諸君、私は連合国宗主国近衛騎士団長ミラ・アンブロシウスだ。
今回は私が戦った中部戦線、その様子を語っていこうと思う。
かなり長くなると思うが、よろしく頼む。
連合国宗主国軍対シーナ帝国第二大隊、両軍が向き合い、互いの将が名乗りをあげる。
近衛騎士団長ミラ・アンブロシウス
帝国9英雄アルカ・セントリウス
その名乗りと共に、戦いの火蓋は切られた。
その戦いは熾烈を極めた。
コードにより極光を身に纏い突貫する近衛騎士団長ミラ・アンブロシウス、それに対抗するため己が身に水銀を纏い攻撃を逸らすつつ攻撃を行うアルカ・セントリウス。
そのぶつかり合いにより、両軍の兵が動き出した。
兵たちもまた歴戦の勇士たちであり、その戦いぶりは地を震わすほどであった。。
あるものはコードを己が武器に纏わせ切りかかり、あるものは与えられた兵器を起動し敵を凪払う。
その攻勢は互角である
そして、お互いの将の戦いもまた凄まじいものであった。
攻撃に次ぐ攻撃による応酬、互いのコードにの鬩ぎ合いによる余波で大地が抉れ、爆音が鳴り響く。
方や水銀の質量による大規模な飽和攻撃、方や1点に集束させたエネルギーの解放により引き起こされる崩壊現象。
押し寄せる水銀は確かな重さを持って全てを貫かんと迫り、それに対する極光による崩壊は伝播し、全てを破壊せんとする。
両軍の死者は、既に数えるのも馬鹿らしいほどに増えていた。
互いに一歩も引かぬ死力を尽くした戦い、この戦いを終えた後、立っているのは1人だけだろうと確信するような苛烈なぶつかり合い。
互いに心に持っているのは、己が主への忠誠と必ず勝利を持ち帰るという強い想いのみ。
それを見ていた周囲の兵たちを口々にこう言う。
まるで、神話の1場面を切り抜いて現実に持ってきたようだと。
だが、そんな戦いもいよいよ決着に近づこうとしていた。
アゼリア連合国宗主国が誇る近衛騎士団長ミラ・アンブロシウス。
シーナ帝国9英雄の1人にして第二大隊を率いる将軍アルカ・セントリウス。
両者共に瀕死、故に次の一撃で全てが決まるだろう。
先に動き出したのは帝国9英雄が1人アルカ・セントリウス、己を守っていた水銀の全てを解放し、最後の攻撃を仕掛ける。
一方の近衛騎士団長ミラ・アンブロシウス、微動だにせず。
それを見て勝利を確信したアルカ・セントリウスの攻撃が目前に迫ったその刹那、先程まで眉1つ動かさなかったミラ・アンブロシウスに変化が起こる。
それは、ほんの少しの動きだったが動きは動き、その瞬間アルカ・セントリウスは己の失敗を悟った。
一閃、ただそれだけで勝敗は決した。
ミラ・アンブロシウスはずっと待っていたのだ。
攻撃の瞬間、アルカ・セントリウスの身を守っている水銀が剥がれるその瞬間を。
そして、戦いは終わりを迎えた。
互いに瀕死ではあるが、周りから見ればどちらが勝者かは一目瞭然だろう。
連合国宗主国近衛騎士団長、ミラ・アンブロシウスの勝利である。
だが、アルカ・セントリウスはまだ生きていた。
左腕は切り落とされ、その体にはあまりにも深い傷が刻まれたが、それでもまだ生きている。
そして、ミラ・アンブロシウスもまた限界であった。
彼女も膝をつき、剣を地面に突き刺してようやく倒れぬようにしている。
互いに傷を負いすぎたのだ。
アルカ・セントリウスはそのまま放っておけば死ぬだろうが、何とか撤退の構えをみせていた。
そして、アルカ・セントリウスが戦場を去ろうとしたまさにその瞬間。
凶刃が彼を後ろから刺し貫いた。
それを防ぐことは誰にも出来なかっただろう、既に両軍共に瀕死、帝国軍に至ってはほぼ全滅に近い様相を呈している。
故に、この結果は必然だったといえよう。
アルカ・セントリウスを刺したのはマキナ教団の団員。
最早一歩も動けぬ連合国近衛騎士団長では、その凶行を止める手だてはなかった。
帝国軍側の兵器と死体は全て持ち去られ、その中にはアルカ・セントリウス将軍の死体も含まれていた。
あまりにも後味の悪い顛末である。
これで今回の話は終わりだ。
私としたことが、余力を残していなかったばかりに教団による凶行をゆるしてしまった。
残念極まりない。
私の話はここで終わりだが、次はおそらくブレア殿とヴェルギリウス将軍の直接対決の話になるだろう。
次もどうかよろしく頼む、では諸君ごきげんよう。