小説 仮面ライダールパン   作:竜・M・美日

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 我思う故に我あり。


終 幕 継承/受け継がれし魂

  十二月二十七日 朝 陸堂市瞳ヶ丘

 

 賑やかなクリスマスを過ごし、年末を間近に控えた快人と海里は「団藤家之墓」と書かれた卒塔婆(そとば)に手を合わす。

 

「ねぇさん。墓全体を移動させるのには、まだ時間が掛かるから、もう少し我慢してくれな」

 

 一人の僧侶が歩み寄ってくる。それに気づいた二人は僧侶に向かって挨拶をした。

 

「おはようございます」

「おはようございます」

「ありがとうございます、山ノ内(やまのうち)住職代理。年末の忙しい時に無理を言って申し訳ありません」

「いえいえ、故人様に安らかにお静まりいただくのが、この大天空寺(だいてんくうじ)及び拙僧どもの役目でございますゆえ」

 

 長身の僧侶、山ノ内御成(おなり)にそう声を掛けられ、笑みを浮かべる二人。

 快人がここを霞の墓の移転先に選んだのは、数日前にアルセーヌ城のポストに投函(とうかん)されていた、あるチラシが目に留まったからだった。

 

「なんだこれ? 『不可思議現象研究所』? 『不可思議な事件、特に幽霊退治ならお任せを』? 宗教勧誘のチラシか?」

 

 興味なしとゴミ箱に捨てようとしたところで、ある文面が目に入る。

 

(ん? 『大天空寺』、『永代供養』……)

 

 この時の快人の懸念(けねん)は霞の墓をあの山中から移送出来ないか、というものだった。

 そこで寺のチラシに書かれていた番号から相談の電話をすると、二つ返事で了解を得られた。

 流石に今日、明日というのは無理だったが、数カ月後にはこの大天空寺に霞の墓が移転されることとなったのだ。

 

「こちらの跡取り様にもお礼を申し上げたいのですが、どちらにおられますか?」

「あっ、えっとその、タケル殿──ではなく、大天空寺の跡取りはですな。生き返る──ではなくて、所用があって、戦い──ではなくて、修行に出ておりますので。今しばらくは無理かと……」

「そ、そうですか……」

 

 節々で慌てた様子の御成の口から、いくつか言い間違えが続いたが、気のせいだろうととりあえず納得する二人。

 すると海里がいきなりギョッとしたように振り返って周りを見始めた。

 

「どうしたんだ?」

「いや、なんか、今、気配が……」

 

 だが、海里の見ている方向には誰もいない。他家の墓があるだけだ。

 

「馬鹿……! お前、お寺さんでそんなこと言うな……! すいません、失礼なことを」

「い、いえ……タケル殿──ではなく、場所が場所ゆえ勘の鋭い方はそう仰る方もおられますゆえ……」

 

 何か心当たりがあるのか目をあっちこっちに泳がせる御成。

 それに疑問を抱きつつも快人は頭を下げる。

 

「?……とにかく、ひとまずこれでお(いとま)します」

「……あっ、はい。またお越しくださいませ」

 

 御成に見送られながら二人は足早に離れていく──途中で快人が海里の頭を叩いた。

 

「痛ぁい!」

「思っても、言うなお前……!」

「だって、本当に感じたんだもん……。それより、早くカニちゃんの回復祝いのお見舞いに行こう!」

「はぁ……。お前、本当に切り替えが早いな……」

 

 そんな風に話しながら遠ざっていく二人──海里が見ていた辺りから霞の幽霊が現れ、その後ろ姿を見送る。

 

「……ごきげんよう。快人様。海里様」

「……いい家族だね」

 

 すると霞の後ろから着物風のジャケットを着た青年が笑みを浮かべながら現れる。

 

「はい。私にはもったいないくらいの方たちですわ。タケル様」

「俺にはもう家族はいないけど、大切な仲間たちがいる。そのためにも早く生き返らないと」

 

 大天空寺の次期住職、天空寺タケルは眼魔によって既に死亡していた。だが、仙人と呼ばれる男によって九十九日の猶予(ゆうよ)と、眼魂を用いて戦う「仮面ライダーゴースト」の力を与えられ、蘇るために十五個の偉人の眼魂を集めていた。

 

「それに対して私は……未練がましくこちらに残ってしまいました」

 

 そう自嘲気味に笑う霞。

 

「……霞さん。ちょっとドライブしよっか」

 

 それを見てタケルは気分転換になればと思ったのだろう、そう提案する。

 

「ドライブ、ですか?」

「そう、こっち来て」

 

 そのまま霞はタケルに連れ出された。

 

 タケルは後ろに霞を乗せて、バイク「マシンゴーストライカー」を駆ける。

 

「アハハ! 早いですわ!」

 

 後部の霞は嬉しそうにはしゃいでいる。生前はこんなことを出来なかったからだろう。

 

「喜んでくれて、よかった!」

「フウゥゥッ‼」

 

 病弱だった肉体から解放されたためか、すべてが終わったからか、屋敷の時に比べてかなりテンションが高い。元々、健康で開放された環境であれば、こういう性格だったのかもしれない。

 

「ご覧くださいまし! タケル様! 海ですわ! 海!」

「そうだね……」

 

 完全にドライブを満喫している霞に、タケルは少し引いたように返事をしながら海岸の近くに停車した。

 

「到着」

「わぁ……!」

 

 バイクから降りた霞はドレス姿のまま一目散に海岸に向かって走っていく。

 

「あっ、濡れちゃうよ!」

「大丈夫です! 死んでますから!」

 

 霞は嬉しそうに浅瀬でバシャバシャと波を蹴る。それをタケルは困ったような笑顔で見ていた。

 一(しき)り遊び終わったことで満足したのか、霞は砂浜に座り込んだ。その隣にタケルも腰掛ける。

 

「……生きている時に出来ればもっと素敵でした」

「そう、だね」

「……どうしてこちらに?」

「ここで俺がゴーストとしてムサシさんの力を使って初めて戦ったんだ。それからは、俺の少し思い入れがある場所」

「まぁ。そうだったんですの……」

「それに少しでも霞さんの気分が晴れればいいかなって」

「……ありがとうございます。お陰で少し成仏に近づけた気がしますわ」

「アハハ。それならよかった、かな」

「おい! タケル! ヤバイぞ!」

「えっ、ユルセン?」

 

 霞の冗談で笑い合う二人に、いつもタケルのアシストをしている──幽霊をデフォルメしたような存在──ユルセンが現れた。

 

「あっち見ろ! あっち!」

「え?」

 

 言われた通りに見てみると、眼魔眼魂から呼び出したパーカーゴーストを着た眼魔アサルト。それも十体近くが二人に近づいてくる。

 

「眼魔⁉」

「ヤバイ数だぞ!」

 

 すると先頭に立っていた一体が霞を指す。

 

「見つけたぞ! はっ、貴様はゴースト! いや、今日は貴様には用はない! その娘をこちらに寄越せ!」

 

 タケルは慌てて霞を(かば)うように立つと腰に手を当てる──ベルト「ゴーストドライバー」を実体化し、懐から眼魂を取り出した。

 

「どうしてだ⁉」

「その娘は眼魔世界を大混乱に(おとしい)れた大悪人の手助けをした娘だ! 我々が直々に処刑する!」

「そうはさせない!」

 

 タケルはゴーストドライバーのカバーを開くと、中に眼魂を入れ、カバーを閉じ、レバーを引いた。

 ドライバーの目が閉じる。

 

「アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!」

 

 奇天烈な音声が流れる中、オレンジ色のゴーストパーカーがドライバーから現れ、眼魔アサルト達を弾き飛ばし、タケルの上に陣取る。

 

「変身!」

 

 レバーを押し込む──目が開いた。

 

「カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ! ゴースト!」

 

 タケルの体がのっぺらぼうのような素体に代わる。パーカーゴーストを被り、パーカーを脱ぐ──仮面ライダーゴーストに変身した。

 

「ならば諸共死ね!」

 

 その命令が出た途端、一斉に眼魔アサルト達がタケルに向かって迫ってくる。

 

「おい! 一人でやる気かタケル! 死ぬぞ! いや、もう死んでるけど……」

「でも、やるしかないんだ! 霞さんは隠れてて!」

「は、はい!」

 

 霞が建物に隠れていくのを確認し、ゴーストは構えを取った。

 

「ガンガンセイバー!」

 

 そしてゴーストドライバーから剣「ガンガンセイバー」を形成し、それを手に立ち向かっていく。

 それなりに場数を踏んでいるからか、眼魔アサルト数体を一気に相手取る。

 ある程度弱らせたところで、ガンガンセイバーの目のシンボルマークをゴーストドライバーにかざした。

 

「ガンガンミナー! ガンガンミナー!」

 

 ゴーストは力を溜めるように剣を構えて、四方八方から迫った眼魔アサルト達を十分に引き付ける。

 

「オメガブレイク!」

 

 もういいと思ったのだろう、ゴーストがオーラを(まと)った剣を回転しながら振るう。

 袋叩きにしようとしていた眼魔アサルト達が必殺技を受けてそれぞれ爆散する。

 

「よし! このまま──うわぁ⁉」

 

 一人でもなんとかなると思っていたようだが、不意打ちのようにゴーストが吹き飛ばされると、砂浜を転がりながら変身解除されタケルは人間の姿に戻る。

 

「ぐぅっ……あ、あれは……⁉」

 

 見れば、そこにはもう誰がモチーフか分からない──モチーフは存在しないのかもしれない──様々な要素が入り混じったパーカーゴーストを着た一体の眼魔アサルトがいた。

 

「うひゃ! なんだありゃあ⁉ ただの眼魔じゃないぞ⁉」

 

 ユルセンにも理解できない存在。

 

「我々は人間の上位に立つ存在だ。舐めるな!」

 

 どうやらその個体は倒された眼魔達の力を吸収したらしい。

 その光景を霞は建物の陰から心配そうに見ていた。

 

「タケル様……」

「あの眼魔アサルト。複数の眼魔眼魂と融合したのか……無茶をする」

「えっ?」

 

 頭の上から声をしたので見てみれば、なんとそこにはジャックが立っていた。

 

「あ、あなた──んー⁉」

 

 大声を出しかけた霞の口をジャックは手で塞ぐ。

 

「……静かにしろ、気づかれるぞ」

 

 静かになった霞は手を無理やり剥がすと、小声で問いただす。

 

「どうしてここに……⁉」

「運よく保存されていた肉体は無事だったみたいでな。ガンマホールですぐにこっちに戻ってきた。アバターがなくなった以上、今更向こうに未練もない」

 

 その言葉に一応納得はしたのか霞はすぐにタケルの方へ目を向ける。

 

「じゃあ、早く助けに行ってくださいまし……!」

「私が? 何故だ? どこに奴を助ける理由がある?」

「タケル様が戦っているのは、元はと言えばあなたが原因だからですわ……!」

「…………」

 

 その言葉にジャックは少し複雑そうな顔をしてタケルに目を移した。

 

「ぐっ……!」

「さあ、死にたくなければ、あの娘を差し出せ!」

 

 融合眼魔はタケルにトドメを刺そうとはせず、代わりに霞を渡すように提案した。

 

「タケル、一旦逃げるぞ!」

「い、嫌だ……!」

「何言ってんだよ!」

「そうだ。あの娘は悪人も同然。貴様は悪人のために命を捨てる気か。それが貴様の正義か!」

 

 その言葉にタケルは歯を食いしばって前を向くと、なんとか立ち上がる。

 

「……正義の形は……一つじゃない……! 例え、悪事をやっていても、人を救える英雄になれる人もいた! 泥棒だったロビンフッドや、ゴエモン──ルパンだって!」

 

 タケルの発言にジャックの顔色が変わる。

 

「自分が悪人と言われても、人を救おうとした正義を、俺は信じる!」

「理解不能だ。いいだろう。そんなにも死にたいのならば、死ね!」

 

 融合眼魔が体全体から様々な要素が混じり合った巨大な光弾を放つ。

 

「くっ!」

「タケル!」

 

 タケルはなんとか赤い眼魂「ムサシ眼魂」を取り出すが間に合わずに目前へ攻撃が迫る──ジャックは見ていられないとばかりに手で紋章を描くと打ち出した。

 その紋章は、タケルの体とムサシ眼魂、そしてかつてこの海岸でゴーストが撃破した刀眼魔の力を取り込んだ。

 

「……ん?」

 

 タケルが目を開くとそこは海岸だった。

 だが魚眼レンズで写ったような背景に、隣には鬱蒼(うっそう)とした森林が広がり、波は荒ぶっているため、少なくとも今までいた場所ではない。

 

「ここは──うわっ⁉」

 

 目の前に赤い(たすき)のパーカーゴーストを被った──快人の前にも出てきた──人形(ひとがた)が現れた。

 

「……もしかして、ムサシさん?」

 

 タケルが恐る恐る話しかけるとムサシは大きく頷いた。

 

「うむ。いかにも」

「こんなところで会えるなんて……! ここが何処か分からないけど……」

 

 喜び半分、困惑半分のタケルをよそにムサシは腕を組み背中を向ける。

 

「タケルよ。ワシは今、お前に力を貸すべきか、考えあぐねているのだ」

「えっ⁉」

「タケル。お前は、もしワシらが戦えぬ時、または力を貸さぬ時、己のみの力で戦えるか?」

 

 突然の問いにタケルはすぐには答えを出せない。かつて強敵に敗れ、心が折れてしまった時があったからだ。

 

「……分かりません」

「そうか」

「でも今は……弱くても、目の前の困っている人を救うために、命を燃やしたいです!」

 

 そのタケルの答えにムサシはしばらくの沈黙の後、深く頷くと振り向いた。

 

「すまぬ! 少々意地の悪いことを言った! お前が、人や力に頼るばかりではない男だと改めて確認したくてな!」

「だが、人と人との切磋琢磨(せっさたくま)もまた肝心……」

 

 ムサシの隣に水色の羽織(はおり)のパーカーゴーストが並び立つ。

 

「もしかして、コジロウさん?」

「いかにも……。ムサシ殿との問答を聞き、拙者も其方(そなた)に力を預けてみたくなった……」

 

 コジロウの言葉にキョトンとするタケル。

 

「えっ? あの、二人は敵同士じゃ?」

「うむ! 確かにワシらはかつて剣を交えた! だが、それはただワシらが敵同士だっただけではない!」

「互いに同じ剣の道を目指したため……。自らの力量を確かめるための決闘……」

 

 その昔、命を懸けてぶつかり合った二人の剣豪の言葉を聞いて、タケルは思案する。

 

(人と人が認め合って手を取ることで、人の可能性は無限大に広がるんだ……)

「今日の敵は明日(あす)の友! たとえ(かな)わぬ相手であっても!」

「手を取り合うことで打ち破ることが出来る……」

「タケル! お前が望むのならば!」

「拙者らの力。存分に振るうがよい……」

 

 二体のパーカーゴーストは赤と水色の眼魂に変わると混ざり合うと、一つの銀色に輝く眼魂に姿を変える。

 タケルは力強く頷くと眼魂を迷わず手に取った。

 

 一方で融合眼魔のタケルを爆発が包む。

 

「タケルー!」

「タケル様!」

 

 飛び出そうとする霞をジャックが止める。

 

「安心しろ。無事だ」

 

 その言葉通り、タケルが突き付けた眼魂が全身を包むほどのバリアを作り、一切の攻撃を通していなかった。

 

「何⁉」

 

 融合眼魔が驚く中、タケルは眼魂のスイッチを押す。瞳に漢数字の「二」が浮かぶ。

 

「……俺は、人の可能性を信じる! 力を合わせることで、どんな状況も乗り越えられることを!」

 

 タケルは眼魂をドライバーに入れ、レバーを引いた。その間に印を結ぶように腕を振り、レバーに手を掛けると指を二本立てた。

 

「アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!」

 

 ドライバーから銀色のパーカーゴーストが現れ、タケルの上に立つ。

 パーカーゴーストの横でムサシとコジロウの幻影が現れ、それぞれの決めポーズ──二刀流と長刀を構える姿──を取る。

 

「変身!」

 

 レバーを押し込み、目を開く。

 瞳のマーク──半分が二振りの刀、半分が長刀の振り下ろし──が切り替わる。

 

「カイガン! ムサシ! コジロウ! (まじ)わる剣技(けんぎ)! 巌流島(がんりゅうじま)に!」

 

 銀色の陣羽織を着た新たなゴーストの姿、ケンゴウ魂。

 ゴーストは背中に背負った二本の刀「ガンガンシザース」を(おごそ)かに抜く。

 

「うおー! すげぇ! 二つの眼魂の力が合わさった! よし、やっちまえタケルー!」

「ムサシさんとコジロウさん。二人の剣豪の力が合わされば、天下無双──いや、天下無敵だ!」

 

 ゴーストが刀を構えながら高らかにそう叫ぶ──それを見てジャックはその場を後にする。

 

「えっ、ちょっと、何処に行くおつもりですか⁉」

 

 ジャックの行動に霞が慌てて呼び止める。

 

「私の出番は終わった。後はあの男一人で十分だ」

「えっ、ちょっと……あぁ! もう、お待ちなさい!」

 

 霞もゴーストに後を任せることにしたらしく、ジャックを追う。

 

「どうした、奴を見ていなくていいのか」

「タケル様は大丈夫でしょう。問題なのはあなたですわ!」

「私?」

「あなたが再び悪事を働かないよう、私が見張っておりますわ!」

「お前に止められるとは思わんが。安心しろ、子倅──ゾルークの目が黒いうちは何もしない」

「そうですか──って、その言葉だけで安心できるとお思いで⁉ やっぱり私、ついて行きます! 快人様には指一本触れさせませんわ!」

 

 立て板に水の霞にジャックはため息を吐く。

 

「やれやれ、まったく変な奴に憑かれたな……」

「なんという言い草! 元はと言えば──」

 

 そう騒ぎつつ、突如結成することになった幽霊のデコボココンビはどこへともなく去った。

 

「はああああぁぁ!」

 

 一方でゴーストは二刀流で融合眼魔に突貫する。

 

「馬鹿め! いい的だ!」

 

 融合眼魔が再び全身から光弾を放つ、それが目の前に来た瞬間、ゴーストはいとも簡単に一刀両断した。

 

「なっ⁉」

『我らの決して折れぬ(やいば)! 受けてみよ!』

 

 ゴーストはガンガンシザースの装填スロットにオレ眼魂を入れる。

 

「魂は永遠に不滅だ!」

「ダイカイガン! オメガスライス!」

 

 銀色の目の紋章がゴーストを通り抜けることで力を与えると、銀色に輝く刀で素早い剣(さば)きを披露し、融合眼魔の背後を取った──光弾を放っていた武器がすべて切り落とされる。

 

「そんな、馬鹿なぁ……⁉」

 

 ゴーストはガンガンシザースの片方の()に刃を差し込み──ハサミの手持ち部分が上下に組み合わさったような──長刀にすると一方の柄を片手で握り背中に回す。

 さらにダメ押しとばかりにレバーを引く──目が閉じる。

 

『秘技、燕返(つばめがえ)し……!』

 

 レバーを押し込んだ。目が開き、瞳のマークが巌流島を模したものに変わった。

 

「ダイカイガン! ムサシ! コジロウ! オメガドライブ!」

「命、燃やすぜ! はあっ‼」

 

 二つの目が組み合わさった紋章がゴーストを通り抜ける。

 ゴーストはもう片方の柄を持ち、目にも留まらぬ銀色に輝く袈裟(けさ)切りを繰り出し、融合眼魔の武器になっている腕を落とす。

 

「だぁっ‼」

 

 さらに融合眼魔の胴目掛けて切り返す──振り切った長剣の切っ先が太陽に照らされ、(まぶ)しいほどに輝いた。

 

 さて、ゴーストと眼魔の勝敗がどうなったのかはあえて語らない。

 それよりも重要なことがある。

 彼らのこれからだ──とはいうものの、今後英雄になるかもしれない仮面ライダー達がどんな歴史を作っていくのかは、誰にも分からない。

 しかし、ある哲学者は言う。「我思う故に我あり」。

 彼らはどんなに辛く苦しい道に悩み、時に自分自身すらも疑うことがあったとしても、それでも、誰でもない自分を信じて進み続けるのだろう。

 その門出を祝うように、今日も空には雲一つない満天の青空が広がっていた。




 次回作構想中。気長にお待ちください。
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