ン我が戦姫!!   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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ブルーフレイムボディ:2043

 マリアとクリスの現時点における拠点となっている廃工場に彼女達にアナザーウォッチを渡した木場が現われる。

 

「仕事か?」

「ああ、君にではなく。また雪音さんだけにだ」

「またこの子一人だけに行かせろと言うのか?」

 

前回響に襲撃をかけた際に本物のファイズにやられかけたという事を知っているマリアは難色を示す。

 

「そもそもとしてフィーネはどこに居る」

「僕も仲間からの伝言で君たちに伝えているだけだ。それに君が雪音さんを心配する気持ちは分かる」

「心配なんて貴方にされる必要はない」

 

姉と仰ぐマリアにはともかく最近見知ったばかりの木場に心配される謂われはないとクリスが苛立つと木場は彼女の身体に腕を突っ込み埋め込んであったアナザーファイズウォッチを取り出す。

 

「僕は心配していない。君のお姉さんが心配しているんだ」

「返せ・・・それは私の力だ」

 

木場の行動を見たマリアがアナザー鎧武に変身しようとするのを木場は制止するとアナザーファイズウォッチにファイズアクセルのミッションメモリーを吸収させ起動する。

 

『ファイズアクセル・・・!!』

 

「君はファイズの力を使いこなせていない。だから海堂の変身したファイズに負けたんだ」

 

強化されたアナザーファイズウォッチを埋め込まれたクリスは本人の意思を無視してアナザーファイズウォッチが彼女をアナザーファイズに変身させる。

 

『ファイズアクセル・・・!!』

 

銀色に染まった身体に滾る今まで以上の力に万能感を覚えたのかアナザーファイズは赤黒い複眼を光らせる。

 

「凄い・・・!これなら負けない」

「相棒・・・」

「大丈夫姉さん、だってなんだか今はとっても気分が良いから・・・」

 

『Start up・・・』

 

一瞬で消え響の捕獲に向かったアナザーファイズを追うために自身も変身しようとしたマリアの行く手を木場が遮る。

 

「どけ」

「君には君の仕事がある。また乱入されてはいけない。風鳴翼と海堂の足止めをしてくれ」

 

世界にノイズが走ると木場の姿は既になく廃工場にはマリアだけが残される。

 

「ふざけるな!私からまた妹を奪うのか!!・・・私の判断ミスだ。力に魅せられたか・・・。だがこの力は既に私の物だ。この地獄にあってもあの子だけは守る、守ってみせる」

 

抑えきれぬ怒りをドラム缶を蹴り飛ばすことで僅かに抑えたマリアはクリスを探しに向かった。

 

 

 

 

 

 

 なんだか距離が近いと響は翼に対して感じていた。

また会いに来ると言って自宅のある街に帰った未来はともかくとして何故この人がこんなにまで自分に構ってくるのかと響はアナザーブレイド撃破以降に距離を急速に縮めてこようとする翼に対して得体の知れない恐怖を感じていた。

 

「見てくれ立花!!友達の間では同じ物を身につけるのが流行っているらしい!」

 

この人全くこっちの話しを聞いていないと頬をひくつかせる響に翼は色違いのペアバングルのどっちが良いかを聞いてくる。

 

「なんで着いて来ちゃったんだろ」

 

断っても毎日自らの所に来そうな勢いだったために一度はと妥協し響は翼に連れ回され今はショッピングモールへと来ていた。

 

「此処に来るまでに何回も言ってるけど私とアンタは別に友達じゃない」

「そうか・・・」

 

やめろそんな捨てられた子犬みたいな顔をしないでくれまるでこちら側が悪者見たいじゃないかと察した響は翼の手の中にある青い方のバングルを仕方なしに選ぶ。

 

「私が良いと思ったから買うだけだから」

「立花!」

 

翼の手の中には黄色のバングルが残されていた。

 その光景を離れた場所から見ていたウォズは本人的には優しく微笑んでいるつもりであるが傍から見れば良からぬ事を企んでいそうな笑みを浮かべていた。

 

「健全な青春を送れているようで安心したよ我が戦姫。やはり君の本質は変わらないらしい」

「なにしてるんですか?」

「おや未来くん。そう言う君こそ何故此処に?」

「響から困ってるって連絡が来たから」

 

困っている、それはきっと翼の相手が一人では手に余ると言うことなのではないかと気づいたウォズは響の元に行こうとする未来を止める。

 

「今、我が戦姫は二人目の友人ができるかどうかだ。此処から共に見守ろうじゃないか」

「響に私以外の友達!・・・分かりました此処から応援します」

「それでこそ我が戦姫の陽だまりだ」

 

不審者が二人に増えた。

 

 

 

 

 

 

 救援のメールを未来に送った結果今日は都合が付かないとの返事が来たことでドッグランに来た犬のようにテンションの高い翼の相手を一人ですることになった翼は夕方になる頃にはノイズと戦った後のように疲労困憊になっていた。

 

「イメージが崩れる・・・。崩れた」

「なぁ立花、私たちはもう友達と言っても過言ではないのではないか?」

「友達・・・」

 

今でこそ未来は違っていたと分かる響であるが未来以外のかつて友達だった者達は自身がライブ会場の惨劇の生き残りだと知ると人殺しと責め立て悪意をぶつけてくる者達と一緒になって自身を攻撃してきた。

 

「分からない」

「・・・そうか。ならこれから――「来い」

 

仲良くなろうと言いかけた翼の背後で突如クラックが開くとアナザー鎧武が彼女をクラックに引きずり込む。

 

「アナザーライダー!!」

 

手を伸ばすが届く前にクラックが閉じてしまい翼を掴もうとした響の手が空を切ると上空から身を刺すような殺気が降り注ぐ。

 

「ッ!?」

 

次の瞬間に自身の周囲に無数のポインティングマーカーが出現したのを見た瞬間に響が聖詠を歌いシンフォギアを纏う。

 

――Balwisyall nescell gungnir tron

 

「ぐぅぅぅうぅううう!!!」

 

間髪おかずに襲ってきた蹴りによってシンフォギア構成時のリングに亀裂が入るが辛うじて纏い終え最後の蹴りを響は防御する。

蹴りを防がれた事で襲撃者は響を蹴りつけ跳躍すると着地すると夕日の元にその姿を晒す。

 

「お前はッ!」

「また会ったね」

 

両腕をだらりと下げ残心するアナザーファイズに対して響が

 

「翼さんをどこにやった」

「さぁ?姉さんに聞かないと分からないよ」

「どいつもこいつも私から奪っていってふざけるな」

 

体表から熱を放っているのか周囲を陽炎のように揺らめかせるアナザーファイズが一歩踏み出すと一秒の間も置かずに響が殴り飛ばされる。

 

「さっさと降参しなよ。今の私には誰も勝てない」

「強くなったのがアンタだけとは思うな」

 

『ブレイド!!』

 

ブレイドアーマーを纏った響はアナザーファイズの超スピードに対抗するためにマッハを使用し自身も加速状態となる。

 姿が見えない程に加速した響とアナザーファイズの戦闘により周囲の地形が破壊されていくのを響と翼を見守っていた未来は勿論見ていた。

 

「ウォズさん。私が響の為に奮い立つ事に期待してたってこの前言いましたよね」

「確かに言った。そして君はアナザーブレイド撃破へと貢献した。記されているよりも些か早いが構わないか」

 

ウォズは本を取り出し開くとページの中に手を入れギアペンダントを取り出す。

 

「さぁ受け取りたまえ」

「これって」

「君の求める我が戦姫と並び立つ事のできるものだ」

 

ガングニールと同じくライドウォッチを使用できるように調整されたシンフォギアを受け取った未来は戦場へと向かっていった。

 マッハの効果が切れた所に無数の拳撃を受けた響が地面に激突しバウンドすると態勢を整え着地する。

 

「危なかった・・・」

 

拳を受ける前に咄嗟にメタルを使用していたことでダメージを最小限に抑えた響が口元の血を拭うと彼女の横に未来が立つ。

 

「未来!?どうして此処に!?」

「それを説明すると長くなるけど。今の私は響と一緒に戦える!!だから見てて私の変身!!」

 

もう自分はただの人間ではないと未来は盛大に焦る響の前で聖詠を歌う。

 

――Rei shen shou jing rei zizzl

 

ウォズの調整を受けたシンフォギア特有のリングが出現し未来を包むと彼女にシンフォギアを纏わせる。

 

「それって・・・シンフォギアッ!」

「祝え!!新たなる戦姫の誕生を!!その名も小日向未来!!遍く邪悪を祓う光が照らされし瞬間である!!」

「祝えるかッ!」

 

叫ぶ響を尻目にウォズは響のライドウォッチホルダーからカリスウォッチを取ると未来へと渡す。

 

「使うと良い」

「確か・・・」

 

響が使用していた所を見ていた未来は彼女の見様見真似でカリスウォッチを起動しカリスアーマーを纏う。

 

『CHANGE』

『カリス!!』

 

それを見たウォズは再び本を開くと声を張り上げる。

 

「祝え!!」

「スパンが短い!!それと後で話があるから!!」

「叱責は受けよう。我が戦姫」

 

ウォズを小突いた響は未来と並ぶとブレイラウザーを構える。

 

「未来にも後で話しがある」

「私も響と話しがしたい」

 

並び立つ二人の視線の先で律儀に待っていたアナザーファイズが剣を取り出す。

 

「終った?」

「ああ、今からお前が終る」

「響を狙う貴女を私は許さない」

 

アナザーファイズの剣にフォトンブラッドが充填されていき赤黒い光を放ち始める。

 

「地獄に貴女みたいな光は要らない。この地獄には身を焦がす業火だけで良いッ!」

 

『Reformation・・・』

 

身体から噴き出した青い炎を剣を振るい払ったアナザーファイズが二人へと向けて駆け出す。

 

「加速しない?」

「我が戦姫、恐らく今のアナザーファイズはアクセルフォーム。アクセルフォームの加速には十秒と言う時間制限が存在する」

「なるほど」

 

つまり先ほど噴き出した青い炎はオーバーヒートを起こしていると察した響はアナザーファイズが再び加速を行う前に倒すために未来と共に駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 ヘルへイムの森に引きずり込まれた翼は海堂に揺すられた事で目を覚ます。

 

「お~い、大丈夫か?」

「此処は?」

「分かるわけないでしょ~が。変な侍が出てきたと思ったら此処だからな」

「貴方もか・・・」

「同じ口か・・・」

 

此処に連れて来られる際に通ったクラックを通らなければ帰れる確率は限りなく低いと言うことは二人は理解しておりクラックを探しに行こうとしたときに地面を踏みしめる音に気づく。

 

「何かが来る・・・」

「あの侍か?」

 

海堂の予測通り木々を掻き分けアナザー鎧武が姿を現す。

 

「おいでなすったか!!」

「待て、今は戦うつもりはない」

 

ファイズに変身しようとする海堂を止めアナザー鎧武は変身を解除する。

 

「お、おぉ・・・ん?お前あの時の地獄女だな?玄関の修理代払え!」

「地獄に漬けておけ」

「良し分かった地獄払いね・・・いや今すぐ現金払いでしょーが」

「貴方が口を開くと話が進まない!!」

「はい・・・」

 

押し黙った海堂を押しのけた翼がマリアへと詰め寄る。

 

「戦うつもりが無いのであれば何故私たちを此処に連れてきた」

「此処であれば奴に話を聞かれないだが時間も無い故に単刀直入に言う。妹を助けてくれ、このままではまた私の過ちで家族を失ってしまう」

「なに?」

 

以前出会った頃のように投げやりな様子ではなくただ家族を思う一人の人間として頭を下げ頼み込むマリアを見て翼はぶつけたい文句を呑み込むとマリアの頬を一発殴る。

 

「貴様にはこれだけでは済まないほどの怒りがある。だが、貴様の家族を思う気持ちに免じて今回は手を貸してやる。次に会えば斬る」

「あの子が助かるのであれば構わない」

 

翼からの了承を受け取ったマリアは海堂に視線をやる。

 

「死んで良い命は無いからな。海堂様が一肌脱いでやるよ。助けてたらお前ら俺のとこで働いて玄関代返せ」

「良いだろう。地獄のラーメンを振ってやる」

「うん、普通ので良い」

 

戦場へのクラックが開かれると二人はそこに向かっていく。

 

「貴様は来ないのか」

「アナザーライダー同士が戦えばどちらかのダークライダーが現われる。それは避けたい」

「了解した」

 

マリアからの説明を受け翼と海堂は変身するとクラックを潜り抜けた。

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