激震! 中世ヨーロッパ警察24時!!!【完結】 作:PureFighter00
(バフォメットの話はお気に入りに入れてくれた読者の中にテンプル騎士さんがいたのでピコピンと来たである)
ギリシャ・ローマ時代の人々は風呂好きである。それどころか風呂の習慣や大衆浴場文化はイスラム国家地方にも伝播して、トルコでも流行した。
そしてイスラム国家ではイスラム法により女が肌を衆目に晒す事ができないので、トルコの女性は女性専用の公衆浴場に行き、そこは普段見ることの出来ない女性の裸天国……これが現代日本ではソープランドと呼ばれているかつての「トルコ風呂」が産まれる遠因である。
さて、テルマエ好きでサウナーでもある転移者は大望を抱いていた。ボーイズ ビー アンビシャスでありクラーク博士も絶賛だ。
「銭湯王に、俺はなる!(ドン)」
長い長い戦いだった。入浴に適する清浄な泉を探し出し、泉の女神に土下座して水量を増やしてもらい、ガス給湯器や追い焚き機能付きのリクシルのユニットバスしか知らぬ転移者は「どうやって湯を沸かすか」で散々頭を悩ませた。最初期に五右衛門風呂を再発見して弥次喜多道中宛らの下駄履いて風呂に浸かるもいい思い出だ。
苦節三年。長い長い道のりだった。燃料となる薪を確保する為に手近な森林まで陸路を舗装し、冷たい泉でキンキンに冷やした牛乳や、湯沸かし部分で発生した熱気を利用してプーリー使って脱衣場に天井扇風機を設置!
タオルも作った。地味にこれが儲かった。ナイロンスポンジしか知らない転移者はスポンジが海綿と言う生き物利用してた事にカルチャーショックを受け、ヘチマのスポンジを再発明するなどした。(ヘチマ水の美顔薬を見つけるのはこれより五年の後である)
小学生時代にヘチマ育てたのを完全に忘れていたのだ(忘却は罪だってはっきりわかんだね)
上手くやれば初版5000部、予約殺到で初版販売前に重版決定、同時にコミカライズも決まり所沢サクラチルタウンに久々の桜吹雪が舞い踊る……そんな夢を見た。夢やった。何故なら……
「なんでやーーっ!」
銭湯王(予定)は湯上がりの身体の腰部にタオルを巻きつけ、爽やかな天井扇風機の風を浴びながら、キンキンに冷えた牛乳を一気飲みした。冷やす前に低温殺菌した方が良いと気付くのは3日後の事である。
泉の冷却機構を借りて久々にキンキンに冷えたエールを飲む中世ヨーロッパ警察(休暇中)は居た堪れない気持ちを冷たいエールで押し流す。
「あのさぁ、なんで公衆浴場が廃れたかは考えなかったの?」
「公衆浴場の遺跡はあったし、なんかこう……色々あったんじゃない?」
中世ヨーロッパ警察(非番)は天を仰いだ「その、色々を考えるべきなんじゃ無いかなって」
「知ってるなら教えてくれよお巡りさん!」
「えとね、前に食事とかで熱・冷・湿・乾の4パラメータの話したじゃない? 風呂入るとあったまって湿度増すよね?」
「当たり前じゃん」
「つまり、バランス崩れると勘違いされてんだよ。熱い風呂に浸かると身体の調子が悪くなるって恐れたんだよね」
「散々ギリシャ・ローマの昔に大衆浴場使っといてそれかっ!」
「それ以外にも……ギリシャ時代の古代オリンピックとか全裸体育祭やんけ? ギリシャ時代は全裸オッケー、美しい理論でそれ許されたけど……キリスト教だと全裸はあんまりな……」
まぁ、宗教とかで全裸推奨とか許容する宗派は珍しいかな。肉欲は抑えるべきだし、女性に肌晒させ無い様にするのが一般的ですわな。
「更に、キリスト教では水に浸かるのが宗教的意味合いがあるんだよ。知らん所を見ると、君は非キリスト教徒だね?」
「真言宗だよ悪いか」
「あー……悪くは無いが、日本人が風呂好きなの仏教の影響もある。元々神道つーか、神道って形が明確になる前の日本でも「
更にお釈迦さまは温室教と言う教えの中で、沐浴は仏教者にとって【やるべきもの】であり、病気を避けて7福があると教えてるんだ」
「マジで?」
「マジだ。古いお寺にはデカい風呂が併設されてるし、教化目的なのか庶民にも風呂を使わせてた」
「で、キリスト教だが……洗礼ってのは、聞いた事あるだろ? あれどうやってるか知ってる?」
「……知らん」
「大体礼拝堂の牧師さんや司教さんみたいな人らが説教する時に立つ場所あるでしょ。あの後に床下収納みたいな洗礼用の浴槽みたいのが隠されてる(筆者は教会にテレビ壁掛け工場しに行った時に見た)
で、そこで入信者を頭の先までドボンと漬ける」
「……え?」
「洗うから洗礼」本当だよ! 筆者は牧師さんから直接聞いた。
「水に浸かるのが改宗の儀式になっとるんか……」
「非キリスト教的な所で水に浸かると、なんかこー非キリスト教的になりそう……そんなイメージ。実際には他にも様々な要因があるんだろうけど、総合的に申せばキリスト教的に入浴はちょっと合わなかった。だから流行らないし、忌避される」
「……待てよ……そうか……簡単な事だったんだ……」
「おいおい、なんか目玉がダイナミックプロ風のぐるぐる眼になってんぞ……」
「ホゥリー にゅーよく ジーザス! 答えはお釈迦さまにあったんや! 同じ方法使えばえー!」
「お……落ち着くんだ銭湯王(未達)!」
「ちょっと俺、法王庁行って法王様風呂に沈めて来ますっ!」
「ファッ?!」
「キリスト教の教義に入浴入れたらいいだけの話でしょ? なぁに立川バカンスでジーザスもブッダから風呂勧められてる筈だからイケまっせ!」
──かくして……流石にスイス傭兵が鉄壁ガードをする法王様を襲撃する事は叶わなかったが、ならばと彼は司祭や司教となりとんとん拍子に枢機卿まで上り詰め、あの手この手で他の枢機卿を蹴落として、遂には教皇様にまで登り詰めてしまったのである。クラーク先生もビックリだ!
「我々の身体は冷え切っています、乾いています……神の教えに乾いているのです……っ! 神の愛の光が届かず凍えているのです!」
荘厳な宗教画で飾られた天井、色彩豊かなステンドグラスで照らされる大浴場。しかし何故か壁には霊峰富士山が描かれており、素っ裸が不味いなら浴衣じゃいと浴衣を着たキリスト教(だった)高僧たち……
「やり遂げやがった、か……」
中世ヨーロッパ警察は虚無な顔で彼の最初の説法を聞いていた。
さらばしても帰って来るのはヤマトの昔から変わらんのだ。
中世ヨーロッパに無いのであれば、根本から無い理由を探して潰せば良いのでありまして、無策にジャガイモ出したらジャガイモ警察来ちゃうけど、ジャガイモがこんな感じで入って来ましたをエピソードで入れとけば別にどうと言う事は無い訳でして。
追記
大体いつものペースに戻った(喜)
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