レッドマンサーガ&ワールドトリガーサーガ超決戦!!近界魔星国家   作:怪物怪人怪獣さん

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表現力と文章力がまるでない駄文です。


第5話僕らが知らない三門市

 

朝日に照らされた地方都市の一つ三門市のある車1台分の広さしかない細い道路を特徴的な外見をした銀の外車の車体の周りにさっきまで搭乗していた人達が左右後方で両手で必死に手押しながら車はゆっくりと前に進んでいく。何故乗らずに彼らは車を手で押すのか、それは車の燃料が切れてガス欠になった為だ。普通の車ならガソリンスタンドや車の専門店に向かうも、彼らは全くそういう場所に立ち寄る事なく目立つ外見をした車を兎に角移動させる。

黒野「本部、応答せよ!此方黒野!」

《⋯⋯ザ⋯ザザ⋯⋯ザザザ⋯⋯》

黒野「⋯⋯駄目か⋯」

その途中、黒野は自分が被っている万能ヘルメットに内蔵された通信機を起動して何度か元の世界の『お化け屋敷』の秘密基地に必死に連絡するも通信機には相変わらず酷いノイズしか聞こえず、黒野は諦めた表情で通信機の電源を切る。

「⋯⋯。」

鹿野「にしてもこの景色⋯⋯懐かしいね。スポーク博士。」

重苦しい空気を変えようとマイペースな鹿野博士は三門市の景色を見ながらスポーク博士に言う。両博士出身地は三門市では無い物の大学で講師をする際に何回か近界民による大規模侵攻が起きる前の三門市に来た事があり、在りし日の三門市の景色を知っているのだ。

スポーク「変な感傷に浸っている場合か?鹿野博士。我々は間違いなく恐ろしい危機に直面しているんだぞ。」

しかし、鹿野博士と違い景色に懐かしむ事も無く現実主義のスポーク博士は現状を突き付けて黒野と鹿野は現実逃避をやめて耳を傾ける。状況の急な変化に戸惑い諦観している鹿野と黒野に比べたら厳しいと思うかもしれないが、科学者だからこそ今の状況の重さを知り素早く現状を把握して次の行動方針を的確に決める必要がある。

鏡「え?燃料が切れたなら補給すれば問題ないんじゃ?」

だがこの面々の中で実質的に部外者な鏡拓也は楽観的に答える。

スポーク「拓也。事態はそう簡単な物じゃない。我々は此処を目的地にコセイドン号を走らせた訳じゃない。仮に燃料を補給して同じ方法で走らせて並行世界への移動が可能でもその行き先が我々が生まれた元の世界だと言う保証も無い。」

鏡「⋯⋯マジかよ。俺達ずっと此処に暮らさないと行けないのか!?」

スポーク博士に言葉を聞いて顔面を一気に真っ青にして事態の重さを理解した拓也。

鹿野「う〜ん。それは俺も困るなぁ〜。」

そんなオーバーな顔芸リアクションをする拓也に続いてマイペースに汗を小さく掻きつつ困った表情を見せる鹿野博士。先ほど諦観していた物の自分達の中で一番煩い拓也の激しく動揺する様子を見て黒野も鹿野も現実から逃げている場合でも目を背けている場合でも諦めている場合じゃないと考えて頭を回転させ始める。否、この二人の場合⋯⋯恐ろしい今の状況に夢想と拓也を巻き込んでしまった責任もある。責任を取る形で現実味が薄く感じる中で思考をはっきりさせるのだ。

鏡「困るのは鹿野博士だけじゃないですよ!!本当どうすりゃあ良いんだああああ!?」

更にオーバーな顔芸をして汚い悲鳴を周囲に構わずに上げる拓也。

黒野「落ち着け、此処でパニックになった所で現実は何も変わらない⋯⋯⋯兎に角、先ず優先するのは何処かにこのコセイドン号を隠して此処がどういう場所か色々と調べる必要がある。」

鹿野「確かに⋯このまま車を押して移動するよりも⋯先ずは車を安全な所に置いて各自で情報収集した方が良いかもね。」

朝の時間、学校やら会社やらに向かう人達に余り遭遇しない道路に車を動かしている物のこのままの移動を続けていたら遅かれ早かれ注目を集めてしまうだろう。親切な人が警察に連絡して警官達が自分達に職務質問をしてくるかも知れない。そしてそうなったら答えられる答えが見つからない。

「⋯⋯。」

鏡「でもこんな目立つ外車、何処に隠したら⋯⋯」

両手で必死に押しながら拓也は疑問を口にする。

スポーク「各自スマホは持っているか?」

黒野「持っているけど⋯⋯」

鹿野「各自、連絡先を交換して何かあったら連絡出来るようにした方が良いだろ。」

黒野「確かに⋯⋯念の為に交換した方が良いかもな。」

「⋯⋯⋯。」

意見を出し合う彼らの中で只1人無言で車を後ろから軽々と手押す剣持に視線を向けながら黒野は言う。

剣持は相変わらずの無表情だが心無しか突然過ぎる出来事の連続の為に混乱している様子だった。

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車を後ろから両手で押しながら剣持は見える景色に視線を向ける。

「⋯⋯⋯」

懐かしいと新鮮さを感じる不思議な街の香り⋯⋯しかし、知っている景色の筈なのに⋯⋯まるで知らない街に迷い込んだような不安が剣持の中で大きく渦巻いていた。

(何か⋯⋯変な感じだ⋯⋯)

既視感を感じるのに⋯⋯何処か不気味さも感じてしまい自分が知っている三門市と無意識に比べてしまう。

そして無意識に⋯⋯其処にあるであろう白い大きな四角い建物を探してしまう。そんな目立つ建物何処にも建っていないのに⋯⋯

もしかして自分は悪い夢でも見ているのだろうか⋯⋯と下らない妄想や空想すら頭の中で浮かぶも、ついさっき見た"別次元の友達"の顔が脳裏にフラッシュバックして紛れもなく現実だと他でもない自分自身で受け止め認めないといけない。でも簡単には受け入れられないのもある。頭の中はハッキリいってパニックその物だ⋯⋯

("自分先輩や博士達と共に知らない並行世界に来てしまった"と⋯⋯)

改めて事実の言葉を頭の中で並べると随分とおかしい文章が出来た。

(皆も同じ事を頭の中で思い浮かべているんだろうな⋯⋯)

(落ち着いたか⋯⋯夢想?)

(⋯⋯ベム)

肉体の主導権を持つレッドマン事ベムは剣持夢想の精神が心の中で並行世界に来た衝撃で精神の奥に塞ぎ込んで引きこもっている間、黙々と剣持の肉体の主導権を奪い取りコセイドン号を代わりに手で押し進んでいた。

(⋯⋯ベムは傭兵として色々な銀河系の星に行った事があるんだよね。)

(あぁ⋯あちこち戦争やら紛争やらある星に行ったよ。)

(そうか⋯⋯)

黒野「剣持?大丈夫か?」

剣持は黒野の声に反応しベムは夢想の精神での会話を辞め手を止めて顔を向き合って聞かれた内容について答える。

「大丈夫じゃないですよ。」

黒野「だよな⋯⋯否、さっきからずっと黙っていたからさ。」

「情報量の多さに頭の中も心も見事な全身打撲を貰って正直、何処かで一休みしたい気分なんですよ。」

黒野「それなら心配するな⋯⋯お前だけじゃないよ。皆、充分重傷だ。」

鹿野「皆、もう少しだけ我慢してくれ。何を行動するにも先ずはコセイドン号を何処か安全な所に隠さないと?」

黒野「何処か隠す宛てがあるんですか?知り合いなんて居ないでしょ。」

俺達がコセイドン号を押す方向は市街地の外方向⋯⋯市街からどんどん離れていく。

鹿野「おっ!隠し場所に良い所があったぞ!?」

足を止める鹿野博士に一同は反応し

黒野「何処ですか?」

黒野は周囲を見回して車が隠れそうな場所を探すもそれらしい所は⋯⋯草の種類もバラバラで荒れ放題の

鹿野「あの藪の中。」

鹿野は皆に教える意味で分かりやすい手付かずで荒れるに任せて荒れ放題の草木が沢山生い茂る場所に指を指す。

黒野、鏡「えっ?」

騒然とした表情を見せる二人を他所に

鹿野「剣持。あの藪の中にコセイドン号を入れて。」

「はい。」

スポーク「私も手伝おう。」

剣持は次の行動に移る為にコセイドン号を熊笹が大量に生えた藪の中入れて拓也と黒野も慌てて手伝う。

藪の奥に入れたコセイドン号の周りに周辺の藪を次々と覆い被させて人の視界からカモフラージュする黒野達。

鹿野「コレで良いでしょ。」

鏡「藪の中って⋯⋯何処かに洞穴とか無かったんですか?」

鹿野「贅沢言わないの。」

白衣を脱いで車の中にしまった鹿野博士はそう言う。スポーク博士も無言で白衣を脱いでその様子を見た黒野は剣持と向き合い。

黒野「俺達の格好も此処じゃあ目立つからコレ脱いだ方が良いよな。」

「そうですね。」

剣持と黒野は目立つ理由で万能ヘルメットと万能ジャケットを脱いで車の中にしまう。必然的に彼らは私服姿となりスマホで連絡先を交換し合う。

事態に目まぐるしく変化し振り回されて落ち着く暇もなく剣持は色々と私物が入ったリュックサックを背中に背負い藪の反対側のIFの三門市の方向に視線を向けて暫く街並みを眺めていると一度、その場に座り込んで両手で頭を押さえる。

鏡「剣持先輩?」

「本当に俺達、元の世界に帰れるんでしょうか?もしかしたら⋯⋯拓也の言っていたようにこのままずっと⋯⋯」

鏡「それは⋯⋯」

此処まで来る途中で剣持が見た三門市の街並みは至って平和その物で自分がかつて知っていた近界民が攻めてくる前の綺麗な街並みその物であった。でもその美しい街並みがかえって自分の知る三門市とは違うと否が応でも別物な感じがして⋯⋯剣持の心の中にある不安が大きくなってしまったんだ。

 

周りの気持ちを不安にさせる事を言っている事は頭でも分かっている。でも簡単に自分の気持ちを切り替えられる程、レッドマンのベムは兎も角、剣持夢想自身の精神は強くない。文字通り自分の生まれて育った世界から切り離されて孤独感を感じるのだ。そしてその気持ちは黒野も経験した事だからその場に座り込んだ剣持に目線を合わせて言う。

黒野「心配するな⋯⋯絶対に帰るぞ。此処にいる俺達全員、元の世界でする事は山程あるからな。さぁ、立とう。」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」

未熟な精神で厳しい現実に耐えられずに不貞腐れて座り込んでも現実は何も変わってくれない。夢想は黒野の言葉を聞いて元の世界の知り合い達や三門市を思い出し

「⋯⋯⋯はい。」

剣持は座り込むのを辞めてゆっくりと立ち上がり、黒野は優しく剣持の肩を叩いて皆と共に移動を開始する。

黒野「よし、行こう。」

車ことコセイドン号を市外の藪の中に隠す為に、それなりの距離を全員で徒歩で移動していた為に三門市の中心部を目指す一同。自分達が良く知っている警戒区域やボーダー本部が建っていた場所に足を進める。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

車道ではなく人が往来する歩道を歩き続け軽い疲労感を覚えるも一同は歩き慣れている者いない者と差はあれど歩き慣れていない剣持は恐る恐る壁沿いをこっそり歩き、壁沿いの視界の端から見えた年季が入った時計台の姿に剣持の目は驚愕の意味で大きく見開く。

「⋯⋯⋯。」

 

その大きな時計台は、大時計の目印の立派な建物でコセイドン号に乗っていた時に黒野先輩が話した通り、明治時代に建設された歴史のある時計台がさも当然のように建っていた。

時計台の前は広場になっていて通行人達が歩いており、夢想と拓也は立ち止まりゆっくりと時計台を見上げる。

鏡「先輩、皆、広場の方に向かっています。」

「うん。」

その時、近くのCD音楽店から陽気な音楽が流れて拓也と夢想はその音楽店の方に視線が向きながら車道の方を余所見して歩いていると

【ーーーーッ!】

危機察知能力が突然発動し車の走行音が近くから聞こえて急いで拓也の片腕を掴み車道を通り過ぎようとする剣持。危うく車に轢かれそうになり、通り過ぎた後ろから注意を表すクラクション音が鳴り

「す、すいません。」

鏡「ごめんなさい!?」

剣持と鏡は車の運転手に向けて謝罪の気持ちを込めて慌てて頭を下げる。

黒野「大丈夫か?二人とも、」

「はい⋯⋯。」

二人は黒野達がいる広場に来て⋯⋯人の往来が多い広場の中心にある大きな時計台を始め周囲の建物をゆっくりと好奇心のままに見渡す。

「⋯⋯。」

建物や時計台広場を見た剣持達の中にある気持ちは純粋な驚きの気持ちのみであった。

時計台広場の周囲にはさっきの音楽店を始め一昔前の映画館や車販売店、24時間営業のコンビニとガソリンスタンドに喫茶店や動物病院、アンティークショップの隣には不動産屋と金融会社の2階立てのビルも建っていた。

【至って平和な街だった⋯⋯体感的に季節は秋の気候を剣持達に感じさせ⋯⋯異次元から現れる恐ろしい侵略者の恐怖も影も何も知らない⋯⋯僕らの知らない三門市の街が此処にはあった。】

(あれ?⋯⋯どうして⋯⋯僕はこの景色を見て⋯⋯嬉しい筈なのに⋯⋯寂しさを感じてしまうんだ⋯⋯)

この街並みを見た時、夢想の心の中にポッカリと穴が空いたような錯覚を覚える。でもどうしてそう感じるのか剣持夢想とレッドマンのベムは理由が分からなかった。

鏡「何だか、昔見た事あるような無いような建物がありますね。」

「ほんの3年と半年前には当たり前にあった筈の建物なのに⋯⋯凄く不思議な感覚だ⋯⋯」

鏡「俺も似た感覚ですよ。」

(でも子供の頃の記憶にある景色に比べて何か微妙に違うような⋯⋯)

周囲の人達を様子を見ている剣持の横の広場用の金属製のメッシュ仕上げのそこそこ大きなゴミ箱に通行人が新聞を投げ入れて自分の中に感じる微かな違和感の答えを知る為にゴミ箱に投げ入れられた新聞を拾い年号や日付を確認し目を見開かせる剣持。

「っ!?」

黒野「どうした?剣持。」

聞いてきた黒野に剣持は新聞の日付の方を指を差しながら言う。

「この新聞の日付⋯⋯俺達の今より半年後の未来に発行された新聞なんです。」

黒野「っ!?」

剣持の指摘に黒野も目を見開き続いて街並みと新聞に視線を交互に移しながら現実を直視する。

鏡「どうしたんです〜〜そんな驚いた顔をして⋯⋯」

「この新聞の日付を見てみて。」

鏡「⋯⋯っ!?」

興味を示した拓也にも拾った新聞の日付を見せて拓也は黒野先輩より分かりやすい驚愕な表情を見せる。

黒野「つまり⋯⋯俺達は俺達の世界より半年も先の並行世界の三門市にいると言う事か⋯⋯」

「多分それがメイン・ストリートの街並みに違和感を感じる理由だと思います⋯⋯⋯やっぱり⋯⋯現実なんですね⋯⋯」

無表情ながら全身から諦観の雰囲気を発して現状を実感する剣持夢想。

鏡「こりゃあ⋯⋯たちの悪い悪夢に決まっている⋯⋯」

「現実だよ。拓也⋯⋯受け入れよう⋯⋯」

鏡「そんな残酷な事、言わないで下さいよ。」

「世界は美しくも残酷な物だよ⋯⋯」

鏡「流石にヘビー過ぎますよ。」

スマホ《おかけになった電話番号は現在使われておりません。》

スポーク「⋯⋯これも駄目か。」

黒野「何処に電話をかけたんです?」

スポーク「駄目元で月城博士に連絡先に電話してみたんだが通話不可のようだ。」

鹿野「メールも送信されなかったよ。」

剣持達が景色を眺めて驚いている横で『お化け屋敷』の宇宙物理学区画で一緒に研究する月城 摩里亜にそれぞれ別の連絡を挑戦してみるも失敗に終わったようだ。

スポーク「どうする?」

鹿野「こうなったら連絡先の人達の電話を順番にかけてみる?」

スポーク「やめろ。鹿野博士。スマホの充電の無駄使いになるだけだ⋯⋯あのコンビニでモバイルバッテリーを購入しよう。」

「はい⋯⋯。」

(自分の知らない半年先の⋯⋯三門市⋯⋯)

スポーク博士の提案に一同は広場からコンビニに向かう。その途中、剣持は自分達と道行く人達の服装を交互に見て自分の知る三門市とこの並行世界の三門市では季節が先に進んで事に納得するように努めていた。実際はさらなる情報量の多さに頭の痛さを覚える剣持。

鏡「うん?」

コンビニに向かう途中、拓也の視線の先には見覚えのある赤いオフロードバイクに跨る青年の姿があった。

甲斐馬「しっかり掴まっていろよ。」

鏡(えっ!隼人さん!?)

自分の知り合いの姿を見て思わず二度見してしまうも、バイクは直ぐに剣持達の横を通り過ぎてしまい、本当に本人なのか確認も出来ずバイクを見失う。

拓也が驚いたのは、知り合いの先輩の背後にバイクのフルフェイスヘルメットで顔が隠れた女性が乗っていて二人乗りをしていた事実である。

鏡(えっ!さっきの隼人さんの後ろにいた人。もしかして隼人さんの彼女?此方の並行世界だと隼人さんの奴、彼女作っているのか!?俺よりモテて普通にズルい!?)

【SHOCK!!】

凄い形相でバイクの消えた方向を睨む拓也に、周囲の通行人達は何事かとビビる。

黒野「何、変な顔芸で周りをビビらせているんだ?」

鏡「世のリア充に対する妬みの顔です。」

「何処からどう見ても阿修羅マンの怒りの表情だろ。訳分からない事言ってないで早く行くよ。」

剣持は呆れた口調で言い凄い形相をする拓也を引っ張りコンビニに向かう。

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「⋯⋯⋯。」

コンビニで博士達はモバイルバッテリーを剣持達が購入したのは、眠気覚ましのブラックコーヒーの缶コーヒー。

イートインスペースの席に5人は並び黙々と内側の窓から外側の行き交う三門市の人達をぼーっと無気力に眺める。より正確に言うとスポーク博士と黒野は行き交う人達を眺めながらこれから元の世界に帰る方法を模索し続けていた。

鏡「コレから俺達どうします?」

鹿野「どうしようね〜〜。」

スポーク「我々の居るべき場所に帰るだけだ。」

黒野「これ飲み終わったら軽く周辺を情報収集してきて良いですか?」

「俺も別行動して良いですか?」

鏡「えっ?タイムパラドックスとか起きない?」

自分達の行動がこの世界に影響を与えないか考える拓也に対して

「タイムパラドックスはタイムスリップ物にある矛盾だ。そもそもコセイドン号はタイムマシンじゃない。」

鹿野「過去とかじゃなく半年以上先の並行世界だからねぇ⋯⋯」

スポーク「私達は既に誰かが購入する予定だったモバイルバッテリーとブラックコーヒーの未来を変えてしまっているぞ。」

鏡「あっ!」

言われてみたら自分達ではない違う人達がこのコンビニで缶コーヒーを購入する筈だったのだ。

鹿野「取り敢えず、貨幣や通貨は問題なく使える事が分かって安心した。」

「知らない通貨や貨幣が流通していたら僕達路頭に迷ってましたね。」

鏡「先輩。俺凄く眠いです。」眠気覚ましにブラックコーヒーを飲んでも甘さのない苦さに舌を出しながら自分の状態を口にする拓也。

「奇遇だな⋯⋯俺もだよ。」

眠気を隠さない剣持はそう言うとブラックコーヒーの缶コーヒーを静かに飲み終えてゆっくりとイートインスペースの椅子から立ち上がり空になった缶コーヒーをゴミ箱に捨てて

黒野「剣持、どの方向に情報収集するつもりだ?」

「取り敢えず⋯⋯自分の知っている三門市とは違う所を色々と⋯⋯其れに⋯⋯」

黒野「其れに?」

皆には本当に悪いと感じるも1人で自分の頭の中を落ち着いて整理したい⋯⋯剣持に脳裏に過ぎるボーダーや学校の知り合い達の姿⋯⋯そして自分の知っている三門市との違いが剣持は酷く気になっていたのだ。だが其れ以上に気になってしまうのは、この平和な街に一瞬だけ感じた怪獣の気配だ。

(あの怪獣の気配について調べる必要がある⋯⋯)

「個人的に調べてみたい事が幾つかありますから⋯⋯」

黒野「⋯⋯分かった⋯⋯何かあったら電話しろよな。」

「はい。僕の方からも何かあったら皆さん。電話してきて下さいね。」

鹿野「気を付けるだぞ〜〜」

そう言い終えると剣持は1人コンビニから離れていく。その後ろ姿を途中まで眺めながら黒野は言う。

黒野「俺達もこのまま集まって調べるより効率的に考えてそれぞれ別れて情報を集めよう。」

スポーク「分かった。」

鏡「そうするしか無さそうですね。」

鹿野「皆、怪我とかしないようにね。⋯⋯⋯本当にどうやって帰ろう⋯」

剣持がいなくなったコンビニで鹿野徹が問題を口にする。

スポーク「⋯⋯⋯⋯取り敢えず、情報収集は彼らに任せて我々はコセイドン号の状態を確認しに行こう。」

鹿野「そうだね。」

現状打破の為にやる気に満ちたスポーク博士とやるべき事が多過ぎて頭を悩ます鹿野博士はコーヒーをゆっくりと飲む。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

朝の時間、宛てもなく僕は1人、街中を歩く。歩きながら時折ボーダー本部が見える方向に僕は視線を振り向かせるも、其処には特徴的な白い建物の姿がなく⋯⋯寂しい気持ちを抱えながら剣持は視線を戻して前に進む。

「⋯⋯⋯。」

(さっきの染井さん達の様子と制服姿を見る限り⋯⋯今の時間は皆、学校に通って授業を受けてるだな⋯⋯)

何か⋯⋯変な感じだ⋯⋯何時もなら俺も三門市立第一学校に通う時間なのに⋯⋯俺はこうして学校をサボっている。所謂不登校という奴だ。

(どうして⋯⋯⋯どうして心の中に途方も無い疎外感や孤独感が姿を見せるのだろう。)

⋯⋯学校をサボる事は別に始めてでは無い⋯⋯誰かにイジメられたとかではない理由で自分が精神的に追い詰められた時やどうしても学校よりも優先しないといけない時は仮病を使って学校をサボった。

しかし、理由も無く平日の朝の時間、私服姿をし街を歩くと言い知れぬ申し訳なさが生まれる。何を言っているかと思うかも知れないが悪い事をして何も感じない訳ではない。

(⋯⋯僕は皆を知っているのに⋯⋯彼ら彼女らは誰も僕らの事を知らない⋯⋯初対面以下の他人だから当たり前なのに⋯⋯)

 

 

自分が生まれて住んでいる三門市に⋯⋯ボーダーや学校に疎外感や孤独感を感じる事は⋯⋯ある。

(⋯⋯僕は皆とは違う⋯⋯僕は宇宙人に殺されてその身体を憑依された⋯⋯宇宙人が僕の死体に憑依して三門市の知り合いやボーダーの知り合いと何食わぬ顔で接している。皆を色々の意味で騙し続けている。)

罪悪感は溶けぬ雪のように⋯⋯塵のように確実に僕の心の中に積み上がり続ける。

「っ!?」

歩き続けていて剣持はある事に気付き足を止める。

(ボーダーが無いと言う事は、県外から来た僕が知っている人達もこの三門市には誰もいない!)

少し考えれば分かる事だ。異次元からの侵略者と戦う防衛組織に外部スカウトされてボーダーの宿舎区画やボーダーの職員用の寮に住み込みで引っ越しするのだ。

(確か⋯⋯歌とノリに乗るが上手い南沢先輩を除いた生駒隊の面々は関西地方の各県から三門市へ⋯⋯鈴鳴支部に所属する鈴鳴第一は、来馬先輩以外は県外スカウトで三門市に来た筈⋯⋯)

記憶にある限り生駒隊のイコさんは京都府、隠岐先輩と水上先輩は大阪府、細井先輩は兵庫県⋯⋯鈴鳴第一の村上先輩は愛媛県、太一の奴は高知県、今先輩は千葉県⋯⋯

「っ!!」今先輩の事を何気なく想像していると突然( ゚д゚)ハッ!とした表情になる剣持

(3年生の国近先輩や当真先輩の勉強を見てくれる今先輩が三門市にいないならあの二人の成績は⋯⋯かなり不味いのでは⋯⋯)

難しい課題や勉強の前でえ〜〜んと泣き顔のする面々の姿を幻視する剣持。

勿論、さっきの染井さん達の服装を見て俺の知っている先輩達が俺の住む世界の三門市の同じ高校に通っていると言う保証は無い⋯⋯しかし、かなり気になるも⋯⋯知り合い達が何処の高校や中学や大学に通っているかを調べる事は今の状況の中で優先すべき事ではない。

剣持を気持ちを切り替える為に一呼吸して

(⋯⋯気持ちを切り替えよう⋯⋯意識を集中させて怪獣の気配を探るんだ⋯⋯)

人の行き交う歩道から急いで人の気配が少ない場所へ走って移動する剣持。

自分の世界にある特別な小型戦闘機や巨大ロボットや普通の人より凄い能力や装備を持ったヒーローがいない今、もし怪獣が現れて何とかしないといけないのは、自分と拓也の二人だけになる。

 

人の気配がしない路地裏に立ち止まり剣持はゆっくりと目を閉じて怪獣の気配を察知する為に意識を集中させる。

【⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯】

周囲の雑音を気にする事なく無表情ではなく真剣な表情で気配を探るも⋯

「くっ!」

(⋯⋯まるで感じない⋯⋯どういう事だ!?)

さっきは感じた怪獣の気配が、まるで最初から存在しなかったようにレッドマンの探知能力に反応しなかった⋯⋯

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

鏡「⋯⋯本当に違う世界なんだな⋯⋯」

一方、拓也は街の三門市図書館の中で子供の頃に読んだ星座関連の本を見つけて手を取る

だが内容を再び確認すると自分の知っている12星座と本に載っている12星座が違う事を知る。

はやぶさ座3/21〜4/19⋯⋯おひつじ座

ねこ座4/20〜5/20⋯⋯おうし座

うさぎ座5/21〜6/21⋯⋯ふたご座

つるぎ座6/22〜7/22⋯⋯かに座

ぺんぎん座7/23〜8/22⋯⋯しし座

おおかみ座8/23〜9/22⋯⋯おとめ座

みかづき座9/23〜10/23⋯⋯てんびん座

とけい座10/24〜11/22⋯⋯さそり座

くじら座11/23〜12/21⋯⋯いて座

かぎ座12/22〜1/19⋯⋯やぎ座

かえる座1/20〜2/18⋯⋯みずがめ座

みつばち座2/19〜3/20⋯⋯うお座

この本に載った12星座を始め88星座を確認し終えて⋯⋯無言で拓也は図書館を後にして⋯⋯顔を俯かせて一気に顔を見上げて

(知らない星座が沢山ある!?とら座やかわうそ座何処に行った!?)

鏡「はっ!?」

拓也は中古の漫画本が沢山ある古本屋へ急行する!?

鏡「こうしちゃおれん!!この世界では聖闘士星矢の主役達の守護星座と黄金聖闘士がガラッと変わっているのかも知れない!!急いで確認せねば!?」

星座をモチーフにした聖衣が売りのあの少年漫画が存在するかは賭けだが⋯⋯仮に存在するなら、メッチャ色々と変わっている筈だ!?

拓也は情報収集そっちのけで車田正美のキャラの顔芸で古本屋へ全力疾走して行った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ある公立高校の教室にて

教師「⋯⋯であるからして」

チョークを片手に黒板を授業問題を書く教師にその授業に真面目に授業に取り組む生徒と取り組まない生徒⋯⋯そんな中に染井華は黒板に書かれた内容をノートに書き写しながら今朝見た少年達の姿をふと頭の中から思い出す。

染井「⋯⋯。」

染井(あの子大丈夫かな⋯⋯)

何故だか自分と自分の両親の姿を見て凄く驚愕の表情をした少年の姿が不思議と頭から離れないのだ。

華は何気なく教室の窓の向こうの景色に視線をチラッと向ける。

染井(怪しい人達には、違いなかったけど⋯⋯不思議と悪い人達には見えなかったな⋯⋯)

華は視線を机にあるノートと教科書に戻しパッと思い出した限り、親友の家の前に車が停まったのは、偶然のようだったし、親友が不審者に対して攻撃的な対応をしたせいで慌てて移動したように思える。

染井「⋯⋯。」

珍しく今日一緒に登校する際も親友の葉子は、あの少年達の格好は普通の人が着ないような服装だから不審者に違いないと熱心に言っていた。

確かに変な現象をみせた変な外車に、変な格好をした少年達⋯⋯まともな考えを持つ人なら怪しい人と捉えても何も問題はない。

染井(でも⋯⋯やっぱり⋯⋯気になる。)

勉強や宿題や授業を始め何かに取り組む時、余計な考えは集中力を鈍らせる原因になる。集中力がないと私を含めて人は物事を取り組めない。そういう時、私は余計な事を考えないように気を付けている。今日まで生きて複数の事に意識と思考を割るのは元来得意ではないのだ。それなのに⋯⋯今日の授業は何時もに比べて集中出来なかった⋯⋯

 

 

 

 

 

 

 

三門の市外の森にて

【ついさっきこの世界の三門市に到着した剣持達が知るよしも無いが⋯⋯2日前、深夜の三門市限定に強烈な電波障害が発生し、時を同じくして謎の火の玉が三門市の市外の森に墜落したのを付近の住民が目撃する。警察や消防士達は住民達の通報で現場に急行するも、何処にも謎の墜落現場の痕跡が見つからず警察達は困惑する。目撃証言の多さから悪戯ではないと分かるも警察達は結局捜索を取り止めるのだ。その翌日、三門市のあちこちの家電量販店から家電に必要なパーツが突然紛失する盗難事件が多発して警察はそっちの対応に追われていた。】

 

 

市外の森のある高い木の上から三門市を街並みを静かに1人眺めるのは普通の人には無い頭頂部の左右に鬼のような短い角を生やし青い肌をして黄色い楕円形の瞳を持つ宇宙人。その後頭部は細長く伸びており透明なのか内部分が透けて見える特徴的な姿をしていた。

??「⋯⋯。」

宇宙人は傭兵だった⋯⋯しかも裏宇宙に存在するというルナポロン星からやってきた傭兵で今回は雇用主の用心棒として雇用主の怪獣型宇宙船に同行した。だが予想外のアクシデントに宇宙船が故障してしまい宇宙船の修理中の間、宇宙人⋯⋯ルナポロン星人は雇用主の命令で宇宙船に近付く者を追い払いと宇宙船の見張りの役目をしていた。

【ビィー。ビィー。】

ルナポロン星人「⋯⋯。」

ルナポロン星人(レッド星雲のレッドスター人と二次元人の気配⋯⋯突然感じたな⋯⋯)

雇用主からの集合の通信連絡を右腕部に装備した高性能型通信機から貰った宇宙人は口の部分に橙色の煙を出す宇宙煙草を咥えながら木から飛び降り音を立てずに着地し足跡を残さずに雇用主がいる暗い森の奥へ静かに周囲の風景に同化するように姿を消す。

 

この恐るべき宇宙人の気配を剣持夢想は感知できなかった。逆にルナポロン星人には、急に現れ三門市のあちこちを移動する剣持夢想と鏡拓也の特徴的な気配が手に取るように捉えられていた。

 

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