そして自分の手で磨き上げるのも好きなのさ。だからこそ強者に至った君たちを見てみたい、だから本気で行かせてもらうよ!お互いに出し惜しみは無しだ!」

 

ヒョウタが言っていることが本当かどうかは分からない。だがジムリーダーにここまでのことを言わせるのだ、こちらも答えねば不作法というものだろう。

 

「分かりました、ぜひやらせてください。俺達はまだまだ強くならないといけないんだ…!」

「オーケー!!!なら早速始めようじゃないか…!」

 

待ちきれない、と言わんばかりにハイパーボールを投げるヒョウタ。出てきたのはズガイドスなんてかわいいものではない……

 

バンギラスかよ…!

「当然!けどエースじゃないよ!だけど君には見せたいものもあるのさ!だからこそのバンギラス!」

 

ヒョウタは腕の()()()()()()に手をかざし、高々と宣言する。ゲームの知識では知っていたが……こうして実物で見るのは初めてである。

 

「初めから本気でいくよバンギラス!メガシンカ!!!

 

バンギラスを包むエネルギーの嵐。それは次第に収まっていき、そこから現れるのは刺々しくフォルムチェンジした大きな怪獣―――

 

『グォオオオオォオオオオオオオオオオッ!!!!!』

 

【メガバンギラス】

《よろいポケモン》

『特性:すなおこし』

タイプ:いわ・あく

 

「マジかよ…マジかよ!!!

「やっぱそうなるよねぇ!君はこういうのが好きだと思ったんだよ!!!」

ヒョウタさんあんたさいっこうだ!!

「さぁ、見せてくれよ君の相棒を!今この瞬間を素晴らしいものにしようじゃないか!」

 

カケルの繰り出すのはいつもの相棒、リオルである。出てきた瞬間からやる気は最高潮、その身に波動を滾らせメガバンギラスを見るが……不敵に笑い絶対に勝つというやる気さえ感じられる。

 

「その子が君の相棒か!よく鍛えられているいいリオルじゃないか…!」

「そりゃどうも!早速だが…行かせてもらいます!」

「ドーンと来なよ!!!」

 

『メガバンギラスの特性:すなおこし! 砂あらしが 吹き始めた!』

 

「ッ!!!」

「グォオッ…!」

 

戦闘開始の合図はいらない。この地方に来るまでは常に格上と戦っていたのだ、むしろ胸の熱くなる最高の瞬間である。

 

【でんこうせっか】で近づき、新しく覚えた技【はっけい】を直接体にぶち当てる。ヒコザルのときに覚えた攻撃の際に相手に波動を流し、体の内側と外側から攻撃をする技術。それを余すことなくメガバンギラスに当てるが―――

 

「今、何かしたかい?」

 

全く効いていない。そもそもの種族値や下地が違う、驚いた様子でメガバンギラスを見るがそれが命取り。一瞬のスキを見逃すジムリーダーのポケモンではない。

腹に触れている腕を掴み、そのまま地面へと叩きつける。そのまま【ふみつけ】でリオルを踏みつぶそうとするがそれを【みきり】を使い顔をずらして回避、跳ね起きの要領でメガバンギラスの顔に向かって両足の【けたぐり】を放つ。顔面に直撃させ、その勢いでカケルの元へと戻るリオル。メガバンギラスを見る、少し痛そうにしているがまだまだ体力は残っているようだ。

 

「いいね、いい身のこなしだ。だからこそ不思議だな」

「不思議?何がですか?」

「そりゃそうだよ。リオルはカケル君に懐いている、だからこそ進化してないのが不思議なんだよね。それだけ動けるならもう進化していてもおかしくはないはずだ、なら何故進化しないのか……進化したくない理由でもあるんじゃないかな?」

 

カケルはリオルの方を見る。多少リオルは気にしているようだが…無理に聞く必要もないだろう、その時になればリオルから何かしらのアクションを起こすはずだ。だからこそ今は自分の相棒を信じる。

 

「でしょうね、けど進化のタイミングはポケモンそれぞれですから。リオルにもタイミングってもんがあるんですよ」

「それもそうだね、余計なお世話だったようだ。なら続きを始めていこうか!」

 

メガバンギラスの姿が砂嵐に紛れる、あの巨体が一瞬で目の前から消えたことに多少驚くが狼狽えはしない。少し集中して波動で視る、砂嵐のせいでダメージは蓄積していくがしっかりとメガバンギラスを捉えることが出来た。

しかし地面を【あなをほる】で高速で移動しているようで捉えるのが難しい、ならばと思い【つるぎのまい】で攻撃力を強化、それを見たヒョウタがメガバンギラスをリオルの足元から出てくるように指示を出す。それを感じ取ったリオルがジャンプして回避するが足元から出てきたのは【ストーンエッジ】、本体は更に後ろから出てきてリオルへと飛び出していく。

 

「メガバンギの重さでそこまですんのか…!」

「当然、重さをカバーする動きや立ち回りを熟知しているさ。これでもいわタイプのジムリーダーだからね!」

 

【あなをほる】が当たる寸前に【みきり】でダメージを最小限に抑える。避けることは間に合わなかったがそのまま後ろに勢いを殺しバックステップ、その瞬間に【あまごい】を発動し、すなあらしを解除して【はっけい】で衝撃波を飛ばしまくる。

 

「そりゃ解除してくるよね!」

「当然!その固い防御力に加えてとくぼうも高いなんてどう対処しろってんだ!」

 

すなあらしが解除され、思ったよりも【はっけい】の衝撃波が痛く感じるメガバンギラス。

だがまだまだ体力的には余裕のようだ。しかし【あまごい】によって砂の鎧をはがされ地面も多少ぬかるみ始める、それは力強く大地を踏みしめての強力な攻撃がいくつか封じられたことを示していた。

 

(だがこのまま攻撃をし続けても先にバテるのはこっちだ……だったら一撃でぶち抜くしかねぇ……!)

 

やりたいことは既に頭で組み立てている、ならばあとは実行するだけ……とはならない。

それを易々とさせてくれるほどジムリーダーは甘くないのである。

 

「何かやりたいことがあるみたいだね?けど簡単にやらせるとでも?!」

「そりゃそうだよな!情けをかけられたって嬉しくねぇよ!!!」

「バァンギ…!」

「ッ……!」

 

リオルの右手には光球が浮かんでいる。その球を【かみなりパンチ】で思いっきり殴り飛ばし、空中で待機させる。徐々に【あまごい】のエネルギーも纏わせていき、次第にフィールド状態も通常へと戻っていくのを感じとる両者。カケルとリオルはやりたいことが出来れば勝機があり、ヒョウタとメガバンギラスは強めの一撃をクリティカルヒットさせれば勝ち……決着のときは近い。

 

「テンション上げろリオルッ!!!やりたいこと全部やんぞ!!!」

「こっちも行くよバンギラスッ!!!僕たちだって負けたくないからさぁ!!!」

 

両者の声を皮切りに、闘気を爆発させ再びぶつかり合う2匹。先手必勝とばかりに【げんしのちから】と【ストーンエッジ】をぶつけてくるメガバンギラス、それを【みきり】と【カウンター】を利用してかわし、砕きながらバンギラスへと接近する。最初よりもずっと大きく波動を込めた【はっけい】を放つが【まもる】を使われ防がれる、そのタイミングで腹を蹴り飛ばされるが【みきり】を使い後ろに飛ぶ。そして床がぬかるんでいることもあり100%の力で蹴られることもなかった、そこから【かげぶんしん】を使い目をくらます

リオル。本体はある場所で鳴りを潜めてチャージを開始、【つるぎのまい】と【こうそくいどう】を使い更に自分にバフをかけていく。

 

「そこだバンギラス!大きくチャージして【はかいこうせん】!!!

「グォオオオオオオオオッ!!!!!」

 

【かげぶんしん】ごと巻き込んだ特大の【はかいこうせん】、岩の裏で必殺技のチャージをしていたリオルはその【はかいこうせん】を喰らってしまう―――

 

「と思っているなら俺らが勝っちまうぜ?」

 

岩の裏でチャージしていたはずのリオルも【かげぶんしん】だった、本体はずっとメガバンギラスの後ろにいたのだ。砕けた【ストーンエッジ】を居合するように持ち【メタルクロー】のはがねエネルギーを纏わせ即席の武器に、そしてぬかるんだ地面を自身の波動で硬質化させ、100%の勢いをつけて反動で動けないメガバンギラスに起死回生の一撃を放つ―――!

 

「後ろだバンギラス!!!」

「遅ぇんだよ!必殺!修羅抜刀・鬼燕!!!

 

『リオルの ひっさつ! しゅらばっとう・おにつばめ!』

 

反動で動けないメガバンギラスにようやくまともな一撃が入る、しかし―――

 

「まだだ…!」

 

なんとメガバンギラスはそれを耐える。攻撃を放った直後はどんなポケモンであろうと多少なりとも硬直が発生する、ましてやリオルの放ったのは通常技を上回る必殺技。通常技よりも硬直の長いその体勢では……メガバンギラスの一撃を許してしまうのは仕方がないことだった。

 

「ようやく止まったね!【はかいこうせん】で動けなくしたのはこれが理由さ!これで倒れてもらうよ!【ギガインパクト】ッ!!!

「リオルッ!!!」

 

カケルが叫ぶがもう遅い、リオルは【ギガインパクト】をモロに喰らってしまい空中へと大きく吹き飛ばされてしまう。そう、()()()()()()()()()()()()()

 

「あんがとよヒョウタさん…ここまで飛ばしてくれて!充電は満タンだッ!!!」

「まさか…!そのエネルギー弾はこのために?!」

 

【こらえる】で体力1の状態のリオル。今から放つ一撃が正真正銘、最後の一撃である―――!

 

「反動技に続く反動技ァ!動くことはできねぇだろ!!!これで最後だァ!!!」

 

上空のエネルギー弾に向かって【メタルクロー】を放ち、メガバンギラスへと飛ばす。【メタルクロー】のはがねエネルギーを燃料に激しくスパークしながら飛んでいくエネルギー弾、だがこれだけでは終わらない。

 

「ッ……ォ……!」

 

常に格上に負け続けてきたリオル、格上だから仕方ないと言われればそれまでだが……それは言い訳である。何より主人であるカケルが、相棒が諦めていないのだ、なのに自分が諦めるのか?否、それはプライドが許せない。目指すならば勝利である、どんなに打ちのめされようが、どんなに気を失いそうになろうが、最後に立っているものが勝ちなのである。

 

「ルォオオオオオオッ!!!!!」

「リオル!お前声が…!」

 

過去のトラウマがなんだ、あの時泣いていた自分はもういない。大事なのは過去ではなく現在(いま)である、相棒に勝利をもたらすためなら……いくらでもこの身を使ってやる。

 

波動を空中の足場にし、【でんこうせっか】でエネルギー弾に向かっていくリオル。その足にはでんきエネルギーがフルに溜まっており、飛び蹴りの要領でエネルギー弾に追いつき蹴り抜く。更なる衝撃によって超爆破を起こす光球だが、そのエネルギーは霧散することなくリオルの足へと纏わりついてメガバンギラスへと向かっていく。

 

「まさか……メガシンカしたポケモンが……!!!」

「今度こそ俺らの勝ちだぁ!!!必殺―――いや、奥義ッ!!!

 

焔靁装・修羅落としッ!!!」

 

「ルゥオオオオオォオオオオオオッ!!!!!」

 

『リオルの おうぎ!えんらいそう・しゅらおとし!!!』

 

でんきとほのおのエネルギーを纏った渾身の飛び蹴りがメガバンギラス、いや、バンギラスを蹴り抜く。進化エネルギーは霧散し、目を回しながら地に伏せるバンギラス。ここにきてカケルとリオルはジャイアントキリングを成功させるのであった

 

To Be Continued…….

 

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