なんかこの聖女、箱入りでねちゃねちゃしてるんだけど 作:S-A023736-9
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どうも、王国最強ことS-A023736-9だよ。
「ありがとうございます……!」
通りかかった道で魔族に襲われていた行商人を助ける。
まあ、勇者と聖女の珍道中って考えたら妥当な話なんじゃないでしょうかって感じ。
どうも、と言いながらその場を後にしようとする。
ひとつは街道沿いに長居する必要はない、なんていう理由。
「お礼ということで、これを貰っていただけないでしょうか……!」
渡されたのは、林檎。
大体0.25人間分くらいの価値。
敢えてイヤな言い方をするなら、自分の命を救われながらそれ以下の価値のものしか渡そうとしない……なんて。まあ、それは大分この世界に染まった見方かな。
「ありがとう。何かに使わせてもらうよ……なんてね、『
まあ、それも猛毒が入っていなければの話。
食べただけで全身麻痺に加えて、呼吸困難……ってところかな。
うん、予想よりもありがたい贈り物だった。てっきり『自分以外が触れた瞬間に発動する毒』とかだと思ってた。
「チッ、折角魔族の遺体と強者の遺体から素材を剥げると思ったのによぉ……!」
実は。こんな猛毒林檎ならば、なかなかに作るのは時間と代償が必要で。大体、5人間換算くらいはかかるんじゃないかな。
自分で話しておいてなんだけれど、最悪の単位だな……人間って。
「『
じゃあ、改めて。
人間1人を助けることで、
ああ、あとは精神力とかも消費してるかもしれない。
「はぁ……これ、魔族が滅んだとしても。というか、魔族が滅んだらむしろ自滅するんじゃない? 人類」
総じて人間5.67人分の得です。とか言ったら色々な方面から殴られそうだよね。
まあでも事実としてはそうだから、許して欲しい。こんな思考をしてないと、正直やってられないから。
『ノースちゃん、どうかしましたか?』
そして、この惨状を見ながら特に何とも思わない聖女も一人。
いや。思わないことがない、なんてことはないのは知っている。この粘液箱入り娘も色々考えてはいるんだろうね。ただ、それを表に出してないだけ。
「帰ったらご飯、何にしよっかなって」
それにしても、こんな世界で権力とかを持ってる人ってどうやって権力を持ったんだろうね。
主従関係とか一瞬で崩壊しそうなものなんだけど。隷属の首輪……ではないけれど、それと類似のものとか持ってたりするのかな。
『ノースちゃんと食べられるご飯なら、何でも美味しいですよ!』
「まあ、出回ってる食事と比べたらね」
食事も魔法で出すことがほとんどなこの世界。
その魔法も千差万別な上に、代償が必要な以上一般に流通しているものは随分と雑なものが多い。
なんだったら、一定確率で毒とかも混じってるから。そりゃあ、自分で調達したくもなるよねって感じ。
……やっぱり、私達ってこの世界的には恵まれてる方ではあるんだろうな。王国最強と法国最強のタッグではあるし。
『それにしても、娯楽ってありませんよね。大昔はあったらしいですが』
「そりゃあ娯楽を提供してあげよう、なんて気概の人がいないからね。それこそ、私達ぐらいしかやれるような余裕もないでしょ」
『なら、やっちゃいますか! 丁度南北コンビですから!』
帰宅途中の雑談は、大体いつもこんな感じで。
大体無意味なことを話して、大体あり得ない話を空想して。
そして、大体似たような──訂正。普段よりは、少しだけ珍しいことがあった。
「あれ、壊していく?」
そこには、人間の集合体があった。
ああ、人間の集合体といっても村や街とかじゃない。
流石にそれを壊そうなんて行動力はないからね。
そこにあるのは、文字通りの人間の集合体。
頭部、四肢、骨などが何重にも重なって乱雑に融合されたような異形。
確か正式名称は……
まあそんな物々しい名前を使っている人はほとんどいなくて、大体“人柱”って呼ばれてるよね。見た目通りに。
なんと、この世界の人類からは大人気!
生活必需品の無料販売所にしかならないわけだし。
まあ、壊そうとすると悲鳴とか怨嗟の声をあげるっていうクーポンが付いてきたりはする。
まあ、ある意味でこれは人類に対する救済とも言えるよね。
……一応自我とか意識とかあるっぽいけど。
『失敗作の聖女ですね。私はどちらでもいいですが、ノースちゃんはどうしたいですか?』
「え、あれ聖女の失敗作なの?」
『聖女を作る過程で、色々失敗した場合生まれてしまう残骸です。だから、“学習する人類”なんて名前がついているはずですが』
ああ、だから“人柱”でもあるのか。二重の意味だとは思わなかった。まさしく完璧なネーミングセンスと言わざるを得ない。
これは……まあ、法国の仕業かな。
もしくは、慈悲なんて見方も出来るけれど。
貧しい民衆に、配給をって感じの。
「うーん……じゃあ、こうしようかな。『
一応は、聖女として生まれようとしていたのだから。
何者にも利用されず、そのまま安らかに消えて欲しい。
今の私達が困窮してないから出来るってことも、無意味な偽善に過ぎないのはわかっているけれど。
『それはそれ、これはこれ』ということで。
やらない善より、やる善だっけ? まあ、こんなんでも勇者ですからね。
『あ、向こうの人柱が別の人達に壊されてますね』
うーん、やるせない。
まあだからと言って何だってことはないけどね。
うーん、『
具体的には、十分間魔法が使えなくなる感じ。
まあ、それは黙祷の時間とでも思えばいいのかな?