見慣れた景色、青い空に見える絵のようなモノが太陽と一緒になって浮かんでいる。
子供の頃、あれはなんだろうと思っていた。
「宇宙人?ヒーロー?それとも怪獣があそこから出てくるの?」
そんなことを思い、目をキラキラさせていたが、今はそんなことを忘れていた。
朝、それは目覚めの時間。促すように鳴り響く目覚まし時計の音に気がつき、生まれつき持った頭のヘイローが動き出す。
??「んっ…んんんん〜〜!!」
起きた。伸びと共に朝食を取る。
??「いってきます。って、誰にいってんだろ。まっ、いっか」
玄関で靴を履いて、歩き出した。登校の時間だ。
アビドス自治区 市街地
「…」
街中で見える景色、人々はそれぞれの日常を送っている。
ロボチンピラ「てめえ! どこ見てんだ!!」
チンピラ「あぁ!? てめえこそ!!」
横目ではセーラー服を着たチンピラの少女とロボットの姿をした市民たちが言い争いをしていた。
??(うん、いつもの光景か。変わり映えしねえなぁ…)
程なくして銃撃が始まる。ロボットが先制していたが、彼らではあのチンピラトリオには勝てない。
何故かって?ヘイローがあるからさ。この学園都市じゃ頭にヘイローを持った生徒がほとんど。普通の人間たちと違って強いんだが、何故そんなもんがあるのかは誰にも分かっていない。当然、俺も詳しくは知らん。
??「まっ、世の中分からなすぎることって、色々とあるもんだな」
遠目の方で町を軽快に走るマウンテンバイクを見つけた。
??「あっ、ひょっとして…」
町をゆっくり歩きながら見えてきた門をくぐり抜ける。アビドス高等学校__ 俺が通う学校だ。
アビドス高校
学校にいる生徒は俺を除いても5人しかいない。まるで戦隊ヒーローみたいだろ?ここには頼れる同級生と先輩たちがいる。
セリカ「おはよう、ツバサ」
ツバサ「ああ、おはよう。セリカ、アヤネ。あっ、早いですね。ノノミ先輩、シロコ先輩。ホシノ先輩は… お休み中でしたか。おはようございます」
黒見セリカ__アビドス対策委員会の会計だ。気難しい印象を持つ人もいるだろうが真っ直ぐな奴さ。猫耳がトレードマーク。
セリカ「それで?休みの日は何してるのって話になったのよ」
ツバサ「俺は夢のアビドスタウンの構想を練ってたよ。先週はアビドスタワーのイメージ模型を作った。高さはなんと、2830m!
連邦生徒会が持つサンクトゥムタワーには遠く及ばないけど、俺はここをアビドス自治区屈指の観光名所に…「はいはい、分かったわ。それで?シロコ先輩は?」って聞いてる!?」
アヤネ「うん、しっかり聞いてるよ」
俺と話を遮ったセリカに加えて、もう1人同い年の子がいる。
奥空アヤネだ。赤いメガネをかけた子で、みんなの委員長を務めている。おっとりしているが、年上の先輩たちを纏めようとしたり、休みの日も学校の設備を治そうと頑張っているみんなのサポーターだ。
実は怒るとめっちゃ怖いので、この中で一番怒らせたくない子でもある。
シロコ「自転車でアビドスを縦断してた」
ツバサ「おお、どこら辺に行ってたんです?」
シロコ「工業地帯まで行って、その日は帰ってきたよ」
セリカ「ええぇえええ!!! シロコ先輩、それほんとう!?」
物静かな雰囲気を見せる先輩、彼女は砂狼シロコさん。さっき街中で見かけたのは彼女だ。自転車通学を毎日しているため運動神経は抜群。ただ入学してた時は結構やんちゃしてたらしいが、詳しいことは知らない。
セリカ「私は図書館にいたかな」
アヤネ「私もいたよ」
セリカのリアクションが何かを隠してるっぽい感じだが、触れないでおこう。アヤネはエンジンについて勉強していたらしい。今度詳しく聞いてみようかな。
セリカ「ノノミ先輩は?」
ノノミ「私はショッピングです♧」
このおっとりとした先輩は十六夜ノノミさん。なんでもすっごいとこのお嬢様で、キラキラしたカードを持ってる。だが色々あってか、そのカードを学校絡みには使っていない。ギリギリまでヤバくなったら使うつもりなんだろうか?
セリカ「今度は何を買ったんです?」
ノノミ「はい!お菓子や生活雑貨に、ダンベルを40個ほど」
ツバサ「よ、よんじゅう!?」
ノノミ「よかったらツバサ君にもプレゼントしますよ♪」
ツバサ「あはは、ありがとうございます」
おっとりしてるがたまに読めない行動を取る。そしてデカい。
ああ、そうそう!もう1人いる。我らが対策委員会の最年長の大先輩が。
ホシノ「zzzz」
小鳥遊ホシノ、自分をおじさんと呼ぶ、いつも眠そうにしている人だ。緩くてすっごい子供っぽい所があるけど、いざとなったら自分から前に出てくれるすごい先輩だ。
この5人に俺__
会議
アヤネ「それでは対策会議を始めます」
アビドス高校はもちろん、学園都市キヴォトスには今ある問題があった。キヴォトスで一番偉い組織の連邦生徒会のトップが失踪してしまったんだ。
セリカ「ほんと、どこにいっちゃったんだろうね?」
ツバサ「誘拐とかそういう類じゃないみたいだが、色々混乱してたな。最近のニュースはどこもこの話題だったよ」
シロコ「うん、私も見た」
アヤネ「それが原因で各自治区でも混乱が生じています」
ツバサ「ミレニアムにトリニティ、後ゲヘナか…あの辺はなぁ…」
ノノミ「そういえば、ツバサくんはよく自治区の外に出てるみたいですが大丈夫ですか?」
ツバサ「とりあえずは大丈夫です。
ミレニアムに関してはセミナーの人たちが色々と奔走してるみたいだし、トリニティの方はティーパーティや正義実現委員会以外でも自警団みたいに自分たちで治安を守ろうとしている人もいました。
問題はゲヘナでしょうね。相変わらずヤバい部活の連中があちこちで騒いでますよ」
学区外では色々とさせてもらっていたが当然、トラブルに巻き込まれたことも珍しくはない。
特にゲヘナに関しては、うん…
ノノミ「そうでしたか… そういえば、あの件はどうなってます?」
ホシノ「あの件?」
ノノミ「トリニティ総合学園とゲヘナ学園で結ばれる予定の… エデン条約でしたか?それはまだ?」
アヤネ「はい、発案者の連邦生徒会長がいなくなってしまいましたからね。どうなるかも分からないです」
ツバサ「まぁ、あの辺は長い間揉めてたってネットではよく言われてたよ。今回の件がきっかけで良からぬことにならないと良いんだがな」
セリカ「そういえば、柴関ラーメンの大将が近所でまたカタカタヘルメット団が暴れてたって言ってたけど…」
あいつらか… しょっちゅうもめ事を起こしてるようだが、相手にすると面倒なんだよなぁ…
それにしてもセリカの反応がおかしい。シロコ先輩がそこに行くって言ってからのリアクションが変だ。
そんな中で、先日アヤネが連邦生徒会に救援を求める手紙を送ったみたいだが、今のところ明確な返事はない。ひょっとしたら相手にされないのかもしれない。
ツバサ「お先真っ暗、かねえ」
セリカ「余裕がないっていうのはうちも、だよね」
セリカもため息をつく。その理由は...
アビドス高校校門前
ロボ役員「毎度ありがとうございました!」
ロボットのスーツを着た奴がお金を回収していく。そう、この学校は今、借金を抱えていたんだ。
ツバサ「いつもの展開だね」
ホシノ「うへぇ〜 今月も終わったね〜」
昔頻発していた砂嵐、それを対処しようと躍起になっていた当時の生徒会が残した借金がいまだに残っているのだ。完済まであと309年2か月。
うん、病みそう。頭おかしいよな
シロコ「あと309年と2か月…」
ノノミ「道は遠いですねえ」
現金輸送車を見送りつつ、教室に戻る。
ツバサ「よし、そろそろ今日の分を作りに行きます」
ホシノ「ほほほーい、気を付けてね~」
他のみんなは校内の清掃や街の巡回、指名手配犯の情報収集に向かっていた。そんな中今日はホシノ先輩とアヤネが留守番をしている。
工作室
俺が向かうのは工作室だ。昔のモノとは言っても、機材はキチンと使える。あと、材料も揃っている。
「よし、今日も実験スタートだ」
俺の両親はアビドスでガラス工場を経営していた。だけど、俺が物心つく前にアビドスで偶然起こった砂嵐に巻き込まれて、2人とも亡くなったんだ。
俺は親戚のお世話になりつつ、ご家族に迷惑をかけないように両親の遺産を使ってアビドス高校に通っている。
そんな俺の対策委員会のメンバーとしての仕事は"工作"だ。
両親の工場のレシピは今も残っていたのでそれを元に色々と作品を制作している。ガラスの材料に関してなら、砂はその辺に腐るほどある。むしろ砂の後始末には使えている。
ガラスがダメなら、要らない紙に砂をくっつけた特性紙やすりを制作・販売しているが、近隣の学校からのあまり評価はよろしくない。褒めてくれるとしたらその辺の工作教室あるいは個人で芸術をやってる人くらいだ。
ただ、アクセサリーの方はある程度気に入ってくれる人もいるみたいで、アビドス印のガラスアクセを作って町のバザーにアビドス高校対策委員会の名義で出店している。
もちろん売り上げ金は全て借金返済に充てている。依頼があれば、他の自治区のマーケットやバザーにも、ちゃんとした手続きを踏んだ上で出張販売をしている。休みの日なんかも対策委員会のみんなにお手伝いをお願いして収入を増やそうと頑張っている。
俺の夢はアビドスに俺の名前がついた建物を建てることだ。俺たちが頑張ったんだって証を残したいんだ。父さんと母さんが俺に残してくれた技術みたいに。父さんと母さんはアビドス出身だった。2人は砂嵐に負けないガラス作りを目指していた。街が好きな社員たちと一緒に毎日働いていたんだと叔父さんからは聞いている。
今のアビドスの状況は良くないが、家から近いこの高校も通えなくなると少々めんどい。まず、廃校したら他の学校に編入するし、そこで肩身の狭い思いをしたくないんだ。
最初叔父さんたちからは娘さんと同じ学校に通わないかと提案を受けた。その子は今トリニティに通ってるけど、変な心配をかけたくなかったし、自分も父と母が守ろうとしたアビドスを助けたいと言うことを伝えたら以外にもすんなり受け入れてもらった。
「よし、いいぞ~ これなら、ブレスレットは今日中に作れそうだな」
工作に入って、すっかり日が落ちていった。他のみんなはもう帰宅した。
工作は夜まで続くこともある。一度だけ、実験のし過ぎで学校に泊まり込んだことがあった。確か、三徹くらいしたときはアヤネにものすごく怒られた。
ツバサ「よし、帰るか」
機器の電源を落とし、冷めるのを待っている間に校舎の見回りに入る。部屋の一部にはもう鍵がかけられていた。工作室も鍵を締めたし、帰ろう。
遅くなりそうだったので、夕飯はコンビニで済ませた。たった6人のこの学校の物語は明日から大きな分岐点を迎えたのだった。そう、かけがえのない出会いがまっていたんだ
先生は次回からの出演になります。同時に翼の戦闘シーンも次回からです