オーバーヒートによって噴き出す青い炎を剣に纏わせて斬りかかってくるアナザーファイズに響はブレイラウザーにブリザードとスラッシュをリードし吹雪を纏わせ剣を受け止める。
『ゲル』
『ジェミニ』
液状化した上に分裂したカリスアローから放たれた光弾がアナザーファイズに着弾し炎を掻き消し攻撃の威力を下げるがアナザーファイズの冷却を助けてしまう。
「威力は下がったけど」
「速くなったッ!」
再度加速し突撃してくるアナザーファイズに応じて響はマッハを使用し自身も加速する。
二人以外がスローモーションとなった世界で攻防を繰り広げながらも響はアナザーファイズに問いかける。
「なんで私を付け狙うんだ!!」
「さぁ?でも貴女を捕まえれば姉さんが褒めてくれるッ!」
前回襲われた後に思った事をぶつけるが襲ってきているアナザーファイズ事態も何故響を捕まえねばいけないのかを知っていない現状に心の中で嘆息する。
「だから大人しくしろッ!」
「嫌に決まってるでしょ。アンタみたいな奴に捕まったら何をされるか分かったもんじゃない」
フォトンブラッドを纏わせた拳を振るってくるアナザーファイズを響は躱すと素早くビートとサンダーをリードしアナザーファイズにアッパーカットを放ち殴り飛ばす。
アナザーファイズが地面に倒れると共に両者の加速が終了するとアナザーファイズから再び青い炎が噴き上がる。
「う、がぁ、ぐぅぅうう・・・」
先ほどよりも炎を止めるのに苦戦したのか炎が消えると共にアナザーファイズの身体の一部が灰となって崩れ落ちるとアナザーファイズの変身が解除される。
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
「力も使いこなせない奴に負ける程私は弱くない」
諦めて去れと言う響をクリスは口内の半ば固形化した血を吐き捨て再びアナザーファイズに変身する。
『ファイズアクセル・・・』
「この力は私の力だ・・・」
「もうやめた方が良いよ!その力は貴女を殺してしまうと思うから!」
「何も知らない奴が口を挟むな!」
こんな少女が変身しているとは思っていなかった未来がアナザーファイズに変身を解除するように促すが返答と共に銃を撃たれた事で拒絶される。
「こういう奴は殴った方が早い」
「響・・・。でも、話してわかり合えるなら」
戦うだけがアナザーファイズを止める方法ではないはずという未来であったが響は倒した方が早いと言いアナザーファイズへと駆けていく。
「響!!」
「未来君、アナザーライダーに関しては我が戦姫が正しい。アナザーライダーは歪んだ仮面ライダーの力。使い続ければどれ程の善人であろうと狂人に成り果てる。雪音クリスは既に片足を踏み込んでいると見て良い」
「だったら尚更止めないと!!」
ウォズの言葉を聞いた未来はアナザーファイズを止めるために響の援護へと向かう。
「さて、アナザーファイズを倒すためには海堂直也の助力が必要なのだが」
「だったら間に合ったぜ」
「敵であれ命を救ってくれと頭を下げられれば断ることはできない」
クラックの開く音と共に現われたファイズと翼が暴走しているように見えるアナザーファイズを見て戦闘態勢に移る。
「アナザー鎧武を倒したのかい?」
であれば鎧武の助力があったと考えるウォズであったがそもそもアナザー鎧武を倒していないと翼に否定される。
「奴に君たちを逃がす理由はないはずだが」
「なに、奴が妹想いだったというだけだ」
翼からの返答を聞いたウォズはなるほどと納得するが新たに疑問が生れる。
「雪音クリスに姉?」
正史しか知らぬウォズにとってはクリスに姉が居ると言う情報が謎でしかなかった。
加勢に来た翼とファイズを見てアナザーファイズは激しく動揺する。
「どうしてお前達が・・・。まさか、姉さんを殺したな!!」
「段階をすっ飛ばしすぎだ!!」
マリアを殺し二人は此処に来たと判断したアナザーファイズは加速を行うと翼とファイズを蹴り抜くと響と未来の二人がラウズカードを使用する前に翼らとどうように蹴り抜き地面を転がす。
「はぁ・・・はぁ・・・うッ!」
加速が終了したアナザーファイズの口元から赤い結晶がポロポロと零れ落ちる。
「・・・鉄の匂い。あれは血か」
「肉体の限界を彼女は既に超えている放っておいてもアナザーファイズは撃破できるが。我が戦姫、如何にする?」
既に青い炎を消そうともしないアナザーファイズが溢した結晶の正体に気づいた翼が早く体内からウォッチを排出させねばと刀を構えるとウォズがもう戦わずとも奴は倒せると言う。
「別に私は奴を殺そうだなんて思ってない」
殺せばそれはノイズと同じ事だと響の目が語っていた。
「君ならそう言うと思っていたよ」
ウォズは響の言葉を聞き満足そうにしているとファイズが変身を解除する。
「俺じゃ加減が難しいっちゅーか殺しちまうからな。あの偽ファイズの相手はお前に任せたぜ」
海堂の手の中でファイズフォンがライドウォッチに変化すると響に投げ渡す。
そして事前に呼び出しておいたのか戦場に到着したオートバジンがデルタギアの入っている筈のアタッシュケースからデルタウォッチを取り出すとそれを未来に向けて投げる。
ウォッチを受け取った響と未来を見て翼は此処からは二人だけがアナザーファイズを相手取るべきと考え一歩引く。
「大して役には立たなかったが此処からは任せた」
「言われなくても私はやるよ」
受け取ったウォッチを使い二人は新たなライダーリンクギアをその身へと纏う。
『ファイズ!!』
『デルタ!!』
響と未来の纏っているシンフォギアの上を這うようにフォトンストリームが流れると追加装甲が形成される。
『COMPLETE』
『ファイズ!!』
ファイズアーマーを身に纏った響は無意識のうちに手首をスナップさせる。
『COMPLETE』
『デルタ!!』
そしてデルタアーマーを纏った未来は深く深呼吸をすると目の前のアナザーファイズを見据えた。
「祝え!!新たなる戦姫の誕生を!!!その名も立花響ライダーリンクギアファイズ!!!闇を切り裂き光りもたらす救世主の力を手にした瞬間である!!!」
「やっぱり・・・」
「私は?」
「我が戦姫はどうやら続け様に祝うのはお気に召さないらしい」
「そう・・・」
もしかして未来はウォズのこれをされるのをあの一回で気に入ったかのかと響は戦慄するが今それよりも目の前の奴だと意識を戦いに引き戻す。
青い残光を引きながら加速したアナザーファイズに合わせ響はファイズアクセルGを起動し自身もアクセルフォームとなり加速を行う。
『Start up』
「ふッ!」
灰となり身体を崩れ落としていきながら殴りかかってくるアナザーファイズの拳を受け止めた響はアナザーファイズを地面に叩きつけバウンドさせると空中へと蹴り上げると右脚にファイズポインターGを生成すると飛び上がりアナザーファイズに槍状のポインティングマーカーを放ち拘束する。
目の前で幾つものポインティングマーカーに囲まれ空中で拘束されるアナザーファイズに未来はブラスターモードのデルタフォンの照準をアナザーファイズに合わせる。
「チェック!!」
『Exceed charge』
放たれた白銀のポインティングマーカーがアナザーファイズに着弾すると未来は駆け出し跳躍するとアナザーファイズへと向けて蹴りの態勢を取る。
そして響の放ったアクセルクリムゾンスマッシュの最後の一撃と未来の放ったルシファーズハンマーが同時にアナザーファイズを貫く。
ファイズとデルタの紋章を浮かび上がらせ爆発したアナザーファイズが居た場所にクリスが倒れ伏すと彼女近くにクラックが開くとアナザー鎧武が現われる。
「・・・感謝する」
その一言だけを言ってアナザー鎧武はクリスを優しく抱きかかえクラックの向こうに消えた。
「なに今の?」
「奴の姉だ」
「姉妹揃ってアナザーライダーって・・・」
妹がそうであれば姉もかと響は呆れからでる溜息をついた。
「でもそうしないといけない理由があったと思うんです」
「奴はしきりに地獄と口にしていた。過去に一体何があったのか・・・」
あの二人に一体何があったのかと翼が溢すと響がウォズを見る。
「アンタだったら何か知ってるんじゃない?」
「アナザー鎧武が誰かは分からない今下手な情報を得るのは良くない」
ウォズにそう言われたものの響はクリスに大して興味は持っていないのかふーんと流すと始と異なりいつまでも消えない海堂を不思議そうに見る。
「おう、どうした?」
「いや消えないなって」
「んん?俺消えた方が良いのか?」
そんな風に思われてたのかと海堂がショックを受けているとウォズがフォローに入る。
「彼が消えないのはこの世界に木場勇治が存在しているからだろう。彼の存在がこの世界にファイズの歴史があったことを証明している」
「ちゅー事は木場を止めるのが俺のやる事ってなわけか」
だったらそれは俺に任せておけと言った海堂はオートバジンに跨がるとラーメン屋に帰って行った。
「さて、貴女は一緒に来てくれるわよね?」
「えっと・・・。はい」
肩を掴まれた状態で翼にそう言われた未来は頷くしかなかった。
「未来が行くなら私も行く」
「立花。ようやく二課に」
「まだ決めたわけじゃない」
未来が入らなければ自分も入らないと言う響に翼はやっぱりそう言うかと思うのであった。
◎
自らの研究室にてビルドウォッチの解析を進めている了子はビルドウォッチに内包された仮面ライダービルドの歴史より偶然にもクローズウォッチの生成に成功していた。
「なんで分裂するように新しい物が出てきたのかが分からないのよね」
だがそれは単なる偶然でありライドウォッチの生成をすることはできていなかった。
休憩を終らせた了子が再びビルドウォッチの解析に取りかかろうとすると硝子を引っ掻くような音が響く。
「なに?」
響き続ける音に了子が耳を押さえていると強烈な眠気が彼女を襲う。
やがて眠気に耐えきれずに了子が意識を落とすと鏡の中に仮面ライダーオーディンが現われる。
「立花響を捕らえることもできなかった癖に良く顔を出せたな」
起き上がり光に包まれた了子の身体がフィーネとなる。
「ならば戦え。それが優衣の為になる」
鏡の中のオーディンは頼んだ仕事を果たすこと無く此処に来た自身に文句を言うフィーネにそう言うとオーディンはブランクウォッチを鏡から手を出しフィーネに差し出す。
「・・・私に戦えと?良いだろう、この力で私は再び塔を築く」
フィーネがブランクウォッチを受け取るのを見たオーディンは鏡の中から姿を消す。
手の中にあるブランクウォッチがアナザービルドウォッチへと変化するとフィーネはそれを躊躇いもなく起動し取り込むとアナザービルドへと変身する。
『ビルド・・・!!』
そしてビルドウォッチを掴み取ると研究室に安置してあるネフシュタンの鎧と同化させビルドウォッチをブラッドウォッチへと変化させるとそれも取り込んでしまう。
『ブラッド!!』
仮面ライダーブラッドへと変身したフィーネは天に向けて手を伸ばす。
「私は今再び天を目指す!!」
アナザービルドウォッチの影響で昂ぶる感情を抑えフィーネは変身を解除すると了子に身体の主導権を返すと自身は奥底へと帰る。
「ん・・・。疲れているのかしら・・・」
突然眠ってしまった自身に疲労が溜まっているのかと思う了子はビルドウォッチが無くなっていることに気がつくと盛大に焦る。
「うっそぉ!?いつの間に消えちゃったの!?」
「了子くん今大丈夫か?」
「え、ええ!!大丈夫よ!!」
全然大丈夫ではないが思わず大丈夫と答えた了子に弦十郎は研究室に入ってくると要件を伝える。
「翼が響くんと新たな装者を連れて帰ってきた。メディカルチェックを頼みたい」
「また新しい装者!?」
自身が作った覚えのないシンフォギアがまた出てきたことに驚きつつも了子は未来の精密検査に向かった。
◎
街のどこかにある廃墟にて。
肉体の限界を超えるアナザーファイズの力を行使したことによって眠り続けているクリスの手当を自らのできる範囲で行っていた。
「目を覚ましてくれ・・・。この地獄は私一人では暗すぎる」
できるだけ暖かくあれるようにマリアは自身を毛布の代わりとして掛けてクリスに膝枕をしていると近くから物音がする。
「誰だ!!」
クリスを優しく膝から下ろしたマリアはアナザー鎧武に変身すると物音がした場所に向け大剣を振るう。
「ぬわぁぁあああ!!」
「何処から来た」
情けない悲鳴を上げたトレンチコートの男にアナザー鎧武が尋ねるとスカジャンを着た男がアナザー鎧武に跳び蹴りを喰らわせる。
「いきなり戦兎に何しやがる!!」
「万丈!!」
跳び蹴りを喰らってもビクともしなかったアナザー鎧武は万丈と呼ばれた男の足を掴むと戦兎と呼ばれた男に向けて叩きつける。
「何やってんの!!全然利いてないじゃない!!」
「おかしいな、スマッシュには利いてたぜ?」
「訳の分からない事をゴチャゴチャと。これ以上妹には近づかせない」
アナザー鎧武のその言葉に反応した二人がアナザー鎧武の奥で寝かされているクリスを見て両手をあげる。
「「タンマ!!」」
それを降参の意と取ったアナザー鎧武が刃を納めると戦兎が口を開く。
「その子怪我してるんだろ?俺だったらもっとマシな手当ができる」
「なに?・・・信用して良いのか?」
「俺達は仮面ライダーだ。これで伝わるかは分からないが信用してくれ」
「ダークライダーではないのだな?」
ダークライダーつまり悪い仮面ライダーと聞いて二人は自分達が戦った仮面ライダーエボルやブラッドの事を思い出すと即座に否定する。
「あんな奴らと一緒にすんな」
「・・・見るからに嘘なんてつけなさそうな貴様に免じて信じてやる」
変身を解除したマリアは警戒はしつつも二人をクリスの元に連れて行く。
「これは・・・万丈今からメモ渡すから買ってきてくれ。お使いくらいできるだろ」
「そこまでの馬鹿じゃねぇよ」
クリスの容態を見た戦兎がメモを渡すと万丈をそれを買いに行く。
「お前、医者か何かか?」
「俺はエグゼイドと違って医者じゃなくて物理学者だ。ま、それでも仮面ライダーやってるからな多少の医学知識はある」
「私は日本で仮面ライダーと呼べる奴を二人見た。奴らは何故見ず知らずの他人の為に戦える」
マリアからの疑問に戦兎は即答とも言えるスピードで答える。
「誰かの為に力になれたら、心の底から嬉しくなって顔がクシャってなるんだよ。俺はだけどな」
「心の底から・・・」
戦兎の答えを聞いたマリアは自身の地獄の始まりを想起する。
『みんなを護りたいと望んだのは私・・・だから私は歌うよ』
瞼の裏の炎から逃げるように目を開けたマリアは戦兎を見つめる。
「な、なんでしょう・・・」
「お前、ろくな死に方はしないな」
「えぇ・・・」
唐突な罵倒に戦兎は絶句するしかなかった。