通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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投げられた誤解

カケルの冒険は更に続いていた。ギンガ団の下っ端たちを倒しソノオタウンを経由し、たにまの発電所を占拠しようとしていたギンガ団の下っ端たちをも倒しながら更に歩を進めていた。

 

「割と進んだな、時間も経ってリオルの体調も戻ってきてるし…今のところは順調順調」

 

道中で他のトレーナーと戦いながらチゴラスを鍛え、ハクタイの森に入ろうとするぐらいだろうか。そろそろ後ろから付いてきている少年へと声をかける。

 

「ずっとついてきている君~、俺になんかようかい?コトブキシティからついてきてるだろ」

「ありゃ!バレちまった!」

 

姿を見れば金髪の容姿に緑のマフラー、白とオレンジのシマシマのシャツに右から左にかけて大きなバッグをかけて目をギラギラさせながらこちらを見てくる少年がいた。

 

「確か…ジュン君か」

「お前だろ!コウキをぶっ倒した先輩ってやつは!」

「なんだ藪から棒に、そりゃお互いトレーナーなんだから決着はつけるだろ」

「あれからコウキは変わっちまった!なんていうか……凄く変わったんだぞ!」

 

カケルからすれば何が何だか分からない。コトブキシティから勝手につけられて挙句の果てには言いがかり、あながち間違いではないがカケルの存在が多少のトリガーになっただけで遅かれ早かれあぁなっていただろう。

何故なら彼は主人公、ギンガ団を壊滅させ伝説のポケモンまで手に入れる人物なのだ。

 

「……それで俺にどうしろと?」

「どうもこうもねぇ…!俺がおまえを倒してコウキの目を覚ましてやる!」

 

いきなり勝負を吹っ掛けられる。いきなりすぎて多少反応に遅れるがまぁいいだろうとモンスターボールを構える、彼ならリハビリに丁度いいだろう。

 

『ポケモントレーナーの ジュンが勝負を仕掛けてきた!』

 

「いくぜ俺のポケモン!出てこいポッチャマ!」

「ポチャ~!」

 

 

【ポッチャマ】

《ペンギンポケモン》

『特性:げきりゅう』

タイプ:水

 

出てきたポケモンはポッチャマ、コウキがヒコザルならば妥当だろう。それと同時に理解する、この世界の基準はアニポケではなくゲーム基準だという事に。そう思いながらカケルはリオルを繰り出す、体の調子を確認するにほとんど万全に近いようだ。

 

「うん、大丈夫そうだな」

「ルォウ♪」

「余裕ぶっこいていられるのも今のうちだぜ!【バブルこうせん】だ!」

 

リオル目掛けて大きな泡が大量に押し寄せる。だが少し体を逸らし紙一重で避け、指示されなくとも技の後隙を狩るために軽く【はっけい】をお見舞いする。

自分が放った瞬間を狙われたせいでポッチャマは避けることが出来なかった、軽い攻撃だったためすぐに立ち上がることは出来たようだが…次の攻撃に移ることを躊躇してしまっている。

 

「ビビるなポッチャマ!」

「檄を飛ばすだけかい?君もトレーナーなんだろ?なら相棒が勝てるように指示しないと」

 

自分が舐められていると感じ取ったジュンは更にポッチャマに指示を飛ばす。遠距離がダメなら接近戦と思ったのか【つつく】で近寄って攻撃をしてくる、しかしリオルに悉く捌かれ逆に腹にいい一撃を喰らってしまった。ジュンの足元へと転がりせき込んでいるが何とか立ち上がるぐらいの力を残すように加減したようだ。

 

「なんで俺たちの攻撃が当たんねーんだ…!」

「攻撃が余りにもストレートすぎるんだよね。前にコウキ君にも言ったんだがもっと解釈を広げるんだよ、今自分達に出来ることは何だ?もっと客観的に見れば出てくる答えもあるかもよ?」

 

頭に血が上っていたジュンもやられすぎて少し頭が冷えたようだ。だがいきなり言われてもピンと来ることはなく、バトルという事も忘れて考え込んでしまった。

 

「解釈をもっと……?う~ん……」

「おいおい、一応バトル中だぞ?だがそうだな……別の地方の水タイプは貝を武器にしてるポケモンがいると聞いたことがある、けどポッチャマには立派なヒレがあるよね?だったら水をブレードみたくして纏ってしまえば強力な武器じゃないかな?」

 

と提案をするカケルだが……やはり主人公のライバル。

センスはずば抜けていいものだったらしい―――

 

「なるほどな…!解釈を広げるってのはこういう事か!!!」

「流石…ッ!君もコウキ君も天才だな!」

 

見ればポッチャマのヒレには薄く水の膜が貼られている。更に薄く、鋭く研ぎ澄まされヒレ全体が大きな武器と化したのは……語るまでもないだろう。

雰囲気が明らかに変わったポッチャマにリオルも口角を上げる。先ほどまで手加減をしていたリオルもリハビリで終わらなさそうな気配を感じている。

 

「そうか、コウキが変わったのってこれがあったからなんだな」

「変わったかどうかは分からないけどね。ただその状態でまさかバトルはせずになんてことは…ないよね?」

「勿論!いくぜポッチャマ!」

「ポチャポチャア!!!」

 

【こうそくいどう】を使って急に接近してくるポッチャマ、同じくリオルも【こうそくいどう】を使って拳に波動を回しながら対処していく。触れるたびにゴリゴリと波動が削れていくのが分かるほどの切れ味、体に直接触れればただじゃ済まないのも目に見えているだろう。

 

「まだまだぁ!もっと立体的に攻めるぞ!縦に回転しながら【いあいぎり】!」

「怯むなよリオル!【みきり】ながら【ローキック】!」

 

木を足場にして切り込んでくるポッチャマ、リオルは即座に見切り頭に蹴りを叩き込むが【がまん】を使われ水のブレードは更に鋭さを増す。センスだけならコウキ以上かもしれないと思いながら更に認識を改めて警戒し、お互いにボルテージを上げていく。

 

「はは……!やっぱバトルは楽しいなぁ!!!」

「前から好きだったけどおかげでもっと楽しくなった!俺らはもっと強くなる!!!」

 

そしてその思いに応えるようにポッチャマの体が光り輝く。カケルもジュンもこの光景を見るのは初だが確信する、この光はポケモンが新たなステージに上るための第1歩だということに―――!

 

「ポッタァアアアアアッ!!!」

 

【ポッタイシ】

《ペンギンポケモン》

『特性:げきりゅう』

タイプ:みず

 

「進化した…!」

「この土壇場で進化かよ!随分とワクワクさせてくれるじゃねぇか!!!」

 

自分の新たな力に少し戸惑うポッチャマ、いや、ポッタイシ。少し自分の体を動かし、何の問題もないことを確認するとヒレに水のブレードを纏う。だがさっきまでとは違いブレードは更に固くしなやかに、エネルギー操作技術が格段に上がった証拠なのが見て分かる。

 

「やれることももっと増えた!さっきと同じに思ってんなら怪我すんぜ!!!」

「油断してるわけねぇだろ!俺らが勝つに決まってらぁ!!!

 

リオルも波動を拳に灯し、ポッタイシのようにではないが薄く波動を纏わせる。先ほどのようにやどらせるだけではエネルギーの押し合いで削られてしまうため、薄く密度を高めたうえで見出したこの状態、さっきと同じではないのはリオルも一緒である。

 

「もっと鋭く…!固く…ッ!感覚を研ぎ澄ませろポッタイシ!!!」

「ポタァ!!!」

「一筋縄じゃいかねぇなぁ!気張っていくぞリオル!!!」

「ルォウ!!!」

 

水のブレードと波動の拳の切り合い、そして殴り合いは更にヒートアップをしていく。【こうそくいどう】と【いあいぎり】を発動して先ほどよりも強くヒレを叩きつけてくるポッタイシ、それを【みきり】を使いながら的確にさばいていくリオル。そして少し経ったあとだろうか、リオルはまだまだ余力を残しているように見えるがポッタイシは息を切らし始めている。

 

「なんだってんだよー!やっぱ攻撃当たんねーじゃん!」

「もう少しだな、このまま続けていても俺らの勝ちだが……どうする?」

「俺らを舐めんな!そういわれて諦めるような俺らじゃねぇ!」

 

とはいうものの……リオルはエネルギーを最小限に抑えていなしているのに対して、ポッタイシは進化してからずっと全力で戦っている。だからこそスタミナの差がここにきて出てしまっていた。

 

「こうなったら…!この1撃に今の全力を!!!」

「そうなるよな!俺だってそうしてるから分かるぜおい!!!」

 

ポッタイシから更に溢れ出る闘気。ヒレのブレードはどんどん硬質化し、今にも弾けんばかりの輝きを持ち始める。姿勢を低く保ち、【こうそくいどう】を併用しながら更に突っ込んでくるポッタイシ。この気配は……必殺の気配だ。

 

「いいなジュン君!君も最高な奴だ!!なら俺らも相応のお返しをしないとなぁリオル!!!」

「ルォウ!!!」

 

【きあいパンチ】を溜め、更に波動を回すと同時に【メタルクロー】のはがねエネルギーを籠める。バンギラスに使った時は砕けた岩を使ったが今回は自分の拳、押し負ければ拳は一刀両断レベルで真っ二つになるだろう。しかし―――

 

「それに応えないのも男じゃねぇよな!行くぜ必殺―――!」

「なら俺だって―――!」

 

お互いのポケモンがぶつかり放たれるのは2つの必殺技。ジュンに至ってはシンオウ地方で初めて使われる、だがここで引くカケルではない。

 

「修羅抜刀・鬼燕!!!」

「デュアクアルス・ブレード!!!」

 

『リオルのひっさつ! しゅらばっとう・おにつばめ!』

『ポッタイシのひっさつ! デュアクアルス・ブレード!』

 

ギャリギャリギャリィッ!!!っとその場に響き渡る金属音。ポッタイシのブレードとリオルの拳が激しく鍔迫り合いを起こしながら周りの木々を揺らす、だがこの必殺のぶつかり合いは想像以上に早く決着がつきそうだ。

 

「なんで押し切れないんだよ…ッ!」

「今出来るようになった付け焼き刃に負けるわけねぇだろうが!」

 

そしてジュンは気付いてない。リオルは【みきり】も並行して使っているためにポッタイシの必殺が100%の威力で放ててないことに―――

更に前に踏み込み、左拳でデュアクアルスブレードを上にカチ上げる。その隙にポッタイシの腹に一撃入れて吹き飛ばし【でんこうせっか】で更に追撃を入れようと近づく。

 

「動きが一直線になったなぁ!これが当たれば俺らの勝ちだぁ!!!」

 

ギリギリで体勢を持ち直し、リオルに再びブレードを振り下ろすポッタイシ。しかしここまで戦って油断はしないカケルとリオル、小さな修羅の強さは更に加速する。

 

ボォン!と音が鳴ったと思ったら急にリオルの進行方向が曲がる。振り下ろされたブレードは地面に刺さり大きな隙を晒してしまう……

 

「さて、まだやるかい?」

「くっそ……俺らの負けだ……」

 

ポッタイシの横顔にピッタリと拳を当てて動きを止めるリオル。急に始まったバトルで進化もされたが無事に戦いを終えることが出来たカケル達、取り敢えず話を聞こうとお互いにポケモンを収めることにした。

 

To Be Continued…….

 

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