小説 仮面ライダールパン   作:竜・M・美日

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 二〇一五年の年末。東条快人が仮面ライダールパンになってから二カ月が経った。

 時折、寒空からはパラリと雪が舞い散り、クリスマス仕様の飾り付けやイルミネーションで賑わう街中を、それを見て喜んだり、幸せを願う家族やカップルで行き交っている。

 

 そんな人々を見下ろすようにして建ち並ぶ、東京のあるビルの無人の屋上に突如として、瞳のマークを中心に置いた曼荼羅(まんだら)が浮かび上がった。

 そこから一人の男がすり抜けるようにして姿を現すと、ゆっくりと屋上の床に足を踏み下ろす。

 それはシルクハットにマントを羽織(はお)った、黒いロングジャケットの男。見た目はイギリスの産業革命時代の紳士服に近く、現代においては明らかに時代錯誤と言っても差し(つか)えのない恰好。

 それだけでも十分目立つが、一際目を引くのが口の部分が空いた黄金の仮面。そして、その手にはどこから持ってきたのか大量の宝石類や貴金属が握られている──無造作に放り出す。

 貴重な物品が地面のコンクリートにぶつかり傷だらけになるが、男は意にも介していない。

 そして、一方の手には当事者以外は真偽不明の「仮面ライダールパン」の活躍が書かれたゴシップ記事。

「ふん……」

 男は仮面で視線は分からないが記事を一瞥する。それをどこか憎々し気に握り潰して放り捨てた。ただの紙くずとなったそれは冷風に乗ってどこかへと舞っていった。

 代わりに男は懐から一枚のカードを取り出す――それは「これから起こること」への予告状だった。

「ゾルークが死んだ今……『怪盗アルティメットルパン』の名は私が頂戴する。そうなれば──」

 そうつぶやくと男は(ふち)まで歩みを進めた。何のためらいもなくビルから飛び降りる。

「フッ……フハハハハ!」

 高笑い上げながら、なんと男は空をマントをはためかせて、ハングライダーで飛んでいるのかと思えるほどスムーズに空を飛びながら、あるビルへと予告状を大量にばら撒く。

 それは警察の総本山、警視庁のビルに向けてだった。

「さあ、『アルティメットルパン』の名を賭けて、怪盗同士の決闘ショーの幕開けと行くか! ルパンの名を(かた)るゾルークの子(せがれ)よ!」

 そのまま男はどこへともなく飛び去り、夜の闇に紛れて姿を消した。

 怪盗アルティメットルパンの正体であるゾルーク東条を知る男。ただ者ではない人物――華やかなクリスマスを目前にして、新たな影が快人達に忍び寄ろうとしていた。

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