激震! 中世ヨーロッパ警察24時!!!【完結】 作:PureFighter00
この「印欧語族の土着の生活・文化」をペイガニズムと言い、伝承が完全に失われている(キリスト教から見たら異端なので焼かれたり取り込まれたりした)のだが、これを取り戻そうとか再評価する動きがあったりする。
ただ、その……薔薇十字団とか黄金の夜明け団とか手本にしててアレ。
ソードワールドRPGにハマったオタ少年が、何故か中世ヨーロッパじみた異世界に転移して、けいおん!で習い覚えたギターテクを駆使してあれやこれやをテキトーに英雄詩として弾き語りするなどしていた。
「闇のエルフが奉じるは、邪教の神たるファラリス! 汝の成したいように成すがよいが教義たる悪の天主は……(じゃかじゃん)」
「ファラリスって牛の……」
「蒸し焼きかぁ」
「違うそっちじゃない」
ピピー
「名前変えときなさいな。中世ヨーロッパだとファラリスは『ファラリスの雄牛』の方が有名やで」
【ファラリスの雄牛】
金属で中空の雄牛像。中に罪人入れて下から火で炙ると、中の人の悲鳴や絶叫が頭部の管を通って牛の鳴き声に聞こえるとか。
「げぇっ! 中世ヨーロッパ警察! ……まぁそれはそれとして、ファラリスのモーモーさんはギリシャでしょ? なんでこの人ら知ってんの?」
「キリスト教の聖人が何人かこいつで焼き殺されたって伝承がある」
「聖人って沢山居るじゃないですか。よく覚えきれますね?」
「聖人暦ってのがあるからな。カレンダーに聖人の日が書き記されてるし、子供の名付けは大体聖人の名前から取るんだわ」
「あ、やたらジョンとかアンナとかいるのってそーゆー」
【暦に無い名前】
確か漫画「ピルグリム・イェーガー」でこの事触れてたが、大体みんな聖人暦に典拠がある聖人の名前から名付けするので、聖人に由来しない名前は「暦に無い名前」として異端視される。その結果、やたらあちらではジョン(John 聖ヨハネ)とかアナスタシアとか似た名前がつけられる。
「じゃけん、キリスト教が広まる前の歴史上の人物……例えばヴィンランド・サガのトルケルだのトルフィンだのはキリスト教が広まった後ではつけられる事が余りない」
「あー、名前でキリスト教影響下で育ったか否か分かるのか」
「でだ、聖人ってのは神の
「え? ちょっと待って。結構この世界の人キリスト教関係ない名前してますよ? ランスロットとかロランとか」
「まだキリスト教が広まって無いからやろ。土着の……ペイガン的な風習がまだ残ってるってこった。逆に聖人由来の名前が増えて来るとキリスト教に染まりつつあるってコト。そしてまだキリスト教がこの辺で広まって無いから、マーモだカーラだカシューだと歌っても異端審問官が来ないって寸法だ」
まぁ、日本の創作界隈ではキリスト教徒が聖人暦から名付けしてるなんて知らんからな。そらまぁザボンだのスイフリーだのスパークやパーンなんて名前が出てくる訳だ。
「あの……ペイガンってなんぞ?」
「キリスト教の影響が無い頃のヨーロッパの文化とか。大体キリスト教会から異端と見做され潰されてるが……一部キリスト教に習合されたものもある」
「例えば?」
「クリスマス」
「え? うそん?!」
「元々はユールタイドって冬至のお祭りだよ。春分、夏至、秋分、冬至は何処の文化圏でもなんかやる。ヨーロッパ辺りだと上記の4つ以外に春分と夏至の中間点とかにもクロスクォーターデイって祭りがある。全部で8つだ」
「ふむふむ」
「で、こういうお祭りの時にハメ外してドンちゃんするんだが、キリスト教は基本清貧とか静かに祈りーで、振る舞われるものも水で薄めたぶどう酒と種無しパン(
「ターキーやクリスマスツリーは……サンタさん……」
「サンタは多分ワイルドハントの変形だな。8頭立てのソリはオーディンが乗るスレイプニルの影響だろうな」
「クリスマスプレゼント……」
「ワイルドハントに対して、靴いっぱいの飼い葉あげると金貨返してくれる事があるって話があってだな」
「クリスマスツリー……」
「巨木信仰だな。ケルトとかだとユールに大木切り出してきて村でかがり火を燃やす。ファイヤー!囲んで皆でご馳走食う。冬場は豚に食わせる飼料が不足するから潰して保存食にせにゃならん。このご馳走をユールボードって言うぞ。クリスマスに食うケーキの中に「ブッシュ・ド・ノエル」って切り株とか木を模したケーキあるだべ? あれユールの祭事由来」
「……異教の祭りなんか……」
「大体キリストさん生まれたの1月だぞ?」
【イエスさん誕生日】
実は誕生日に関する資料は無い。しかしより古い時代では1月6日にお誕生日を祝っていたのが、ローマ暦の冬至に当たる12月25日に変わったみたいな話がある。恐らく布教上の理由であろう。12月25日に他宗がどんちゃんやって楽しそうにしてるの見たら、信者もちょっと心動いちゃうだろ! じゃけん教会に集めてミサして「見せない様にしましょうねー」
「復活祭とかもタイミング的にはクォーターデイとかクロスクォーターデイやろな。元々その辺の日にどんちゃんやって楽しく過ごしてたのに、讃美歌歌って坊さんのありがたーい話をしっかり聞いて祈り捧げて辛気臭く過ごしてたら信者増えないだろ。ある程度は習合して親しみやすくする努力はしてるんだ」
「そういう所に古くからの風習が残ってるのか……」
「まぁ、基本口伝で片っ端から異端駆逐したし、教化の際にあちこちの俗習混ぜてるから北方ヨーロッパの古来の習俗を抽出するのは難しい。そこで現代にペイガニズムを復活させようとした人はある事に目を付けた」
「へ? なんすか?」
「魔術、特に魔女術」
「は?」
「古代の風習は異端として排除された。なら魔女とか魔女術の中に異端とされた古代の文化がある」
「……でもそれ、キリスト教に駆逐されたんじゃ……」
「しかし魔術を操るとされた組織はあった。薔薇十字団とか黄金の夜明け団、特にアレイスター・クロウリー」
「てっ……テルマ思想っ!」
「汝の意志することを行え、それが法のすべてである……ファラリスの教えは『汝の成したいように成すがよい』ほぅら、異端繋がりで同じ事書いてるよね!」
水野良はよく調べて世界作ってるなぁ(棒)
尚、クロウリーの魔術思想は一部ドイッチェランドのナチスに影響与えてる説があり、ネオペイガズムと言う復興されたペイガニズムでは「誰も傷つけぬ限り、汝の意志することをなせ」と歯止めが追加されている。
ワイは水星の魔女でカヴンとか出てきた時に、お! ペイガニズム取り上げるのか、中々鋭いやんけ!とかなり期待したんだけど……グダグダで終わりました(失意)
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