Fallout76 Pretty Derby   作:ロイ1世

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ジェンティルドンナの青ざめた顔コラと同じくらいタキオンの「えぇ~⁉」が好き。


馴染んできた朝

「おはよう」

「おはようございます、ナナロクさん」

「はい、おはよう」

 

 日が昇り始めてすぐ、トレセン学園の正門前で朝練をするために早出してきた生徒たちに挨拶するするのはいつもの緑の人(たづなさん)ではなく、ここ最近副会長を二度も激怒させたと噂になっていた76だった。

 

 以前までは裏手の森の管理人という仕事をしていた*1が。、C.A.M.P.が取り壊されついでに周辺施設も壊された挙句に森への進入を禁止された。流石のアパラチアの民も十分な食事と水分が取れなければパフォーマンスに影響するからと日銭を稼ぐために受けられる仕事を受けていた。朝の立ち番もその一つである。

 

 立ち番は生徒たちの様子をいち早く確認すると同時に不審者を撃退する大切な仕事なのだが、朝練をする生徒に合わせるととても早く起きなければならないという辛さから敬遠されがちな仕事。そのため今まではたづなさんがやっていたのだが、理事長の無茶に付き合う形で仕事量が突然増えたことでここ最近は76が行っていた。

 

 苦ではない。

 

 76はそう語る。

 

 というのもアパラチアという過酷な環境、それこそ家族経営の小さな民宿だと思ったら実は食人集団の狩場だったということがある修羅の国阿派羅血亜では子供は明確な弱者である。ふと親や保護者が目を離せば頭のいかれたシャブ中ども(ブラッドイーグル)や変異したアパラチアの生物(緑色の人間も含む)に襲われてしまう。またそうでなくても核戦争後の荒廃した世界では餓死などありふれた死因の一つであり、養育者を失ってしまった自力では食料を確保できない子もいれば逆に口減らしの対象となってしまった子もいる。

 

 そのため自分と同じか小さな子供と過ごすというのは76にとってかなり貴重な経験である。なのでレイダーの中で育ったララからは兄のように慕われていた*2が、Vault内で次の世代として真っ当に育てられた76とは価値観が合わず最終的には会わなくなった。

 

 しかし目の前にいる生徒たちは良識に溢れている。機械たちをぶっ殺せとスポーツ観戦をする客の野次のように声を上げなければおもちゃのぬいぐるみを探すために命懸けの冒険をさせることもない。アパラチアにはいなかった自分と同じような子供たちのために仕事ができるのを76は心の底から喜んでいた。*3*4*5*6

 

 後、ついでに言うなら比喩なしで24時間戦える76にとっては朝が早いとかは関係ない。睡眠なんてものは暇なときに分単位でとるものなのだ。

 

 生徒たちから「ナナロクさん」という愛称を貰うほどに学園に馴染んだ76だったが、別にアパラチアで培った経験が体から抜けたわけではない。

 

「ヒョー↑↑ 朝からタキオンさんの手作りドリンクなんて、サイッッッッコウです!!」

 

 例えば、そう。今日の朝、珍しく寮に帰ったアグネスタキオンが手土産として同室であるアグネスデジタルに特製ドリンクを渡したとしよう。そして期限が短いだのすぐに感想が聞きたいだのとアグネスデジタルを唆し、渡してすぐに飲ませたとしよう。すると当然、アグネスデジタルは光りだすわけだ。そう、光りだす。

 

「光し者⁉」

「ヒョェ?」

「生徒の皆さんはこの場から直ちに離れてください、危険な変異生物を発見しました。この場から直ちに離れて下さい!!」

「ホーッ…え?」

 

 見事に光っているアグネスデジタルを見た瞬間、76は即座に戦闘態勢に入る。手には釘を打つ用の工作用ハンマーを持ち、生徒に離れるよう呼びかけながらV.A.T.S.を起動した。

 

「なぜV.A.T.S.のターゲットに選ばれないのだあの光し者はッ⁉」

「あ、あのー…デジタンが何か…」

「大丈夫、大丈夫だ。V.A.T.S.に頼らずとも戦うことはできる!! 人語を操れるくらいの知能はあっても所詮は光りし者だ。きっとやれる」

「もしもしー?」

 

 工作用ハンマーが金属ではなくゴムなので殺傷力が足りないと思いながらも今ここで自分がやらねば他の生徒や職員が傷つくと覚悟を決めて光しデジタルに吶喊しようとしたとき、周囲の状況を飲み込んでいない人物がデジタルに話しかけた。

 

「なんだいこの騒ぎは。ナナロク君がまた副会長殿にゴキブリを食べさせたのかい?」

「ああタキオンさん、リボンが乱れてますよ」

「ああ、ありがとう」

 

 眠たそうに眼を擦ったりしているタキオンは二人を中心に人の円が出来ていることに不思議がって近づいてきた様相だが、当の76は心底驚いていた。

 

「あの光し者は理性があるのか⁉ いやまあ変異生物でもルーさんやマームルさんみたいなことはあるし、馬の変異をしている彼女たちならあり得なくはない…のか?」

「おやおや76君。そんなに慌ててどうしたんだ」

「いや、そいつ、光ってる…」

「光っているなんて当たり前のことじゃないか。なにせ私特製の薬を飲んだんだよ」

「光る薬…放射能?」

「至ってクリーンな薬だよ。ただほんのちょっぴり嗅覚が鋭くなるだけで」

「そうなんですか、だからいつもよりウマ娘ちゃんたちのいい匂いが…ムヒョヒョッ」

 

 危険性のジャンルが変わった光しデジタルを見てハンマーからテスラライフル*7に手持ち武器を変更した76だったが、タキオンは続けて76に攻撃を浴びせた。

 

「そうそう、光っている者が危険なら君だって光っていたよ。ほら」

 

 ウマホの写真フォルダーから見せたのは76が目覚めてすぐの保健室。傷病人用の服を着ている76だったが、全身がほのかに光っていた。

 

「言ったし確認したじゃないか。この薬を飲むと光るって」

「光し者だったんだ、俺は…」

 

 絶望のあまりテスラライフルを手から零し、わなわなと力なく膝から崩れ落ちる76に光しデジタルは駆け寄り「大丈夫ですか」や「元気出してください」などと健気に声を掛けている。その一方でこの世の諸悪の根源である*8タキオンはテスラライフルを拾い上げてその構造を観察し、「興味深いね。あとでじっくりと調べさせてもらおう」と言い自分のリュックにしまった。窃盗である。

 

 結局76のダウン状態は生徒から話を聞きつけたたづなさんが駆けつけるまで続いた。この結果76とデジタルは面識を持ち、タキオンはお友達のいたずらでテスラライフルを撃たれ黒焦げになった。*9*10

*1
という体でサバイバル生活をしていた

*2
Vault79を襲撃した際、メグはララを引き合いに出して金塊の分け前を増やすよう求めた。76これを断れなかった。

*3
?「貴様のようにゴキブリを食べる奴がいるか、このたわけ!!」

*4
76「アパラチアでは当たり前だよ?」

*5
ちなみに、地域によっては本当に食べれます。

*6
?「!!!????」

*7
死なない程度に威力は調整済み

*8
「そこまで言うかい?」

*9
「理不尽だよねえ!!」

*10
「物盗んだんだし残念でもなく当然だろ」




お友達「なんだこれ、試し撃ちしたろ」
タキオン「あばばばばばば」ビリビリビリビリ
お友達「…俺知ーらね」
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