ン我が戦姫!!   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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おいでませショータイム:2043

――2043年

 

 唯一人オーロラカーテンより響が帰ってこなかった事でウォズがレジェンドミライドウォッチを使用しオーロラカーテンの中に消えた直後に世界は虹に包まれた。

 視界一杯に広がった虹に反射的に顔を覆っていた腕を退けた翼の耳に賑やかな喧噪が届く。

 

「なんだ・・・これは・・・」

 

そして次に目に入った光景に翼は度肝を抜かれた。

何故か、それは常識がぶち壊され空想の絵空事が現実に溢れ出してきていたからに他ならない。

 

「箒が空を飛んでいる・・・。小日向達は!!」

 

周囲を見回すが先ほどまで居たはずの未来達は影も形も無かった。

 

「居ないか・・・」

 

十中八九先ほどの虹が原因だと判断した翼は物は試しにと電話をかけてみることにした。

 

「もしもし、どちら様ですか?」

「私よ、小日向」

「えっと・・・。私と言われても・・・」

「いえ、掛け間違えだったわ。時間を取らせてごめんなさい」

 

本気で自らを分かっていないかのような反応をする未来に翼はそうそうに通話を切り上げた。

 

「また並行世界に飛ばされたと言うの?」

 

現状考えうる物の中で一番に思いつくものを口にして見るもそれはどこか違うように翼は感じていた。

 

「とにかく情報を集めないと」

 

この見るからに魔法溢れる世界の事を翼が調べに行こうとすると先程までとは異なる喧騒が沸き立つ。

 

「反魔勢力を確認!!捕縛する!!」

「クソッ!」

 

箒に乗った者達が逃げる者達を追いかけ回していた。

 

「みんな逃げて!!此処は私が何とかする!!」

「でもそれだと舞さんが!!」

「大丈夫。奏が持ってきてくれた力があるから」

 

舞と呼ばれた少女が渋る仲間を逃がし戦極ドライバーを装着する。

 

『オレンジ!!』

 

「変身!!」

 

『ロックオン!!ソイヤ!!』

 

頭上に開かれたクラックより出現した鋼鉄のオレンジが舞に降ると共に彼女を鎧が包み仮面ライダー鎧武へと変身させる。

 

『オレンジアームズ!!花道オンステージ!!』

 

「此処からは私のステージよ」

「魔力を持たない出来損ないが調子に乗るなよ」

 

『ドライバーオン!!』

『シャバドゥビタッチヘンシン!!』

 

箒に乗っている者達は出現させたワイズドライバーに指輪を翳し仮面ライダーメイジへと変身すると鎧武へと襲い掛かる。

 

『チェンジナウ!!』

 

スペックから見ては鎧武の方が上回っているようであるが多勢に無勢であり鎧武は追い詰められていく。

 

「あの少女は先ほど奏と言っていた。もし与太で無いとするならば!!」

 

単の同じ名前を持つ人間を言っているかもしれないと考える翼であるがこの魔法の世界においては天羽奏が生きているかもしれないと考える事を捨てられなかった。

 

「今はやめておきなさい。可哀想に思えるかもしれないがそれはあの娘の選択だ」

「お前は・・・!何故此処に!?」

「書き換えの取りこぼしは幾らかは居ると言うことだ」

 

鎧武へと加勢しようとする翼を止めるように肩を掴んできたフィーネに対して翼は驚く。

だが翼はフィーネの手を払いのける。

 

「見捨ててしまえばそれはもはや防人ではない」

「あの男に似て頑固なものだ」

 

呆れたと言わんばかりに溜め息をつくフィーネの元から駆け出しながら翼はシンフォギアを纏う。

 

――Imyuteus amenohabakiri tron

 

膝をついた鎧武がメイジ達により拘束されていく中で翼は抜刀しメイジを斬り付ける。

 

「貴様、何者だッ!」

「ただの剣だ」

「どうやら貴様も魔力を持たぬ出来損ないの仲間か!!」

「人に出来も不出来も有りはしない」

「有るのだ!!」

 

襲い掛かってこようとするメイジを剣の雨を降らせる事で牽制した翼は鎖を切り捨て鎧武を解放をする。

 

「立てるわね?」

「ありがとう。でもなんで」

「個人的な理由もあるが貴女を放ってはおけなかった」

 

助け起こされた鎧武がメイジ達へと向けて大橙丸を構える傍らで翼はドライブアーマーを装着する。

 

『ライダーリンク!!』

『ドライブ!!タイプスピード!!』

『ドライブ!!』

 

「なにそれ!?」

「無勢に過ぎる離脱するわよ」

 

驚く鎧武に端的に告げた翼は重加速を発動させると鎧武を抱え戦場が離脱した。

 

「逃がしたかッ!このままでは女王に顔が立たん!!草の根分けてでも探せ!!」

 

隊長格のメイジからの命令に他のメイジは返答すると共に離散した。

 

 

 

 

 

 

 魔法によって煌びやかに彩られた塔を中心として作られた魔法大国日本。

国を治める女王単騎の武力もさることながら彼女配下の数多の魔法使い及び錬金術師もまた一騎当千の実力を誇る。

故にこの数百年において日本は世界の殆どをその手にしていた。

 

 「オーマ、後どれほどだ」

「つつがなく、進んでおりますとも。ただ懸念が一つ」

「なんだ・・・」

 

自らの望みを叶える為に必要な物が置かれた場にて女王はオーマに続きを促す。

 

「エルフナインが例の物を奪い姿を眩ましました」

「例の?ああ、あれか気にすることはない。あれにはまだ肝心な物がインストールされていない。使い物にはならん」

「ですが万が一と言うことが」

「慎重過ぎることが貴様の悪い癖だ」

「申し訳ございません・・・」

 

頭を下げるオーマに背を向け去り始める。

 

「だが良いところでもある」

「ありがたいお言葉です」

「ガリィを預ける。上手く使え」

「ありがとうございます」

 

場から女王が姿を消すとオーマは先ほどまでのうやうやしい態度は宇宙の彼方へと投げ捨てる。

 

「あの子どもが此処まで偉くなったものだ」

「それは貴方もでしょう?」

「私はただ彼女を導いているだけだよ。希望へとね」

「良く言う」

「貴様はメイジを率いエルフナインを捕らえろ。万が一あれを完成させられたならばこの世界は壊れる」

「貴方に従うのはマスターの為。最低限はやってあげる」

「為すことを成せばそれで良い」

 

ばしゃりと水飛沫を立てガリィは現われた時同様に姿を消すとエルフナインの捕縛へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 『ディメンションプリーズ!!』

 

空間に罅が入り砕け散ると赤い魔法陣が出現しそこからマシンウィンガーに乗った仮面ライダーウィザードが飛び出す。

 

「やっぱりだ」

 

マシンウィンガーから降りたウィザードが変身を解除し操真晴人はシュガープレーンを取り出し頬張る。

 

「虹の竜巻が出たから嫌な予感がしたけど。まさか本当にこの世界があるなんてな」

 

数年前にアクシデントにより訪れた魔法の国の再びの出現に晴人はプレーンシュガーで腹を満たしながらも激戦を予感した。

 

 

 

 

 

 

 今は師走即ち真冬。

季節柄の当然の権利を行使し降り積もった雪がもぞりと動く。

 

「へぶしッ!」

 

豪快なくしゃみと共に雪の中から姿を現した響はディバインブレイカーにより与えられたキングギリギリスラッシュのダメージが抜けていない身体がゆっくりと歩きだす。

街へと続いている道を歩いていたがやはり傷は深いのか脇腹からじんわりと血が滲む。

 

「アイツ・・・ふざけてる何が運命だッ!」

 

街路樹にもたれかかり未来の自分であるディバインブレイカーに悪態をつきながら響は傷口を押さえる。

 

「未来を殺したアイツが、私な訳が無い・・・。私な訳が無いんだ・・・」

 

否定したい認めたくないだが響の彼女自身の直感があれが自分自身であると告げていた。

 

「そんな筈・・・」

 

疲れ抜けぬままに行われたワームそしてディバインブレイカーとの連戦に加え寒空が響を眠気へと誘う。

 

「大丈夫ですか!?」

「誰・・・?」

 

しきりに周囲を気にしながらも響の元へと駆け寄って来た少女に響が視線を向けると眠気が一気に吹き飛ぶ。

 

「アンタ、何その格好!?」

「今は僕の事より貴女の方が一大事です!!」

 

ローブの下にビキニなんていうとんでもな格好をした少女は響に錬金術を用いて簡易的な治療を施す。

 

「これで傷は塞がった筈です。痛みは残りますけど・・・」

「全然大丈夫・・・」

 

本当に傷が塞がっている事に驚きつつも響は木にもたれかかりながら起き上がる。

 

「それよりアンタ大丈夫なの?」

「僕は、僕は大丈夫です」

 

やはり焦っている様子の少女は手に持つ小包を大事そうに抱える。

それを見た響が小包について聞こうとした所でパトカーのサイレンが鳴り響くと少女の顔が青くなる。

 

「こっち!!」

「え!?」

 

少女を押し倒すように茂みへと倒れ込んだ響の直ぐ側をメイジの編隊が箒に乗って飛んでいく。

 

「仮面ライダー?」

「もしかして貴女は仮面ライダーを知っているんですか!?」

「え?」

 

メイジの気配が完全に無くなってから少女は小包を開き刀身の無い剣を見せ響に自己紹介をする。

 

「僕の名前はエルフナイン。道を間違えてしまったキャロルを止める為にこれを使える仮面ライダーを探しているんです」

「仮面ライダーを・・・」

 

気の抜ける絵面ではあるもののエルフナインの表情は真剣そのものであった。

 

 

 

 

 

 

 国の中枢である塔を被写体に男はトイカメラのシャッターを切る。

 

「精が出るなバフォメット」

「バフォメット・・・ああ俺の事かメデューサ」

 

振り返り様に自身に話しかけて来たメデューサもついでと言わんばかりに写真に納めた男へメデューサは要件を告げる。

 

「この娘を絶望させ新たなファントムを産み出せ」

 

投げ渡された写真を受け取った男はなるほどと頷く。

 

「これが俺の役割というわけか」

「そうだ、お前には期待しているぞ」

 

要件は終ったと立ち去るメデューサの後ろ姿を撮り男はもう一度写真へと視線を落とす。

 

「全く嫌な世の中だと思わないか?立花響・・・」

 

そう呟く男はファントムバフォメットではない。

彼こそがディバインブレイカーからの要請を受け響を二千年後の未来へと送り込んだ張本人。

仮面ライダーディケイド、門矢士である。

彼の瞳はこの世界において一体何を写すのか。

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