カテゴリーの分類が示す通りにキングの名は伊達ではなくパラドキサアンデッドの実力は響が此処に来るまでに相手をしたアンデッド達とは一線を画すものであった。
例えそれが怒りに身を任せた攻撃であっても冷静に思考を行っている部分を持ち合わせているらしくパラドキサアンデッドの放つ攻撃の一手はその全てが響とカリスの急所を狙って放たれている。
響の喉元を狙って放たれた蹴りを受け止めたカリスは彼女を連れて下がるとカリスアローでパラドキサアンデッドに牽制の射撃を行う。
「庇ったつもり?」
「勘違いをするな。貴様、アンデッドを封印していたな。ハートのカードを全て寄越せ」
「は?」
突然の要求に響は困惑するも自身の今持っているラウズカードを取り出しスートを確認する。
動きを止めた二人にパラドキサアンデッドは飛びかかるもトルネードをリードしカリスアローから光弾を放ちパラドキサアンデッドの勢いを殺すとそのまま斬り付け叩き落とす。
「怒りで動きが単調になってきているな」
「舐めるなぁ・・・!」
カポエラのような動きをしながらパラドキサアンデッドは起き上がり辺り一体に無差別に真空の刃を放つ。
音で刃が飛んできている刃を認識して二人は攻撃を躱す。
「有るなら早く寄越せ!!」
「さっきから一方的に命令しないで!!」
口では反発しながらも自身がラウズカードを持っていても仕方が無いことは分かっているので響はカリスに向けてラウズカードを投げ渡す。
「あったのはそれだけだ!!」
「カテゴリーフォーとテンか」
「不満でもあるの?」
「逆だ。カテゴリーフォーは探していた」
未来の隠れているオブジェの直線上に立ち真空の刃を叩き落としながらカリスは響からたった今受け取ったカテゴリー4・フロートとトルネードとドリルをリードする。
『スピニングダンス』
巻き起こった竜巻で真空の刃を蹴散らしたカリスは舞い上がるとパラドキサアンデッドへと向けてライダーキックを放つ。
「鈍間だな」
「!?」
ライダーキックの射線上から逃れたパラドキサアンデッドであるが駆けて来た響によって転倒させられると蹴り上げられサッカーボールをパスするようにライダーキックの射線上に押し戻される。
「貴様ぁ!!」
「少し拳を交えただけで分かる。お前はドス黒い邪悪だ!」
防御の態勢を取ることもできずにライダーキックをもろに喰らったパラドキサアンデッドは地面をバウンドしながら転がっていくと噴水の中に落ちる。
そして噴水の中から鎌田と怪人が入り混じった姿で現われたパラドキサアンデッドは敗北の負け惜しみかカリスを睨み付ける。
「馬鹿な奴め・・・。このバトルファイトを勝ち抜く手を自ら切るとはな・・・」
「だとしても貴様のような奴と俺は手を取ることはない」
カリスの言葉を鼻で笑ったパラドキサアンデッドにラウズカードが刺さり彼を封印するとラウズカードはカリスの手の中に戻った。
◎
同時刻、グレイブはタランチュラアンデッドの封印を完了していた。
「いやにあっさりしていたが、まあいい。まずは一枚目だ」
バックルを閉じ変身を解除するとグレイブの中からは翼を乗っ取ったアルビノジョーカーが姿を現す。
「その様子、私の与えた力を受け入れたようだな」
「貴様が与えた?違うな、俺は蘇ったのだ運命に導かれて」
「まさか、アナザーウォッチが意思を持っていたとはな。・・・こういうこともあるのか」
「言ったじゃない姉さん。信じてくれてなかったの?」
「そんなことはない、相棒の事を疑ったりはしない」
自分の方から会いに来たというのにあっという間に二人の世界に入っていったマリアとクリスを意識の外に追い出したアルビノジョーカーは以前取り逃がしたコーカサスアンデッドを探し当てるとそこに向かっていった。
「姉さん居なくなってる」
「放っておけ、世界が滅びるなら滅びれば良い」
「うん、こんな地獄が溢れる世界滅んでも滅ばなくても変わらない」
今の世界に希望など持っていない二人にはアルビノジョーカーが何をするにしても興味は余り無いのであった。
アーケードゲームに興じているキングの後ろにグレイブバックルを装着した状態のジョーカーが立つ。
「見て分からない?もう少しで終るからさ後にしてくれない?」
「残るアンデッドは貴様を含め後三体だ」
「ふぅん、そっか。じゃ、君にも完全敗北をあげるよ」
ゲームに勝利したカテゴリーキングはコーカサスアンデッドとしての姿になると勢いよく振り向きながら剣を振るう。
「もっと本気でやれ。変身」
「なに?」
ただ腕を上げるだけで自身の攻撃を防がれた事にコーカサスアンデッドが驚愕しているとオリハルコンエレメントに弾かれゲームセンターの店外へと壁を砕き吹き飛ばされる。
ビルの上階に位置していたゲームセンターから落下したコーカサスアンデッドの前にグレイブは降り立つ。
「蘇った当初俺には当初の力は失われていた。だがカテゴリーキングと同化することで俺はジョーカーとしての力を取り戻す。いやそれ以上に進化を果たした」
「何を言っているんだ」
グレイブはどのスートにも属さないワイルドのクイーンとキングを取り出すと腕部に装備しているラウズアブソーバーにリードする。
『ABSORB・QUEEN』
『EVOLUTION・KING』
本来はカテゴリーエースのみしか存在しないケルベロスのカードだがそれが今全てのカテゴリーが生成されたことでグレイブをブレイドと同様の13体融合のキングフォームへと変身させる。
『ワイルド10・ワイルドJ・ワイルドQ・ワイルドK・ワイルドA』
『チェンジスペード・ロイヤルストレートフラッシュ』
ワイルドキングラウザーに五枚のカードをスキャンしたグレイブはワイルドキングラウザーに振り上げるとアンデッドクレストスクリーンを斬撃が通り抜けコーカサスアンデッドを一撃で戦闘不能に追いやる。
「封印したからって調子に乗らない方が良いよ。僕は君が嫌いだからね」
「だからどうした」
コーカサスアンデッドを封印したグレイブは残る最後のアンデッドである始を察知する。
「お前かぁ・・・最後のアンデッドは」
近くにバイクが止まっているのを見つけたグレイブはそれにエネルギーを注ぎ込むと自身に最適化し乗ると始の元へと向かっていった。
◎
パラドキサアンデッドを封印したカリスは響に近寄ると囁く。
「あの子を任せた」
「あの子って誰」
響の疑問に答えるようにオブジェの後ろから未来が姿を現す。
「久し振りだね・・・響」
「!・・・。誰・・・」
目を見開き何かを躊躇った後に響が言葉を振り絞ると未来はショックを受けた顔をする。
「忘れても仕方ないよね・・・」
「・・・ッ」
俯きそう言う未来を見て自分から誰何したにも関わらずに何故かこちら側もショックを受ける響を見てカリスはリードしようとしていたカテゴリー4ではなくカテゴリー2をリードし始の姿に変身すると響に掴みかかる。
「何故拒絶する」
今の一瞬のやり取りで二人が親しい間柄であったと見抜いた始は響に詰め寄る。
「あの子は貴様にとっては大切な存在だ。その程度少し見れば分かる」
「何が分かる・・・」
「何だ?」
「たった今あったばかりのアンタに何が分かるッ!」
「やめて!お願いだから喧嘩しないで!」
二人の間に未来が割り込み引き剥がし無理矢理に仲裁をする。
「・・・帰る」
「待って響!!」
引き留める未来を見た始は自身が友と信じる者達と戦いの中でのみしか語り合えなかった運命に居た事で言葉で語り合えるはずの二人がそれをする事ができないことに苛立ちを覚え無理矢理にでも話し合いの席に着かせようと思い二人に向かって行こうとすると走ってきたバイクに跳ね飛ばされる。
「始さん!?」
「アンタは!!」
始を跳ね飛ばしたバイクの運転手が翼だと気づいた響が多少なりとも人となりを知っている彼女がこのような行動に出たことに驚いていると目の前で翼がいや彼女を乗っ取っているアルビノジョーカーがグレイブに変身する。
「また仮面ライダー!!」
「この本によるとあれは仮面ライダーグレイブ。だが気をつけため我が戦姫。グレイブはダークライダーその在り方は悪だ」
「でもなんであの人が」
「さらにこの本によれば、かつて仮面ライダーグレイブの変身者であった志村純一その正体はもう一体のジョーカーであるアルビノジョーカー。だが奴は仮面ライダーブレイド剣崎一真によって倒された筈」
「何はどうあれ敵なら倒す」
再びシンフォギアを纏おうとする響を再変身したカリスが止める。
「お前はその子を連れて逃げろ!!失いたくなければ決して手を離すな!!」
「どこを見ているカリス!!」
振るわれるグレイブライザーをカリスアローで受け止めたカリスはバトルファイトが始まった原因が目の前に居るグレイブだと本能で理解する。
「そうか・・・貴様か!!」
「貰うぞ貴様の持つカテゴリーキング!!!」
「渡すものか!!」
先ほど封印したパラドキサアンデッドそして未来とであう前に封印していたギラファアンデッドのラウズカードを奪われれば世界にフォーティーンの降臨を許す事になると知っているカリスは全身全霊でグレイブとの戦闘に臨んだ。
火花散る戦場に怯える未来を見た響は彼女の手を取ると戦場に背を向ける。
「来て!!」
「待って始さんが!!」
「他人よりも自分も心配して!!」
戦場から遠ざかる二人を見てカリスは安堵する。
「そうだそれで良い」
「また余所見か!!」
「貴様にはそれで十分だ!!」
カリスの身体にグレイブライザーが突き刺さるとグラビティスラッシュが発動しカリスから血飛沫が舞う。
「ぬぅッ!」
反撃として放たれたスピニングアタックがグレイブを吹き飛ばす。
「がぁッ!」
両者同時に駆け出し互いの武器がぶつかり火花が舞った。
◎
――2041年?
アルビローチが犇めくライブ会場で翼はうなだれ天羽奏だった炭の塊を抱きかかえていた。
その様を見たタランチュラアンデッドはアルビローチを倒し道を作ると翼の元へと歩いて行く。
「今の君は2体目のジョーカーに食い尽くされようとしている。このままでは君は魂の消滅によって死んでしまう」
「ならば私はその運命を受け入れる・・・」
「何を言っている。君の心に受け継がれている意思は君がそうなることを望んでいない」
「放っておいてくれ・・・。もう疲れたの・・・」
このまま死ねば奏の元へと行けると思っている翼にはタランチュラアンデッドの言葉は届かない。
だがそれでもタランチュラアンデッドは翼を奮い立たせようとするのだった。