アナザービルドが撃破された事でただの石の塔と化したパンドラタワーが解体されつつあった。
パンドラタワーが既に半分以上解体されていることが示している通り時は数ヶ月規模で流れており空は雪を降らしていた。
夏休みの間にリディアンは破壊された校舎の代わりを見つけておりそこに移転していた。
通学路に積もった雪を踏みしめリディアンの新校舎へと響と未来は向かっていた。
「私は嬉しいけど本当に転校して良かったの?」
「もう何回聞くの?私は今まで居られなかった分響と一緒に居たいからリディアンに入ったんだよ?」
「そっか・・・」
やはりと言うべきかあまりにもストレートに好意をぶつけてくる未来に響は頬を紅潮させる。
そんな二人から少し後方にウォズが現われ本を開くと周囲の時が止まる。
「ちなみに小日向未来は我が戦姫の住居に居候しているようです」
どこから仕入れたのか未来の現在の住処を当たり前かのように言うとウォズの周囲にブレイド、ファイズ、ビルドのライドウォッチが浮かび上がる。
「レジェンドライダーとの邂逅により我が戦姫は三つのレジェンドをその身に継承しました」
浮かび上がっていたライドウォッチが消えるのと入れ替わりにダブル、ドライブ、ゴースト、エグゼイドの四人の仮面ライダーの姿が現われる。
「この冬我が戦姫は受け継ぐは四つのレジェンド。ライダー有るところに異変あり。どうやら世界は既に危機を迎えつつあるようです」
本を閉じたウォズが立ち去るのに合わせライダー達の姿も消える。
そしてウォズに一瞬だけ近未来的な姿をしたライダーが重なる。
「おっと、少し見せすぎました」
『ウォズ!!』
◎
禍々しいオーラを放つパーカーゴースト達がクリスマスソングが鳴り響く街を飛び交い逃げ惑う人々を眼魂のようなものに変え回収すると自らの主であるアナザーゴーストの元へと持って行く。
「全ての生命がゴーストになる世界。ハハハ、確かに永遠の理想郷だ!」
「永遠・・・良い言葉だ。ゾンビもゴーストも生ける死者には変わりがない」
魂を回収し続けるアナザーゴーストの傍らで腰掛けているアナザーダブルは冷めた声色で呟く。
突然飛んできたクルミをアナザーダブルが掴み取る。
「買い出しすらろくにできない私を笑えよ」
「なんだ、お前は逃げないのか?」
「嘲笑が私に地獄を実感させる」
「地獄・・・。そうか、ならば共に地獄を楽しもうじゃないか!」
地獄という単語に反応したアナザーダブルはアナザーゴーストに手出し無用のサインを送るとクルミを投げてきたクリスへと歩んでいく。
「貴方歌は好き?」
「さあな!!そんな感情は既に喪ったさ!!」
「そう・・・。なら、お前に歌は必要ない」
羽織っていた上着を脱ぎ捨て身軽になったクリスはシンフォギアを纏えるにも関わらずその選択をせずに生身でアナザーダブルへと挑む。
二人が戦っている間にもアナザーゴーストによって人々が魂にされ回収されていく。
だがもう一度魂を回収しようとしたパーカーゴーストがバイクでもって駆け抜けた翼に斬られ霧散する。
「来たか」
「やはり、アナザーライダーか」
ノイズとは異なる人の消え方の為察していた翼は迅速に事態を解決するべくアナザーゴーストへと斬りかかるが刀がアナザーゴーストをすり抜ける。
「なに!?」
「俺はゴースト、つまり幽霊だ。見えても貴様から触れることはできん!!」
一方的に攻撃された翼の手から刀が離れるとアナザーゴーストは彼女を蹴り飛ばす。
「向こう側を楽しんでこい!!」
「ぐぁああ!!」
吹き飛んでいく翼の背後にアナザーゴーストが印を結ぶと黒い穴が穿たれ翼はそこに落ちていった。
「貴様もあちらの地獄を楽しんでこい」
「ッ!?」
ついでと言わんばかりにアナザーダブルは竜巻を巻き起こしクリスを穴へと放り込んだ。
そしてこの光景を二課からの連絡によりやって来た響と未来そしてクリスの帰りが遅い事で迎えに来たマリアが目撃していた。
「お前達・・・翼さんとあの子をどこにやった」
「向こう側だ。貴様と風鳴翼が融合することで生れるシンフォギアは我々にとって障害になる」
「お前達はこちらで踊っていろ」
響からの問いかけに律儀にアナザーゴースト達は答えると浮かび上がった紋章に吸い込まれ消えていく。
「待て!!私の妹を返せ!!」
「次期に皆同じ場所に行き着く、精々それまで足掻き苦しめ」
サムズダウンしながらアナザーダブルがそう言うと両者の姿は完全に消えた。
「・・・共闘だ」
「は?」
「お前達は風鳴翼を、私は妹を取り戻すまでの間共闘と言っている!!」
あれだけ散々敵対しておいてこの女には恥が無いのかと思うが思えばアナザービルドの際も同じような理由で共闘したなと響は思い返す。
「私は良いと思うけど。この人そこまで悪い人とはやっぱり思えない」
「未来・・・」
響が返答に困っていると二人の通信機が着信を知らせる。
『共闘の申し出か。ならば一度二課本部へと来るように伝えてくれ』
「了解司令」
二課のトップである弦十郎がそう言うのならば仕方が無いと響は自身の不満を呑み込んだ。
◎
――2043年
未来は迫ってきたクリスの誕生日会にて彼女に渡す為のプレゼントを響と選ぶ為に街へと足を運んでいた。
「ちょっと早く来すぎちゃった」
約束の時間よりも早く来てしまった為に響を待っている未来の目の前で突然人々が身体にノイズを走らせながら倒れ込む。
「なに・・・?」
そして人々が倒れた事で開けた視界に異形の怪物アナザーエグゼイドが現われる。
「ノイズ・・・じゃないッ!」
未来に気がついたアナザーエグゼイドは一瞬で彼女の前に現われる。
「そう、私はラスボス。神だ!!」
顔の前にアナザーエグゼイドの手が翳されると未来も他の者同様に身体にノイズを走らせ倒れ込む。
「はぁッ!」
白衣の男がアナザーエグゼイドを蹴り飛ばしガシャットを取り出すと装着したゲーマドライバーに挿入する。
「大変身!!」
『マイティジャンプ!!マイティキック!!マイティ!!マイティアクションX!!!』
仮面ライダーエグゼイドに変身した男はガシャコンブレイカーを構えアナザーエグゼイドへと攻撃を仕掛ける。
(マイティアクションのバグスター?違う!!)
アナザーエグゼイドの体表に『EX-AID』と刻まれているの見たエグゼイドは相手がバグスターではなく自身の偽物だと察する。
「さあゲームを楽しもうじゃないか」
「ああ、ノーコンティニューでクリアしてやるさ」
二人のエグゼイドは同時に相手に攻撃を仕掛けた。
◎
スクラップ車のような怪人アナザードライブよりセレナ・カデンツァヴナ・イヴは逃げる。
F.I.Sに居た筈なのに気がつけば日本の街中に居てしかも六年もの歳月が経っていることに困惑しながらもセレナは理由は分からないが自身を狙ってくるアナザードライブから必死に逃げる。
まだ死ぬ訳にはいかないあの時姉であるマリアやF.I.Sの仲間達を暴走するネフィリムから守れたかを知るまでは。
そんなセレナの視界にちょうどバイクを発進させアナザーエグゼイドが現われた場所へと向かおうとしている翼が目に入る。
「助けて!!」
助けを呼ぶ声に翼は思わず視線を向けると自らに駆けてくるセレナとその後ろから歩んでくるアナザードライブを目撃する。
「後ろに下がっていろ」
知ったからには放ってはおけないと翼はセレナを背に庇うとシンフォギアを纏おうと聖詠を歌おうとするがその瞬間アナザードライブが重加速を発動させ辺りがどんよりとなる。
「な・・・ん・・・だ・・・こ・・・れ・・・は・・・!」
発する言葉さえもスローになっている中でバイクのエンジン音がするとアナザードライブが何かに攻撃され後退る。
「ドライブの偽物なんて良い度胸じゃないか」
現われた男翼とセレナにシグナルバイクをそれぞれ持たせる。
「早く逃げな」
「だが貴方はどうする」
「俺は平気さ、何せ俺は・・・」
シグナルバイクを持った事で重加速の影響から脱した翼からの問に男はマッハドライバー炎を装着しそこにシグナルマッハを装填する。
「仮面ライダーだからな!!レッツ、変身!!」
『シグナルバイク!!ライダー!!マッハ!!』
白いバイクのような仮面ライダーマッハはお決まりの前口上を述べる。
「追跡!!撲滅!!いずれもマッハ!!仮面ライダーマッハ!!」
決めポーズを取ったマッハは唖然としている翼とセレナに逃げるように促すと自身はアナザードライブへと向かっていった。