激震! 中世ヨーロッパ警察24時!!!【完結】 作:PureFighter00
防御力カンストの転移者とは言え風邪は引く。
身体の怠さが余りにも続くし、高熱で関節まで痛んできた。
「なんで病気治癒の呪文効かないかな……」
「すみません、私の信心が足りなかったばかりに……」
セービングスローでファンブルこいたカンスト男のせいだぞ。
「お医者さん連れてきた! ほらタンクさん腕出して!」
「……注射?」
「そんなわけあるかーい!(ハリセンチョップ!) 中世ヨーロッパ舐めんなよ!」
「び、病人に何を……」
「中世ヨーロッパの都市部での医療ってのはだな、四体液説が基本なんじゃい!」
【四体液説】
古代インドやギリシャで発達した医学理論。人間の身体は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つの体液のバランスにより健康が保たれており、バランスが崩れると病気になるという考え方。詳しくはググろう。
「なっ……なんスかその野蛮な感じの治療法は? でもそれ古代ギリシャ時代の話でしょ? 流石に紀元前の医学が中世ヨーロッパまで……」
「おっと失礼、手帳提示を忘れていたね。中世ヨーロッパ違反で逮捕する。四体液説はヨーロッパでは19世紀頃まで結構流行っていたんだ。いや、実は現代日本でも……(悲しそうに視線を逸らす)」
「嘘ぉっ!」
「カッピングとか吸い玉なんてのが四体液説準拠の瀉血の一形態よ。西回りと東回りで日本にもたらされて偉いことだな!」
「……瀉血って読めないんですが」
「メタい事ゆーな、
「なんでそれで病気が治るんですか!」
「胆汁を排出するには腹切らなきゃいかんやろ? そうすると中世ヨーロッパの医学力だと高確率で死ぬ。比較的出すのが簡単で中世ヨーロッパの医学でも死ににくいのが瀉血なんだよ」
「……で、利くんですか?」
「君は転移前に風邪の治療でお医者さんに瀉血して貰った経験があるのかね?」
「デスヨネー(しろめ)」
「更に申せば殺菌とか、そもそも論としてバイキンだの菌という概念がない。下手に切ったら化膿したり変な病気貰ったりする。免疫力高めとかないと医療行為を受けて病気になるぞ!」
「待って、瀉血無し! 平気! ほら平気! 僕元気!」ブンブンふらっ……
「足元ふらついてるじゃない!」
「しっかりしろ、お医者様、どうか彼を元気に……」
「安心したまえ、私は瀉血で何人もの患者を救ってきた……」
「た……助けられなかった人は?」
「数えたことはないね(キッパリ)」
一応古代ギリシャの昔にも、病気は内臓疾患などが原因ではないかとするクニドス派(局在病理説、臓器病理説)もいたが、そもそも解剖とか病理解析が不十分な時代だから余り有効ではなかったのだ。現代日本における医療行為を「西洋医学」と称するから誤解を産んでいる気もするが、割と最近まで古代インド発祥のバランス理論という東洋医学っぽい概念がヨーロッパでも支配的だった。そしていわゆる「西洋医学的アプローチ」がエビデンス重点で科学的誠実さの下に様々なものを積み上げた結果、阿保ほど実用性が高かったので今に至るという訳だ。
そらね、大体どんな病気でも「よしわかった、瀉血だ」で血を出して終わりだもん。(あと、四体液論と4元素論の合わせ技で食餌療法)
こんな医学レベルの中世ヨーロッパでペスト(黒死病)なんて流行ったらどうなるかって話ですね。
「ギニャー!」
案ずるな、病気療養に効果的では無いというだけだ。別にそれで死んだりはしない。しないと思う。……まぁちょっと覚悟はしておけ。
次は防御力だけではなく抵抗力や免疫力、体力もカンスト目指していこうな!
下手したら魔女の治療の方が効いたりせんやろか感がある。
どんな話読みたい?
-
政治
-
宗教
-
食
-
衣服
-
住宅・都市
-
武器や戦争
-
その他