激震! 中世ヨーロッパ警察24時!!!【完結】   作:PureFighter00

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結論から申せば第一次十字軍は成功する。成功の詳しい過程については世界史の教科書読むなり、世界史の担当教師を質問攻めにすると良い。
本稿で書くのは「何故成功【してしまったか】という部分だ。


十字軍のハナシ──発動編

「なんで先進国イスラムが蛮族中世ヨーロッパ人に負けたんでしょうか?」

「第一次十字軍に限って言えば、なんかエルサレム落とせたから勝ちと言って良いかもしれないが、最終的にはエルサレムは再度イスラムの手に落ちてるし、ある意味では第一次十字軍という「くくり」自体が勝ったという話にする為の方便の様に思えるがね。さてここで中世ヨーロッパ側の各陣営の都合や立場を考えてみよう」

 

東ヨーロッパ。

当時はローマが東西分裂して西はカトリック教会、東は正教会と東ローマ帝国に支配されていた。

中世ヨーロッパという時代の初期に、ヨーロッパ西部は各地の王族のキリスト教化に成功して、当時イスラム人に支配されていたスペインなどを再征服(レコンキスタ)していた。そしてイスラムから奪ったものが大変高品質かつ先進的で──

 

美味かった

 

のである。ローマ崩壊後に文明後退したというか、ローマ無くなって蛮族が支配しているのだから交代も何もなくゼロとか低レベルスタートだし。

しかし急速にキリスト教とともに各種知識が限定的とは言え流入し、11世紀頃には農業生産性も順調に伸びて行き、余剰材が流通を促進して商業活動も盛んになって来た。これには気候変動によりヨーロッパが温暖化して来たという部分もある。

それに対して東ヨーロッパだが。

地理的にイスラム国家軍と隣り合わせで、陸路によるイスラムの侵入を防御し続けていた。かなり攻め込まれていて、東ヨーロッパが陥落すると今度は西ヨーロッパ側にも侵入されてしまう。

そこでカトリック教会は一計を案じる。領土奪い合いなどさせずに、東ヨーロッパに助力させて正教会に恩を売り、教会ぐらいは東西統一──可能ならばカトリック教会による併呑──したいなぁ、と。

所が騎士や王侯貴族は乗って来ない。防衛戦闘では稼げないよね、と。得するの守って貰った東ローマじゃんと。

 

この様に、カトリック教会は西欧の有力者達にメリットの訴求出来なかった訳だ。

 

しかしこの問題を隠者ピエールという変な人が解決してしまった。

「エルサレム奪還」という題目だ。

正直に申し上げて、このエルサレム奪還というのは教会側から見たら無理ゲーなのであるが、予想以上に浸透してしまったキリスト教への教化が多数の民衆を動かした。また、民衆十字軍とほぼ同時期にカトリック教会も東ローマ帝国防衛ではなくエルサレム奪還を呼びかけて、それに宗教的特典を与えた。利益と宗教的な熱狂と……これに王侯貴族の家督相続対象では無い子息が呼応した。

 

が、中々上手くは行かないもので……異教徒殲滅!を第一目的に掲げた人々は、なんもイスラムまで行かなくても【その辺に】異教徒居るじゃんと──東ヨーロッパに居たユダヤ人を狩り始めた。

 

 

【ユダヤ人】

いや、イエス様もユダヤ教の人なんですが。彼はユダヤ教の改革派で、神殿で物売るとか信じられん! などの原理主義的主張して、ユダヤ教の人々からテロリストみたいな扱いを受けたのである。ユダヤ教側の決定は「死刑」なんだけど、当時エルサレム近辺はローマに支配されておりユダヤ人に死刑の執行権がなかった。そこでローマの現地統治者であるピラトにイエスは引き渡されるのだが、当時ローマではローマの神々(多神教)が国教であり、ユダヤの神殿で暴れたなんて「知らんがな」なのである。

例えば日本国内的には靖国神社で大暴れしたら絶対許さんになるが、他国の宗教施設でやんちゃしても死刑だ鞭打ちだなんて「やりすぎでは?」と感じるだろう。

まぁ、そんな訳でキリスト教徒から見て「神様殺した極悪人」に見えてしまう。

 

 

──この様にして東ヨーロッパのユダヤ人は、宗教的に寛容だったポーランドに逃げ出した。そしてそのポーランドが第二次世界大戦時にナチスに攻め落とされたから杉原千畝が命のパスポート発行して東洋のシンドラーになるのである。

 

 

宗教的な熱意が「そこまでではなく」領土的野心や利益が欲しかった人々はイスラム世界に向けて進軍するのだが、東ローマ側は攻め落とした地域を東ローマ領にする事を条件に食料などの支援をすると表明。地味に騎士や王侯貴族の子弟は萎えた。そして最初の土地を包囲したら、裏で動いてた東ローマがこっそり忍び込んで、朝起きたら包囲軍は翻る東ローマの旗を見た。

包囲軍は完全に不貞腐れた。(ニカイア包囲戦)

そして十字軍参加貴族は東ローマとの協定を無視してイスラム国家群を蹂躙し、或いは恐喝して奪いまくった。支援が届かなくなるとイスラム側の人々ぶっ殺して鍋で煮て食った……北方から来た野蛮人が大軍率いて街を包囲、しまいにゃ市民をぶっ殺して人肉食……

 

これはゴブリンですわ

 

 

何故、先進国イスラム諸国がボロ負けしたのか?

簡単に申せば彼らの文化圏の中で内紛じみた小競り合いをしていたからである。十字軍側が烏合の衆としてワイワイガチャガチャしつつも一団として攻めて来たのに対して、第一次十字軍ではイスラム側は一致して対抗できなかった。まぁ、強いて申せば敗因はこんなもんだし、イスラム側は一連の軍事行動を「宗教的な側面を見ずに」、彼らが良く知る経済的な欲望に寄る戦争と誤解した……という部分も軽視できない。

 

 

 

この様なボタンのかけ違いや相互のエゴの衝突、偶然の積み重ね……により、第一次十字軍は【成功してしまった】

領土を東ローマに返さず「十字軍国家」なる西ヨーロッパ領にした為に東ローマ帝国はブチ切れるし、カトリック教会が目論んだキリスト教会の東西統一は完全に頓挫した。エルサレムは奪還したが、有力な王侯貴族は周囲の都市国家占領及び統治にかまけてエルサレム警護に力を貸さない(後に修道騎士会が組織されてエルサレム防衛に当たった)

 

これが中世ヨーロッパを様々な形で変革し、中世を終わらせる事になるとは……誰も気付いていなかったであろう。




ゴブリンスレイヤーサラディンとホブゴブリンキングのリチャード獅子心王の話が次あたりに出来るかなぁ、と。

リチャード獅子心王の話書きたいんやけど

  • 誰それ?
  • あの面白いおっさんか! 書け!
  • 欠地王も忘れずに書け
  • あ、フランスDisる気だなてめー
  • 修道騎士会の事書いてからな!
  • むしろサラディン
  • 胡椒の話を飛ばすな
  • 飯の話は?
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