カリスアローが折れ刃が宙を舞うとグレイブがそれを掴みカリスの太腿に突き刺す。
「いつまでもカテゴリーエースの姿で居る貴様には敗北しか有り得ない」
「俺は仮面ライダーだ。この姿は俺がアンデッドではなく人として生きる決意だ!!」
筋肉を切られ膝を突くカリスの顔を蹴り飛ばしたグレイブはグレイブラウザーにカードを2枚リードする。
『ファイヤー』
『スラッシュ』
『風輪火斬』
「なんだそれは!!」
「この身体は良い物だな」
炎を纏ったグレイブラウザーを構えたグレイブがカリスに回転斬りを放ち斬り飛ばす。
「ぐぁぁぁあああ!!!」
吹き飛ぶカリスから彼の所持しているラウズカードが舞い散る。
倒れる始の前でグレイブは彼の落としたラウズカードを回収されていくがスピリットとチェンジマンティスの二つだけは死守する。
「まあ良い。だがこれでカテゴリーキングが遂に揃った」
「クッ!」
スペード、ダイヤ、ハート、クラブその全てのカテゴリーキングを手に入れたグレイブの手にバニティカードが出現する。
「また邪魔をされてもかなわないからな相川始いやジョーカー、此処で封印してやろう」
「ふざけるなッ!変身!!」
カリスラウザーにチェンジマンティスをリードしようとしていた始の手をグレイブは踏みつけラウズカードを奪う。
「させると思っているのか?ではもう一枚も貰おうか」
「させるかッ!」
この姿にだけはもうなりたくなかったがこの状況においては仕方がないと始は彼の本当の姿であるアンデッドジョーカーへと変身する。
「世界を貴様の好きになどさせん!!」
暗雲が立ち込め始めた空の下でジョーカーとなった始に応じるようにグレイブはキングフォームとなった。
◎
戦闘の音が聞こえなくなった事で響は足を止める。
『失いたくなければ決して手を離すな!!』
「ッ!」
逃げる際にカリスからかけられた言葉が想起されるが響はその声を振り払い未来と繋いでいる手を離す
「響?」
「もう行くから」
その一言で響が再びあの戦場へと戻るつもりなのだと察した未来は今離されたばかりの手を取る。
「なんのつもり?」
「響が戦う必要なんて無いよ!!きっと始さんが倒してくれるから!!」
グレイブの相手は始に任せてしまうと言う未来の手を振り払い響は何も言わずに戦場へと向かっていく。
「待って行かないで!!」
止めたいならば追いかければ良いだが戦いへの恐怖が未来の足を動かさない。
「行かないで響・・・やっと見つけたのに・・・」
「ならば追いかければ良いじゃないか」
本を開き正史における未来に関する歴史を読みながらウォズは未来に声をかける。
「貴女は」
「自己紹介がまだだったね。私はウォズ、我が戦姫の・・・なんと言うべきか彼女は魔王でも救世主でもない。・・・まぁ戦姫も姫だ。私は彼女の忠実なる騎士?と言ったところかな」
「騎士なら響の事をどうして守ってくれないの」
「私が?我が戦姫を守る?必要とあらばそうするさ。だが今の彼女は私の守りを必要としている状況ではないのでね」
ハハハと笑ったウォズは真顔になると未来に顔を近づける。
「君には期待していたのだがね。我が戦姫の為に奮い立てないとは残念極まりない」
本に記されているように奮い立ってくれれば未来に力を与えるつもりであったウォズは落胆の感情を込めたため息をつくと立ち去る。
「まぁ我が戦姫が此処まで逃がしたんだ。怪我をしないうちに立ち去りたまえ」
正史の未来とこの世界の未来では辿っている歴史は違う。
だとしても響の為であればと考えていたウォズは自身が勝手に期待して勝手に落胆している。
「あの人の言う通りかもしれない・・・。例え響がもう私を友達と思ってくれていなくても私は響の友達で居たい」
ならばどうする小日向未来と未来は自身に問いかける。
「私は響を守りたいッ!」
この2年間響に会えては居なかったが未来は響がどのような環境に置かれていたかは漠然とながらではあるが知っていた。
先ほどの戦場へと向かっていった響を追って未来も駆けだしていった。
◎
グレイブの発動したストレートフラッシュによる二刀流の斬撃をくらいジョーカーが大地を転がる。
「グゥッ!」
「勝者は決まりだ」
ふらつきながらも起き上がるジョーカーへと向けてグレイブがラウズカードを投擲し封印をしようとするがグレイブを飛び越えながら現われた響はシンフォギアを纏う際に展開されるリングを用いてラウズカードを弾く事でジョーカーの封印を阻止する。
「貴様何故此処に戻ってきた!!」
「誰かに任せたら私は私を殺そうとする世界に負ける。そんなふざけた運命、受け入れる訳にはいかない」
拳を握りしめた響はグレイブに殴りかかる。
「とっとと起きろ風鳴翼!!シンフォギアを纏えるアンタはこんな奴の好きにされる程弱くないはずだ!!」
「無駄だ。この女の魂は間もなく消える」
「お前には話しかけないッ!」
翼の魂が消えると言うグレイブに響は拳を振るうが掴み取られ腕を捻られるとワイルドキングラウザーで斬られ殴り飛ばされた。
◎
――2041年?
黄昏のライブ会場が激しく揺れると外縁部に居たアルビローチが発火し塵になる。
「これは・・・」
今まで風が吹くことの無かったライブ会場に揺れを契機に風が吹き始めるとタランチュラアンデッドは風に混じって微かに聞こえる声に気づく。
「この声は・・・。そうか、これを彼女に届けることができれば!!」
項垂れている翼に向けてタランチュラアンデッドは風を操り彼女に声を届かせる。
「翼・・・」
「・・・奏?でも奏は」
もう死んでいる筈の者の声が聞こえた事で翼が顔を上げ周囲を見渡すとアルビローチにようやく気がつく。
「なんだこいつらは・・・」
「ようやく、目を覚ましたようだね」
「貴様は、奴らの仲間か」
「違う。私は君に声を届けただけだ」
タランチュラアンデッドはそう言うと翼に再び風を運び声を聞かせる。
「翼、聞こえてるか?」
「奏!!本当に奏なの!?」
「他の誰が居るのさ」
翼は後ろから優しく抱きしめられる。
「居るなら顔を見せてよ奏」
「ホント、あたしが居ないと泣き虫だな翼は」
「奏が言ってたみたいに私、ぽっきり折れちゃった」
奏があの世から自分を迎えに来てくれたと思い奏へと振り返ろうとした翼は頬を殴られた事で倒れる。
「奏?」
「なんと・・・」
殴られ戸惑う翼本人そしてこの行動は予測できなかったタランチュラアンデッドも口を押さえて驚く。
「ぽっきり折れただぁ?あたしの知ってる翼は泣き虫だとしても絶対に折れたりする奴じゃなかった!!だからこんな奴にちょっと小突かれたくらいで負けるな!!」
「でも奏。私じゃ奴に勝てない・・・」
「だったらあの子と手を合わせろ。アイツ、口は悪いけど根っこは良い奴だ」
奏に手を取られ立ち上がった翼の目にノイズ混じりであるがグレイブと戦う響とジョーカーが写るスクリーンを目にする。
「立花・・・」
『アンタはあの日奏さんと一緒に私を助けてくれた!!今・・・その恩を返す!!だから早く起きろ!!アンタはこんな所で死んで良い奴じゃない!!』
一の攻撃で十の反撃を受けながらも戦い続ける響を見て翼は動揺する。
ガングニールを纏う響を受け入れることができず頑なに拒絶の態度をし続けてきた翼を助けようとする響に。
「な?言ったろ」
スクリーンの中で響とジョーカーがバーニングディバイドをくらい大地を転がる。
「でも手を合わせると言ってもどうすれば・・・」
「ならば私を使うと良い。今から君を現実に送り返す。クラブのキングをアブソーバーに読み込ませるんだ」
タランチュラアンデッドが翼に手を翳すと彼女の意識が現実世界へと帰って行く。
「翼!あの子は歩み寄ってくる翼を拒絶するかもしれない。だけどそれでもあの子は誰かと手を繋ぎたいと思ってる」
「どうして奏はそこまで立花を気にかけるの?」
「あたしが最後に守れた子だからかもな」
翼が現実世界に送り返されると今まで身じろぎしていただけのアルビローチが奏とタランチュラアンデッドに襲い掛かる。
「また彼女を引きずり込むつもりか」
「させるかよ。全部駆逐してやるゴキブリ共!!」
精神世界に再び翼を引きずり込ませないために二人はアルビローチと戦い始めた。
◎
先ほど受けたバーニングディバイドによって倒れる響とジョーカーに向けてグレイブはロイヤルストレートフラッシュを放とうとする。
「終わりだ」
「此処までなの?」
「運命に勝のだろう。ならば立て!!」
立ち上がるジョーカーと共に響も立ち上がり両者が共に拳を握りしめグレイブへと向かっていこうとする。
ボロボロの状態で駆けてくる二人にグレイブがワイルドキングラウザーを振りかぶろうとすると未来に腕を掴まれる。
「未来!?どうして此処に!!」
「覚えててくれたんだ・・・。これが私にできる精一杯だから!!だから今のうちに!!」
だが腕を掴まれ止まったのは不意を突かれたからでありただの人間などグレイブに容易く振り払われる。
「たかが人間が邪魔をするな!!」
「やめろぉ!!!」
ワイルドキングラウザーが振り払われた未来に辺り彼女を切り裂く直前で止まる。
「なに!?」
「これ以上・・・私の身体を好きにはさせないッ!」
「馬鹿な!!既に消滅してもおかしくないはずだ!!」
震える手からワイルドキングラウザーがこぼれ落ちるとキングフォームが解除される。
「なにをするッ!」
「私は防人だッ!」
エボリューション・タランチュラがラウズアブソーバーにリードされるとグレイブバックルから変身解除時のオリハルコンエレメントが展開されると黄金に輝くタランチュラアンデッドのアンデッドクレストがそれを砕き翼とアルビノジョーカーを分離させる。
「ぐっ!あぁ・・・!!」
唸りながらデスサイズを翼と未来に振り下ろそうとするアルビノジョーカーが怒りで力をこみ上げさせた響に蹴り飛ばされラウズカードが全て舞い散る。
「未来だけは失いたくないんだ。だからもうこんな無茶はしないで」
座り込む未来と翼の前に立った響の横にスピリットを取り戻した始が立つ。
「ふざけるなぁ・・・!俺は今度こそバトルファイトの真の勝者になる!!」
『ブレイド・・・!』
アナザーブレイドに変身したアルビノジョーカーが大剣を構えると響の足元に落ちているチェンジビートルが光を放つ。
「なんで光って?」
思わず拾い上げた響の手の中でチェンジビートルは更に光を放ちブレイドウォッチへと姿を変える。
「ライドウォッチ!!」
手に持つブレイドウォッチを響が起動すると左腕のガントレットが展開しライドウォッチをセットするスロットが現われる。
「此処にって事か」
「余所見をするな!!」
「我が戦姫の記念すべき初の継承の儀だ。邪魔しないで貰おう!!」
アナザーブレイドの大剣を受け止めたウォズはアナザーブレイドは手のひらで押し後退らせる。
「我が戦姫、お早く」
「言われなくても分かってる」
ウォズに促された事で響がスロットにブレイドウォッチをセットするとスロットが閉じる。
『ライダーリンク!!』
オリハルコンエレメントが展開されると響はそれを潜り抜けるとブレイドを模した追加装甲が装着される。
『TURN UP』
『ブレイド!!』
振り下ろされたアナザーブレイドの大剣をブレイラウザーで受け止め弾く。
「祝え!!!新たなる戦姫の誕生を!!!その名も立花響ライダーリンクギアブレイド!!!運命と闘うライダーの力を手にした瞬間である!!!」
「うるさいし恥ずかしい」
響がウォズに文句を言っていると始が彼女の横に並びカリスラウザーにエボリューション・パラドキサをリードする。
「変身」
『EVOLUTION』
13枚あるハートのラウズカードが全てカリスと融合することにより彼を仮面ライダーワイルドカリスへと進化させる。
「おおおおおおお!!!」
電撃を纏わせた大剣を上段に構え雄叫びをあげながら駆けてくるアナザーブレイドに対しワイルドカリスは醒弓モードのワイルドスラッシャーを構える。
「貴様にその力を振るう資格はない」
構えたワイルドスラッシャーに13枚のハートのラウズカードが融合したワイルドカードをリードすることでワイルドカリスはワイルドサイクロンを発動する。
「ぐぁぁぁぁああああ!!!」
上げていた雄叫びが絶叫に変わり吹き飛びアナザーブレイドが地を転がる。
「今だやれ」
「ああ」
『ビート』
『サンダー』
『マッハ』
『ライトニングソニック』
蹴りではなく拳のライトニングソニックを発動した響は駆け出し飛び上がると起き上がったばかりのアナザーブレイドを殴り飛ばす。
殴り飛ばされたアナザーブレイドが怨嗟の籠もった断末魔を上げ爆散すると爆炎の中からウォッチが二つ飛び出すと片方のアナザーウォッチが砕けもう片方をウォズが掴み取る。
「仮面ライダーグレイブのウォッチか」
「それどうするの?」
「要るのかい我が戦姫?」
「あんな奴のウォッチなんて要らない」
「では私が持っておこう」
ウォズがグレイブウォッチを懐にしまい込むとワイルドカリスから光の粒子が放たれる。
「始さん、身体が・・・」
未来に指摘された事でワイルドカリスは自身に起きて居ることに気がつくと始の姿に変身する。
「これは、そうか・・・」
「どうやら理解したようだね」
「なにが起こってるんですか?」
「アナザーブレイドが撃破された事でこの世界からブレイドの世界の住人である彼は元の世界へと戻され始めたのさ」
ウォズの言っていることは正しいと始は頷くとブレイドウォッチと同様にチェンジマンティスが変化したカリスウォッチを響に差し出す。
「お前が持っておけ」
「良いの?」
「ああ、俺にはこの力はもう必要ない。運命と闘い続けるお前が持っておくべきだ」
響がカリスウォッチを受け取ると始の姿が更に消えていく。
「その子を守りたいのであれば、運命に勝て」
「分かった勝ってみせる」
返答を聞いた事で始は満足したのか世界から消えた。
◎
――2008年
アルビノジョーカーによって再開されたバトルファイトが幕を閉じてより数ヶ月後戻ってきた平和を仮面ライダーだった者達は謳歌していた。
そしてフォーティーンへの生け贄へとされていた栗原天音もまた平和な日々を過ごしていた。
現在買い出しに向かっている母親が居ないため一人でハカランダの店番をしている天音とカウンター席に座りカレーを食べている剣崎の二人だけが店内に居る全員であった。
「天音ちゃん、料理の腕あがったんじゃない?」
「やめてよ、それただのレトルトだから」
「野菜の切り方とかでも変わってくるって虎太郎も言ってた」
「ますますお世辞に聞こえる」
「そうかぁ」
店の出入り口にあるベルがなり客の来店を告げる。
それを聞いた天音は接客に向かう。
「いらっしゃいま・・・せ・・・」
「ただいま」
だがハカランダに来たのは客ではなかった。
「天音ちゃんどうしたの?」
いつもは直ぐに客を連れて戻ってくる天音がなかなか戻ってこないためカレーを一気に掻き込んだ剣崎は天音の元に向かい絶句する。
「剣崎」
「始・・・。お前、どうして」
「俺の運命に勝ったんだ」
「始ぇ!!」
良く分からないが死んだと思っていた友が帰ってきたことで感極まった剣崎が始に抱きつこうとすると天音に押しのけられる。
「お帰り、始さん」
「うん、ただいま天音ちゃん」
天音を抱きしめ返す始を見て剣崎は自然と笑っていた。