最新バージョンなくせして10年ぐらいネタが古いマインクラフト 作:Renard
「いやあ、まさか君みたいな特殊なクラフターがスポーンするなんて、夢にも思わなかったな」
「そっすか」
「転生者……って言うんだっけ? 興味深いね。神に第二の人生を与えられた存在。リスポーンではない、全く別の生まれ直す方法……君の話は面白いよ」
「そっすか」
「今は色々立て込んでいるけど……今度聞かせてほしいな。君の前世のことを」
俺は全然面白くない。
何が面白くてこのマイクラ世界の都市伝説的存在と村人より先に接触してしまったのか。
溶岩によって赤く照らされた橋の上を、俺ともう一人の男が歩く。
その男は
その名はヒロブライン。
マインクラフトという世界において、もっとも知名度のある「存在しない」キャラクターと言えるだろう。
そんな彼に連れられて、なぜ俺はこんな場所にいるのだろうか。
こんなことになるはずではなかった。
この世界に
前世ではそれなりにマイクラをしていたからスタートダッシュは十分なものだった。
木材を集め、鉱石を採取し、農業に勤しみ、そしてそれを簡易的に自動化していく。
神様からチートを貰わなくともこれぐらいならば余裕でやっていけるものなのだなと自分でも驚くぐらい、瞬く間に拠点は整備されていき、生活の質は見る見るうちに向上していった。
しかし、それでも前世での陰キャ体質が根を引いたのか、村を見つけることはできなかったが。
それでもまあまあ、暮らしていくには十分すぎるほどの資材と建築物、そして食料がそろって俺のマイクラ世界での人生は順風満帆の勢い――かと、思っていたその時だった。
「すいませーん、村の方から来たんですけど……扉を開けてくれませんかー?」
「(はぐれた村人かな……?)はーい、開けまーす」
(扉が開く音)
「ありがとうございます。……あなたが、1か月前に詳細不明なスポーンをしたというクラフターですね? ちょっと、お時間頂けますか?」
「(絶句)」
扉を不用心に開けた俺も悪かったが、まさか都市伝説的存在と相見えることになるなんてことに誰が想定するだろうか。
ヒロブラインは俺の経歴を知った後「ちょうどいいね。君に勧めたい仕事があるんだ」と言って俺を引っ張りこの場所までやってきたのだった。
「それで、俺に勧めたい仕事って言うのは何ですか?」
「ああ、そうだったね。先生って知ってる?」
「……子供にいろんなことを教える、あの先生ですか?」
「そう。君にはその先生になってほしいんだ」
……ん?
マイクラの世界で……先生??
どこかで聞いたことがあるぞ。そのネタ。
どこだったっけ……
「今までは私一人でなんとか回していたんだけど……ほら、最近のクラフターたちの技術革新は目覚ましいものがあってね。
「それと……対抗できるようにって、この学校はまさか……」
「ちょうど全校朝会の時間だね。ちょっと顔を見せに行こうか」
そう言って、俺の腕を下手をすればひしゃげそうな握力でつかんで引っ張りながら、ヒロブラインは俺をとある場所へと案内していった。
溶岩湖の橋を渡り、おどろおどろしい廊下を渡った先にある大広間。
その作りは懐かしさすら感じられるもの。まさに体育館、という感じの作りをしていた。
しかし、体育館だと言えたのは作りだけだったといえる。
今現在、体育館のステージ上でもう一人のヒロブラインが朝の挨拶をしていたり、数人のヒロブラインが生徒たちの様子を監視していた。
ヒロブラインはたくさんいるんだなと驚くよりも先に目に入ったのは生徒たちの姿だった。
「ヴォ~」
「ヴォ、ヴォッ」
「(カラコロ)」
「(ペタペタ)」
目の前にいた生徒たちでも、ゾンビ、スケルトン、エンダーマン、スライム等々……
このマイクラという世界において、敵であるモンスターたちが種族問わずそこにいた。
「これは……」
「驚いたかな? どんなバイオームでも、こんなにモンスターが一堂に会するなんて場面、そうそう見られないからね」
「まさか、この学校は……」
そうだ。
10年ぐらい前になる。
俺が、マイクラを知った切っ掛け。その一つ。
動画投稿サイトで見た、一つの動画シリーズ。
ヒロブラインがモンスターたちに教鞭を振るう。
その動画のタイトルは……
「『モンスター・スクール』……!」
実在していたのかとか、なんでそこに俺がとか。
そういう感情の前に、俺の脳内には一つの想いが浮かび上がっていた。
「(古いわ!!! ネタが!!!)」
この世界は最新バージョンだ。
そしてオートでアップデートされているようでもある。
さらにはMODも数多く入っているようで、試してみたところなんのMOD由来かはわからないが歯車を作ることができたことがあった。
そこまではいい。
理解できるし、納得もいく。
だけど、これはあまりにも古すぎるだろう!
もはや10年前のネタがこの世界になぜ存在しているのか。
懐かしさに涙すら出てきそうだ。
「感動してるのかな? 嬉しいなあ」
別の意味で感動してるんだよ。
ふと、周りの壁の丸石をよく見てみると模様が違っていた。
この丸石のテクスチャには見覚えがある。旧バージョンのものだ*1。
本当に懐かしさがやばい。
「あ、ほら。あそこの生徒たちが見えるかな?」
「はい?」
ヒロブラインが指し示した方向にいる生徒たち。
その姿は他のモンスターたちと比べると異彩を放っていた。
その容姿はクラフターたちの見た目と似通っていて、後ろ姿だけしか見えないが、容姿端麗なのではないだろうかというのが伺えた。
「彼女たちは技術革新と続けるクラフターたちを誘惑し、新情報を諜報もしくは暗殺する技術を磨くために設立した、新学科――『
「…………」
「クラフターたちが見て可愛いと思えるような、特殊なスキンになってるだろう? 君には、彼女たち『
「…………あ」
「あ?」
…………あったな!!! そういうネタも!!!
そういえばあったよ!! クラフターが可愛い女の子になったクリーパーに詰め寄られる動画!!
本当に懐かしいなこの学校は!!!
ネタが集まったら続き書きます。