突然始まったマッハ、翼、クリスの戦いに響はしばし呆然としたがチェイスが身体を使っていたクリスはともかくとして翼が歌う歌は響が良く知る遜色無かった。
故に響は共にライダーキックを発動したマッハと翼の間に入る。
「馬鹿!!何やってんだ!!」
「反らせないッ!下がれ立花!!」
「下がりません!!私はこの行動が正しいと思うから!!」
そして両者が響を中心として激突し爆発が巻き起こった。
「立花!!」
「あの馬鹿何やってんだ!!」
場を混乱させないために今まで傍観に徹していたこの世界の翼とクリスが爆発が起こった場に行こうとすると炎が晴れ二体の忍者プレイヤーが響の代わりにライダーキックを受けており消滅して行くところであった。
「忍者?」
「なんだこいつら」
「先ほどあの男が変身した仮面ライダーに似ている・・・」
三者三様な困惑を示していると上空から影が差し場に仮面ライダー風魔が現われる。
「間一髪か」
「南雲さん!どうして貴方が此処に!!」
「檀黎斗から此処に行くように指示を受けた」
「黎斗さんが?」
この世界では自身以外にゲームの力を使用する仮面ライダーは居ないと思っていた永夢は非常事態には頼りになる確率の大きい檀黎斗が居ると聞いて事態の解決が図れるやもしれぬと期待を抱く。
「詩島剛。この二人はロイミュードではない」
「だったら何だよ」
「空に浮かぶ地球。並行世界より落ちてきた者達だ。先ほどのノイズもその世界から落ちてきた」
「アンタ何言っちゃってるわけ。・・・マジじゃん」
風魔の言葉を半信半疑空を見上げたマッハは空に浮かぶ地球を目撃する。
「もう訳がわっかんねぇ」
「それはこっちの台詞。なんでそんな風にいられる」
「お前はお前でなんなんだよ!!」
戦う雰囲気ではないとシンフォギアを解除したものの突っかかってくるもう一人の自分をどう扱って良いのか分からずたじろいでいると響が二人の間へと入る。
「まぁまぁ、クリスちゃん同士なんだし仲良くしよう!!」
「・・・うっわ」
「ど、どうしたの?」
「お前の口から自発的に仲良くしようなんて聞けるとか心底気持ち悪いなって」
「酷い!!」
一体向こうの世界の自分はどんな人間なのだろうと想像して響は頬を引き攣らせる。
「此処で話をしている時間はない。お前達の本部へと向かうぞ」
地震が起こると空に浮かんでいた地球が近づいてくる。
「まさかアナザーライダー共は世界を滅ぼすつもりなのか」
「アナザーライダーとはなんだ?」
「貴女達の本部で説明しよう」
世界は違ってもよっぽどの事がなければ風鳴翼と言う人間はあまり差異はないようだった。
◎
二つの世界の融合地点にある時空の狭間に座すウェルの居城にて主の一人である生化学のウェルは此処まで来た自身の軌跡を思い返す。
「長かった。暗い海の底から僕は此処まで上り詰めた・・・」
「僕たちでしょう」
「ええ、君に声をかけたのは正解でした。もう一人の僕」
「僕は貴方に感謝していますよもう一人の僕」
「感謝?」
「そう、感謝。くだらない愚か者達の妨害工作により英雄への道を絶たれつつあった僕に君が英雄となれる道を示してくれた」
自身の才能を妬んだ者共により発明を簒奪されたりなどされたりしたことで人間は自らが導かねばならぬと考えるようになっていた機械工学のウェルは上下に存在する地球がフロンティアによって引き寄せられていく光景を見て満足そうに頷く。
「間もなく僕たち英雄が統治する新世界が誕生する」
「僕たちはやはり英雄となる運命にあった」
二人並ぶウェルをミラーワールドよりオーディンが眺めているが二人はそれに気づかない。
「それで良い。命を集めろ優衣の為に」
テスラの立てた筋道通りにウェルが動いていることを確認し終えたオーディンは立ち去っていった。
◎
デンジャラスゾンビのバグスターウィルスに感染したことにより響が暴走してからこちらの世界では一晩が経っていた。
ウォズがメディカルルームで響の処置をした後に彼女に精密検査を行った了子はやはりそうだったかと納得する。
「やっぱり響ちゃんは第一種適合者じゃなかったのね。心臓付近に突き刺さったガングニールの欠片が全身に巡ることで後天的に適合者へと仕立て上げている。言うなれば第三種適合者。・・・でもこんなもの公表する訳にはいかない」
もししてしまえば世界中で非人道的な人体実験が起こることになると予測する了子は精密検査によって獲得したデータを自身以外には解読不可能な状態にし保存する。
「賢明な判断だね」
「どこから入ってきたの・・・って聞いても貴女には無駄よね」
「私の事をよく分かっているじゃないか」
当然のように了子の研究室に現われ彼女のマグカップに淹れてあったコーヒーを飲むウォズはしばらく姿を消していた理由を語る。
「私も独自に今回の敵の目的を調べていたのでね。だからそう不審者を見る目で見ないで欲しい。我が戦姫の味方である君たちと敵対する気は無いからね」
「だったら入室するときにはノックの一つでも欲しい所ね」
「善処しよう」
するきないなこいつと思いながらも了子はウォズに話の続きを促す。
「全てが分かったわけではないが概要は掴めている。敵の首魁である二人のドクターウェルは自らが究極の存在へと進化するつもりだ。敗北したがマリア君が引き出したアナザーゴーストの言う究極の存在だけの世界はドクターウェルのみが存在する世界の事だろう」
「ドクターウェル・・・。確か、米国でそこそこ有名な機械工学者ね」
「いや、彼の才はたちの悪いことにこの世界でも随一のモノだ。何処の派閥にも属さなかった事であらゆる妨害を受けていたようだからね。名が売れなかったのだろう」
「貴女の口ぶりだとドクターウェルがもう一人居るように聞こえるのだけど」
「そう言ったとももう一人の彼は時折空に浮かぶ地球のドクターウェルだ。さて伝えるべき事は伝えた。ここからは反撃といこうじゃないか」
「反撃って言ったって・・・」
敵の拠点に乗り込む方法がなければどうにもできないと言いたげな了子を見てウォズは笑みを浮かべる。
「既にゴーストとジョーカー二人の仮面ライダーとの協力は取り付けてあるとも。ゴースト、天空寺タケルは住職でね色々と不思議な力を持っているのさ。それこそワームホールを開くなど」
「もしかしてさっき本部に来た二人が仮面ライダーだったの!?弦十郎くん、教えてくれて良かったのに・・・」
「今は翼君と雪音クリスの救出を優先したのだろう」
「分かってるわよ。それでワームホールってことはもしかして」
「既に突入の準備は整っているとも。では私はこれで失礼する」
コーヒーを飲み干したマグカップを机に置いてウォズは了子の前から姿を消した。
「あのギアペンダントがあれば響ちゃんの身体にはガングニールの欠片による不都合は無いけど。・・・不安よね」
身体異常無しと言うことでベッドから出ている響であったが了子は彼女に対する心配は尽きなかった。
◎
昨日命の危機に陥ったと言うのに元気に準備運動をしている響を見て翔太郎は自身の仲間の仮面ライダーアクセルである照井竜が脳裏に浮かぶ。
「アイツも照井の同類か・・・」
「なんか言った?」
「いや、横の子がお前を心配してるってな」
確かに翔太郎の言うとおり未来は響の隣で彼女と同じく準備運動をしながらも心配だという視線送っていた。
「大丈夫だよ未来。私、なかなか死なないみたいだし。だって生きるのを諦めてないから」
「それでも私は響が心配なの」
「ありがとう」
未来を安心させるためか微笑んでそう言う響を見ても未来の不安は拭えなかった。
「突入時間だ!!皆、準備は良いか!!」
「いつでも」
「私も大丈夫です!」
「俺はいつでもいけるぜ」
「俺も準備はできてます!!」
弦十郎からの確認は全員が既に準備は終っていると答え変身する。
「はぁッ!」
そしてゴーストが印を結び気合いの声をあげるとワームホールが開かれる。
「待ってろよフィリップ!」
「翼さんを取り返しに行こう」
「マリアさんとクリスちゃんもだよ響」
「・・・分かってる」
ジョーカー、響、未来の順でワームホールをくぐり最後にゴーストがくぐっていく。
「任せてください弦十郎さん!」
「ああ、頼んだぞ仮面ライダー」
「はい!」
ゴーストの姿が向こう側に消えると共にワームホールも消えた。
「そして響くんに未来くん。無事に帰ってきてくれ」
送り出した者達が無事に帰ってこれるようにと弦十郎は思うのだった。
◎
ワームホールを抜けた先そこは以前ゴーストが辿り着いたフロンティアが設置されている部屋でありそこにはアルゴスと克己が控えていた。
「懲りずにまた来たか」
「構わんさ。さぁ踊ろう。死神のパーティタイムだ!」
『ゴースト・・・!』
『ダブル・・・!』
共にアナザーライダーへと変身したアルゴスと克己の後ろに現われたウェルが何やらスイッチを起動する。
「此処で暴れられては困るんですよ。折角ですから残された時間で並行世界を観光でもしてきたら良い」
「待て!!フィリップを返せ!!」
「今は俺とのパーティタイムだろ?仮面ライダー!!」
「大道克己!!」
ワームホールが開かれジョーカーと未来がアナザーダブルと共に呑まれ並行世界へと落とされる。
「未来!!」
「響さん!!余所見をしちゃいけない!!」
「ッ!しまったッ!」
「ふん!!」
そしてゴーストと響はアナザーゴーストに殴り飛ばされワームホールに落ちるとアナザーゴーストはそれを追っていった。
「もう戦いの必要はない。後は時を待つだけだ」
ウェルの背後ではフロンティアが最大稼働を始めようとしていた。