いの一番に仕掛けたのは翼であったいかにブラッドが強力なダークライダーであってもなにもさせなければ少々派手な案山子でしかないと。
「いつからだ!!いつから櫻井女史に成り代わっていた!!」
「貴様が天羽々斬と適合したその時からと言えば満足か?」
「なにッ!?」
まさかの自身のせいで自らは目覚めたと言うブラッドに翼が動揺するとブラッドは結晶を生成し翼目がけて機関銃が如く放つ。
「くぅッ!」
刀を大剣に変え飛来してくる結晶に対する盾にしていると翼の前にビルドが降り立つとダイアモンドボトルをフルボトルバスターに装填し振るいダイアモンドを放ち結晶を防ぐ。
「エボルトみたいな奴か・・・」
道理でブラッドに変身するはずだと戦兎はある程度納得すると共にまだブラッドの中で了子が生きているのだとすれば救う手立てはあるはずだと思案する。
(ジーニアスが使えれば早いんだが・・・)
完全無欠のジーニアスフォームになることができれば了子の身体からフィーネを引き剥がせるかもしれないとビルドは考えるがエボルトとの決戦以降成分の充填が終らずにこの世界に引きずり込まれたためにエンプティの状態であるジーニアスボトルの事をビルドは一度考えるのをやめた。
「だが私がこうして貴様らと会話をするのは初めての事だ。もはや櫻井了子という隠れ蓑を利用する必要など無くなった。もう間もなくこの私フィーネが新世界を
「当て擦りみたいにビルドっぽいこと言いやがって・・・!」
嫌な想い出しかない奴の見た目で神経を逆なでるような事ばかり言ってくるブラッドに対してビルドは結構苛立っていた。
「私の創造する世界、それはバラルの呪詛無き世界。即ち人が失われし統一言語を取り戻した真の言の葉で語り合う争い無き世界何が不満だ?」
「確かにその世界は良い世界なんだろうな。だが、そこに至る過程でどれ程多くの命が喪われると思ってる」
「大義の為の犠牲と言うや――」
『ライトニングストライク』
「はぁッ!」
自身の長きにわたる計画の達成が目前に迫っているために気分良く喋っているブラッドの横っ面に響のライトニングストライクが炸裂し派手に蹴り飛ばす。
「貴様ぁ・・・!」
「馬鹿みたいにペラペラ喋ってるからでしょ」
確かにそれはそうなんだがと翼とビルドの二人は思うが今の行動は丸っきり悪役みたいだとも思う。
「待て立花、奴の身体は櫻井女史の物だ。迂闊に倒せばどうなるか分からん」
「翼さんだってさっき」
「あれは峰打ちだ」
「・・・」
見る限り加減しているようには見えなかったと疑いの眼差しを響が向けていると二人に向かった巨大なコブラが迫る。
「こっちも喋ってる暇は無いか」
「奴を引きずり出すぞ」
迫るコブラを切り裂くと追随していたブラッドが黒炎を纏った蹴りを二人に向けて放っていたがそれをビルドが蹴りを放ち相殺する。
「どうやら完全には使いこなせていないみたいだな」
「貴様ら程度付け焼き刃で十分だ」
「そうか、ならば冷え切る前にあの世へ帰れ」
再び蹴りを放とうとしていたブラッドから突然大剣の切っ先が生える。
「レセプターチルドレン風情が・・・!」
「先に向こうの地獄で待っていろ」
現われたアナザー鎧武が突き刺した大剣を振り上げブラッドを切り裂き血煙を上げさせる。
「ぐぅッ!」
「お前達に今死なれては困る!!早くやれ!!」
切り裂かれた衝撃でブラッドウォッチが排出された事でアナザービルドの姿になったフィーネ目がけてビルドはアナザーウォッチを砕く為にライダーキックを放ち響もそれに追随し再びライトニングストライクを放つ。
「うぉりゃぁああああ!!!」
「はぁッ!」
爆炎が巻き起こりアナザービルドを見事に討ち取ったかと思われたが炎が晴れるとアナザービルドがアナザー鎧武を変身解除させておりビルドと響の蹴りは張られたバリアに防がれていた。
「バリアだと!?」
「私がただお前の力を得たから調子づいたと思ったか?」
動けないように踏みつけにしていたマリアを蹴り上げたアナザービルドはバリアを解除すると彼女をビルドと響を巻き込む形で殴り飛ばす。
「どうやら地獄に落ちるのは貴様達のようだな」
排出されたブラッドウォッチをアナザービルドが再び取り込もうとすると周囲にミラービットが展開され一斉に光が放たれる。
「これは神獣鏡か」
ダイアモンドの壁を生成し光をアナザービルドが光を防ぐが真下から蒼炎を纏う龍が飛び出してくる。
『ドラグニックフィニッシュ!!』
「うぉらぁぁああああ!!!」
「万丈!!」
飛び出してきたクローズが顎を蹴り上げることでアナザービルド手からブラッドウォッチが離れるとウォズがそれをキャッチする。
「確かにブラッドウォッチは頂いたよ」
「ウォズ!!」
「遅れて済まない我が戦姫。君の陽だまりを連れてくるのに少々時間が掛かってしまった」
「は?」
未来を連れてきたと言うウォズは響に向けてブランクウォッチを放る。
「未来が怪我したらどうするの」
「戦うことは彼女が望んだものだよ我が戦姫。そのブランクウォッチは彼にかざしたまえ」
クローズと未来がアナザービルドの動きを止めているうちに早くビルドウォッチを生成しろと言うウォズであったが響はそれをしてしまえばビルドが力を失うのではないかと危惧する。
「この局面でただ俺の力を奪うという事はしない筈だ。ちょっと貸してみてくれ」
ブランクウォッチを響の手から取ったビルドはブランクウォッチの上でラビットとタンクのボトルを振るとブランクウォッチにボトルの成分が降り注ぎビルドウォッチに変化する。
「ビルドウォッチ!!それに力を失ってない」
「俺の読み通りだ。行くぞ!!」
「貴方たち櫻井女史を助ける方法はできたの?」
「任せとけ」
了子を心配し不安がる翼の肩を叩いたビルドが駆け出すと翼と響も追随する。
クローズに回し蹴りをくらい仰け反ったアナザービルドに響が跳び蹴りをかまし蹴り飛ばす。
「響!!大丈夫!!」
「未来こそ怪我してない?」
「このくらい全然へっちゃら!!」
「なら良かった」
未来が目立った怪我をしていないことで安心した響がビルドアーマーを纏おうとビルドウォッチを取り出すとそれを見たクローズがあっと声を上げる。
「なに?」
「いや、俺もそれと似た奴下で拾ったんだよ」
取り出されたクローズウォッチを手に取った響はそれを未来に向けて投げる。
「未来これを!!」
「分かった!!」
飛来してくるクローズウォッチを未来が受け取ろうとするとアナザービルドが光弾を放ち弾く。
「させると思うか?貴様らは生かしておけば障害になる。此処で排してくれる!!」
此処で響達を皆殺しにするという絶対の決意がフィーネにアナザービルドの力を引き出させる。
『ビルドジーニアス・・・!!』
白濁色に身を染め上げ全身に割れたボトルが突き刺さる姿になったアナザービルドの周囲にネビュラガスが湧き出し無数のスマッシュが現われる。
だがそんな危機的状況になったにも関わらずビルドは仮面の下で笑みを浮かべる。
「来た!」
「は?アイツ強くなってんだぞ!?」
「いやこれで良いんだ。奴がジーニアスのアナザーだというのなら本物のジーニアスが此処にいないとおかしいからな」
ビルドの言葉通り彼の取り出したエンプティ状態ジーニアスボトルが色づく。
「最っ高だ!!行くぞ万丈!!」
「よく分かんねぇけど。今の俺達は負ける気がしねぇ!!」
ビルドはジーニアスボトルをクローズはクローズマグマナックルを使用しそれぞれの最強形態にフォームチェンジする。
『完全無欠のボトルヤロー!!ビルドジーニアス!!スゲーイ!!モノスゲーイ!!』
『極熱筋肉!!クローズマグマ!!アーチャチャチャチャチャチャチャチャチャアチャー!!』
攻撃を仕掛けようとしたクローズを制したビルドはフルボトルバスターを構え駆け出すとライダーリンクギアを使用しようとする響を妨害しているアナザービルドを下段から斬りあげる。
「なんだ・・・!?」
「これで気兼ねなくお前を倒せる」
身体に虹の波紋を広げていたアナザービルドから了子の上半身が飛び出すとビルドが彼女の手を掴み引っ張り出しアナザービルドを蹴り飛ばす。
「己!!」
依り代である了子を取り戻そうとアナザービルドが手を伸ばすが蔓が巻き付き動きを止められる。
「私を忘れていたな・・・」
「貴様ぁ!!」
満身創痍でありながらもアナザー鎧武の力を行使マリアはアナザービルドを拘束していた。
「此処で決める!!」
そしてこのチャンスを逃さぬ為に響がビルドウォッチを使用する。
『ライダーリンク!!』
「見つけた!」
「え?」
だが響の丁度後ろでクローズウォッチを翼が拾い上げていた。
「嘘でしょ!?」
「嘘!?待って!!」
ビルドアーマーを形成するためのフィールドに翼が巻き込まれ強烈な光が発せられる。
「なぁんか見たことあるな」
「あれ結構怖いんだよな」
ブラッドとの決戦での事を思い出したビルドとクローズが呟いていると光の中から人が一つ現われる。
『BE THE ONE!!』
『クローズビルド!!』
現れた者は響と翼を足して二で割ったような姿をしていた。
「少々予想外だが・・・。祝え!!新たな戦姫の誕生を!!その名も立花響及び風鳴翼!!ライダーリンクギアクローズビルド!!ラブアンドピースを掲げ明日のために戦うライダーの力を手にした瞬間である!!」
響と翼の二人が合体してしまうと言うアクシデントこそ起きたがウォズは新たなライダーの力を継承した慶事を盛大に祝う。
「どうなってるの?」
「さぁ?二人の意識がびっくりするくらい綺麗に混ざってるから今の私はどちらでもない」
未来からの質問に淡々と答えた戦姫はマリアの拘束を振りほどこうとしているアナザービルドに手を翳すと蒼炎の龍が無数のスマッシュを爆散させながらアナザービルドを遥か上空に吹き飛ばす。
「ふッ!」
黄金のウサギのアシストを受けアナザービルドより上に位置取った戦姫の横に飛翔してきたビルドとクローズも並ぶ。
『レディゴー!!』
『ジーニアスフィニッシュ!!』
『ボルケニックフィニッシュ!!』
ビルド、クローズのダブルキックがアナザービルドをパンドラタワーの天辺に叩きつける。
「まだだ、まだ私は終らん!!来たれデュランダル!!」
パンドラタワーの動力としているデュランダルを招来しジーニアスの力を纏わせ一条の光として頭上の戦姫に放つ。
だがしかし戦姫は光を逆に食い破ると天羽々斬とガングニールのエネルギーを纏わせた脚撃をアナザービルドに叩き込むとそのまま地下までアナザービルドを蹴りつけた状態で突き進みパンドラタワーを倒壊させるとアナザービルドを地上に殴り飛ばす。
「これで終わりだ!!」
『レディゴー!ディザスターブラストフィニッシュ!!』
青と黄二つの光を纏った蹴りがアナザービルドを貫いた。
「終わりだと思うな!!私は刹那に生きる巫女フィーネ!!何度でも蘇り必ず統一言語を取り戻す!!そして・・・あの方・・・と・・・」
最後は力なく倒れたアナザービルドが爆散すると共にアナザービルドウォッチもまた砕け散る。
「悪いがあの時お前にも肉体を創った。また他の誰かに取り憑かれちゃ堪ったもんじゃないからな」
炎が晴れ倒れるフィーネを見てそう言うビルドをクローズが小突く。
「やるじゃねぇか」
「冤罪は怖いだろ?」
「確かに」
地面に横たわる了子を見てクローズは過去自身にかけられた殺人容疑を思い出して頷いた。
ライダーリンクギアを解除した事で合体が解除された響と翼は座り込んでいた。
「待ってって言ったのに」
「気持ちが悪い・・・奏の運転するバイクに乗ったとき以来だ・・・」
「大丈夫?」
「最高に気分が悪い・・・」
心配する未来へと響は口元を抑えると盛大に嘔吐いた。
二人揃って大分とグロッキーになっていた。
アナザービルドが撃破された事で元の世界への帰還が始まった二人はこの状況では二課に頼むのは無理と判断し帰ろうとしているマリアを見つける。
「おい!」
「なんだ」
「あの子の身体に蓄積してた毒素はこれで中和できるはずだ!!」
戦兎が虹色のフルボトルを投げ渡しマリアはそれをキャッチする。
「これは?」
「ジーニアスの成分だ!!あの子の近くで振れ!!そうすれば成分が作用する!!」
「やはり、お前達は眩しすぎる」
戦兎と万丈が光となる世界から消えるのを見届けたマリアはクリスの元へと向かっていった。
◎
倒壊したパンドラタワーを眺める男の元に木場とオーディンが現われる。
「これも貴方の計画なんですか」
「ああ、ビルドの力が世界を繋げた。ワールドシステムの実験を始めよう。まずは二つの世界を一つにする」
「争いのない理想郷・・・僕はそれが実現するのなら。貴方に従う。テスラさん」
「待っていろ優衣。もうすぐ永遠の命が手に入る。お前もお前の友にも・・・」
ノイズが世界に走るとテスラ達の姿は跡形もなく消えた。
◎
ジーニアスの力によりクリスからアナザーファイズの毒素を消し去り安心したマリアが外の空気を吸うために中花の外に出て深呼吸をしていると無数のイナゴが彼女の周囲をいきなり飛び回る。
「なんだ!?」
「その力、私にこそ相応しい」
声が聞こえてきた事でアナザー鎧武へとマリアが変身した瞬間イナゴの群れの中から斬撃が振るわれアナザー鎧武を斬りつける。
『ダークネスアームズ!!黄金の・・・果実・・・!!』
イナゴに混じり振るわれる斬撃にアナザー鎧武が翻弄されているとアナザー鎧武の目の前に突如として邪武が現われるとアナザー鎧武に腕をねじ込むと埋め込まれていたアナザー鎧武ウォッチを抉り取る。
「がぁッ・・・!」
強制的な変身解除による激痛でマリアが意識を失い倒れると店の中から騒ぎを聞きつけた海堂が飛び出してくる。
「どうした!!」
既にイナゴは居ないのか海堂は目に飛び込んできたマリアを抱きかかえ呼吸を確認し息をしていることに安堵すると自分達を睥睨する存在に気がつく。
「なんだお前・・・」
問いかけられた邪武がアナザー鎧武ウォッチを取り込むと黄金のエネルギーがその身を包み彼をマルスへと変化させる。
「私はコウガネ。黄金の果実そのものだ。いずれまた会うかもしれんな閉ざされた進化をした者よ」
マルスがクラックの向こうに広がる街へと消えて行ったのを確認した海堂はマリアを担いで店内に戻る。
「お前・・・姉さんをどうするつもりだ・・・」
「だぁ~もう。あっちが起きたらこっちがおねんねだ。救急セット持ってこいっつっても分かんねぇか。こいつちょっと見とけ」
目を覚ましたばかりなのか海堂を警戒するクリスに海堂はそう言うとマリアを先ほどまでクリスが寝ていた布団に寝かせると手当に必要な道具を取りに行った。
「姉さん・・・何があったの?」
クリスからの問いかけにマリアはただ苦しそうな息づかいで答えるのみだった。
一難去ってなんとやら