ン我が戦姫!!   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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 弦十郎からの指示を受け響の居るガングニールの反応が示す場に翼は向かっている。

バイクを走らせる翼は自身の進路上にどこか愛嬌のある見た目をした怪物インベスが居るのを発見するとバイクにブレーキを掛ける。

 

「なんだこいつらは・・・」

 

自身の存在を確認し襲ってきたインベスをいなすと聖詠を歌いシンフォギアを身に纏う。

 

――Imyuteus amenohabakiri tron

 

響の纏うガングニールとは異なり翼の天羽々斬にはウォズが手を加えていない為シンフォギアを纏う際にリングは出現しない。

 

「・・・参る」

 

刀を抜いた翼は奇声を上げ本能のままに襲ってくるインベスを躱すと同時に斬りつけ次々に倒していく。

 

「一体どこからこんな奴らが。緒川さんが時折相手をしているという妖怪とやらか?」

 

初めて見るノイズ以外の怪物であるインベスを妖怪はそれに類する存在であると目した翼がその場に居たインベスを全て斬り殺すと死体の処理を二課に頼み再び響の元へと向かおうとする。

 

「鬱陶しいな地獄に歌なんて響かせて」

「誰だ」

 

だが向かおうとする翼を阻むように夜闇の中からロングコートを靡かせた女が現われる。

 

「だが憎しみの籠もった良い歌だ・・・。もっと歌いなさい」

「お前は何者だ。何処の回し者だ」

「地獄だ」

 

『鎧武・・・!!』

 

翼の前に現われた女、それは異なる歴史においてはこの時点の日本には居るはずのない者マリア・カデンツァヴナ・イヴ。

今そのマリアはアナザー鎧武へと変貌した。先ほど現われていたインベスも彼女によるものである。

 

「今可愛い妹が頑張っている。それの邪魔はさせない」

「何者かは分からんが邪魔をすると言うのならば容赦はしない」

 

大剣を携え悠然と構えるアナザー鎧武に翼は刀を振るい直撃させるが大したダメージが入らない。

自身の攻撃が微かに装甲に傷を入れるだけに留まっていることに翼が僅かに怯み攻撃の手が緩むとその隙をついてアナザー鎧武が翼を逆袈裟に斬り飛ばす。

 

「ぐぁぁあああ!!」

「拒んでいるな」

 

道路に倒れた翼が起き上がろうとするが胸部を踏みつけられる。

 

「貴様ッ!」

「その目、お前も地獄に生きるべき人間だ」

 

足を掴み自身を睨む翼を見たアナザー鎧武はブランクウォッチを取り出すと起動する。

起動されたブランクウォッチに紫電が走るとアナザーウォッチへと変化する。

 

『ブレイド・・・!!』

 

起動したアナザーウォッチを見た翼は悪寒を感じた事で脚部に刃を展開しアナザー鎧武を蹴りつけバランスを崩させると身を起こし距離を取る。

 

「お前もこちら側に来い!!」

「ふざけるな!!私は剣そして防人だ!!」

「ああ、ならば文字通り剣になれ」

 

アナザー鎧武に影縫いを施し動きを止めるために放った小刀を弾き返された事で翼は逆に影縫いを施され動きを止められてしまう。

 

「どうした?もう歌わないの?」

「くッ!」

 

離された距離を詰めたアナザー鎧武は翼にたった今生成したアナザーウォッチを埋め込む。

 

「あっ!ぐぅ・・・!」

 

防人としての矜持からか翼はアナザーウォッチの力に抵抗する。

 

「私はこんな物には・・・」

 

だがそれも長くは続かない。

遂には弱音を溢してしまう。

 

「奏、助けて・・・」

 

自分で名を呼んでその者がもう居ない今を再認識した事で抵抗する力が弱くなってしまいアナザーウォッチが完全に起動する。

 

『ブレイド・・・!!』

 

絶叫を上げながら翼はアナザーブレイドへと変貌するとその身から溢れた53枚のラウズカードが風に舞い街中にばら撒かれた。

 ラウズカードからアンデッドが解き放たれた事が始まってしまったバトルファイトの参加者の一人としてアナザーブレイドは唸り声を上げながら夜闇に消えて行った。

その様を見届けたアナザー鎧武は変身を解除する。

 

「まだ拒んでいるのか。だが時間の問題だなあれは」

 

時を経れば翼も自身と同じ所まで堕ちてくるとマリアは確信していた。

 

 

 

 

 

 

 オーガの乱入によりアナザーファイズを仕留め損なった響は海堂に言われるがままに彼の経営するラーメン屋中花に来ていた。

 

「お前飯食ってないだろ。ちょっと待ってろ食わしてやる。アンタはどうすんだ」

「では私もお言葉に甘えよう」

「良し来た」

 

ウキウキした調子で厨房に向かっていく海堂を見送ると響は席に着くと一席離れてウォズも着席する。

 

「なんでアンタも来てるの」

「ビルドやファイズを始めとしてこの世界には仮面ライダーは存在しない」

「じゃあなんで私のシンフォギアにライドウォッチって奴を使える機能をつけたの」

「ハハハ、それは私の趣味でもあり備えだ」

 

仮面ライダージオウの世界の住人であるウォズが自身と言う存在の元になっているという事は十分に理解しているこの世界はウォズは万が一仮面ライダー関連の存在がこの世界に現われても良いように何処からか手に入れたジクウドライバーのシステムを組み込んだのだ。

 

「訳が分からないんだけど」

「私も誰がアナザーライダーを生みだしているのかは皆目見当もつかない。お相子さ」

「どこが。ていうよりもアンタは何を何処まで知ってるんだ。その本見せて」

「それはいけない。要らぬ歴史を知ってしまえば君の軌跡にノイズが混じってしまうからね」

 

この女から無理矢理にでも本を奪ってやろうかと響が考え始めていると二人の前にラーメンが置かれる。

 

「お待ちどう。ほれ食え食え」

「食べ終わったら見せて貰うから」

「先の事はあまり知るものではないよ我が戦姫」

 

知らないというのは罪であるが知りすぎる事もいけないとウォズはそう言いながらラーメンを啜る。

 

「なかなか良い味だ」

「だろ。嬢ちゃんはそう思うだろ?」

「まぁ、確かに」

 

確かに海堂が自信をもって出せる味だと二人は肯定するが響は海堂が木場に反応していたことを見逃していなかった。

 

「あの木場勇治って人何者?」

「木場かぁ・・・」

 

どう説明したものかと海堂が考えているともうラーメンを食べ終わったのか水を飲んだウォズが一言で説明する。

 

「木場勇治、かつてオルフェノクと人の間で揺れ動いていたオルフェノクだ」

「それだけじゃないと思うな俺は。あいつは乾の奴に人間の可能性を託したんじゃねぇのかな。ま、その乾ももう居なくなっちまいやがったんだけどよ」

 

また知らない名前が出てきたと響が思っているとウォズが補足する。

 

「乾巧、この本によれば彼こそが仮面ライダーファイズだ」

「なんでアンタが知ってるか分かんねぇが、あいつだけがファイズなんじゃねぇのかな」

「いやアンタも変身してたでしょ」

「俺のはただのやっつけだい。似合わないんだよ俺には」

 

自身がファイズに変身して戦うのはなんだかしっくりこないと海堂が言い終わるくらいに店の天井を突き破り何かが現われる。

 

「ちょいちょいちょいちょいちょい!!!なんだぁ!?」

 

煙が晴れていく中でコウモリのようなシルエットが浮かび上がるとそれは牙を剥き出しに響へと飛びつき掴みかかるが響に巴投げをされ入り口のドアを破壊し外へと放り出される。

 

「おおい!!」

 

順調に破壊されていく店に海堂が声をあげるが響はそれどころではないと外を睨む。

 

「なにあいつ!!あれもアナザーライダー!?」

「この本によればあれはかつて仮面ライダーブレイド達によって全て封印されたアンデッドの一体ダイヤのカテゴリー8だ」

「アンデッド?」

 

また新しい怪物が出てきたと響が思うと外からバットアンデッドが飛び込んでくるがウォズの持つ本によって叩き返される。

訳が分からない怪物だとしても襲ってくるならば戦うとアナザーファイズに襲われた時に決めていた響はシンフォギアを纏うと外に飛び出していった。

 

「あ~あ、これだとしばらく休業だな」

 

壊れた店を見て海堂はそう言うとファイズギアの入っているアタッシュケースを見るのだった。

 本能のままに襲ってくるバットアンデッドの相手をするうちに響はさきのオックスオルフェノクなどにはあった人の知性がないことを悟ると軽く圧倒していく。

自身が追い詰められていることを悟ったバットアンデッドは自身から襲い掛かってきたのにも関わらずに戦闘を放棄し逃走を選択すると飛翔する。

だが、それを容易く逃がす響ではなく脚部のジャッキを稼働させ跳躍すると空を飛ぶバットアンデッドの足首を掴むと地面に向けて放り叩きつける。

そして響が落下の勢いを乗せた蹴りをバットアンデッドに直撃させるとバットアンデッドはガードレールに激突し動かなくなると腰のアンデッドバックルが開く。

 

「倒した?」

「確かにあの状態のアンデッドは倒したと言えるかもしれないがまだ不完全だ」

「どういうこと?」

「これを奴に向けて投げつけると良い」

 

何も封印されていない状態のラウズカードを差し出された響はウォズからそれを受け取ると物は試しとばかりにバットアンデッドに向けて投擲する。

投げたラウズカードがバットアンデッドに刺さるとバットアンデッドを吸収し絵柄が刻まれるとラウズカードを投擲した響の手の中に戻る。

 

「これでアンデッドは完全に倒したと言って良い」

「めんどくさい奴ら」

 

倒した後に一手間加えないといけないことに響が溜息をつく。

 

「我が戦姫、アンデッドがこの一体とも関わらない。予備のラウズカードを持っておくと良い」

 

貰えるものは貰っておくと響は幾枚かのラウズカードを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 この日も小日向未来は2年前のツヴァイウィングのライブを契機に会えていない親友である響に会うためにリディアン付近の街にやって来ていたがであうこと叶わず帰りに電車に乗り自分が住んでいる街に帰ろうとしていた。

乗っている電車が動き出し駅から離れた場所に達すると電車が急ブレーキを掛けた直後に跳ね上がり脱線する。

 幸い未来自身には大きな怪我は無かったが辺りには油と鉄の匂いが立ちこめる。

 

「何が起こったの?」

 

横倒しになった車両に留まっているのは危険と判断したのか未来が車両から這い出すと先頭車両の方から未来と同じように外に出てきた者の悲鳴が木霊してくる。

 

「なに・・・?」

 

それによっていよいよノイズが現われたのかもしれないと未来が恐怖を感じていると前方の車両が爆発し辺りが明るくなる。

ノイズが出てくると思い未来が後退ると炎に照らされたビートルアンデッドが姿を現す。

 

「ひっ・・・!」

 

未来を視認したビートルアンデッドが手に持つ剣に力を込める。

 

「おぉぉぉおおお!!!」

「誰かッ!」

 

思わず未来が助けを求めると彼女の背後から無数の光弾が放たれビートルアンデッドを後退さらせる。

 

「死にたくなければ早く逃げろ」

「腰が抜けて・・・」

「ならば身をかがめてじっとしていろ」

 

光弾を放った者である仮面ライダーカリスは現われると未来にそう言うとビートルアンデッドに視線を向ける。

 

「何故バトルファイトが始まっている。何故俺は生きているッ!」

 

あの日バニティカードに封印された栗原天音の身代わりとなり邪神フォーティンと一体となったアルビノジョーカーを倒すためにブレイドによって自身を倒させたカリスは困惑しながらもラウザーユニットを装着したカリスアローにラウズカードをスキャンする。

 

『ドリル』

『トルネード』

『スピニングアタック』

 

竜巻に巻かれ飛び上がったカリスはそのまま勢いでビートルアンデッドに蹴り飛ばす。

爆発したビートルアンデッドのアンデッドバックルが開くとカリスはラウズカードを投擲し封印した。

 カリスは人間としての姿である相川始の姿となると腰を抜かしている未来を助け起こす。

 

「今は何年だ?」

「2043年です・・・」

「そうか」

 

あれから長いときが立っていることを知った始は剣崎一真らが生きていれば老人であると言うことも理解し再び始まってしまっているバトルファイトは自身の手で終らせなければいけないと考えたが自身が最後まで勝ち残ると言うことは世界の終わりだと言うことも理解しているために手詰まりかもしれないとも考える。

 

「君を安全な場所に送る」

「ありがとうございます・・・」

 

変身するとは言え自身を助けてくれた人物である為に信用して良いだろうと判断し未来は始に連れられ街へと向かっていった。

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