『神霆戦機 カミナギル』美人フェミさんが 巨大ロボで大暴れするそうです   作:cyanP

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第53話 佐世保アメリカ海軍基地が消えた日

 

 

「目標、アメリカ軍のでっかい船!」

 

〈強襲揚陸艦 LHA-6『アメリカ』です〉

 

「そう、シエンちゃんの言う、それ!」

 

 凛子の瞳孔にピッタリ重なるモニター上の照準が映り込んだ。

「撃てぇぇーッ!!!!!」

 

 コックピット内、主モニターの光度が一瞬下がった。対閃光防御だ。その瞬間。落雷のような光と轟音が発生。辺りを真っ白な面と真っ黒な影に塗り変える。

 その砲口より発射されたのはビームというより、流星のごとく輝く塊。それが尾を引いて一直線に走った。凄まじい速度で海面を照らしていき。

 目標を貫く。

 

 流星が命中した強襲揚陸艦 LHA-6 『アメリカ』の名を冠するアメリカ級強襲揚陸艦の1番艦はバチバチッと高圧スパークを発生させながら、命中した船体中央部を粉々に四散させて轟沈した。

 

鋼材が赤く溶けているのが見えてまるで火山の火口だ。海面に接触した箇所が激しく沸騰して蒸気を立ち上らせる。

 

 ジェットマスターのビームは、ただの貫通弾ではなく、命中すると目標の素材と対消滅して超高熱爆発するらしい、凄まじい威力だった。

 

 ここで普通の人間なら巨艦を一撃で屠る未来火器の、そのあまりの威力に慄く(おののく)ところなのだが、凛子にそんな殊勝な神経は備わっていない。

 

 ズキュゥゥーン! ズキュゥゥーン! ズキュゥゥーン! ズキュゥゥーン! ジェットマスターの限界速度で連続発射。

 佐世保湾外へと退避を試みていた揚陸艦や掃海艦を狙い撃つ。

 

 ニューオーリンズ (ドック型輸送揚陸艦)撃破!

 サンディエゴ (ドック型輸送揚陸艦)撃破!

 ラシュモア (ドック型揚陸艦)撃破!

 ウォーリア(アヴェンジャー級掃海艦)撃破!

 

 間髪入れず、立て続けに他の掃海艦や小型艦などの艦艇も狙撃して吹き飛ばしていく。

 

 何本もの水柱がいっぺんに海上や港内に立ち上がった。爆炎と黒煙と鋼鉄の欠片が混ざった水柱だ。真っ二つに折れる複数の艦影。遠くて音は小さく『ドゴゴゴ……』と響いてくるだけだが大音響がしているだろう爆発だ。

 

 現行の兵器には単体でこのような連続的に破壊を撒き散らし、正確かつ阻止や迎撃の不可能な射出武器は存在しない。カミナギルの圧倒的攻撃力を全世界に見せつけた瞬間だった。

 

 しかも日本の海上自衛隊の施設や、自衛隊と共用している設備には一切直接攻撃していない。もちろんそんな知識を凛子が持っているわけもなく、支援コンピューターの完璧なサポートだ。

 事前に情報収集し凛子の意に沿うように攻撃計画を準備し『無駄に敵を増やさない』という戦略上の計算の元、凛子の無茶っぷりが暴走しないようにガッチリ固めて補助している。

 

 港湾施設の破壊にはジェットマスターは強力すぎるので、いつの間にか弾薬補充がされている頭部ガトリング砲で掃討する念の入れようだ。

『疎にして漏らさず』アメリカ軍だけを徹底的に攻撃するぞというこれ以上無い意思表示を徹甲榴弾で叩き込んでいた。

 基地はあっという間に火の海になり、黒煙が立ち上る。

 

「ふはははははは! 見たか! これぞラスト・テスタメント軍、脅威の技術力!」

 

〈ピピピ!違います。『ラスト・テスタメント軍』はカミナギルを建造した『地球奪還作戦軍:E.R.O.F. (イーロフ)』と敵対している『進化証明戦線』に属する勢力の名前です〉

 

 調子に乗って聞きかじったカミナギルネタを言ってみた凛子だったが、思いっきり間違っており、すかさずシエンちゃんにツッコまれてしまった。

 

「あ、敵の名前なのかぁ! ごめーん! もしかして言っちゃダメだった? シエンちゃん怒った? ねぇ怒った?」

 

〈怒ってません〉

 

「マジで? 変に我慢すると壊れるかもよ? わたしに怒りたいときは怒っていいんだからね? 正直に打ち明けようよ。ね? ……怒ってるでしょ?」

 

〈怒ってません〉

 

「そうだこれツブイートもしておこう! いいよね? シエンちゃん」

 

〈いい考えです、そろそろ情報を出して行きましょう〉

 

「おーし、やっつけた基地と船の写真をパチパチと撮ってぇ~、添付してっと。ホイ。つぶやきは『アメリカ軍、よぉわッ(笑)』こんな感じでいいかな? このツブイートは炎上するよぉ~! 基地が炎上してるだけに」

 

〈効果的な情報戦です〉

 

「ウフフフ……」

 

 ロボットの中ではそんなバカなやりとりが行われていたが、『風と星の広場』では青少年センター職員、堀部則夫,(ほりべのりお:61歳)が展望所に立つカミナギルを見上げて惚けたように立っていた。

 

 海上の惨状は見えなかったが、あの『ビリビリ』と空気を震わせるおそろしい射撃音を、閃光を、なんども目の当たりにすればことの重大さはすぐにわかる。

 アレだ! そうだ! なんで今まで気が付かなかったんだ、変なニュースで騒いでたやつだ、いや、勝手に変なニュースだと思い込んでいた。

 

 アニメのロボットが……なんて馬鹿馬鹿しい話を、またテレビが面白おかしく適当なことを大げさに言っていると真面目に聞いてなかった。このロボットがアメリカ軍を攻撃してたやつなんだ。

 なんてこった、本当だったのか……信じられない。

 

 堀部がそんなことを千思万考していると、カミナギルがこちらに顔を向けた。ギョッとして体が固まり、思考が停止する。

 

 ジェットマスターを持ったまま、両腕をブンブンと無邪気に振りつつ

 

「「堀部さーん! さっき撮影したロボットが合体する動画ー! ツブイッターにバーンと投稿しといてねぇ~~~っ!」」

 

 そう言い残すと凛子の乗るカミナギルは、身軽に飛び上がって山の向こう側へと消えてしまった……。

 

 

 

 

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