激震! 中世ヨーロッパ警察24時!!!【完結】   作:PureFighter00

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さーって、十字軍の話しよか!

だがしかし、その前段となる知識がないと理解が難しい。


十字軍のハナシ──導入編

まず最初に宗教と各地の勢力の話をしよう。

十字軍というのはキリスト教の聖地エルサレムを奪還しようとする試みであるが、それが行われる頃エルサレムに居たのは北アフリカやエジプト、アラビア半島に住んでたイスラム教徒である。語族的にはセム語族で、これはユダヤ人(ユダヤ人は特定の語族ではなくユダヤ教信者の集団だが、言葉としてはセム語系統のヘブライ語を話す)と語族的には近いである。

 

はい、ここで整理!

ユダヤ人 セム語系のヘブライ語を話す

キリスト教徒 キリストは地理的にもヘブライ語話者だが、ギリシャ・ローマで伝承され印欧語族の間で流行った

イスラム人 アラビア語(セム語系列)を話す

 

史実のイエス・キリストが存在した時は、原住民はセム語系のヘブライ語を話し、支配階級はローマ。ていうかイエス様はダビデ王の裔なんで、ユダヤ人なのは確実であろう。

んで、ユダヤ教からキリスト教が分派し、キリスト教からイスラム教が派生する。後段について驚く人もいるだろうが、イスラム教ではモーゼもキリストも預言者の1人と看做しており、ただ開祖ムハンマドが最後の預言者であるとしている。(もちろん、イエスを神とは見做さずに人間として認識している)

時期的にローマがツヨツヨでエジプトや地中海沿岸支配してたからキリストさんが生きてた頃にエルサレム辺りもローマ支配域だっただけで、別にエルサレムに印欧語族が民衆として生活していたわけでは無い。

 

で、次。

モーゼやアブラハムの信じたユダヤ教の神も、キリスト教の神も、イスラム教の神も「同一の存在」である。セム語族の神様はただ1人?なのである……なのだが!

 

ユダヤ教 最後に助かるのはユダヤ人。改宗は困難

キリスト教 信じてキリスト教徒になると救われるからみんなキリスト教徒になろうよ! 改宗は水にドボン。

イスラム教 イスラムに帰依したら救われるが、わざわざ布教しなくても話わかる奴ならイスラム信じるだろJK(常識的に考えて) 改宗出来ないことはない。

 

イスラム教だけちょっと改宗が変わってて、コーランという聖典が音律的にも素晴らしく、こんな凄いのは神様から下された話やからだ!という部分があるから「コーランは他言語に翻訳してはならない(音律ぐちゃぐちゃになるから)」という事で、アラビア語の読み書き喋りが出来ないと改宗出来ないんだわ。

その辺の困難さと所謂布教を禁止している為、イスラム教では異教徒に比較的寛容な姿勢がある。支配域で他宗を信仰していても税金多めに支払えば信仰を許したし(これはイスラム集団が商売組織から生まれたという側面もあるかも)

 

そんな訳で、実はキリスト教徒がエルサレムに行くのは困難ではあるが無理ではなかった。そらまぁボラれたり野盗に襲われたり程度はあるが、エルサレムを支配してたイスラム勢力がキリストモンは入っちゃダメーとは言って居ない。ただまぁ野盗に襲われたら見ぐるみ剥がされて下手したら奴隷として売られるは、ある。異教徒だし語族も人種も違うし。

 

 

と、ここに中世ヨーロッパおよびイスラム勢力に多大なご迷惑をお掛けした「隠者ピエール」というおっさんが出て来る。このおっさんが「なんでキリスト教徒が聖地巡礼するのに難儀しなきゃあかんねん、聖地はキリスト教のもんや!」と騒ぎ立てたのだ。

最初は無智無学な庶民や信じやすい子供が乗せられた。子供十字軍なんて言われてる奴が特に悲惨で……聖地奪回や!とエルサレムがどこにあるのかも知らずに旅立ち、各地で食料とか恵んでもらいながらイスラムエリアの手前まで来た。で、船が必要と分かり(つまり、こいつら経路とか必要なものなーんも用意してなかったのだ!)、遂に親切そうな人に船借りてエルサレムに行けるとウッキウキで船に乗ったら……

 

奴隷として売られました

 

嗚呼、ピエール……筋肉少女帯の「イワンのバカ」が聞こえるわ……

この噂を聞き及んだイスラム側は、奴隷を集めてヨーロッパに返してあげました。優しいネ!(そいつら能力なかっただけで侵略しに来たんですが)

 

「なんでやろ?」

「あの大正義ローマとビシバシやってたイスラムさんやけぇ、言わばメジャーのやきう団が、大正義ローマさんの下部リーグである北方蛮族少年やきう団がまさかかちこんで来るとは思わなかったんやろね」

 

なんか健気な子供たちがエルサレム奪還目指してキャン言わされ、次辺りに大人が出向いて行ったがキャン言わされ(途中で略奪や略奪に極めて近い事したからです)、遂に北方蛮族さんチームも本気を出しました。第一次十字軍です。

まぁた素人集団が来たんかとイスラム側は地域毎に抵抗しますが、蛮族だから交戦規定とかメタクソで、当時ゆるーく存在した交戦規則みたいなものガン無視です。ルール無用の残虐ファイト!

イスラム側はビビった。

そして十字軍側もビビった。

 

イスラム側がすっごく洗練されてて文化的だったからです

 

そらまぁ、大正義ローマとバチバチしてたんだから、相互に技術交流とかもある訳で、ローマの文明文化はオリエントに保管されとる訳ですよ。先にも書いたけど当時ヨーロッパでは鉄すら貴重なのにイスラムでは鋼を利用している。戦術も「統率された集団戦法」を持ち、なんなら中央集権じみた制度まで持ってるし、なんなら大国エジプト制圧してますからね。

 

良く、ナーロッパでは主人公が属する国家が中央集権的で重商主義で、文化的に洗練されてて、周りに蛮族じみたオークやゴブリンがいて略奪生活とかしてるでしょ? 粗末な武器持って、碌に統率も取らずに攻めて来ますなぁ?

 

史実では、どっちかというと中世ヨーロッパ側がゴブリンなんよ。

十字軍とか北方で大発生したゴブリンがなんかトチ狂った理由で南下して来た……そんな感じなんね。




塩野七生というローマに魅せられた作家がいる。
ローマ・イタリアが好きで好きで堪らなくてローマ専用人型啓蒙兵器と化した彼女の作に「絵で見る十字軍」なる珍作があるのだが、ローマ専用啓蒙兵器だもんだから、キリスト教とかに冷淡でシニカルで、これがまた西洋側からもイスラム側からも距離を取りつつ冷徹な分析しててなまら面白い。中世ヨーロッパ好きもその前史としてのヨーロッパや、イタリアの歴史学ぶには良いかと思う。

ただ、テンプル騎士団にBL要素ぶっこむのはフランスに利する感じじゃ無いかしらどうかしら?

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