ファラオ・アーカイブ   作:めろんムーン

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 駆除

 

 光に染まったカイザーPMC理事の視界。しかし、次第に視界が晴れ、周囲を見渡せるようになる。

 

「い、いったい……なにが……」

 

 周りを見渡せば、自身のつれていたPMCの兵たちは皆、頭や体を撃ち抜かれており、バックアップデータを入れなければならないものもちらほらいる。

 

「はっ!アビドスの奴らは!?」

 

 見渡せども、すでにいなくなっているアビドス廃校対策委員会の面々。

 

「く、くそっ!!一体何がどうなって──

 

 

 

 

 

「控えよ。王の前であるぞ」

 

 

 

 

 

──!!??」

 

 頭上から声が響き、咄嗟に見上げる。

 

 

 

 そこには、宙に浮いた二つの金の三角錐の上に仁王立ちする、金色の生徒の姿があった。

 

 

 

「貴様は!」

 

「誰の赦しを得て余を見ている?」

 

 そう生徒──神殿ナツミが声を発すると同時に、何かが飛来し自身の左腕の関節を撃ち抜いた。

 

「ぐっ!?」

 

 

 

「地を這う虫ケラならば見逃していたが……余の学校に直接攻め込んでくる愚者を誅さぬというわけにはいかぬ」

 

「ぐっ……き、きさまぁ!」

 

 兵は全滅し、武器も持たず、左腕は的確に可動部が破損して完全に動かせなくなっており、ただ怒声を上げることしかできないカイザーPMC理事。

 

「なんだ?散々甘く見ていた生徒にしてやられて不満か?笑えてくるな、フハハ」

 

 ギリっ!とパーツが軋む音を出し、ナツミを睨みつけるカイザーPMC理事。

 

「アビドスのやつらはどこへ行ったのだ!!」

 

「ほう?余に問いを投げるか。随分と偉そうだな?」

 

「当然だ!この土地の正当な保有者をこの私、カイザーPMC理事なのだからな!いつまで経っても退かない学校の生徒に偉くて何が悪い!」

 

 

 

「ククク、フフフフ、フハハハハハハ!!」

 

「な、なにがおかしい!!」

 

「フッフフフ……いや、なに。意気揚々と元アビドス本館を基地に改造し、生徒に無理難題をふっかけた結果、その生徒に反抗されている哀れな道化が面白くてなぁ……」

 

「ぐううう!!」

 

 言い返すこともできないカイザーPMC理事。

 

「まぁ、よい。道化は道化らしく踊るのが仕事よな?基地へ戻るが良い」

 

「何を……」

 

「余の目的はアビドスに群がる害虫の駆除。害虫を操る道化の始末は余の仕事ではないわ。疾く失せよ」

 

「……」

 

 カイザーPMC理事は、怒りすぎて逆に冷静になった頭で、正直かなり助かったと考えていた。

 

(このままここにいたとしても、私は何もできん上に、司令官不在の中、奇襲を仕掛けられた基地は混乱に陥る。戻るのが最善手だ)

 

「……いいだろう。だが、覚えておけ!いずれアビドスはカイザーの手中に収まるとな!!」

 

「フッ。負け犬の遠吠えというのも乙なものよ」

 

「ぐっ……」

 

 そうしてカイザーPMC理事は基地へと急行していった。

 

 

 

 

 

「アレを逃してよかったの?神殿ナツミ」

 

 いつのまにか学校から近くまで来ていた便利屋、そのうちの1人のカヨコが声をかける。

 

「良い。先生には経験が足りておらぬ。いいモルモットを手に入れたから与えてやったのだ」

 

「……アビドスの子たちには?アレが基地に行くだけでわりと面倒そうだけど」

 

「障害の一つや二つ乗り越えなければ、この過酷な砂漠で今後も生き残ることなどできんよ」

 

「……そう」

 

 そうしてカヨコが下がり、代わりにアルが話しかけてくる。

 

「……薄情だと思うわ」

 

「アウトローがそれを言うか?変わらず貴様は面白いやつだな」

 

「……万が一彼女たちが負けたらどうするの?」

 

「有り得んよ。基地攻略には、トリニティの援軍とゲヘナ風紀委員会も来ているのだぞ?せいぜいカイザーがどう踊るのか見ものよなぁ!フハ、フハハハハ!」

 

「……………………あっ」

 

(か、完全に忘れてたわ!!)

 

「……貴様らも、風紀委員がこの自治区にいる間に逃げれば良かろう?もうすでに仕事は成した。報酬は指定された場所に後日送るが」

 

「……結果を見届けたいわ」

(い、言っちゃった……あわわわわ、風紀委員のいるところにわざわざ行くなんてえええ!)

 

「そうか、では見に行くとしよう」

 

「ええ」

()

 

 

 

 

 〜カイザーPMC砂漠基地〜

 

 

 

 

 

(……暇だなぁ)

 

 ホシノは光の糸によって広間の中央に拘束されながら、ぼんやりと考えていた。

 

(見張も何もだーれも来ないし、余興とかもないし……まさかこんな適当な扱い受けるなんて思ってなかったなー。てっきり、もっと厳重に捕縛されたりすると思ってたんだけど)

 

 頭だけ振り向くと体を拘束する、一桁の本数しかない光の糸。

 

(確かに力は出ないけどさ、見た目適当すぎない?)

 

 もっとひどいことを受ける想定をしていた以上、そう思えて仕方がない。

 

(まっ、本来なら悪い大人に騙されたことに絶望して、呆然としてたら時間が過ぎてるって感じだったんだろうから、まだ今の方がマシって思っとこ)

 

 適当に鼻歌でも歌いながら、暇を持て余すホシノ。

 

(先生は黒服に会えたかな?ナツミ先輩と便利屋の子達はちゃんと学校守ってくれたかな?)

 

 後輩たちが失敗するとは微塵も疑っていないおじさんであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜カイザーPMC基地から数km離れた地点〜

 

「ヒナよ、本当に私がこの作戦に参加していいのか?すでに私は解雇済みのはずでは?」

 

 ゲヘナ風紀委員会の生徒たちが集まっている場所、その先端にて、メトが発言する。

 

「いいのよ、メト。あなたは、風紀委員会の作戦に協力しただけ。まぁ、私たちの中では仕事納めって感じね」

 

 それに答えるのは、アビドスの要請に応じたゲヘナ風紀委員会委員長、空崎ヒナ。

 

「……そうか。ならば、本気で暴れるとしよう」

 

「今回はいいけど、シャーレに所属したらほどほどにして、ほどほどに」

 

『ほんと、ほどほどにしてくださいね?あなたが本気で暴れると温泉開発部の2倍は被害が出るんですから』

 

 通信から聞こえてくるアコの声に、神妙な顔をして応じるメト。

 

「そうですよメトさん。今回はカイザー相手だからいいものの……」

 

「メト軍事顧問……あ、もう軍事顧問じゃないんだっけ?じゃあメトちゃんでいいか。メトちゃんビーム撃ったり建物蹴り壊したりするから被害増えてさぁ……」

 

 チナツとイオリも苦言を呈する。

 

「……温泉開発部より被害が多いと言うのは虚言ではないか……?さすがに……」

 

 傷ついた様子のメト。

 

「私も貴女も鎮圧する時に暴れ過ぎ、ってことね。先生の下につく時は気をつけた方がいいわ」

 

 そうヒナがしめる。

 

「わかった。暴れ納めと行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜アビドス砂漠〜

 

「あのう、エイサさん?ほんとうに、ほんっとうに暴れ過ぎないでくださいね?」

 

「ええ、ヒフミちゃん。わかってますわよ?だから持ってくる兵器も少なくしましたし」

 

 砂漠のど真ん中で数台の車輪を引き連れたエイサと、付き添いのヒフミが乗り物に乗って移動していた。

 

「先制攻撃はダメなのでしたわね?アビドスが攻撃してから、だとか」

 

「はい!ナギサ様はそう言っていました!」

 

「面倒ですわね……」

 

「あはは…」

 

 

 

「それにしても、この戦車快適ですね。学校の備品の戦車よりだいぶ揺れませんし」

 

「ええ、頑張って作りましたから。なかなか便利なんですよ?」

 

「あはは……見た目は変なのに……」

 

「うぐぅ」

 

 彼女たちが乗っているのは、マークI戦車キヴォトスカスタム。菱形の平べったい車体で被弾面積を減らしつつ、左右の砲によって側面の敵を攻撃。前方後方は搭乗者が攻撃することによって補う。平べったく前後に長い関係上、段差などを超えやすく、走破性が高い。

 

 キヴォトスでは戦いが日常茶飯事であるため、頑丈さを求めた結果、側面装甲を盛りに盛って200mmに。垂直装甲も通常戦車の砲塔がない分100mmに。戦車の下部も、エンジンを守るため50mmとなっていて、それを分厚い強化履帯によって動かしている。

 

 また、専用のショックアブソーバーや改装をエイサが施していることで、戦車とは思えないほどの快適性を実現。通常車に乗っているのと感覚は変わらないと言う、エイサ自慢の一品だ。

 

「これでも栄光ある戦車なのですわ!このタイプの戦車は、今ある戦車の原型となったものだと資料から判明していますの!」

 

「あはは……改良が進んだんですね」

 

「ヒフミちゃん!?」

 

 そんな会話をしながら砂漠に戦車を走らせる2人。カイザーPMC基地への到着は近い。

 

 

 




 愉悦部入ってそうなナツミちゃん
 みんな大好きマークI。兵器における英国面の出発点とも言えるでしょう。

アビドス編後は

  • ナツミのプロフ
  • メトのプロフ
  • 2人のプロフ
  • 2人のプロフと小話
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