DRAGON BALL XP   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第59話目を更新致します。
今回は前回からフライングで登場したザマスを中心とした回になります。
果たして本作現代世界のザマスの運命は如何に…?
では、本編へどうぞ!


第59話 一つの分岐点。ザマスの選択。

 時は遡る事エイジ770の第10宇宙の界王神界。

 この日界王神見習い、界王のザマスは相変わらず界王神ゴワスの弟子として謙虚に振る舞いながら給仕や稽古等をしていた。

 しかしながらエイジ770の時点でも人間に対する不信感はあり、何故自分達神は争い憎み合う身勝手な人間達を見守らねばならぬのかその答えが見つからず燻っていた。

 これもザマスの生来の潔癖症故に過ちを繰り返す者を認められない、正しい事を常に行う事が正解と思う為である。

 そんなザマスの前に、この日来客が訪れていた。

 

「初めまして、第10宇宙の界王神様。

 私は第7宇宙の界王神を束ねる大界王神のケンと申します。

 突然の来訪に申し訳ありません、私は500万年前に大界王神になった身としてまだ未熟であるが為、破壊神ビルス様の許可を取り他の宇宙で見聞を広める修練をしている最中でこの第10宇宙が最後に訪れる事となったのです。

 そして突然の来訪のお詫びとしてこちらの菓子折りをご納め下さいませ」

 

「おお、これはこれは。

 わざわざご足労ありがとうございます、私は第10宇宙の界王神ゴワスと申します。

 そしてこちらは私の弟子で界王神見習いとして側に置いてる界王のザマスです。

 どうぞ席にお座り下さい」

 

「初めまして大界王神ケン様、ゴワス様の弟子として修行を積んでる未熟者ですがよろしくお願い致します」

 

 その来客は他でも無い別の宇宙の界王神とそれを興味無さげに見る破壊神と天使、しかも第7宇宙と言えば破壊神ビルスのサボり癖の所為で界王神の数を増やして何とか宇宙の均衡を保つ様にしていると噂されている宇宙だ。

 そんな大変で苦労が絶えなそうな地から態々見聞を広める為に他の宇宙にまで遠出して来るなど余程真面目な界王神様なのだろうとザマスは感じていた。

 無論ケンの語る事は嘘は無かった。

 実際見聞を広める為に12ある宇宙を巡り、その最後にこの第10宇宙を訪ねていた。

 が、これも全ては前世の記憶を持つケンがザマスに合法的に接触する為の都合の良い言い分なのは心を読んだウイス位しか知らないのだ。

 

「…ふむ、この紅茶やお菓子は美味いですな。

 これ程の美味、長年界王神を続けていた私でも味わった事は無いですな。

 何処でこれ程の物を?」

 

「これは第7宇宙の北銀河にある地球と言う惑星の一般販売されてる高めの菓子折りなのです。

 第7宇宙の中でも地球の食べ物や飲み物は随一であり、環境も北銀河の中で一番整ったとても美しく良い星なのです」

 

「ほう、地球と言う星の………。

 ふむ、この第10宇宙でももしも地球があるなら少しチェックして見ましょうかな?」

 

 そんなゴワスの舌を唸らせたのは矢張り地球のお菓子と紅茶であった。

 ザマスもそれを食した所、今まで味わった事の無い美味に驚いておりこんな物を、しかも一般販売されてるとは信じれないと言った様子を見せていた。

 そんな好感触を得る事に成功したケンはそれからもゴワスと他愛の無い会話を交わし、更に界王神としての神術を見せて欲しいと頼まれ実際に先代大界王神から教わった神術を披露した所界王神としても破格、自身の神術を上回ると称賛されザマスもこれで未熟なのかと驚くばかりであった。

 

「それで、見聞を広めるとは具体的にどの様な事を?」

 

「無論界王神として暗く先が見えず、迷い当ての無い荒野の道を彷徨う人間に教え導く為各宇宙はどの様な接し方をするかを見たいのです。

 そして今私がやっている事と照らし合わせ、其処から足らない部分を足して行きより良い神として人間達を教え導きたいのです」

 

 それからケンは嘘の無い実際に他の宇宙でも見た界王神としての人間との接し方を拝見しようと発言していた。

 しかし他の宇宙では良い例もあれば最悪………界王神が人を見下し導きもしない放任主義所か職務怠慢の物もあったのでこの第10宇宙ではどうしているのかを聞き、そしてザマスの所作を見届けるつもりで居た。

 

「ふむふむ………確かに我々界王神は迷える者を導く責務がありますからな。

 では我々第10宇宙のやり方をお見せして差し上げましょう。

 ザマス、お前も付いて来なさい」

 

「はい、ゴワス様」

 

 それからゴワスはザマスを伴いカイカイで高い文明を築き上げた星へと跳び注意深くその星を観察すると、丁度悩める者が居たのでその人の下へと跳び其処で悩みを聞き、その解決手段を具体例を挙げながら教えると言う模範的で100点中95点をあげたくなる様なパーフェクトコミュニケーションを見せていた。

 これによりゴワスは本当に真面目な界王神だとケンも理解出来た上にゴワスの様な例も参考にしようと考えられていた。

 その一方でケンはザマスを注意深く観察すると………ザマスはゴワスの物を見ているが、それと同時に別の場所………犯罪を犯し他者を傷付ける人間を見て嫌悪感を示していた。

 それにゴワスは気付いているのか否か………兎に角これ等が蓄積した結果人間0計画まで発展したのだと断定し、ケンはザマスを惜しい者だと思い始めていた。

 

「如何でしたかなケン殿。

 これが我々第10宇宙のやり方です」

 

「ええ、これ程模範的でありながら人間に親身に教え説く事は他の宇宙でも余り見られませんでした。

 本当に参考になるばかりです、ありがとうございますゴワス殿。

 では界王神界へと今一度戻りましょうか(其処で少しお話があります、ゴワス殿)」

 

「ええ、分かりました(ふむ、話とな?)」

 

 そうしてケンは神術の念話も交えながら言葉を交わすと界王神界へと再び戻り、其処で紅茶を再び飲みながら一旦落ち着き………そしてザマスに聞かれない様にマルチタスクで別の会話を交わしながら念話を続けていた。

 

「(貴方とお話したいと言う内容は他でも無く、差し出がましいのですが貴方の弟子であるザマスの事です。

 どうにも彼は貴方の教えを確かに見ているのですが………それよりも人間が罪を犯し他者を傷付ける事ばかりに目を向けているのです。

 しかもそれに明確な嫌悪感を示し、人間の美徳へ目を向けようとしてないのです。

 それを貴方様は理解しながら側に置いてるのですか?)」

 

「(………矢張りケン殿もお分かりになられたか。

 ええ、ザマスは私の弟子として謙虚に振る舞っていますがどうにも極度な潔癖症な所がある、それは重々理解しています。

 ですが私はいずれザマスが考え方を改めより良い者になると信じて弟子として側に置いているのです)」

 

 それからゴワスがザマスの現状を理解しているかと言う問題に切り込んだケンは其処でゴワスなりに弟子を信じてより良い答えを見つける事を祈っている事を知り、界王神ゴワスは本当に寛大で神としての長期的な視点で物事を捉え導く事を放棄しない良い神だと判明した。

 が、ザマスにはこの長期的な物は決して届かない事もケンは知っているので何をすべきか既に決めていた。

 

「ありがとうございますゴワス殿。

 貴方様のお陰で良い勉強になりました。

 それと………もしよろしければまた第10宇宙のこの地を訪れて学びを得させて頂いても良いでしょうか? 

 勿論地球の菓子折りをお持ち致します」

 

「ふむ………本来他の宇宙の交流は余り許されない事ではあるのですが………良いでしょう、これも何かの縁でしょう。

 私も第7宇宙のやり方を見させて頂きたいですよケン殿」

 

 それからケンはザマスと接触する機会を失わない様に第10宇宙へと赴く大義名分を得ながら頭を下げ今日は第7宇宙へと帰還して行った。

 その中で第7宇宙のやり方を見たいと言われたので第7宇宙、特にクウラ軍や地球を中心とした映像をピックアップして見せようと言う気になり早速増え続ける第7宇宙の秩序を守る者達の勇姿を編集するのであった。

 

 

 

 

 

 

 それから1年後のエイジ771に再び第10宇宙を訪れ、この時は和菓子と緑茶セット(緑茶に至っては茶道用具一式)を持ち込み側にテレビを置き映像媒体で第7宇宙の勇姿を見せる準備を整えていた。

 それから和菓子と緑茶を楽しんだゴワスと緑茶の渋さと和菓子の甘さの不思議なハーモニーに驚くザマスに早速地球やクウラ軍の勇姿を見せていた。

 

「ふむふむ………このクウラ軍とやら、もしや悪人が多いですな?」

 

「えっ、それは本当なのですかケン様!?」

 

「ええ、クウラ軍とその長のクウラさんは基本的に悪と呼ばれる部類の人間達です。

 しかし彼等は見ての通り悪戯にその力をばら撒く行為はせず、悪を以て悪を制する………謂わば秩序悪として第7宇宙の人間の法を司っています。

 現に天使ウイス様から大神官様に聞いた第7宇宙の人間レベルは3.18だった物が4.03まで上がりまだまだ上がる様子を見せてる様です。

 これもひとえにクウラさん達を悪として切り捨てず見守った結果でしょう。

 そしてこちらが地球に集まる戦士達です」

 

 クウラ軍が悪者集団と聞きザマスはケンに一気に職務怠慢をする不良者と言う印象を抱きそうになったが、ケンからクウラ軍やクウラは第7宇宙の人間達の法を司っていると聞き、更に彼等のお陰で人間レベルまで上がり始めたと聞きゴワスも「ほう!」と驚き、ザマスは尚更信じられないと言った様子を見せていた。

 更に此処で映像は地球に集まる戦士達へと移り悟空達やクウラ達が修行で手合わせしたり強大な悪の戦士達を打ち倒す場面が映っていた。

 

「ふむ、このクウラは先程の軍の長として紹介されたから良いとして彼等は一体何者なのだねケン殿?」

 

「はい、彼等は地球に集う戦士達です。

 地球人やサイヤ人、ナメック星人に人造人間やクウラ軍の要職の者だったりと様々な者達が互いに競い合いながら地球を狙う極悪人を倒してるのです。

 クウラ軍が法の番人なら彼等は第7宇宙の守護者と呼ぶべき立派な戦士達です」

 

 更にケンは悟空達を第7宇宙の守護者と説明し、クウラ軍全体とは隔絶した力を持つ事を映像でも示されながら極悪人達を倒しては地球や宇宙の平和を守る姿が映し出されていた。

 最も悟空達はもっと強さを極めたい、地球を狙う極悪人を倒ているだけなので本人達は其処まで上等な存在じゃないと言うだろうが結果的に宇宙の平和を守っているのだから変わりないのである。

 

「ふむふむ、彼等やクウラ軍が今のままを維持するならば第7宇宙は安泰と言う事でしょうね」

 

「ええ、しかもクウラ軍は宇宙連盟を発足して表宇宙全体を一纏めにし始めたりと色々頑張ってくれてますよ。

 ただ第7宇宙には不条理な悪を受け入れてはより悪を極める暗黒魔界があるのでね………。

 しかも暗黒魔界があるから表宇宙に其処まで不条理な悪が漏れないと言う循環があるので暗黒魔界を消す事はどんな影響を齎すか未知数故に許されず、されど界王神の力が及ばないので歯痒い課題もあるのですよ」

 

「おや、それはまた………」

 

 それからケンは暗黒魔界の存在も語り、且つこれを消せないと話して悩ましい課題はあるとアピールしていた。

 ゴワスもそれを聞きどの宇宙でも悩みが絶えないのだと知り頷いていた。

 そして………此処でゴワスは第7宇宙が悪を以て悪を制すると言う話に着目し、上手く行けばより良い結果に繋がると思い立ち早速実行に移し始めた。

 

「ふむ…ケン殿、少し提案があるのだがよろしいかな?」

 

「はい、何でしょうかゴワス殿」

 

「うむ、提案とは私の弟子のザマスを暫く第7宇宙で預かり見聞を広めさせて頂けないでしょうか? 「ゴワス様!?」

 これもザマスの為になると私は感じたので彼の師としての願いを聞き入れてくれませんか?」

 

 ゴワスはザマスを一時的に第7宇宙で預かり、より見聞を広めさせようと言う提案を出した。

 無論ザマスは何を考えているのかと思い、ケンは………此方から提案しようと思っていた事がゴワスの口から引き出せたので結果オーライ且つよりザマスが従わざるを得なくさせる事を良しとして心の中でガッツポーズをしていた。

 

「………はい、私や第7宇宙でよろしいのならばその提案を引き受けさせて頂きます」

 

「こちらこそありがとうございます。

 ではザマスよ、向こうで失礼の無い様にするのだぞ?」

 

「………はい、ゴワス様」

 

 ケンは少しだけ考えた素振りを見せながらゴワスの提案を引き受けると、ザマスを伴いウイスの高速移動術で第7宇宙の界王神界へと跳んだ。

 その中でビルスはこのザマスがケンの目的だと先程までのやり取りで察していたが敢えて何も語らずそのまま破壊星へと帰ってしまった。

 それから帰りを待っていたシンがザマスと挨拶を交わし、互いに謙虚に振る舞うと早速神術でテーブルを創造してから地球のチーズケーキと紅茶を出していた。

 

「ではザマス君、ゴワス殿から君の身を預かったからには責任を持って接しさせて貰うけど構わないね?」

 

「………はい、ゴワス様にも何か考えがあるのでしょう。

 ならば弟子である私はそれを受け入れます」

 

「(とか言ってるけど不満タラタラなのは分かってるよザマス君)」

 

 それからザマスの身を預かった者として彼の不満を見抜きながらも親身に向き合うケンは先ずは他愛無い話から始め、次に身の上話として500万年前に何が起きたかを話すと流石のザマスも界王神が得体の知れない化け物に殺された事は衝撃的だったらしく驚いていた。

 

「まさか、ケン様が大界王神の任を引き継いだ際にその様な………」

 

「ええ、魔人ブウには我々第7宇宙の界王神はトラウマと呼べる物を刻まれましたよ。

 最も魔人ブウは本来この宇宙が自死を迎える為の存在…宇宙のアポトーシスだったのですがそれを魔導師ビビディが利用して宇宙の王となろうと言う分不相応の野望を抱いた事が原因ですからね。

 だからもう魔人ブウは蘇らせさせない様にしなければと我々も注意を払ってる所です。

 万が一目覚めても地球に居る戦士達に協力を仰ぎ打倒を目指しますがね」

 

 ケンはザマスに対して魔人ブウに対する対策として地球に居る戦士達………孫悟空達やクウラ達と共に打倒すると語るとザマスは人と神が手を取り合うと言う事が余り理解出来ない様子だが、宇宙のアポトーシスを何とかするにはそれしか無いのかと思い界王神の脆弱さを毛嫌う心を持っていた。

 当然それに気付いてるケンは根気強くザマスと接しようと決めていた。

 其処にシンも混ざり未熟者同盟を結成しようと言い出したのでケンは吹き出しながら自身も大界王神としてまだ未熟者の為それに入ると言うとシンはすみませんでしたと土下座するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから2年後のエイジ773、悟飯達がアルティメット化の力を得て大幅なパワーアップをした場面をザマスは目撃し、人間が神の力を上回り脅かすのかと感じていた。

 其処にケンが隣に立ち話し掛け始める。

 

「そんなに人間達が力を付ける事が嫌なのかいザマス君?」

 

「………この2年、貴方はどうも私の考えを読み解いた上で話していると察しました。

 なので隠し事は無しにして話すなら………その通りですよ。

 野蛮で未熟な人間が悪戯に力を付けて我々神々の存在を脅かす………そんな可能性に私は嫌悪してます」

 

「隠し事をしなくなったと言う事は少しは歩み寄れたのかもね。

 けどザマス君、彼等が力を付ける理由は何も神を脅かす為じゃない………己の力をより高みへと届かせ、より研鑽し、そして守るべき物を守る為なんだよ。

 其処に君が思う様な野蛮な考えは無いよ」

 

「………私にはそうは思えませんよ」

 

 ザマスとの会話で隠し事が消えたので彼の潔癖症と人間への嫌悪感を受け止めるケンは悟飯達の考えをありのまま伝えたが、それは届かず心を固く閉ざす様にしていた。

 それに対してケンは諦めず歩み寄る姿勢を保ちながら何度も話し掛けて、時にはクウラ軍のやる事を見せて宇宙全体で犯罪率が減っている事も教えたが結局クウラと言う強大な悪に怯えてるだけとして受け入れなかったのだった。

 

「ですが………未熟者の私もまだまだ難しい問題で答えに辿り着く事が出来てませんが、善も悪も全てを受け入れ、そしてその上で自らを律する事、他者を慈しみ愛する事が人間の美徳と私は信じてますよザマスさん」

 

「シン様………それでも、私は………」

 

 更にシンが人間の美徳を語ってもまだ届かず、ひたすら真っ直ぐ、余りにも真っ直ぐに自身の考えこそが正しいと言う思想に凝り固まり始めていた。

 それをシンは悲しく思い、それでもケンと同様ザマスを見捨てず語り合う時間を増やしていた。

 何故ならシンにとってもザマスは道を迷う悩める者に変わりないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その1年後のエイジ774、遂に魔人ブウが復活し3体に分かれた時。

 ザマスは老界王神と共にナメック星でその様子を見守ると孫悟空の姿が脳裏に焼き付くのだった。

 破壊衝動、アポトーシスその物である最初の魔人ブウを消し飛ばしたあの力………もしも神々に向ければただでは済まないと考え嫌悪感をまた強めるのだった。

 

「………ザマスよ、まだお主には見えておらん物があるんじゃな」

 

「私が見えてない物? 

 老界王神様、それは一体?」

 

「それに気付くのは己自身の問題じゃ、どうしても教えて欲しいならケンの奴にでも教授されると良い」

 

 其処に老界王神は老婆心でケンに何かを教われとザマスに語ると、自分に見えてない物は無い筈………そんな事をザマスは考えながら地球で破壊衝動が抜け落ちた2体のブウがそれぞれ寄り添ったミスター・サタンと悪人を受け入れるクウラに迎え入れた場面を目撃し、あんな恐ろしい物を恐れず受け入れるのは愚か者か勇敢なのかと思い………しかし恐らく前者だとしてザマスは直ぐに悟空達が消えた界王神界へと跳ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 更にそれから第25回天下一武道会を観客席から目撃し、オマケにあの世の法則が乱れる大事件が起きた際も界王神界で事の成り行きを見守り宇宙全体でクウラ軍が、地球では孫悟空達が対処する事で最終的に被害を最小限に留めた事を見届けた…が、善と悪が手を結び事態を解決した事を受け入れられずに居た、否、そもそも人間に善など………正義など無いとも思ってるので余計に受け入れられなかった。

 そして閻魔大王はクビにされても文句無い程の怠慢を見せたので此方にもザマスは苛立っていた。

 

「それでザマスさん、君はこの事件を見てどう思いましたか?」

 

「………人間達がこれを解決した事は素直に褒めましょう、だが結局悪があるからこんな事態になった事は変わり無い、ならば正義は何処にあるのだと、貴方やシン、北の界王以外の神々は何故ほぼ傍観だったのかと………私は怒りに満ちてます」

 

「神と言っても鍛えた私やシンと違い他の者は余り闘う力を持たないからね。

 それに今回は例外だけど神々は基本的に人間の成長を見守り導く為干渉を余りしないのが基本だから傍観気味に動かないのは仕方無いよ」

 

「………そんな神々の怠慢も私は許せないのです」

 

 ザマスは只管己の中の価値観が正しい物と思いながら苛立ちや怒りをケンやシンに隠さず、ただただ正義の在り処や悪の処遇や人間への不信感を心に溜め込み続けていた。

 そして人間などと言う不完全な生命は要らないとまで考え始める様になっていた。

 シンもこのままではザマスは何か過ちを犯してしまう………そんな予感を感じていた所、ケンはテーブルを作り上げてコーヒーを振る舞った。

 ザマスはこのコーヒーが苦手だった。

 味では無くこの黒く白いミルクを淹れても混ざるだけ混ざって白くならないこの色が苦手なのだ。

 

「ザマス君、君に少しだけ教授しよう。

 この世で最も許されざる事を何か知ってるかな?」

 

「………ゴワス様から聞いたタイムマシンによる過去への干渉、それに伴う並行世界の創造」

 

「うん、それも神にも人間にも許されない事だね。

 でもより根本的な物があるんだよ………最も基本中の基本、破壊神位にしか許されぬ行為がね」

 

 そんなザマスにケンはこの世界で許されざる事を尋ねると、ザマスは当然過去への干渉を挙げたがそれ以外として問い掛けた。

 しかも破壊神位しか許されないと言う特大のヒントを与えながら。

 聡明なザマスは破壊神位にしか、と言うヒントから直ぐに答えに辿り着く。

 

「誰かを害する、命を奪う………ですか?」

 

「そう、これは本来我々界王神にも許されざる行為だよ。

 我々第7宇宙の界王神もビルス様が見逃してるだけで本来は荒事をしちゃいけない………けどね、今はそんなのどうでも良いんだ。

 そう、本題はより踏み込んでこの命を奪う事の中でも最上級に許されない事があるのを、君は知っている?」

 

 ザマスは命を奪う事が許されざる行為と話し、余りに極悪非道な悪人しか法で裁いたり闘って倒す事が許されてない事を語るが、更にケンはその中で何が最上級に許されていないかと問い掛けるとザマスはあっさり答える。

 

「………人間が神を殺す事」

 

 人間による神殺しを言及するザマスはこの程度今更と思っていた………が、ケンは「それもある」と口にしながら首を横に振ると、ザマスはこれ以外に何があるのだと思い首を傾げた。

 一方シンは目を閉じてその答えを知っていた素振りを見せた。

 

「答えはね、親が子供を殺す事だよ。

 子供達の限り無い、無限に等しき未来を奪う事、これは本当に許されない事なんだよ」

 

「それを繰り返す人間もまた愚かな」

 

「話は最後まで聞いて。

 じゃあ次に神々と人間達の関係について分かるかな?」

 

 ケンはその答え………親が子を殺す禁忌を口にするとザマスはこれまで見て来た中で人間達はこれをやる者も居た為愚か者と口にしようとしたが、ケンはまだ話終わってないのでザマスに語る。

 人間と神々は如何なる関係かを。

 するとザマスはアッサリと答えを話す。

 

「それは勿論。

 人間は神々により生み出された生物です」

 

「それじゃあその関係を先程の禁忌に当て嵌めてみなさい。

 それで私が何を言いたいのか分かるから」

 

 そんな答えを出したザマスにケンは冷静に、且つ諭す様に禁忌と人間と神々の関係を当て嵌めろと指示を出した。

 ザマスは親が子供を殺す禁忌………それを人間や神々に当て嵌め始めると………一気に身体の芯が冷えた感覚に襲われてしまっていた。

 

「気付いたみたいだね。

 そう、神々が人間を殺すのは我が子の命を、未来を奪う行為なんだよ。

 これを許されるのはそれ等の禁忌に縛られない破壊神様達位だよ。

 それを確認した上で君に問うよ………界王ザマス、君は正義を謳いながらこの禁忌を犯す気なのか?」

 

 ケンはザマスの人間に対する不信感が募りつつある中で神を親、人を子として当て嵌めるとより確信的な一言を言い放つ。

 その言葉を聞いたザマスは自分の考えがよりにもよって最上級の禁忌に該当する事を確認し、血の気が引き始めていた。

 そんなザマスにケンは………そっと肩に手を置きながら答えを聞かせるのは何時でも良いと言うジェスチャーを送りながらその場を去って行った。

 

「………私が………禁忌を………」

 

 ザマスはミルクを淹れたコーヒーを見つめながら幾ら白く見せ掛けようが本質は黒く更に白を混ぜた事で濁る………それがまるで自分の様に感じられてしまい様々な感情に揺れ動きながら椅子に座り込み人間不要論が特大級の地雷だった事を察知し、ならば自分はどうすれば良いのだと………そんな事を自問自答しながら界王神界の隅へと飛んで行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからヒルデガーンも倒れ、超サイヤ人ゴッドや超サイヤ人4、ゴールデンクウラが覚醒し、更には伝説の超サイヤ人4まで現れた日の界王神界。

 あれから暫くザマスは1人で考える時間を与えられ、それに従ってじっくりと考え………そしてケンのテーブルに座り紅茶にまだ手を付けず対面で向き合ったままだった。

 

「それでザマス君、何か考えは纏まったかい?」

 

「………私は………私は神の正義を以て愚かな者、神々が創りし物の中で最も醜い存在たる人間や失敗を認めぬ神々に裁きを下さんとする事こそが正しいと思っていました。

 ですが………………ケン様、貴方は界王神としてゴワス様と比べてまだ若いのに………私の過ち、我々神の子に当たる人間を殺す事はそれ即ち親が子を殺すと全く同義である事を………とんでもなく正しいタイミングで私に教授して下さいました………。

 お陰で間違いを犯す前に1人考える時間を頂けました………そして………」

 

 其処でザマスはいずれ至るであろう絶対的で不変と疑わない神の正義と言う考えを持ちつつあった事、それが親が子を殺す過ちであると気付けた事、ケンへの感謝を口にしていた。

 しかしまだザマスは語る事があるらしくケンと近くで見守っていたシンはそれをジッと見つめていた。

 

「………そして、1人で考えてなお神の正義とはと考える自分が居て、しかしそれを過ちと認める自分も居る………恐ろしく醜い程の矛盾を私は抱えているのです………!! 

 こんな、こんな恐ろしき者が界王神になるなど愚かな事この上無く烏滸がましかったのです………なので、第10宇宙に帰り次第、私はゴワス様に弟子の立場を退き界王神見習いの座を返上する事をお伝え致します………。

 こんな半端な未熟者にお付き合いして頂きありがとうございましたケン様、シン様、老界王神様、キビト殿………」

 

 それからザマスは自己矛盾を未だ抱える身として界王神になる訳には行かないと言う結論を口にすると同時に、ケン達第7宇宙の界王神達に過ちを犯す前にこの矛盾に気付かせてくれた事を感謝を述べて頭を下げていた。

 それ等を聞き入れたケン達は頷き………そしてザマスの肩にポンと手を置かれた。

 一体誰がとザマスは振り返ると………其処には第7宇宙に居ない筈のゴワスが居た。

 

「ザマスよ、お前の言葉は然と聞き届けたぞ」

 

「ゴ、ゴワス様………何故此処に!?」

 

「実は私はお前の事をずっと見守っていたのだ、勿論見えず気付かれない所で。

 そして………私はお前のその言葉を、その成長をずっと待っていたのだ」

 

 ゴワスはずっとザマスを見守っていた事を告げ、更にザマスの成長について触れるとザマス自身は成長とは何なのかと考え始めていた………そんな時にゴワスは両耳のポタラを外し、ザマスに渡そうとしていた。

 

「ゴ、ゴワス様何を!? 

 お止め下さい、私は界王神になる資格など」

 

「ザマス、今お前は己の未熟な部分をしかと見つめ、考え、省みたのだ。

 その行為を我々は成長と呼び、お前は最上位の神としての第一歩を踏み出したのだ。

 そんなお前が神の正義を振り翳し人間や神々を脅かす事はもう無いだろうと私は判断した。

 そして………そんなお前にこそ次代の界王神に相応しいと最初から考えていた。

 神もまた学ぶものだと自ら気付いてくれた事を師として誇りに思うぞ、ザマス」

 

 ゴワスはザマスが自らを省みた事を好ましく………そしてその心を持つに至るのを弟子にした日からずっと待っていたのだ。

 それが第7宇宙の来訪者………今や友と呼べる者達が居たお陰で機会を得られた事が何より嬉しく思っていた。

 それらを熱弁したゴワスは再びポタラをザマスの前に差し出し………次代の界王神としての任を任せようとしていた。

 それに対してザマスの答えは………ゴワスの寛大で何処までも見守ってくれた彼の父性に涙を流しながらポタラを受け取り、次代の第10宇宙の界王神がザマスに決定した。

 

「ザマスよ、もしも分からぬ事があればケン殿やシン殿達、そして私を頼りなさい。

 きっと皆お前の力になってくれる筈だ。

 そして時に間違う事もあるがそれを正してもくれるだろう。

 その中で成長し、界王神としての道を精進なさい 」

 

「ええゴワス様、それは我々も約束致します」

 

「私達も友が悩むのであるなら力になりたいと思う気持ちは、人間達と何ら変わり無いですから」

 

「ゴワス様………シン様………ケン様………ありがとう、ございます………!!」

 

 そうして涙ながら界王神の証たるポタラを両耳に装着し、第7宇宙での襲名と言う変則的な形になったが第10宇宙の界王神の座の継承は無事に終わる。

 そしてそれは『この世界線ではゴクウブラックは発生しない』事も意味し、厄介な敵がこの世界線からまた1人消え去りこの歴史は安寧をその分得るのであった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
ザマスに必要だったのはゆっくり見守る親だけではなく、時に叱り時に突き放す友も必要だったと”蒼龍”は考えました。
それが無く、師であり親(実の親ではなく関係性的に親に見える)であるゴワスを殺害する過ちを2度も犯し、そして自分の殻に閉じ籠もり自分同士で自己完結して神の正義を盲信してしまったのがゴクウブラックと未来世界のザマスだとも考えました。
なのでブラックに接触したりカルマ値が振り切る前に過ちに気付かせてより厳しい目で見つめて殻に閉じ籠もる前に過ちに気付かせて考える時間を与える者さえ現れれば………ザマスもまた真の意味で界王神としての道を歩める筈だったと解釈しました。
よって本作の現代世界ではザマスは過ちを起こす事無く時に友や師を頼り、より良い道を模索する界王神として歩む事になります。
そしてそれは本編の最後にある様に世界ベースではゴクウブラックは誕生しない事を意味するのです。

次回もよろしくお願い致します!
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