通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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タゲられたカケル

話を聞いてみれば自分やポケモンに対してかなりストイックになったという、やはりそうだろうとカケルは思う、ジュンのポケモンが進化してなかったのに対してコウキのポケモンはあの時点でモウカザルにまで進化していた、そのことを考えるとかなり鍛えこんでいるのは見て分かった。

 

「けどあの時一緒に戦ったけどモウカザルは嫌がっている様子はなかったし、目標があるならいいと思うんだけどなぁ」

「その目標があんただって話だよ!それになんだよその強さのリオルは!進化後のポッタイシが手も足も出なかったんだけど?!あと最後の急に方向を変えたやつもどうやったんだ??!!!」

「ちょっと負けず嫌いなだけさ、俺もリオルもね。最後のは手に纏った波動を爆破させて無理矢理進行方向を変えただけだよ」

 

負けず嫌いで済ませるには無理があるだろうと思うのは間違ってない、断じて。ジュンも(そんなわけないだろ…しかもだけじゃないだろそれ…)と思っているがあえて口に出しはしない、口に出したところで同じようなことを言われるのは目に見えているからである。

 

「それはそうとカケルさんはどうすんだ?俺はこのままバッジ集めに戻ろうかと思うんだけど」

「俺もバッジ集めに戻るかな、先に行くなら行っていいよ。俺はもう少しゆっくり行くし」

「なら俺は先に行くぜ!今度は勝つぞ!負けっぱなしは性に合わないしな!!!」

 

そういってジュンはささっとハクタイの森へと走っていく。今回のバトルでは出していなかったがおそらく2体目もいるだろう、次の戦いまでにリオル以外も鍛えなければならないと改めて思うカケル。そしてここにはあるポケモンがいる事を覚えていた。

 

「行ったか、その前にここならあいつがいたはずだが……いたいた」

 

タタラ製鉄所に現れるでんきはがねタイプの複合ポケモン、目的の1匹だが早めに見つかってよかったと安堵する。

 

「ジジッ!」

 

【コイル】

《じしゃくポケモン》

『特性:がんじょう』

タイプ:でんき・はがね

 

「俺初代の頃から好きなんだよ。せっかくなんだ、捕まえさせてもらうぞ。行けチゴラス!」

 

そんなこともありコイルは無事に捕獲完了。早速ハクタイの森へと入っていくがポケモンスプレーを買い忘れた代償だろうか……虫ポケモンの洗礼を受けていた。

 

「ふっざけんな馬鹿が!なんでこんなところにフォレトスがいんだよ!!!」

「フォレ!!!」

「取り巻きも多すぎだろ!!!」

「クヌゥ!!!」

 

【フォレトス】

《みのむしポケモン》

『特性:がんじょう』

タイプ:むし・はがね

 

【クヌギダマ】

《みのむしポケモン》

『特性:がんじょう』

タイプ:むし

 

フォレトスやクヌギダマに襲われたり……

 

「ッ!!!」

「何故スピアー?!!俺あまいもんなんも持ってないが??!!!」

「チゴォ!!!」

 

チゴラスが出てきて【ハイパーボイス】で吹き飛ばしてくれたりなど、森や森の洋館の探索が出来ずにそのままハクタイシティについてしまった。

 

「はぁ…はぁ…!マジでクソ過ぎる…!」

 

なんだかんだチゴラスとコイルで対処していたためレベルはかなり上がった、リオルほどではないが多少戦えるだろうと見積もる。だが兎にも角にもカケルもポケモン達も心身ともに疲弊しているためにポケモンセンターへと駆け寄る、リオルのことも調べてもらったら完全に回復したらしい。ジュンとの戦いで効率よく波動を回すことが出来たため回復も早かったとのことだ。

 

「虫ポケモンが軒並み嫌いになりそうだったぜ…」

「見てたけど大変そうだったね……大丈夫?」

「ヘェア??!!!」

 

急に話しかけられまたどこぞのブロッコリーの様な反応をしてしまう。声をかけられた方を見ればそこには茶髪のおかっぱに緑のケープを羽織っている、ヘソだしのスタイルに下にはハーフパンツをはいている女性がいた。

 

「あなたは……ジムリーダーのナタネさんですね」

「お、私のこと知ってるんだね!光栄だな~」

 

草タイプのジムリーダーで御三家を使ってくる珍しいタイプのジムリーダーなので他に比べれば知名度は高いだろう、そんな彼女だが結構距離感は近いようだ、かなりグイグイ喋りかけてくる。

 

「あなたのことヒョウタさんから聞いてるよ!ものすごく強いトレーナーだって!」

「いやいや、そんなことないですよ」

「メガシンカしたバンギラスを倒したトレーナーが何言っても説得力無いよ???」

 

それもそうである。いくら特殊なリオルだとはいえ進化前でメガシンカのポケモンを倒しているのだ、この様子だと他のジムリーダーにも伝わっていることであろう。必然的にジムバッジ取得の難易度が爆上がりした瞬間である。

 

「君もジム戦をしに旅をしてるんでしょ?じゃあ早速!と言いたいところなんだけど君は今ハクタイの森を抜けてきたしポケモンも体力が回復したとはいえ精神的には疲労してるだろうからね、今日は休んで明日対戦しようよ!」

「そう言ってもらえるのはありがたいですね……流石に虫ポケモン達に襲われた後すぐにはきついです……」

「あの~、聞き耳立てて申し訳ないんですがポケモンセンターは部屋がいっぱいになってしまってて今日は泊まることが出来ないんですよね……」

「嘘だろ……?」

 

不運に次ぐ不運、まさかのポケモンセンターに泊まることも出来ずに頭を悩ませる。

【そらをとぶ】を使えるわけでもないし、キャンプグッズがあるわけではないのでタウン外で寝ることも不可能である。

 

「泊まるとこないの?ならうちに来る?」

「あんた何言ってんだ?????」

「だって泊まるとこないんでしょ?」

「俺が手を出す男だったらどうするんです?」

「カケル君は私に手を出すつもりなの?え~?……エッチ♡」

「おっけーお前ら森に戻るぞ、虫ポケは嫌だが森の洋館がある」

「冗談だってごめん!そうだジム!ジムに泊まればいいよ!」

 

正直断ろうと思ったがカケルだが……当てがないのもまた事実、仕方なくハクタイジムに寝泊まりすることにした。だがタダで泊まらせてもらおうなど自分のプライドが許さない、せめて夜ご飯と朝ご飯を作らせてほしいと頼んだ。

 

「夜ご飯と朝ご飯?別に気にしなくていいのに」

「俺が気にするんですよ、なんか好きなものとかあります?」

「好きな食べ物か~、忙しいから結構抜いたりするし栄養が取れれば何でも……」

「それはよくない、俺が飯を食う楽しさを思い知らせてやる」

「本気になるところそこなの?!」

 

この男何に本気になっているのやら……早速食材を揃えて夜ご飯を作ることにした。ある程度量も作れて美味しいもの、つまるところカレーである。しかしそのまま作っても面白くない、ならば少し変わり種だがキーマカレーにしよう。おにぎりの具にも出来るし何より時間が余りないときにも作れる。

 

「キッチン借りますね、ジムにキッチンがあるのも驚きだけど」

「一応仕事場だからね~、休憩スペースだったり給湯室ぐらいはあるよ!」

 

なるほど、と思いながら玉ねぎをみじん切りにする。具材としては玉ねぎ、きのこ、人参、ひき肉を使っていく。全てをみじん切りにしていき、ひき肉を炒め始める。色が完全に変わったらザルに移して油と肉を分け、その油とバターで玉ねぎをあめ色に炒め始める。ちなみにあめ色玉ねぎを作るときのコツは塩を入れる事、塩は玉ねぎの細胞壁を壊してくれるため色の変わりも早くなる。そして玉ねぎの辛み成分は加熱して壊していくと甘味に変わっていくので料理の仕上がりに深みが増す。強火だと鍋に焦げ付いてしまうので弱火で炒めていこう、鍋に玉ねぎがくっついてきたら水を入れてうま味成分をこそげ落としていく。ある程度色味が出来てきたら人参とキノコを入れて食材に火を入れて、ひき肉を戻す。食材に均一にうま味をいきわたらせるために市販の鳥ガラで溶いたスープを入れる、ここでケチャップとソースを隠し味に加えて、トマトジュースとカレールウを入れて煮詰めていく。この時点だとシャバシャバなので煮詰めてうま味を凝縮する、少し経った後だろうか、スパイシーなカレーと片手間で作った卵白スープの食欲をそそるいい匂いがあたりに立ち込めた。

 

「おぉ……!お手軽に作れる本格キーマカレーだ!」

「たっぷりの白飯にたっぷりのキーマカレー……そして真ん中にくぼみを作ってその上に卵黄だ!さぁ召し上がれ!!!」

 

乱暴的なまでの料理の匂い…最近の食事をサプリとゼリーで済ませていたナタネにはとても我慢できるものではなかった。

 

「いただきます…!っ!美味しい!使っている食材は普通のものなのに作り方でこんなにも違いがでるの?!トマトの仄かに感じる酸味と玉ねぎの甘さが凄くいい!そして濃厚なカレーに濃厚な卵黄…!相性もばっちりね!卵白のスープもさっぱりとしていて口直しに丁度いい!」

「これが飯を食う楽しさってやつだ、覚悟しろよ。朝飯も作って楽しさから抜け出せないようにしてやる」

君は何を目指しているんだい???けどこれは確かに、今食べているのに朝ご飯も期待しちゃうな…」

 

そんな会話を会話しながら床に就く、そして調理をする人の朝は早い。前にトラウム地方で

作ったサンドイッチを作り、それにプラスでキーマカレーのホットサンドをナタネと他のジムトレーナーの分を作っておく。朝からハクタイジムがいい笑顔に包まれたのは言うまでもないだろう。

 

「いやぁ朝から最高だった!本当に美味しいご飯をありがとう!」

「私たちの分までありがとうございます!久々にまともなご飯を食べました…」

(ジムリーダーとジムトレーナーって結構ブラックなんだな……)

 

そして気配が変わるナタネ。ここからはそう、ジム戦の開始だ。ちゃっかりジムトレーナー達をみんな倒し終わっており、ジムリーダーに挑戦する準備は整っている。今回やるバトルは3vs3のバトル、ルールとしてジムリーダーは交換は無しとのことだ。

 

「ヒョウタさんから聞いているからね、奇抜な戦い方をするって!だから私たちも本気で行かせてもらうよ!」

「全員がリオルほどレベル高くないんでお手柔らかにって言いたいんですけどね、行くぞコイル!」

 

カケルはコイルを繰り出す、ナタネもポケモンを出してくるが―――

 

「いくよみんな!出てきてモジャンボ!」

「やっぱ進化後だよなぁ…!」

 

【モジャンボ】

《ツルじょうポケモン》

『特性:ようりょくそ』

タイプ:くさ

 

出てきたポケモンはモジャンボ。お互いに技の効き目が0.5倍の不毛なバトルの予感がする、しかしレベルのこともありモジャンボの方が有利と言えるだろう。

 

「早速行くよ!【グラスフィールド】!」

「本気すぎだろ!【ちょうおんぱ】!」

 

グラスフィールドのよって後続のポケモンに繋げる動きをするモジャンボ、しかしそれを呼んでいたかの如く【ちょうおんぱ】を当てるコイル。混乱状態になったモジャンボに続けざまに【ジャイロボール】を叩き込む、未だ混乱しているのか少しぐらつくぐらいにはダメージを与えることが出来るが体力的には全然余裕そうだ。

 

「おっと、混乱になっちゃった」

「まともに戦っても勝てないからな!続けて【きんぞくおん】!」

 

低いとくぼうを更に下げる、しかしこのタイミングで混乱が解けてしまったようだ。【つるのムチ】でそのままコイルを縛り上げようと触手を伸ばすが【ジャイロボール】を使い触手を切り裂きながら距離を取る。だが『状態:グラスフィールド』によってそのダメージもどんどん回復されてしまう。

 

「確かにモジャンボは特防が低いから正解だね、しかもこのルールだと交換もできないしいい判断!」

「余裕そうにしてられるのも今のうち……って言いたいところなんだがなぁ」

 

正直な話このまま戦い続けるのは厳しい、ならば交換と言いたいところだが……交換したとてチゴラスではおそらく一撃、リオルでも手痛い一撃を喰らってしまうだろう。ならばやることは1つ―――

 

続行だ!諦める選択肢なんてないね!【ジャイロボール】で突っ込みながら【ソニックブーム】!」

「ソニックブームに【げんしのちから】!どんどん撃ち落としていくよ!」

 

【ソニックブーム】に【げんしのちから】を当てて撃ち落としていく。【ジャイロボール】で回転の力を加えて飛ばしたはずだがそこはやはり種族値の暴力、相性があったとしても完全に撃ち落とされてしまう。続けざまに【チャージビーム】を放ち自己強化をしつつダメージを与えるが微々たるものだ。

 

「まだまだ!【どくどく】!」

「っ…!やるね、いい手だ!けどやられる前にやらせてもらうよ!【パワーウィップ】!」

 

【どくどく】の後隙を狩られてしまい【パワーウィップ】が直撃してしまうコイル、いくら半減だとはいえA100から繰り出される一撃に地面に叩きつけられてしまう。意識を手放しそうになるがこのまま負けるわけにはいかない、少し頭に血が上ったコイルは無差別に【ほうでん】を放ってしまう。

 

「落ち着けコイル。頭に血が上ったまんまだと勝てないぞ」

「君って結構クレバーだね、ちゃんと状況を見てる証拠だ」

「そりゃあね、いつも格上とばっか戦ってるからな。そして今もな!!!」

「なにするつもりか分からないけど油断しないでモジャンボ!」

 

カケルの声でなんとか冷静さを取り戻したコイル、今度はちゃんと考えて【スパーク】を放ち、そして【じゅうでん】しながらグルグルとモジャンボの周りを飛び回る。モジャンボは【タネマシンガン】を放ちコイルを撃ち落とそうとするが飛び回って当たらない、らちが明かないと【げんしのちから】に切り替えるがそれでもコイルには当たらない。その結果ドンドンとフィールドに岩が増え続け視界も少しづつ悪くなってきた。

 

「そろそろだろうなぁ!【でんじふゆう】!!!」

「今更【でんじふゆう】?何をするつもり?…っ!【げんしのちから】の岩たちが?!」

 

【げんしのちから】で発生した岩に電気が纏わりついているのが人の目でも視認できる、そしてコイルがそれにぶつかりどんどん岩を砕いていく。するとどうだろうか、コイルが纏っている電気が更に輝きを増し、スピードすらも上げていく。黙って見ているナタネとモジャンボではないが対処するにはスピードが上がりすぎていた。

 

「今の俺達であんたらを倒せるか分からねぇけどよぉ!それが諦める理由にはならねぇよなぁ!!!行くぜ必殺―――!」

「やばっ!モジャンボ備えて!」

「ライトニングコリジョン!!!」

 

『コイルの ライトニングコリジョン!』

 

スピードが最高速まで上がったコイルがモジャンボに突撃をかます。自分が維持できる容量を超えた電気を抱えたまま相手に突撃し自分ごと爆破する必殺技、カケルの見立てではかなりのダメージを与えてるはずだが……

 

「あっぶないね~…【グラスフィールド】がなきゃ倒されていたよ!」

「ジャンボ…!」

 

モジャンボは健在、かなりのダメージを負ったのが分かるがギリギリ倒すまでに至らなかったようだ。そしてコイルに目を移すが……

 

「ジ……ジジ……」

 

そのまま目を回して倒れこんでしまった、だがコイルが与えたダメージと時間は無駄にしない。フィールドを見れば【グラスフィールド】はなくなり自動回復もなったのが見て取れる。労いの言葉をコイルにかけモンスターボールに戻す、モジャンボはこいつで倒せそうだと思いながら次のポケモンを繰り出す。

 

「いくぞチゴラス!コイルの敵討ちだ!」

「チゴォ!!!」

「また珍しいポケモンだね!けど私にもプライドがあるから負けないよ!」

 

3vs3のバトルを繰り広げるカケルとナタネ。勝負は始まったばかりである……

 

To Be Continued…….

 

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