風の街、風都。
今日此処に響と未来は足を運んでいた。
「思い立ったが吉日とは言うが我が戦姫は足が早い」
いつもの如く突然現われるウォズにもう慣れたのか響はウォズに普通に返事を返す。
「だってあのアナザーライダーの片方はダブル。その本物がこの街に居るんでしょ?」
「ああ、この本によれば鳴海探偵事務所に彼らは居を構えている」
アナザーゴーストの開いた時空の穴に落とされた翼とクリスを探す手がかりの為に響と未来は此処に来ていた。
ウォズは自身が渡した情報により鳴海探偵事務所へと向かっていく二人を見て些か不安を覚えていた。
(アナザーダブルそしてアナザーゴースト。あれらが出現するよりも前からこの世界には風都と大天空寺は存在していた。そしてそれに関わる仮面ライダーの情報も・・・)
本に記されているようにダブルは2009年、ゴーストが2015年ではないもののこの二つの仮面ライダーの歴史は原典と似通った歴史をウォズは確認していた。
(ブレイド、ファイズ、ビルドとはアナザーライダーの成り立ちが異なっている。恐らくは木場勇治らとは別の勢力・・・。いや・・・決めつけるのはよしておこう)
「どうかしたんですか?」
「なに、少し考えていただけさ」
余計な心配を未来にかけて戦闘パフォーマンスを落とすわけにいかないとウォズはいつも通りを装う。
「大丈夫だよ未来。なにかあってもこいつは何とかするよ」
「響・・・」
「手厳しいね我が戦姫。まあ、私は大抵の事は何とかできるとも」
「ほら」
「ウォズさんも・・・」
響なりの信頼とでも言うべきものをぶつけられウォズは満更でも無さそうにしていた。
◎
仮面ライダーダブルの一人である左翔太郎はこの日もいつものよう舞い込んできたペット探しの依頼を解決していた。
「この街は俺の庭ってな・・・」
一仕事を終えた翔太郎が鳴海探偵事務所に帰り着き中に入ろうとすると事務所の窓を突き破りアナザーダブルが飛び出してくる。
「うぉぉおおお!!おぉおおおおお!?お前、なにしてやがる!!」
最初にダブルそっくりであるアナザーダブルに驚き次に割られた窓ガラスの修理費に家計が圧迫されることに声を上げ最後に文句をぶつける。
「翔太郎くん!!そいつフィリップ君をなんか変な機械に閉じ込めちゃった!!」
「変な機械?」
割れた窓ガラスから顔を出し叫ぶ鳴海亜樹子がそう言うとアナザーダブルは翔太郎に対して腕に装着しているガシャコンバグヴァイザーⅡの画面を見せつける。
「翔太郎!!」
「フィリップ!!」
亜樹子の言うとおりフィリップが閉じ込められているのを見た翔太郎はダブルドライバーを装着するがいつものようにサイクロンメモリが転送されてこない。
「駄目だ翔太郎!僕がこの状態だとダブルに変身できない!!」
「だったら仕方ねえ、俺だけで行くぜ。少しの辛抱だ相棒。待ってな」
ダブルドライバーを取り外し翔太郎はロストドライバーを装着するとジョーカーメモリを装填する。
「相棒を返して貰うぜ。ダブルもどき。変身!」
『ジョーカー!!』
ダブルとは異なる彼だけの戦士としての姿である仮面ライダージョーカーに変身した翔太郎に対しアナザーダブルはサムズダウンを送り鼻で笑うとそこら辺に止めてあったバイクに跨がるとジョーカーを一瞥し走り去っていく。
「何してんの翔太郎くん!!早く追っかけなさいよ!!」
「分かってるよ!!あの野郎、舐めやがって!!」
逃げていくアナザーダブルを追う為にジョーカーは自身の愛車であるハードボイルダーに跨がりアクセルを全開にして発進させた。
◎
響たちが風都に足を運んでいる頃マリアは本物のゴーストである天空寺タケルを求めて大天空寺へとやって来ていた。
「お茶ですぞ・・・」
「温いな」
通された部屋で出されたお茶に口をつけそう言ったマリアにお茶を運んできた坊主が戸惑い口をつけ舌を火傷する。
「どうだ?」
「いや熱いですな・・・」
坊主が退室するのと入れ替わりにマリアが探していたタケルが入室してくる。
「すいません遅れました」
「気にするな」
「それで俺に何か?」
何処かで何かをやってしまったのだろうかと不安がるタケルにマリアはつい今し方坊主が火傷したお茶を一気飲みし要件を簡潔に伝える。
「お前が仮面ライダーゴーストだと言うことは知っている。妹を助ける為に力を貸して欲しい」
「詳しく聞かせてください」
何故自分がゴーストであるかを知っているのかは気になるが今は妹を助けるという事の方が重要だとタケルは判断しマリアから詳細を聞こうとすると部屋に先ほどお茶を運んできた坊主が飛び込んでくる。
「タケル殿!!大変ですぞ!!街で仮面ライダーが人々を襲っているとの不可思議現象が!!」
「仮面ライダーが!?」
情報を与えた者が一緒に送ってきたらしい写真には人々を襲うアナザーゴーストが写っていた。
「此奴だ」
「このゴーストが?」
「ああ、お前の偽物。アナザーゴーストだ」
「アナザー?」
「とにかく奴はお前で無ければ倒せない」
「だったらなおさら早く行かないと!!御成!!」
「場所ですな!!こちらに!!」
御成に示された場所にタケルが駆けだしていくとそれをマリアと御成も追っていく。
「着いてくるので!?」
「奴を叩きのめし妹の居場所を吐かせるッ!」
「それは大事な事ですな!」
鬼のような顔で指をポキポキと鳴らすマリアに御成は引き攣った顔で同意した。
◎
タケル達がアナザーゴーストの元に辿り着く頃には人々は皆魂にされ回収されていた。
「遅かったッ!」
「同意するよ。随分と遅かったじゃないか天空寺タケル」
「俺を知ってる?」
タケルの元に歩みながらアナザーゴーストが変身を解除する。
「アルゴス!?」
「覚えていてくれて嬉しいよ。戸惑いを隠せていないな」
倒したはずの強敵が目の前に居る現実にタケルは脂汗をかく。
「俺は蘇ったのだ。ドクターの手によりバグスターとしてな」
「バグスター、財前美智彦と同じ」
「そしてゴーストでもある」
腰部にゴーストドライバーを出現させたアルゴスはそこにダークゴースト眼魂をセットし変身する。
『カイガン!!ダークライダー・・・!闇の力!悪い奴ら!』
「貴様のムゲンの力は脅威だ。此処で完全に破壊してやろう」
「まだゴースト化計画なんて企んでいるのか!!
「当然だ。それこそが命の正しい在り方だ」
「何度でも言ってやる!!ご飯を食べることのできないゴーストは生きてるなんて言えない!!変身!!」
タケルも腰部に出現させたゴーストドライバーにオレゴースト眼魂をセットし変身する。
『レッツゴー!!覚悟!!ゴ・ゴ・ゴ・ゴーストー!!』
ゴーストとダークゴーストが再び相まみえる。
「アラン達の助けはないと思え。既に眼魔界とのゲートは封じた」
「マコト兄ちゃん達が居なくても俺がお前を止める!!」
二人のゴーストが戦い始めようとすると両者の間にマリアが立つ。
「貴様は、確か・・・。鎧武の力を奪われた役立たずか」
「あんな物は必要ない。今私が求めているのは貴様の悲鳴だ。妹の居場所を吐いた方が楽になるぞ?」
ゴーストと御成がマリアに危ないから後ろに下がるように言うが彼女はそれを敢えて無視して左腕を晒す。
「なんのつもりだ?」
「ライダーの力が無ければ私が何もできないと思ったか」
火傷の跡か爛れた左腕に装着している腕輪をマリアが起動すると内部に装填されていたリンカーが彼女の体内に注入される。
「ああ・・・。私の歌を聴かせるのだしっかりと地獄に堕ちろ」
手首に結びつけているギアペンダントを口元に運ぶとマリアは聖詠を歌いシンフォギアを纏う。
――Granzizel bilfen gungnir zizzl
黒いガングニールを纏ったマリアはアームドギアである槍の穂先をダークゴーストへ向ける。
「喜べレクイエムを歌ってやる。だが安らぎはあると思うな」
「貴様の妹か・・・。あそこだ」
「なに?」
ダークゴーストが指さす先をマリア達が見上げると空に地球が浮かんでいた。
「地球だと?」
「そう、並行世界の地球だ。ドクターの計画はもう止められない」
浮かんでいた地球は幻であったかのように消える。
「今はまだ不安定だが。二つの世界が融合するとき全ての命が究極の存在と化す」
「なにを言っているんだ・・・」
「ゴーストになるのは嫌なのだろう?ならば究極の存在へと進化させてやろう!!」
高笑いをするダークゴーストの上半身をマリアの槍から放たれたビームが消し飛ばす。
「貴様の理屈は知らん。私の妹は既に究極だ!!お前の言う低俗な究極など越えている!!」
「分からずとも理解することになる」
消し飛んだ上半身を即座にダークゴーストは再生させると闇の光弾を放ち攻撃する。
『カイガン!武蔵!決闘!ズバット!超剣豪!』
闇の光弾を切り裂いたゴーストは二刀流モードのガンガンセイバーでダークゴーストへと斬り掛かる。
「世界が衝突すれば全てが消滅する!!絶対に融合なんてさせない!!」
「やって見せろ!!」
『カイガン!小次郎!ヒラリ!ズバリ!ツバメ返し!』
巌流島の再現をするのかダークゴーストは小次郎魂へとフォームチェンジする。
「私を忘れるな!!」
斬り結ぶ二人の間にマリアは乱入した。
◎
フィーネによって二課本部が破壊されたことにより二課の本部は潜水艦タイプの移動式になっていた。
そしていまそこには本部がこうなった原因であるフィーネは監視する為に幽閉されていた。
「いい加減教えてくれないか。何故あのような凶行を起こしたのか。そして仮面ライダーとはなにかを」
「ウォズとやらに聞けば良いではないか」
ビルドによってただの人間の身体を創造されたことで以前のような特殊能力を全て失っているフィーネは虚ろな目で弦十郎に返答する。
その様子を見て今日も駄目だったかと判断した弦十郎がフィーネの居る独房から立ち去ろうとするとフィーネが口を開く。
「鏡には気をつけろ」
「どういう意味だ」
「私に接触を持ってきた奴は常に鏡の向こうに立っていた」
それだけを言うとフィーネは布団にくるまりふて寝の態勢に入る。
「私に強さを奪われたのだ。鍛えなくて良いのか?」
「最近SFにはまってな了子くんに科学を教えて貰っているよ。意外と楽しいものだな」
アナザービルドの力で弱体化された弦十郎は武術では無く別の道を目指しているようだった。
長くなりそうなので分割します