ファラオ・アーカイブ   作:めろんムーン

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つわものども

 

 アビドスの面々は、ホシノが囚われていると思われる建物に向かっていた。

 

『目標の建物は目の前です!』

 

 その道中、通りかかった場所で一行はふと足を止めてしまう。

 

「ん、ここは……」

 

「ここって……!」

 

「……ここ、学校?」

 

 あたりには黒板や机が散乱した、教室の残骸のようなものが複数あった。

 

 

 

「ああ、ここは本来のアビドス高等学校本館だ」

 

 

 

 後ろから声が響き、後ろに振り向く3人。

 

「カイザーPMC理事……!」

 

 

 

「よくぞここまできた、アビドス対策委員会」

 

『敵の増援多数……!この基地の全兵力が集結しようとしています!!』

 

「なんであんたがここにいるのよ!ナツミ先輩はどうしたの!?」

 

「ナツミ……神殿ナツミか……忌々しいことに、私が連れていた全兵力を悉く潰した後、私が一人敗走するのを高笑いして眺めていた……くそッ!」

 

 近くの瓦礫を思わず蹴るカイザーPMC理事。

 

「まぁいい、話を続けよう。砂漠化が進行し、捨て去られたアビドスの廃墟……ここが、元々はアビドスの中心だったのだ」

 

「ここが……」

「アビドスの……」

 

「……かつてアビドスで一番大きく、そして強大だった学校の残骸が、この砂の下に埋もれている」

 

『「「……」」』

 

「ゲマトリアは、ここに実験室を立てることを要求した」

 

『実験室……!?』

 

「そんなことよりも、ホシノ先輩はどこですか!?」

 

 すると、カイザーPMC理事は、一行がもともと向かおうとしていた一番大きい建物を指差した。

 

「あの副生徒会長なら、向こうの建物にいる。もしかしたら、すでに実験が始まっているかもしれないが……私の知ったことではない」

 

「……っ!」

 

「彼女の元に行きたいのなら、私たちのことを振り切っていけばいい。君たちにそれができるのなら、の話だが」

 

 その顔に苦々しい顔をする対策委員会。

 

「そして、この私も……君たちを素直にここから逃すとは思わないことだ!」

 

 その言葉と共に、足元から大型の機体が迫り出してくる。

 

「なっ!?」

「ん……!」

 

 カイザーPMC理事専用に開発されたゴリアテに乗り込んだカイザーPMC理事。

 

『この兵力……容易に通してくれそうにはありませんね……』

 

 アヤネがそう苦々しく呟いた。

 

 

 

 

 

『ふふふ、ならば私たちにお任せくださる?』

 

 

 

 

 

 その声がアヤネの呟きの直後に一堂のいる場所に響く。

 

「なにものだ!?」

 

 そう反応するのと、東側から包囲してきていたカイザーPMCの兵たちが吹き飛ぶのは同時だった。

 

 

 

 ドガァァァァァァァァアアン!!

 

 

 

「あら!全兵力を集めて私たちがここへ来る邪魔ができなくなったのはあなたでしょう!?」

 

 そこにいたのは、マークI戦車の上に立ち、バグパイプを吹きながら戦車を操るエイサと、必死にしがみつきながら戦車の機銃を使って周りに攻撃するヒフミの姿が。

 

「ヒフミちゃん!?エイサさん!?」

 

「約束通り、救援に来ましたわ!」

「あ、あはは……あはは……」

 

ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!

 

 

 

「……ヒフミちゃんの目が死んでません???」

「ん、少しやばそう」

「の、乗り物酔い……?」

 

「あは、あはは……うっぷ」

 

「やっぱり乗り物酔いじゃん!?」

 

「すこし粗い運転をしすぎましたかしら?」

 

「少しどころじゃないです……快適だったのが嘘みたい……うぷ」

 

 

 

「くっ……!だが、たった二人と戦車一台でなんになる!こちらには、戦車にゴリアテやパワーローダーまで数多く配置しているのだぞ!」

 

「あら!誰が増援は私たち二人だけだと?」

 

 

 

 カッ! ビギュゥゥン……ズダァァァァァン!!

 

 

 

 その言葉と共に、紫の閃光が北側の兵士たちを薙ぎ払い、爆炎を上げさせた。

 

 そして、そこから聞こえてくる二つの声。

 

「ゲヘナ風紀委員会、借りを返しに来たわ」

 

「待たせたな、少し遅れた」

 

 爆炎と煙の中を歩いてきたのは、ゲヘナ風紀委員会の空崎ヒナと、メト。そして、その後ろからイオリとチナツがついてきている。

 

「イオリ、見たか。将来はお前もビームを撃てるようにならなければ風紀委員長は務まらんぞ」

 

「……ムチャイワナイデクダサイメトサン」

 

 思わずカタコト敬語になるイオリ。

 

 

 

「くっ……ゲヘナ風紀委員会までもが……!だが、数の利は未だ私たちにある!!ここは通さんぞ!!」

 

 

 

「哀れよなぁ」

 

 

 

「なっ!」

 

 

 

 ズドォォォォォォォン……

 

 

 

「貴女たち!待たせたわね!」

「クフフ〜♪きちゃった♪」

「はぁ……仕方ないから加勢するよ、アビドス」

「死んでください死んでください死んでください死んでください……!」ズダンズダンズダン!

 

『あ、あれは……便利屋68!?』

 

「あ、アンタたち!」

 

「今ここで現れたということは……!」

 

 

 

「フフン、ここは私たちに任せて、貴女たちは行きなさい!この程度の軍勢なんてこの顔ぶれなら簡単に抑えられるわよ!」

 

「さすがアルちゃん♪かっこい〜♪」

「社長は全く……でも、手伝いに来たのはそうだから」

 

「お、お礼は言わないんだから!!」

 

「ん、たすかる」

「助かります、便利屋68のみなさん!」

『ありがとうございます!』

 

「ちょっと!?」

 

「素直じゃないですね、セリカちゃん♪」

 

「う、うるさいうるさい!」

 

 

 アビドスの面々が便利屋の登場に驚く一方、カイザーPMC理事は上を見上げていた。

 

「ゲヘナ風紀委員会……トリニティの栄光探究部……便利屋68……強者揃いよな。貴様のような小物にこれほどまで強者が集うとは、世界は面白いものよ」

 

「神殿ナツミっ……!!」

 

「フハハハハハハ!!貴様に万に一つも勝ち目はないわ!!愉快愉快!!」

 

「き、貴様ぁぁぁぁぁ!!」

 

 カイザーPMC理事がカイザーPMC理事専用ゴリアテの主砲の標準をナツミへと向けた。しかし、

 

「我が王に砲を向けるなど笑止千万。愚であるということその身に刻むがいい」

 

 メトの放った神秘を伴う弾丸が、ゴリアテの砲身に直撃し、大きな衝撃を与えた。

 

「ぐああ!?」

 

 慌てて姿勢を立て直し、砲身を確認したカイザーPMC理事は、直撃したと思われる砲身の部分が大きく凹み、中まで歪んでいるだろうことがはっきりわかった。

 

「ば、ばかなっ!!」

 

「フハハハハ!!道化、余りにも道化よ!貴様らはいつまで持ち堪えられることやら!」

 

 ナツミの高笑いが響く。

 

「我が後輩たちよ!行くが良い!!余が赦す!!」

 

『ナツミさん……』

「ん、みんな行こう」

「ホシノ先輩を助けますよ〜!」

「待っててホシノ先輩!」

 

 走り去っていく対策委員会を黙って見ているしかなかったカイザーPMC理事。

 

「くそっ!クソォっ!!貴様らぁぁぁぁ!!」

 

「貴様はすでにこの地の支配者ではない。狩残された袋の獣に過ぎん……余に見逃された後、逃げておればマシな今後であったろうにな」

 

「ぐぬぅぅぅぅ!!」

 

 

 

「この地に集う強者どもよ!余の命に従い、カイザーを殲滅するが良い!!」

 

 

 

 こうして、カイザーにとっては抵抗とも言えぬ蹂躙劇が始まったのであった。

 

 

 




 アビドス編後、ナツミとメトのプロフと小話を上げたのち、再編作業を行おうと思っています。

 再編が終わるまでは休載という形になると思いますが、ご了承ください
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