風魔の登場によって戦いが激化する前に決着し皆はS.O.N.G.本部へと足を運んでいた。
そして風魔の変身者である南雲影成が話しを始めようとする前に響が手を挙げる。
「あの!」
「なんだ」
「翼さんとクリスちゃんが二人居るのはややこしいと思うので何か呼び分けをした方が良いと思うんです」
「お前にしては冴えてんじゃねえか」
「でしょ~」
「褒めてないと思う」
褒めてはいるが小馬鹿にしている様子のクリスからの響への言葉に響が照れているともう一人のクリスが彼女に哀れみを込めた視線を送る。
「思いついた!こっちのクリスちゃんが赤クリスちゃんで」
「あたしが赤ね。見たまんまじゃねぇか」
「そっちが黒クリスちゃん」
「ギアの色で判断してない?」
確かに響のネーミングはシンフォギアに主体として入っている色によってつけられている。
「立花、私たちはどのようにする?自分で言ってはなんだが私たちにはあまり差異はないぞ」
「簡単ですよ!こっちに居た翼さんは翼さんAもう一人の仮面ライダーの力を使える翼さんはBです!!」
「立花らしいと言えばらしいが・・・」
「こちらの世界の立花は随分と明るいのだな」
「呼び名は決まったか。では本題に入ろう」
翼とクリスの呼び分けが一応は決まったことで南雲は今世界に起こっている事の説明を始める。
「私自身完全に状況を掴めているという訳ではない。故にここからはこの男に続きを任せる」
「いや任せるって誰にだよ」
剛は誰に任せようと言うのかは分かっていないが永夢は先ほど南雲が戦いを止めた際に檀黎斗の名を出していたことで彼が誰に説明させようとしているのかを察していた。
「誰か?それはこの私!!檀黎斗!!神だぁ!!!」
司令室全体に突如として黎斗の声が響き渡るも当の本人は笑い声を上げ続けるだけで一向に姿を現さない。
「司令!!本部システムにウィルスが!!」
「なんだとぉ!?」
笑い声が響く中で発せられた藤尭からの報告に弦十郎が驚愕する。
それもそのはず此処S.O.N.G.のセキュリティはシンフォギアを始めとした異端技術を保有しているために冗談みたいに高いのだ。
「ウィルスではないッ!!!神だぁあぁああああ!!!」
叫びと共にモニターが切り替わるとそこに黎斗が姿を現す。
「黎斗さん!」
「やあ、永夢お困りのようだね。挨拶ついでに一つ良いことを教えてあげよう。ゲムデウスXウィルスの再活性化には後1時間程しかない」
「マイティドクターで抑制しているのに早すぎるッ!」
「あれは唯のゲムデムスではないジョニーマキシマが変じたゲムデウスのウィルスだ。以前は君が即座に倒したことで被害が出なかった事でワクチンすら存在しない」
挨拶代わりにもたらされた驚愕の情報に永夢だけではなく響の顔色も変わる。
「じゃ、じゃあ未来は!!」
「残念だが私のゲームではないバグスターで死んだ者は復元できない。だからこその私の神の才能だぁ」
モニターの中の黎斗がそう言うと南雲がブランクガシャットをS.O.N.G.のパソコンに繋いだキメワザスロットホルダーにセットするとブランクガシャットにゲームデータがダウンロードされる。
「永夢、君は私が文字通りライフを削って作成したマイティドクターXXを破壊されたそうじゃないか」
データのダウンロードが完了し白く染まったガシャットを南雲が永夢に渡す。
「まあそろそろあのゲームもバージョンアップする時期だと思っていたからな。丁度良い機会だったよ」
「このゲームは!」
「世界に蔓延るあらゆる病を治す究極の医療ゲーム。マキシマムドクターマイティXだ。勿論ゲムデウスXへの特攻データを保有してある。大いに役に立つだろう」
マキシマムドクターマイティXガシャットを懐に仕舞った永夢は先ほどから疑問に思っていたことを黎斗に尋ねる。
「黎斗さん画面の中じゃなくてこっちに出てくれば良いじゃないですか」
「私もそうしたいが、先ほど君たちが呼び分けを決めている前に話していたアナザーライダーとやらの影響でそちらにいけない。まあ私は行けなくとも一人送り込めたがね」
「そうか、それが南雲さん!」
「彼ではない。そこに居る彼だ」
黎斗の指さす先に居たのは黒クリスであった。
「彼?ふざけてるの?」
「違う、それだ」
指さしているのが自分の肩の上に居る物だと気づいた黒クリスが視線を向けるとそこにはシグナルチェイスが居た。
「こいついつの間にッ!」
「チェイスのシグナルバイク!!いつの間に!!」
引っ掴まれぶん投げられたシグナルチェイサーを剛がキャッチするもそのシグナルチェイサーが再び黒クリスに飛びつく。
「乱暴な奴め・・・」
雰囲気が変わった黒クリスを見て剛は直ぐさまにそれが誰かに気づく。
「チェイス・・・だよな・・・?」
「ああ、久しぶりだな剛。だが今は再会を喜ぶ時ではない。このまま悠長に過ごしていれば二つの世界が混ざり合う影響で幾つもの世界が破壊される。俺が蘇ったのは混ざり合いつつある世界によって時空が歪んだ為だ」
「そうか・・・」
「だから、私は許可を出していないッ!」
「お前もうちょっと丁寧に扱ってくれよ!!」
チェイスから肉体の主導権を取り戻した黒クリスが先ほどのようにぶん投げたシグナルチェイサーを剛はまた辛くもキャッチに成功した。
「さて起こりうる事態は彼に言われてしまったか・・・。では今回の首謀者を教えてあげよう」
「そんな事まで分かっているのか」
「何度も言っているだろう。私は神だぁ・・・」
弦十郎のふと溢した呟きを聞き届けた黎斗は丁寧に再度自己紹介をすると続きを口にする。
「二人のドクターウェル」
「ウェル博士!?」
「しかも二人と来やがった!」
響と赤クリスが驚きの声をあげる。
「似たような事が以前あっただろう永夢?」
「最上魁星の起こしたエニグマ事変・・・。そうかドクターウェルも二つの世界が融合するエネルギーを求めて」
「それで何をするのかは知らないがな」
首謀者は分かってもその拠点が分からない事にはウェルの野望を止めることはできないが今の目標はアナザーエグゼイドの撃破となった。
◎
皆が司令室で作戦会議を行っているなかでマリア、暁切歌、月読調の三人はセレナと別室にて会っていた。
「まさか、本当にセレナが・・・」
「姉さん達も無事で良かった」
ネフィリムが暴走したあの日を最後に会えるはずの無かったセレナをマリアは思わず抱きしめる。
「この温もり間違いない・・・セレナだ・・・」
「他の誰でもないよ姉さん」
「本当にセレナだ。幽霊じゃない・・・」
「でもなんでちっこいままなんデスか?」
温もりを確かめ本物に違いないと判断した三人であるがマリアは七年経過した分だけ成長しているのに全く変化無しなセレナに切歌は他の二人も思っていたこともぶつける。
「それが分からないんです・・・。あの時
「機械の怪物?何故セレナがそんな奴に・・・」
「分からないけど、詩島さんがもう倒してくれたから大丈夫!」
助けて貰った恩があるのか剛に懐いていそうな雰囲気を見せるセレナにマリアがなんとも言えない顔をする。
「怪我は何処にもしてないのね?」
「うん、守って貰えたから」
安否の確認は終わりこれからまた昔みたいに一緒に居られるのだとその場の皆が思う。
「そう言えば姉さん達は作戦会議に出なくて良いの?」
「私達はギアを纏う許可が下りていないから」
作戦を伝えてしまえば勝手に飛び出しかねないと判断されていることで三人には作戦そのものが伝えられていない。
「セレナと違って私達はリンカーを使わないとギアを纏えないデス」
「でもそのリンカーはもう残り少ないから」
「そうなの・・・」
不躾な事を聞いてしまったとセレナが少し落ち込むのを見たマリアが彼女をフォローしようとすると室内にエンジン音が響く。
「なんだ?」
自身の背後にセレナを庇いマリアが室内を見渡していると彼女は宙を駆ける歪なシフトスピード、ワイルド、テクニックを発見する。
「ミニカー?」
停車した三つのシフトカーが胸部のナンバープレートにAとだけ記されたバット、コブラ、スパイダータイプの下級ロイミュードの姿へと変貌する。
「なるほど此処までセレナを追ってきたのか」
「マリアはセレナを連れて逃げて!!」
「こいつらはあたし達に任せるデス!!」
ガングニールのギアペンダントは響に譲渡し自らが持つアガートラームは破損状態であるため三人の中で唯一シンフォギアを纏えないマリアにセレナを任せた二人は聖詠を纏いシンフォギアを纏う。
――Various shul shagana tron
――Zeios igalima raizen tron
女神ザババの振るう二刃より分かたれたシュルシャガナとイガリマを纏った調と切歌が三体のロイミュードへと向かっていくが下級ロイミュードにあるまじき戦闘力を誇る三体に追い詰められていく。
「姉さん!!」
「・・・。助けを呼びに行く!!二人ともそれまで耐えて!!」
「こんな奴ら屁でもないッ!」
「任されたデス!!」
二人のアームドギアが合わさりロイミュードへと迫るがコブラタイプが攻撃をすり抜けマリア達へと襲い掛かり殴り飛ばす。
「きゃぁッ!」
「セレナ!!」
殴られた衝撃でマリアの懐から離れたアガートラームのギアペンダントがセレナの目の前に転がる。
「これって・・・」
「アガートラーム!!」
それを見たコブラタイプがセレナからアガートラームを奪取しようと駆け出した瞬間彼女の手の中にあるギアペンダントが火花をあげる。
――Seilien coffin airget-lamh tron
奇跡でも起きなければ起動などしない筈のシンフォギアが起動しコブラタイプをシンフォギア展開時のバリアフィールドで吹き飛ばす。
「セレナがギアを・・・!やっぱりそのギアはセレナの物という事ね」
あの時は唯一度の奇跡であったなとマリアが思う前でコブラタイプがセレナの振るった短剣によって胸を刺し貫かれると爆発しコアであるシフトカーも砕け散る。
「暁さん!月読さん!私も戦います!!」
「「セレナ!!」」
先ほどまでとは異なり三対一となったことで二体のロイミュードは追い詰められセレナに斬り付けられると切歌と調から同時に斬り飛ばされると壁を破壊し廊下に転がり出る。
「なんかやばい音が出てると思ったら今度こそロイミュードか!!」
戦闘の音を聞きつけいち早く駆けつけた剛が変身しようとするとロイミュードに切歌と調のアームドギアが突き刺さり爆散させ撃破する。
「なーんだ、出番無しかよ」
装着しかけていたマッハドライバー炎を剛が懐に直しながら目の前でハイタッチをしている切歌と調を見ているとロイミュードの残骸がいつの間にか現われていたバイラルコアに寄り集まっていく。
「まずい!!」
『ドライブ・・・!』
そして剛が変身するよりも早く出現したアナザードライブが切歌と調に回し蹴りを喰らわせ蹴り飛ばす。
「こいつが親玉!?」
「やばいデス・・・。リンカー使わずにギアを纏ったからもう限界デスよ・・・!」
「暁さん。だったら休んでて」
「セレナ?」
口調は気遣いながらも何処か寒気のする声色でセレナが切歌の後ろから声をかける。
「そうした方が良いですよ?」
ぞぶりと音がする錯覚がした。
「え?」
「切ちゃん!!」
切歌の腹部を赤く塗れた短剣が貫いた。
心が痛かったよこの展開は