激震! 中世ヨーロッパ警察24時!!!【完結】 作:PureFighter00
さて、十字軍やったらオリエントから色々な知識や産物がヨーロッパにもたらされたのだが、よく無いものもやって来た。その際たる物がペスト(黒死病)である。別系統の悪夢であるモンゴルの征西は13世紀中盤に発生して、ワールシュタットの戦いでヨーロッパ勢はフルボッコにされた。
ペストは最初期に中国で猛威を振るった記録があるが、今は遺伝子の分析により中央アジアから発生したのではないかと推測されている。
サラッとDNA分析の話を書いたが、つまりこれ「病死者を土葬した」という事だ。良くファンタジー作品に疫病が出てくると遺体を1箇所に集めて火葬するのだが、キリスト教では黙示録の戦いの後に最後の審判を経て死者は復活し……と言う概念がある為、火葬して骨まで砕けてしまうと復活が出来なくなる。魔女判定されたジャンヌ・ダルクが火刑に処されたのは「最後の審判後の復活可能性を潰す」意味合いがあるのだ。
よって、ヨーロッパを席巻した黒死病でも遺体は焼かれていない。死体を焼くと言う行為の宗教的意味合いが強過ぎるのである。その為DNA検査が可能なのだ。
この黒死病により中世ヨーロッパの人口は30%〜60%程度減少し、長らく1300年段階の人口を超えることがなかった。黒死病は何十年もヨーロッパを悩まし続けたからである。この為当然農民人口も激減し、相対的に農民の地位は向上した。人口減により耕地はあってもそこで農業して作物作る人がいなくなったからだ。
更に、三圃式などの農法で地力を回復して、更に牧畜や農耕馬・牛を利用した効率的な作業が可能になる。(それ以前は冬季用の飼料確保が難しいと言う観点から、食肉用家畜は冬前に大部分屠殺してハムやベーコンなどの保存食にしていた。クリスマスにご馳走を食べる風習は、冬に備えて家畜を屠殺してそれを食べる……ユールボードなどが原型であろう)
言い方は悪いが、人口大激減により農業生産性が増したと言えなくもない。また、交易が盛んになり商業が発達して地中海の海運により利益を上げる庶民が出てきた。もちろん商売は種銭持っていた方が有利なので貴族階級の商人の方が成功しやすいが。(地中海での海運が重要となり、造船技術や航海術、海上戦闘能力が発達した。後の大航海時代に繋がる伏線である)
「ようやく中世ヨーロッパっぽいと言うか、ナーロッパっぽい世界観になってきましたね」
「漸く民衆までパン食える時代が来たな!」
「でも……階級社会なんでしょ? 貴族と農民で同じ食い物は不味いのでは……?」
「ちゃんと差はあるぞ。フワフワもちもちのパンは上流階級用。上質な食い物は【柔らかく、滑らか】同じ白パンでも純白の小麦粉でフスマが無く、サラッサラでグルテン含有量が高い方が上質」
「グルテン……?」
「結実する頃雨に降られるとグルテン量が減るし、穂についたまま発芽しちゃうのでマズイ。低品質になる」だから雨の少ない時期に結実する様に植えたりします。
「低品質になると……?」
「もちもちフワフワ感が減少して行くと低品質になる。あと、フスマなどを取り除くと粉にした時量が減るから全粒粉使うな」
ここ、マリー・アントワネットの有名なセリフに関係してきます。パン用の小麦粉はグルテン含有率が高くて高額、しかしクッキーなどに使う小麦粉はサクサク食感出す為にグルテン含有量が少ない。だから「パンがなければケーキを食べれば良いのに」は、「強力粉買えないなら安価な薄力粉買えば良いじゃない?」とも解釈できるし、マリーさんは庶民が飢えない様にジャガイモの普及にも尽力してる。
「現代ではむしろグルテンフリーとか全粒粉の方が健康的だと言われてますが……」
「健康的であるのと美食であるは両立しにくいからね。また、現代では多少なりともプロテスタントみたいな粗食礼賛傾向がある。シリアル食品なんかもセブンスデーアドベンティスト派のケロッグ博士が考案してるし」
「あ、だからライ麦パンは……」
「モチモチしてるがフワフワ感が少なめで全粒粉使うから黒っぽくなる。故にヨーロッパではランクが低いと見なされて……でも栄養価は高い」
「健康より美食なんですね……」
「マズメシ食わせると民衆は怒るからな。貧乏人は麦を食えだの、平成の米騒動の時にタイ米に批判続出とか」
タイに6年ぐらい住んでた筆者友人曰く、タイ米を日本風に食ったら不味いのは当たり前だそうな。それぞれの作物はそれぞれの地域の食べ方に合わせて改良されて行くのだから、炊飯して白米モリモリ食う日本では、この食べ方に合った米が栽培されるのである。
「この時代と言えば、貴族以外にも香辛料が普及して、下手したら香辛料マシマシがビンボ臭く見えてくる頃だね。だが、これは中世ヨーロッパも末期に近い頃で、中世最盛期とはちょっとずつ異なっている」
「……仮にですが、中世ヨーロッパ的な発展しなかった世界線はどうなるんだろう?」
「実は余り変わらない様な気もするよ。ペスト流行ったのは森林を片っ端から農地にしてネズミとかが生活圏追われて人の住むエリアに移動したってのもあるし、人口が増えすぎてたらどちらにせよ劇的な農業生産性の改善がなければ……まぁ、飢えて死ぬわ。どこかで何かしらの理由からカイゼンが始まり、そのカイゼンにより人々は豊かになり、増加して行く。
比較的「カイゼン」が進まなかった中世ヨーロッパでもなんだかんだで生活様式は変わって行くのだから、そう言う進歩発展が見られない世界なんて……」
「中世ヨーロッパ警察さんがナーロッパとか嫌うのは、まさか……」
「先進的過ぎるとか、近世に近いからじゃ無い。技術の発展過程や歴史の文脈無視すっからだよ。人間はいつの時代も楽や快適求めて工夫する。そう言う営みがどこにも見られず【変わらない】なんて事はない」
筆者が以前実験的に書いたファンタジーでは、いつまでも戦乱が起きずに変わらぬ生活を1000年続けた世界が実は呪われており、その様な体制を維持する為にめっちゃくちゃ人が死に平均余命がやたら短いとしておいた。しかし人々はそんな平均余命が短い世界が常態であるから自分が不幸だとは思わない。ここで神々は異物である異世界転移者を人々を苦しめて楽園を破壊する元凶とみなして排除しようとする……と言うプロットなんだが、プロットが難解すぎるのかじぇーんじぇんウケなかった。
「中世ヨーロッパを真面目にやってもウケるとは限らんぞ」
例えばちょい前にナーロッパ的な世界で、「聖堂でピアノ演奏して女性が歌を歌う」と言う描写を見た。恐らく作者氏は教会音楽とか聞かないのだろう。そこはピアノではなくオルガン……パイプオルガンだ。
ピアノ的な物を出すならハープシーコードやチェンバロと言う楽器もある。
また、キリスト教では女性が讃美歌歌うの割と後になってからだ。イタリアなんかでは高い音域歌える男性歌手を作る為に変声期前の少年のキンタマ潰して中性化した歌手(カストラート)を作り出していた。
「きょっ……去勢ぃぃい!」
「中世ヨーロッパには今みたいな人権思想もポリコレも無い……西欧諸国がポリコレうるさいのは過去の反動なんと違うか?」
「チェンバロなんて初めて聞きました……」
「まぁ、現代ではまず聞かない楽器だしね。ググってYouTubeで聴けば聞いたことある音色かもしれないが、聞いただけじゃどんな楽器か分からないしな!」
オーボエとフルートの音色の違いが分からない人だっているだろう。
「……そういやドラクエでもオルガンっぽい音で死者復活してましたね」
「教会音楽=オルガンのイメージはみんな割と持ってそうだけど……件のピアノの作者はブルースブラザーズでも見たのかな?
まぁ、その辺は好きにしたらいい、君の物語ではそうであるのだろう。
ただ、知っている人は「あ、この人こんなことも知らないんだ!」とちょっと呆れるだけだし、それが商業展開してると「これに関わった奴の中で1人も『教会だとパイプオルガンじゃね?』と突っ込まなかった」と言う残念な事実が透けて見えるだけだ。色々な場所でかつては『それっぽくする為に』行われていた【考証】を、無智無学無教養故にスルーする。
魔法陣がCGの透過光処理されて立体的である方が重要なんだろう」
昨今の編集者はそういう時代考証みたいな事どころか、国語レベルの校正も出来ないからな。作者だけではなく関わる全ての分野で無智無学無教養が龍虎乱舞しておる。創作者の皆様には覚えておいて欲しいのだが、現代日本では国会図書館への納本制度という物があり、ヘッタクソな文章を商業出版してしまうと、未来永劫そのヘッタクソな文章がアーカイブされて末代まで恥晒すハメになる(本当) 某四葉のクローバー氏は「何冊も商業出版してるのに残念な文字列紡ぐ人」として、遠い未来に「なんで当時水準から見ても残念過ぎる国語力の人物が商業出版を続ける事が出来たのか」と、そこらの文学部の学生の卒論で考察されてしまうに違いあるまい。
物語では無いが、商業誌に3年ぐらい連載記事書いてた筆者はビビった。国会図書館で検索したら、うっかり自分が連載持ってた雑誌がある事を確認したからだ。
特に角◯からラノベ出すなら外部校正に出すのを激しく推奨する。
尚、同人誌も印刷屋で輪転機回すクラスだと納本制度の対象になる。
うっかり性癖爆発させた本出して国会図書館に納本した日には……(亞書で悪用されたが、どぎついエロ本でも常識的な価格設定なら売価の6割ぐらいお金貰えて納本できるぞ)
リチャード獅子心王の話書きたいんやけど
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誰それ?
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あの面白いおっさんか! 書け!
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欠地王も忘れずに書け
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あ、フランスDisる気だなてめー
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修道騎士会の事書いてからな!
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むしろサラディン
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胡椒の話を飛ばすな
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飯の話は?