鈍色のスペクタクル   作:曼珠沙華の頴

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うろ覚えで始まるブルアカ二次創作


友人

 

 

 

 

 

「アビトスの借金は7億と少し……ですが、返済するよりも早く、アビトスが廃校になる可能性が高いでしょう。……あなたなら、あなたの先輩が残した……このアビトス高等学校を、記憶にのみ残る思い出にしか過ぎない存在へと風化させてしまうのは、本望ではないでしょう。……ですが、時には諦めも肝心、たった五人しか居ない、このアビトス高等学校の廃校を防ぐことは、非常に現実味のない話、それこそユメのようなもの、素直に諦めて、他校に転校することを、私は推奨します」

 

 

 「……話を聞いているのですか、ホシノさん」

 

「聞いてるよ〜、シフちゃん」

 

 窓外を見てみれば、一面砂に覆われた校庭が目に入る、そんな学校の一室で対面する2人は、方や生真面目な口調で長ったらしく話し、方や机に突っ伏しながら話を聞いている、そんな状況で長ったらしく話をしているその内容は、学校の廃校が云々に他校への転校やら、この学園都市キヴォトスにおいて、そこまで聞かぬ話ではないが、それにしても随分と深刻な様子。

 

「あなた方は、どうせ転校する気など毛頭ないのでしょう。ですので、これは私なりの気遣いのつもりです。本当なら、このアビトスに私が転校することも視野に入れたいのですが、それも今では厳しいのです。毎週の仕送りも、目眩がするほどの莫大な借金の前では、何の足しにもならないでしょうから」

 

「ううん、そんなことはないよ、シフちゃん。……というか、毎週200万の仕送りなんて、十分すぎるくらいだよ〜、……うん、本当に」

 

 毎週200万、月に幾らかと換算すると869万、一年で1億428万の仕送りに、冷や汗を流しながら十分だという、ホシノの呼ばれる桃髪の少女。これほどの額があれば、9年足らずでアビトスの借金は返済できるのだから、十二分の仕送りだ。

 

「……それよりさ、シフちゃんも、もっと楽にしてもいいんだよ〜」

 

「ふむ。それはとどのつまり昔のように……ということで相違はありませんね?」

 

「うん、そうだよ〜」

 

 昔のように、それが如何なるものを指すのかは分からないが、この2人は随分と昔からの中であることに間違いない。それはともかく、この教室にはこの2人しか居ない訳ではなく、他にももう2人がいるのだが、そちらの2人はどうやら気まずいのか、話には入って来ず、静かに話を聞いているだけ。

 

「……はぁ、話が脱線してしまいましたね。……あなたはどうせ、アビトスに残るでしょう、それは承知の上、ですので私は、あなた方への支援を徹底するとしましょう。……それでよろしいですね?」

 

「うへ~、シフちゃんがおじさんたちを支援してくれるなんて、心強いね〜」

 

「……それはそうと、アビトス廃校対策委員会はこれだけ……では無いでしょう?……確か、黒髪の彼女とカーディガンを着ている方ではありませんか?……彼女らはどこへ?」

 

 黒髪の彼女とは、十中八九このアビトス廃校対策委員会のメンバーの黒見セリカという少女のことを、カーディガンを着た方、というのは十六夜ノノミを指しているのだろうが、シフはホシノ以外のアビトス廃校対策委員会――長いのでこれからは対策委員会と呼称する――との面識は殆ど無い。

 

「ん、セリカは先に帰った」

 

「……ふむ、でしたら、自己紹介はアビトス廃校対策委員会の皆様が揃った際に、正式にさせていただきましょう。……ところで、それは何故(なにゆえ)に」

 

「……話せば長くなるんだけどね、シャーレの先生がアビトス来て、そこで一悶着あってね〜、セリカ怒っちゃって、帰っちゃったんだよ〜」

 

 シャーレの先生がアビトスに来た理由は、以前より連邦生徒会に提出していた支援要請が、シャーレの管轄になったことで、その申請が受理されたこと、だが件のシャーレの先生はアビトス高校には居らず、そのことにシフは首を傾げる。

 

「……なるほど、それで消耗品が潤沢になっていたのですね。あの程度もあれば、もし贅沢に消耗品を使用したとて、最低でも一月分はあるでしょうね。……シャーレの先生は、今は一体何処へ?」

 

「先生はもう帰っちゃったよ〜」

 

「……おや、でしたらまた別の機会にでも、挨拶をさせてもらいましょう。……では、私はこのくらいで失礼します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん……セリカちゃん、どこに行ったんでしょうか……家に帰ったのでしたら良いのですが……」

 

「おや……あなたは確か、十六夜ノノミ……」

 

 シフがアビトス高校から立ち去り、帰路に着こうとしていた矢先、対策委員会の十六夜ノノミの鉢合わせた。

 

「えっと……すみません。誰ですか?」

 

「分からないのも無理はありません。何せ私があなたと会ったのはもう何年も前のこと。……しかし、驚きました……まさかネフティス・グループの御息女が、ここアビトスに居る……ええ、随分と数奇なものですね――それとも、まさか負い目を感じているとでも?……そうであれば、それはあなたが背負うものではありません。……あくまでもあなたはアビトス廃校対策委員会に所属する、ただの生徒ですから」

 

 突然のマシンガントーク困惑しながらも、会ったことがあるという彼女について、思い出そうとして思考を巡らせて、何とか一部を思い出すことができたようだ。

 

「あなたは確か……シフさん、でしたか?……主に銃火器や消耗品の販売を行っている"P&A(Politest&Antique)社"のご令嬢だと聞いていましたが……」

 

「ええ、相違ございません。……それでは、また会いましょう……ノノミさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前シフがアビトス高校を訪れてから何日か経ち、シフは再びアビトスに訪れた。

 

 

「相も変わらず閑散としていますね……すでに退廃空虚の草むらになるべきを、紙面新たに囲みて、甍を覆ひて風雨をしのぐ……アビトスに類似する点も少しばかりありますが、アビトスはそれほどまでに衰退しているわけではありません。……あくまでも閑散としているだけ、人も、居るには居るのです」

 

 キヴォトスではそこまで知られていない、おくのほそ道の一節を読みながら、少し物思いに耽るシフ、歩みを止め、車道の中央で立ち止まる。だが、この場に彼女を邪魔に思う者も、道路の真ん中で立ち止まるなと彼女を咎める者も、誰一人としていない……筈だったが、周囲には誰もいないはずのアビトスに喧騒の声が、微かに響いた。

 

「……今のは一体。少し、寄ってみるとしましょう」

 

 彼女の性分からか、厄介事に興味を引かれた彼女は、喧騒の声する方角へと歩みを寄せる。その時、微かに聞こえた銃火器の発砲音と、車の発進する音。……恐らくは人さらいであろう車が、前方を走って行く。

 

「聞いたことのある声。紫関のバイトの子?……もしや、彼女が黒見セリカでしょうか……いえ、今はそれよりも、アビトスで人さらいが起きたことが問題です。……至急ホシノさんに連絡を取らねば」

 

 

「もしもし、ホシノさん。聞こえていますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もしもし、ホシノさん。聞こえていますか?』

 

「シフちゃん?……こんな夜中にどうしたの〜?」

 

 ホシノの携帯にモモトークで電話が掛かってきた。……一体誰からかの電話かと見てみると、珍しく、シフからの電話だった。

 

『……他の方はいますか?』

 

「他の子は今はいないけど……何かあったの?」

 

『私の前で、人攫いが起きました。恐らくは、黒見セリカさんが攫われたかと、今は追っている最中ですが、如何せん相手は車です。いつ見失ってもおかしくはありません。ですので、回り込む形で、車を押さえてください。位置情報は後で送りますので、そのつもりで頼みます』

 

「なるほどね。皆にも伝えておくよ」

 

『ええ、お願いします』

 

 そう言い、シフは電話を切った。ホシノは再びモモトークを開き、対策委員会のメンバーに連絡を取った。

 

「……先生、あの大人にも、伝えたほうが良いかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから少し経って、再びシフから電話が掛かってきた。

 

『ホシノさん。走行中の車を押さえるのは、私一人では厳しいです。力加減を誤って、セリカさんごと潰してしまうのは嫌ですので。……ですので予定通り、そちらで回り込んでください』

 

「うん、わかったよ〜。じゃあ、また後で落ち合おうかな』

 

『任せます』

 

 位置情報などの連絡を簡潔に伝え、電話を切ったホシノは、対策委員会と先生とともに、伝えられた場所に向かっていた。

 

“えっと、今のはホシノの友達?”

 

「う〜んと……まあ、そんなところかな〜」

 

「ん、初めて会った」

 

「シフさん、ですよね?」

 

「うん、そうだよ〜。でもノノミちゃん、珍しいね〜、あの子、2年生なのにちゃん付けなんて」

 

 シフが2年生だということを知らなかったのか、初耳だという表情をするノノミ。同い年か、年下の生徒には大体ちゃん付けをしていたため、ホシノはそのことが気になって聞いたのだろう。

 

“そろそろ目標地点に着くよ。皆、位置について――”

 

「じゃあおじさんは、シフちゃんと合流してくるね〜」

 

“――待ってホシノ!……行っちゃった……”

 

 シフと合流すると言い、足早に去っていったホシノ。それに皆は驚いたが、彼女の突飛は行動には、先生を除き、皆は慣れていたため、まずはセリカのことを優先する事にしたようで。

 

 セリカの救出は、先生の的確な指示の元、セリカが泣いてしまうというちょっとしたアクシデントがあったものの、その他には何事もなく、この件は無事にことを終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、シフちゃん」

 

「おや、如何なさいましたか。そのような笑みを浮かべて……何か、言いたいことでも?……残念ですが、紫関には行きませんよ。今日は既に夜食を終えていますから。……感謝の言葉であれば、受け付けていますが」

 

「流石シフちゃん、()の言いたいことをよく分かってるね〜。……シフちゃん、ごめんね〜、手間かけさせちゃって……」

 

 その言葉を聞いたシフは、呆れたように首を振りながら、額に手を当てた。

 

「はぁ……良いですかホシノさん。先程も言いましたが、このような場合は謝罪ではなく、感謝をするように。……ありがとう、なんて、たったの5文字すら言えない訳では無いでしょう?」

 

「えっと……ありがとう。で、良いのかな?」

 

「ええ、それで十分です。それと、この程度、手間だなんて思っていませんから。私とあなたの仲で、何を今更」

 

 呆れたように肩を竦め、少し離れた場所に行き、連絡用の通信機を取り出したシフ。どうやら事後処理等の連絡をしているようだが、眉間にシワが寄っている。ホシノは連絡の相手が誰なのか予想ができていたため口を挟まず、セリカと誘拐犯を乗せていた、大破し横転した輸送車と、周囲に散らばった残骸の中から、売れそうな部品を拾い上げ、シフが手渡した袋に詰め込んでいた。

 

「……ええ、では、私はこれで。……さて、ホシノさん、廃品回収は済みましたか?」

 

「うん、粗方集め終わったよ~。シフちゃん、うちに寄ってく?」

 

「良いですね。ちょうどどこかに泊まろうかと思っていたところです。では、お邪魔させてもらいますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ノノミの口調難しいな……

戦闘描写はとってもニガテなんですよね……。
なのでセリカ救出はカットしました。
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