色々スズカさん概念   作:アマシロ

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妹スズカ概念はあれど、姉スズカはいない……
ないならもう書くしかないじゃないか!



 


姉スズカ概念①

 

 

 

 

 

 

―――――兄弟姉妹の関係というのはややこしい。

 

 

 が、家族同然に育った異性というのはもっとややこしい。

 男とか、恋愛とかに一切興味がなさそうな頭サイレンススズカなウマ娘が相手だと余計に。

 

 

 

 

 

「夏祭りかぁ……いいわね」

「あのさあスズカさんや」

 

 

「うん、どうしたの?」

「薄着すぎない?」

 

 

 

 夏らしいノースリーブ、白い肌。

 走ってきたばかりだからかほんのり赤みを帯びたそれはどうにも艶めいて見える。健全な男子高校生にはあまりにも毒だ。

 

 隙間から胸が、というか見えちゃいけないものが見えてしまいそうなくらいには防御力がない。なんだその最速の機能美は。

 

 

 なんでそもそも家に居るの?

 という問題もあるが、そのへんはスズカさんのお母さんの身体が弱かったりとかの家庭の事情なので何も言えない。

 

 

 

 

 

 

「そう?」

「そうなんだよ」

 

 

 

 

 

 なんか見えそう、とは言えない。

 走ってないときはのほほんとしてるが告白してくる男性に「興味がないので」とばっさり切り捨てることで有名な美少女であるスズカさんだが、まあ子どもの頃からの付き合いともなればそれなりに親しいわけで。もし嫌われたらと思うと流石に辛い。

 

 

 

 

「走ってきた後だから。シャワーは浴びたのだけれど……変かしら?」

「防御力が低すぎる」

 

 

 

「ふふっ、何それ」

 

 

 

 

 全然わかってなさそうなこの近所の男子の初恋ブレイカーにして大スター、恋の大逃げウマ娘であるところのサイレンススズカはちょっと面白いジョークを聞いたかのように微笑むと(顔はめちゃくちゃ美人である)、水出しのアイスティーをコップに注いで差し出してくる。

 

 

 

 

「はい。なんだか顔赤いわよ? ちゃんと水分取ってね」

 

 

 

 

――――お前のせいじゃい!

 

 

 

 

 

「……ありがとう」

「どうしたしまして。―――防御力が低い……私って回復役だったのかしら」

 

 

 

 えっちなシスターさんとかそんな感じか。いや(シスター)か。

 とんでもない素早さだし、ハートを盗む系の盗賊の類じゃなかろうか。まあ今回は回復アイテム(アイスティー)を配ってくれたわけだが。

 

 

 

「じゃあ俺は?」

「……うーん、遊び人?」

 

 

 

「なんでさ!?」

 

 

 

 遊び人!? いやスズカさん目線の俺ってどうなってんの!? 初恋拗らせて恋人いない歴=年齢の俺を舐めるなよ!

 と思ったが、何故かジト目でこちらを見てくると指で額を小突きつつ言った。

 

 

 

「だって、何人かの女の子に告白されたんでしょ? 噂になってたわよ」

「へー」

 

 

 

 

 

 いや百人切り達成してそうなお方に言われたくないんだけど。

 というか告白された理由もお断りした原因もこの美人過ぎる幼馴染のせいなので。他に好きな人がいるのに付き合うとか失礼かなって。このままいくと遊び人どころか賢者にジョブチェンジさせられているぞ多分。

 

 

 

 

「美人なウマ娘の彼女がいるって噂もあるし」

 

 

 

 

――――それおま……いやうん…。

 

 

 

 

 まさか自分とのカップル説があるとは思っていないのか、ちょっと拗ねた顔で「あんなに可愛かったのに……」とかなんとか言っている。

 

 

 

 

 

「……ウマ娘の彼女なら連れて来てね。一緒に走ってみたいから」

「それはまあ、もし連れてこれたら互角の勝負かもね」

 

 

 

 

 だって同一人物だし。

 

 

 ピクリ、とスズカの耳が動いた。

 興味が湧いたのか、はたまた闘争心が疼いたのか、笑顔のハズなのに迫力のある表情でグラスを置いて。氷がカランと高い音を立てた。

 

 

 

 

 

「――――負けないから」

「いや勝てないと思うけど」

 

 

 

「へぇ……へぇー…? そうなんだ。そんな悪いことを言うのはこの口かしら」

 

 

 

 

 むすーっと拗ねた顔で頬を引っ張ってくるが、あんまりぐいぐいやるから指がこっちの口に触れるわけで。ぐわあああ指ほっそ! おやめください! おやめください! さすがにこれ舐めたら~とか考える変態にはなりとうない!

 

 

 

 

 

(昔から走ること以外に無頓着すぎるんだよ……)

(昔は私が一番綺麗だって言ってくれたのに……)

 

 

 

 

((もうちょっと自覚持ってほしい!))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 それから月日は少し流れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――現実的に、年齢が近いウマ娘の担当トレーナーになる方法はない。

 

 

 

 かつては「君に私が最高の景色を見せてあげる」なんて自信満々にドヤ顔していたスズカさんであるが、中学生くらいで現実を知ってしまったのか物理的に、おんぶ状態で景色を見せようとする程度になった。頭カルストンライトオかよ。

 

 が、俺は諦めなかった。

 担当トレーナーじゃなくてもいい。少しでも憧れの人が頑張るのを支えたかった。

 

 というか秋天で怪我するのをなんとか阻止したかった。

 

 

 

 

 

 アニメではたまたま上手く復帰できていたが、ウマ娘の不思議パワーの源であるウマソウルがどうにかなってしまいそうな沈黙の日曜日は回避したい。

 

 

 

 

 そんなわけでトレーナー課程のある超名門高校に死ぬ気で入学した俺は(前世もちでも全然容易くなかった)、優秀な成績を叩き出して二年目にして中央トレセン学園への研修生という立場を掴み取った。

 

 

 

 

――――問題は、チームリギルには主席が研修で行っていて。次席にしかなれなかった俺はどうするべきか迷っているのだが。

 

 

 

 主席取れないとか転生者の面汚しめ! って感じだが何も言い返せねぇ……むしろ次席取れたのも身近に(レース時のみ)気性難なウマ娘がいたから参考になった感じで自分の力じゃないし。前世が馬の調教師とかなら違ったかもだけど。

 

 

 

 

 いやいやここはチームスピカでしょ、と言いたいところだが同じく二年目ながら俺より早生まれであるスズカさん(実は同い年)が弥生賞でゲート潜らずに圧勝しちゃったので史実から乖離したのは確定。このまま皐月賞に出たとして、気性難成分が出なければサニーブライアンとどっちが勝つかは不明。

 

 

 リギルが手放すかどうか、全く見えないこの状況。

 そして更に問題なのが――――。

 

 

 

 

「おっ。新鮮な研修生じゃねーか」

「ちわー、膠屋でーす」

 

 

 

「なんだなんだ。ゴルシちゃんに挨拶に来るとはなかなか見どころあるじゃねーか」

「未来のGⅠ 6勝ウマ娘のゴルシ先輩ちっすちっす! ちなみに他のメンバーさんは?」

 

 

 

「それがよー。ゴルシちゃんとトレーナーしかいねーんだよな。これじゃウマ娘麻雀もできやしねーぜ」

 

 

 

 

 

 マジですか。それでテンション低いのかゴールドシップ。

 というわけでチームスピカが壊滅状態だった。

 

 おかしい……スズカさんの走りを見てやる気を取り戻した沖野トレーナー(仮称)が妙なポスターでウオダスを集めて、スズカさんが移ってきてスぺちゃんゲットする流れだったハズ……。

 

 

 あっ、そうかアニメより時期が早い!

 あっちのスズカさんはバレンタインステークス、つまり今年度の二月くらいだったはず。

 

 …………どーしよ。

 

 

 

 

 

 

「で、おめーはこんなところで何してんの?」

「人生という迷路で迷子になってまして……」

 

 

 

「迷路ならもうちょっと楽しめよな。壁ぶち抜くとか、ワープするとか、好きな子と逃避行とかさぁ」

「おっしゃる通りで。ババ抜きしません?」

 

 

 

「カーッ、仕方ねぇ! ゴルシちゃんがおめーにババ抜き人生の厳しさってヤツを教えてやんよ!」

「ババ抜き人生とは…?」

 

 

 

「てか二人でババ抜きかよ」

「急に冷静にならないで下さい」

 

 

 

 

 

 とりあえず時間をつぶしてたら沖野トレーナーが現れる可能性もある。

 急いでも状況は変わらないので、気長に待つとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

 

 

「――――行くぜ! ゴルシちゃん運命のダイスロール! 22! メイショープレーゲの末脚発動だぁ!」

「じゃあイクノイックスで対抗ダイス。01! クリティカル!」

 

 

 

「お前ら何やってんの!?」

 

「おっ、トレーナー。見ろよ、コイツのイクノイックスが世界一位になった瞬間をな」

「ドバイシーマで持ったまま逃げ切り勝ちですよ」

 

 

 

 

 TRPG風のフリーゲームで二人で遊んでいると、ようやくスピカトレーナーが現れた。

 うわー、マジで特徴的な刈り上げだ。

 

 ちなみに某世界最強馬っぽい名前は故意なので誤字ではない。マジで最強すぎてゴルシちゃんと二人で爆笑してたが。

 

 

 

 

「どっかで聞いたような名前だな……で、何やってんだお前ら」

 

「お邪魔しております。研修生としてきたんですが人生の迷子になってる者です」

「そして今年も絶好調で船頭107人分の仕事ができるゴールドシップ様だぜ」

 

 

 

 

 

そんなに船頭多かったら山に登るだろ、と言いたそうな顔をしたトレーナーさんだったが、登山グッズを準備しているゴルシを見てそっと目を逸らした。

 目が合うと、疲れ切った大人としか言えない目だったがなんとなく見つめ合う。

 

 

 なんでゴールドシップが此処にいるかと言えば、やっぱりこの人を信じているから、だと思うから。例えまるでダメなおっさんみたいな感じでも……勝手にトモを触って痴漢行為をしてしまうという悪癖があっても……。

 

 

 

 

 

「ゴルシ先輩、ずっと待ってましたよ」

「………」

 

 

 

 

 ここはぽっと出の俺が何を言っても届くまい。

 とりあえず、事実文句の一つもなく待ちぼうけしていたゴールドシップの話題を振ると当のゴルシちゃんには「げっ」と言いたげな顔をされたものの、トレーナーはようやくそこでトレーニングはすぐにできるように準備してある部室――――なんならずっとジャージ姿だった―――に気づいたのか目を見開いた。

 

 

 

 

「お前……どうして」

「しょうがねーだろ。トレーナーと一緒の方が面白そうだと思ったんだからよ。ゴルシちゃんだってゲートから出たくねー時あるしな」

 

 

 

 

 

 

「一人じゃトゥインクルシリーズには出られないだろ? 俺がやる気出せねえんだ、別のチームに行けば、お前なら―――」

 

「一人じゃねぇだろ。………トレーナーがいるだろ。二人だ、二人」

 

 

 

 

 恥ずかし気もなく言い切ったゴールドシップは、言ってから恥ずかしくなったのか「へっ」と鼻の下を擦っていたが。

 

 

 

 

「お前な……っ、――――仕方ねぇ、やるだけやってみるか……!」

「おう! 面白くなってきたぜ!」

「おおー」

 

 

 

 

「よし研修生、お前もメンバー集め手伝え」

「おおー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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