無感情無表情と思われてるけど気づいてない実験台少女の日記   作:ルヴレ

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最終回です。タイトル回収です。


無感情無表情と思われていることに気づいた実験台少女の日記

 

 

「やーい。天才科学者兼英雄の魔法使いー」

「フェデリカ、やめてくれ。ほんっとうにやめてくれ」

 

 フェデリカは、ニヤニヤと笑いながら、今日もセレストをからかってくる。セレストは無表情で、フェデリカを止めた。

 そんな二人の様子はさながら姉妹だ。俺は全治四ヶ月の複雑骨折のせいでベッドに横になりながら、ぼんやりと思う。

 

 

 俺たちが帰ってきた時、メルティとフェデリカはセレストに全力ビンタを食らわせていた。でも、それだけで、セレストがやろうとしていたことを言っても、怒りはしなかった。……流石に自殺の件はキレていたが。

 

 俺は、セレストと契約を結んでいた。

 それは、俺がレポートを書いたことにすることと、セレストに全面協力して、人類を大体殺し、新しく世界を再構築するとこで結果的に世界を救うことの二つだ。

 なんでそんなことを? と思うかもしれないが、俺はこの計画は失敗すると確信していた。

 俺は、英雄扱いされる予定のこいつの協力者の立場になれば、金も出されるだろうと思い、協力したのだ。

 

 なんで失敗すると思ったかって? 

 

 それは、セレストは無表情で無感情だからだ。だから、感情を含めた意見が理解できずに、冷静さをなくす。そして失敗する。それを確信していた。

 

「で、予定通り金はがっぽり稼げた……」

 

 大量の金の入った袋を見て、思わずにっこりする。

 俺は人殺しができないから、金がまともに稼げない。だから、金がとにかく欲しかった。冗談なしにクレス共々飢え死にするからだ。

 女装してハニートラップ作戦とかもしていたが、少ししか効果がなかったので、一応女装だけ続けてる。男の尊厳は捨てたのである。

 

「クリスト。どうして、セレスト様は英雄にされてるの?」

「俺も知らない。確かなのは、あいつ、本当は無表情で無感情だったってことだけ」

 

 メルティがそっと聞いてきたが、そう返してやる。

 

 セレストは、あれから英雄扱いだ。なんたって、世界を救った────ように見えるからである。

 セレストも本当のことを言ったら捕まるので、言えずにいるようだ。

 

「魔法使いー。すごいー。憧れるー。フリッカちゃんもー。セレストになーりたーいなー」

「へ、変な歌を歌うな。やめろ。やめたまえ」

 

 ものすごく音痴な歌声が聞こえてきて、ぷっと吹き出した。

 セレストは無表情になった。感情があるように取り繕うのはやめたようだ。フェデリカも逆に無表情を取り繕うのをやめて、感情豊かになった。

 

「そう言えば、あのフェデリカがセレストのクローンってのは、本当なのか?」

「…………あれを見てると不思議ですが、そうだと思います。検査結果もそうでしたから」

 

 クルクル回って謎の踊りをしているフェデリカを見て、遠い目になる。

 感情豊かになるのはいい。でも、それを外でやるのはやめてほしい。

 

 

 

 

「セレスト様。少し、出かけませんか?」

「え、うん。いいよ?」

 

 真夜中に、メルティはセレストの部屋にやってきて、いきなりそう言った。

 メルティは、一度セレストと話し合いたかったのだ。まだ二人できちんと話す機会はなかった。

 

「どこに行くのかい?」

「あなたの行きたいところで」

 

 そうメルティが言うと、セレストは少し考えた後、とある場所へ歩き出した。

 それは、前にも行ったことのある、アセビの花の花畑だった。アセビは空が好きな花だ。

 メルティは花畑の端に置いてあったベンチに座った。セレストも、メルティの横に腰掛けた。

 

「セレスト様は、どうしてあんなことをしたんですか?」

「前も言ったけど、友達を助けたかったからさ。私には、その友達以外、どうでもいいと思っていたからね」

「では、なぜ日記を書いていらしたんですか?」

「その友達と交換日記をする約束をしていた。だから、その友達の真似をして、日記を書いていたんだ。どうしても諦めきれなかったんだろうね」

 

 色々と、答え合わせのように話し続けて、メルティは息を吐いた。

 そして、思い切って尋ねた。

 

「あの、セレスト様」

「なんだね?」

 

 セレストは、不思議そうな顔をして、こちらを見てきた。もう全て話し終えたのだと思ったのだろうか。

 

「もう、無理して取り繕わなくても、いいですから。私たちは、ありのままのセレスト様が好きなんです」

「え?」

 

 セレストが驚いて目を何度もパチパチとさせる。メルティはぎゅっと手を握りしめ、まっすぐにセレストを見つめた。

 

「無表情でも、無感情でも、私は気にしません。フリッカも、きっとそうです。だから、お願いします」

「あ、あのー。メルティ」

 

 セレストは、気まずそうにキョロキョロと目を動かして、遠慮がちに手を挙げた。そして、苦笑いしながら、言った。

 

「私、感情普通にあるからね!?」

 

 

 

 六年目 9月20日

 

  拝啓 あなたへ。

 私は、これからは普通に気楽に生きようと思います。無表情無感情と勘違いされていたみたいだけれど、そこまで私は無表情ですか?

 それはともかく、私が人生を全うした時、一緒に日記を書きましょう。交換日記ってやつです。英雄のあなたのことです。どうせ、私のことなんて忘れてるんでしょう?つーん。……冗談ですよ?

 あなたの言っていた変な話し方もマスターしたので、そのときに見せてあげなくもないです。

 それから、素敵な名前をありがとう。私の人生における二つの宝物のうちの一つです。

 

 二つ目?最近貰ったんです。あの子、不器用なのかボロボロな刺繍でしたけど。でも、何度も縫い直したのが分かって、微笑ましいです。

 あなたが親友なら、あの子は妹か娘ってところですね。

 

 

 

 そこまで日本語で書いて、フェデリカに夜ご飯だと呼ばれたので、日記を閉じる。

 

 さて、今日も食後にきみの教えてくれた「双六」を、フェデリカと一緒にやるとしよう! 

 

 

 

 無感情無表情と思われてるけど気づいてない実験台少女の日記 完。

 




ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この作品が初投稿ですので、至らぬ点もたくさんあり、文章も拙いものだったと思いますが、ここまで多くの人に読んでいただき、嬉しいです。
フェデリカが無表情無感情だと思われていることに気づいていないように見せかけた、セレストが勘違いされている勘違いものだった、と言う終わり方です。
最初の投稿なのに伏線を作りすぎて、少し後悔しています。すごく大変でした。
正直なところ、勘違い要素が少なくなってしまいましたし、物語も駆け足になり、分かりにくくなってしまいましたが、どうにか完結できて満足しています。

お気に入り登録してくださった方、感想をくださった方、評価をくださった方、ありがとうございました。
また新しい小説を書く予定ですので、よろしくお願いします。
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