ファラオ・アーカイブ   作:めろんムーン

30 / 32
再び出でしハルマキス

 

「ねぇ、ホシノちゃん。私ね、ホシノちゃんと初めて会った時、これは夢なんじゃないかって思って、何度も頬をつねったの」

 

「ホシノちゃんみたいな、可愛くて強くて、頼れる後輩がそばにいてくれるなんていう夢みたいなことが、本当に嬉しくて……」

 

「うーん、上手く説明できてないかもしれないけど……」

 

「たた、ホシノちゃんと一緒にいられることが、私にとっては奇跡みたいなものなの」

 

 

「……毎日毎日、こうして一緒にいるじゃないですか。昨日も今日も、明日もそうです。こんな当たり前のことで、何を大袈裟なことを……」

 

「それに、ユメ先輩には、ナツミ先輩だっているでしょう」

 

 

「え?ナツミちゃん?」

 

「うーんとね、ナツミちゃんは確かに3年間一緒にいた、かけがえのない友達なんだけどね」

 

 

 

「……変わっちゃったから、ナツミちゃんは」

 

 

「……?」

 

「でも、とりあえず1つ言っておきます。『奇跡』というのはもっとすごくて、珍しいもののことですよ」

 

 

「……ううん、ホシノちゃん。私は、そうは思わないよ」

 

「ねえ、ホシノちゃん。いつかホシノちゃんにも可愛い後輩ができたら、その時は──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………んぅ」

 

 縛られた状態のまま眠っていたホシノが目を覚ます。

 

「……寝ちゃってたかぁ〜……助けに来る後輩たちに悪いよ〜」

 

 静かな実験室にひとつだけ響くホシノの声。

 

「……あのとき、ユメ先輩は……ナツミ先輩のことを、どう思ってたんだろう」

 

 そうひとりごちる。

 

 

 

 

 

 それからしばらくして。

 

「……………!!」

 

「…、…………!!」

 

「……、…………!!」

 

 ガシャン!!

 

実験室の扉に、大きく何かがぶつかった音がする。

 

 ガンガン!!ガンガンガンガン!!

 

「……は…………に……はず……!!」

 

「…、………な………もう…………」

 

「あ、アヤ…………!?ど…して……………!?」

 

 密閉された扉が少し緩んだのか、外から少しだけ声が聞こえてくるようになった。

 

「シャ……に貸し………った……で!!ホシノ……は!?」

 

「ここ……!!でも……が……なくて!!」

 

「こんの……!!」

 

 

 

 ドガァァァァァァァァン!!

 

 

 

 天井が突如として爆発し、粉塵が立ち込め、光が消えた。

 

 

 

「うへー……けほっけほっ、派手にやるね……これは、地上の余波かな〜?」

 

「体が自由になったのはいいけど、これじゃ何にも見えないよ……」

 

 

 

「今の音、なに!?」

「ん、中から……」

 

 

 

「声……扉、開けようとしてたよね……こっちの方かな」

 

 

 

 そろそろと気をつけながら歩いていき、壁際までたどり着く。

 

「みんな〜!おじさんはここだよ〜!」

 

 外にいる後輩たちに向けて声を上げるホシノ。

 

「今の声!!ホシノ先輩!?」

「やっぱり中にいるんですね、今開けますよ〜⭐︎」

「ん、任せて」

「この隙間に……!」

 

 

 

 ガシャン!!

 

 

 

 小さな隙間が生まれ、光が差し込む。

 

「ん、ここをこう」

「はい⭐︎」

 

 その直後、ノノミとシロコによって隙間が広げられ、ホシノが通れるほどの広さになった。

 

「うへー、よっこいしょ!」

 

 隙間から出てみれば、建物の外。

 

 どうやら、地上で暴れた余波で、ホシノが地下に囚われていたビルが倒壊したらしかった。

 

 前を向けば、そこには4人の後輩たちと、先生。

 

 

 

 最初に口を開いたのは、セリカだった。

 

「おかえりっ!!ホシノ先輩!!おつかれさま!!」

 

 それに反応したノノミ。

 

「ああっ、セリカちゃんに先を越されてしまいました!恥ずかしいから言わないって言ってたのに、ズルいです!」

 

「う、うるさいうるさいっ!順番なんてどうだっていいでしょ!それに、一仕事終えたらちゃんとお疲れ様って言わないとって大将が……!」

 

 必死にそんな言い訳をしているセリカの隣を抜けてシロコが近寄ってきた。

 

「……ん、ホシノ先輩が無事でよかった」

 

 続いて、アヤネも語りかけてくる。

 

「ホシノ先輩、お疲れ様!!」

 

 そして、セリカの言い訳を聞き終えたノノミも、

 

「お仕事お疲れ様です!ホシノ先輩!!」

 

 そして最後に、シロコが手を差し伸べて、

 

「……おつかれさま、ホシノ先輩」

 

 

 

「う、うへ〜……おじさん恥ずかしいよ、みんな〜」

 

「な、何言ってるのホシノ先輩!私だって恥ずかしいわよ!」

 

「ホシノ先輩、恥ずかしがり屋さんになっちゃいました〜⭐︎」

 

「ん、照れ隠し」

 

「ふふ、でも、これだけは言えますね」

 

 

 

「「「「おかえりなさい、ホシノ先輩!!」」」」

 

 

 

「う、うへ……せ、せんせ〜?どうすればいいの?これ」

 

 "しっかりと、あの言葉を言えばいいと思うよ"

 

「う、ううーん……そうだね──

 

 

 

 

 

  ────ただいまっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、基地の中心地へと向かった対策委員会の5人と先生。

 

 そこには、ゲヘナ風紀委員会のヒナ、イオリ、チナツにメト、トリニティのエイサとヒフミが集まっていた。

 

 空高くには金のピラミッドを二つ並べ、その上に仁王立ちしているナツミの姿。

 

 その視線の先では、撃破した兵器や捕まえられたカイザーPMCの兵たち、そしてカイザーPMC理事が、引き取りに来た連邦生徒会の生徒たちに連れて行かれるところだった。

 

「うふふ、最近のゲヘナはそんな面白い子たちがいるのですわね」

 

「ああ。昔に比べれば随分賑やかになった。温泉開発や料理店の爆破は被害も大きいが……それだけ元気ということだ」

 

「そうですわね〜」

 

 エイサとメトが二人で話をしていたり、

 

 

 

「うっぷ……まだきもちわるいです……」

 

「だ、大丈夫か……?なにかすることはないか……?」

 

「ばっぐのなかにおみずをいれてきたので、とってもらえると……」

 

「あ、ああ……うわ、なんだこのバッグ……っと、これだな?」

 

「そのバッグはぺろろさまで……うっぷ、あとにします」

 

 何やらヒフミが危ういことになっているのをイオリが看病していたり。

 

 

 

「……便利屋は逃げたわね」

 

『逃げ足が早いですまったく!』

 

「アコ行政官、落ち着いてください……」

 

 ヒナがひとりごち、それを聞いたアコが便利屋に怒り、それをチナツが諌めたり。

 

 おのおのが自由にしていた。

 

 

 

 "みんな、終わったよ"

 

「あら、先生」

「終わったか」

 

「せ、せんせい……」

「無理すんなよ?な?」

 

「お疲れ様、先生」

『お疲れ様でした、先生』

「お疲れ様です、先生」

 

 "……ナツミは?"

 

「王は先ほどから降りてきていない。何か考えがあるのだろう。私たちが推しはかるべきではない」

 

 "そっか……"

 

「あら、ホシノちゃん。ちゃんと無事だったのですわね」

 

「エイサちゃん、迷惑かけたね〜」

 

「いえいえ、カイザーPMCも潰せましたしこれくらいは問題ないですわ」

 

 

 

 そう話していると、時間があっという間に過ぎ、日が傾いてきた。そして、

 

「先生、お疲れ様。便利屋は取り逃がしてしまったけれど、まあいいわ」

 

 "ヒナもお疲れ様"

 

「……じゃあ、私たちは帰投するから。メトはシャーレ所属の生徒になるから、よろしく」

 

 "うん、わかったよ"

 

『メトさんの手綱をしっかり握ってくださいね、先生。それでは』

「では、先生、機会があればまた」

「じゃあね、先生。ヒフミ?無理するなよ?本当にな?」

 

 風紀委員会はゲヘナへと帰り。

 

 

 

「うっぷ、おつかれさまです、せんせい……」

「おつかれさまですわ、先生」

 

 "だ、大丈夫?ヒフミ"

 

「エイサさんの戦車の運転が本当に荒くて……まだきついです……」

 

「うっ……ごめんなさい、私の部の子たちは乗りこなしていたので、ついその感覚で……」

 

「帰りは来る時と同じく快適なはずとさっきエイサさんが言われてましたから、まだ……」

 

「ええ、安全運転を心がけますわね!」

 

 "き、気をつけてね"

 

「はい……」

 

「では先生、私たちはこれで。あんまり帰るのが遅れると、ティーパーティーに叱られてしまいますの」

 

 "じゃあね、エイサ、ヒフミ"

 

 エイサとヒフミは戦車に乗り込みトリニティの方向へと帰っていった。

 

 

 

「先生よ、帰還しよう。今日から私がお前の護衛となる。どのようなことがあろうとも守り抜いて見せよう」

 

 "め、メト?気合い入りすぎじゃない?"

 

「新しい環境に身を置く時は、感覚も変わるものだ。気を引き締めなくては失策の元となる」

 

 "そ、そっか……"

 

「じきに連邦生徒会のカイザーPMCの回収作業も終わるだろう。ひとまずはアビドスへ帰投し、明日シャーレへ戻ることにする」

 

 "う、うん……"

 

「では、わたしは対策委員会を連れて先に戻っていよう。王のことは任せる」

 

 "うん……えっ!?"

 

 反応した時には、すでにメトは対策委員会のところにいて、帰る準備をしていた。

 

 

 

 "うーん……おーい、ナツミ!"

 

「……む?」

 

 チラリと下を見て、先生の姿を確認するナツミ。

 

「どうした、先生よ」

 

 "そろそろ帰ろう!"

 

「うむ、よかろう」

 

 そして、乗っているピラミッドの高度を下げようとしたナツミだったが、ふと砂漠の方へ目を向けた。

 

 

 

 

 

     ────**

 

 

 

 

 

 "ナツミ?"

 

「いや、なんでもない。帰るぞ先生よ」

 

 そうして、ナツミもまた、カイザーPMCの基地だった場所を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その巨大なヘビは、とある方向を向いていた。

 

 白い機械の体に、オレンジ色の光を灯したその巨体を持つものの名は、ビナー。

 

 数十年前にアビドス自治区の砂漠にて初めて目撃され、現在までたびたび目撃例と交戦が続いている存在であり、カイザーPMCやカイザーコーポレーションが警戒していた本当の敵。

 

 デカグラマトンの第三の預言者であり、違いを痛感する静観の理解者。

 

 砂漠を悠々と進んでいたビナーは、唐突に強大な力を感じ取り、進みを止めてそちらの方向へと向いていたのだった。

 

 巡回する経路を離れるわけにも行かず、また少々遠い場所でもあったため、ビナーは望遠を行ってその強大な力の出所を確かめることにしたのだ。

 

 

 

 望遠をしたビナーの視界に映ったのは、1人の人間。

 

 黄金の髪をたなびかせ、太陽を模ったヘイローを戴き、空中に仁王立ちした生徒。

 

 その生徒の、真紅の瞳が、ビナーを捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ────去ね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その生徒が発した声は、空間を超えてビナーに届き、ビナーに畏れを抱かせた。

 

 敵対心は生まれたものの、その圧倒的存在感から勝てないと一瞬にして悟り、ビナーはすぐさま望遠をやめ、我関せずとばかりに砂漠をまた進み始めたのであった。

 

 

 




 これにてアビドス編完結、ナツミとメトのプロフと小話を投稿してから再編作業にはいります。
 再編したものはタイトルの横に(再)の文字がつきます。

 再編し終わった後、ゲーム開発部に関わっていく予定です。



 アンジェ様(ID:DLf3XbGk)から支援絵を戴きました!!
 ありがとうございます!!とっても嬉しいです!!

 
【挿絵表示】


 うーん、見事な金ピカの王様。
 ……ファラオ???まぁ考えないようにしましょう、本文ではピラミッド使ってるしファラオです。見た目がメソポタミアの王様っぽくてもファラオったらファラオです。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。