自らの姿を誇示する為に作られたとしか思えない像に視線を奪われていた響であったが圧倒的羞恥心が彼女を襲った為に像から視線を外し歩を進めるが直ぐに足が止まる。
像以外には何処を見渡しても荒野が広がるのみであり人は言うまでもなく虫の気配すら感じさせない。
「なに・・・此処・・・」
突然トイカメラを首から下げた男に連れてこられたこの世界。
世界の有り様を知る手がかりは背後に佇む『立花響 変神の像』のみである。
「変神って・・・私が神になるって言うの?」
ばかばかしいとはこのことであると響が切って捨てると頭上から轟音が響き渡る。
音のする方へと響が顔を向けるとそこには隕石があった。
「なぁッ!?」
思わず驚きの声が漏れてしまうが隕石は響の元へと落ちることは無く彼方にある山へと墜ちる。
「なんなのこの世界・・・」
自らに被害は及ばなかった為に響はとりあえずの目標である像を調べようとするが響の前に突如として魔法陣が出現し迫る。
「ッ!」
躱そうとするも行動に移す前に魔方陣を強制的に潜らされてしまう。
「なんとも・・・ない?」
身に何も起こっていない事に響が戸惑っていると悲鳴が聞こえた事で彼女は悲鳴の発生源へと顔を向けるとそこには蟲のような怪人かつて仮面ライダーカブトが戦っていたワームと呼ばれる者達が隕石が落下したらしきクレーターから出現し人々を襲っていた。
「怪人ッ!」
なるほど先ほどの魔法陣はワームを倒すために自身を此処に呼び出したのかと無理矢理自身を納得させた響はシンフォギアを纏う。
――Balwisyall nescell gungnir tron
戦場に響き始めた歌を聴いた人々は逃げる足を止めると祈るような仕草を取り始める。
「神様・・・」
「はぁ!?」
困惑しながらもワームと戦う響は明らかに自分を対象に祈る人々に困惑しながらもワームを倒していくが一体のワームが蒸気を噴き出させ脱皮する。
「もしかして成長した?」
「きゅるる・・・」
響を見据えたクラブワームが踏み出したかと思えばクロックアップを使用し一瞬にして姿が掻き消えると共に響の身体に同時と思えるほどの感覚で攻撃が加えられ吹き飛ばされる。
さらに落下している途中に泡に包まれたかと思えば泡が爆発し地面に叩きつけられる。
「この感覚・・・アナザーファイズの時の。だったら!!」
『ライダーリンク!!』
『COMPLETE』
『ファイズ!!』
ファイズアーマーを纏うと同時にクラブワームが再度クロックアップを行い響へと近づくが接近を直感で見抜いた彼女によって拳を受け止められ動きを止められる。
「きゅッ!?」
「お前はもう敵じゃないッ!」
『Start up』
クラブワームを蹴り飛ばすと同時にアクセルフォームへと移行した響はクラブワームが態勢を整える前に必殺を決めにかかる。
『Exceed charge』
爆発する泡が放たれるが強化クリムゾンスマッシュによって打ち消されると泡と同じく響によって貫かれ爆散する。
『Time out』
『Reformation』
もうワームが居ない事を確認した響はシンフォギアを解除すると逃げることをせずにこの場に留まっていた人々へと疑問を投げかける。
「なんで逃げなかったんだ」
「逃げる?」
「なんで?」
「神様が居るから逃げなくて良いでしょ?」
「訳が・・・分からない・・・」
”神”と呼ばれる何かの事をすっかり信じておりしかも恐らくその存在は自分であると言うことが嫌でも分からされる事で軽く目眩を感じる。
「何が・・・本当に何が・・・」
「彼らには安寧が保障されている」
「ッ!」
声が聞こえた。
風が吹いた。
◎
圧倒的な力それを感じた響が恐る恐る振り返ろうとする。
「怖がる必要なんて何もない。この世界には脅威なんて存在しない」
「脅威が存在しない?だったらさっきのあいつらはなんなんだ」
力の圧を振り切り振り返った響は神殿のような建造物の奥にある玉座に腰掛ける自分自身を見た。
今の自らよりは幾分かは成長しているらしく最も顕著なものはその長髪であった。
「隕石は降ったしそこから怪人が出た!!あれが脅威じゃなくてなんだと言うんだ!!」
「本来ならカブトの力で星に降る前に対処をしていた」
「だったらなんで!」
瞼を閉じ瞳を見せることなく言葉のみを発する目の前の自身に詰め寄ろうとする。
「少し未来に戦う敵を知ってもらおうとした親切だ」
「は?」
カブトの力で対処をしなかったのは単純に今の自身の力量を計るためだと言われた響が怒りを感じると聖詠を歌っていないにも関わらずにシンフォギアが纏われる。
「お前は私じゃないッ!」
「そう、貴女はまだ私じゃない。だけどいずれ私になる」
「なんなんだお前は!!」
お前は自分ではないと否定した響からの正体を誰何する問いにそれは朱の瞳を覗かせ立ち上がると答える。
「私は始まりは貴女と同じ立花響だった者」
「だった?」
「今はただ・・・ディバインブレイカー。そう呼ばれている」
「破壊神気取り?笑わせる!!」
『ライダーリンク!!』
『クウガ!!』
クウガアーマーを身に纏い戦いを仕掛ける響に対してディバインブレイカーは構えも何も取らない。
『電王!!』
ディバインブレイカー自身は戦わず彼女はただライドウォッチを起動し呼び出した仮面ライダーを戦わせる。
「俺、参上!!行くぜ行くぜ行くぜ!!」
「超変身!!」
召喚された電王ソードフォームに合わせタイタンとなった響は石柱をむしり取るとタイタンソードへと変え電王と斬り結ぶ。
「久し振りのクライマックスだ!!」
「お前の声は不思議と苛立つ!!」
初めて見る仮面ライダーではあるが彼の発する声色は響のトラウマを刺激し彼女の神経を苛立たせる。
「神気取り!!脅威が無いって言うなら!!」
「なら?」
「なんでこの世界はこんな有様なんだ!!」
見渡す限りに荒野しか存在せず生きとし生ける物全てを拒絶する環境のこの世界。
それは脅威ではないのかと言う問にディバインブレイカーは答える。
「二千年前、月は砕かれ。世界は呪いから解放された」
「呪い?」
「その代償に神が目覚めた。私は自らの犯した罪を贖う為許されない罪を背負ったつもり」
「罪?」
「月の消失による重力崩壊。ユグドラシルの屹立による更なる環境破壊。此処まで回復するのに二千年」
途端にスケールのでかい話しをされ呆けてしまった響へと電王が必殺の一太刀を放つ。
『Full Charge』
「俺の必殺パート1!!」
「ッ!あぐぁッ!」
斬り飛ばされた衝撃でクウガアーマーを解除された響へとディバインブレイカーは回答を続ける。
「こうなることが私の立花響の運命だ。七つの音階と二十の仮面ライダーの力を継承しろ。それが貴女のやらねばならないこと」
「訳が分からな・・・」
エクストリームスラッシュを放った事で消失した電王によって今まで隠されていた玉座の後ろにある壁に埋め込まれているものが響の目に入る。
「未来・・・?」
時が止まったかのように感じさせる未来は胸に赤い華を咲かせていた。
だがそれでも未来の表情は何処までも穏やかで祈るように手を合わせていた。
「罪って・・・まさかッ!お前は!!お前が私であるものかッ!」
「これが私の罪、全てを殺すこの手が導いた結末。世界を救う代償」
「私が私であるなら!!そんな選択は絶対に取るはずがないッ!!」
『ライダーリンク!!』
『ベストマッチ!!』
『ビルド!!』
認めたくない未来の自身を破壊するために響は装着したビルドアーマーを黒く染め上げハザードへと移行すると躊躇うことなく必殺のライダーキックをディバインブレイカーへと放つ。
「認めないッ!」
『ハザードフィニッシュ!!』
迫り来る一撃にディバインブレイカーはやはり焦る様子など欠片も見せない。
「認める認めない。その如何に関わらずに在りし日の私!!お前はいずれこの果てに至るッ!」
目を見開いたディバインブレイカーはライドウォッチを起動し長剣をその手に召喚する。
『ジオウサイキョウ!!』
振り抜かれたサイキョウジカンギレードの光の刀身に切り裂かれシンフォギアの耐久を超えた事で響は生身へと剥かれる。
「この二千年だ!!片時も忘れたことなど無い!!」
今でも耐えがたいのだろう運命の日を思い返し感情を剥き出しにしたディバインブレイカーは気持ちを落ち着ける。
「二千年前に帰れ、そして世界を救え。在りし日の私。それが陽だまりが私に最後に望んだ事だ」
「そんな・・・そんな事って・・・」
響をリングが包み込むとディバインブレイカーが時間流を操作し響を二千年前へと帰した。
「未来は変わらない」
ただそう呟きディバインブレイカーは再び玉座に腰掛け瞳を閉じると眠りへとついた。
所謂ソウゴ対オーマジオウ回