ワタシは、ボンバー……   作:無記名 to 稿

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テテッテレッテー テテッテレッテー テテッテ テテッテ テーレッテテッテー

ショウブダッ!



ステージ1

 

青い二つの影が交錯する。

片や射撃を。

片や爆撃を。

各々の持つ武器を以って、相手をデリートせんと。

 

一見すれば互角。

そう見えた戦いは、至極当然のように違った。

有利不利。

その差は、歴然としていたのだ。

 

双方、それを知りながらも己が使命のため。

引くことはなく、相対していた。

だからこそ。

 

「くぅっ……!」

「……此処までだ」

 

元より結末は決まっていた。

そう言う戦いだったのだ。

変形させた腕を、膝を突いているナビへと向けながら、エックスは言った。

 

「……見事なモノだったよ」

「お前も。だが……」

「オペレーターの有無。その差だね」

「…………」

 

悔やむでもなく。

ただ、淡々と事実を述べるような言葉。

その言葉に表情を歪めることで返したのはエックス。

対して、

 

『ボンバーマン――マグネット。そう言ったね』

「おや? ボクの自己紹介を覚えてくれていたのは光栄だよ」

 

声で返したのは、光祐一朗だった。

下から伺い見るように。

真っ黒な顔面部に浮かぶ、二つの黄色い月のような目。

ソレを糸のように細めながらボンバーマン・マグネットは答えた。

 

全身は既にボロボロ。

両手の赤と青のグローブは既に、其処に在った文字は殆んどを失い。

頭部にあるU字型の先端も、ノイズのように霞み掛かっている。

 

対していたエックスにもダメージがなかった訳ではない。

殆んど互角だった。

いやむしろ、戦闘経験の差で言えばボンバーマン・マグネットの方が勝っていたとすら言えただろう。

 

しかし、その差を埋めたのは一つ。

オペレーター。

もっと言えば回復、リカバリー系のチップを使っていたこと。

その差が、決定的だった。

 

『そう自分を卑下することはない――君はとても優秀だ。エックスに匹敵する戦闘能力は』

「戦闘用ナビなのに実験用だったキミと同等、だろ?」

『…………』

「誤魔化さなくてもいいよ。こうも違えば性能差って言うのは、痛いほど分かるからね」

「マグネット……」

 

皮肉気に自嘲する姿に、エックスが言葉を溢す。

しかし、束の間。

一瞬だけ顔を伏せたボンバーマン・マグネットが顔を晒した時、半月のようになった眦は上向きに立ち、爛々と光を発していた。

 

「まあ、悪いんだけどボクも、生み出された意義ってヤツがあるんだ――――さあ」

「やめろ……やめるんだ」

 

突いていた膝を床から引き剥がし。

全身の力を込めて立ち上がる。

その様に怯んだかのように一歩、下がったエックスから言葉が漏れる。

しかし鼻で笑った、あるいは自嘲したような音を発し、

 

「……勝負だ!!!」

『エックス!』

「マグネット……っ」

 

その手にボムを生み出した。

 

「《マグネットボム》! ボンバーッ、シュートォオ!!!」

 

一切の躊躇なく。

まっしぐらにエックスへと突き進むボム。

一見すればただの投擲。

しかし、このボムはそうではない。

そう知っている。

 

誘導爆弾。

空中に在りながらも《ラットン》を思わす追尾性能を有する動き。

そしてその上で、威力はそれよりも更に高い。

しかし、だからこそ、

 

「――《エックスバスター》!!!」

 

動きは読み易い。

エネルギーの奔流。

青白い波動の如く放たれた一撃。

いや、今までの戦いの中で最も光り輝く一射。

 

それは一瞬の拮抗すらもなく《マグネットボム》を貫く。

そして、その背後。

投擲した体勢のまま、ただ居た、

 

「ヘヘ、やるじゃん」

 

暗闇のような顔に三日月を二つ、浮かべていたボンバーマン・マグネットも。

至極。

あっさりと呑み込んだ。

 

『っ、エックス!』

「ッはい!」

 

刹那。

その表情に呑まれたエックスはしかし祐一朗の声に意識を取り戻す。

そう。

光祐一朗とエックス。

その目的は、ボンバーマン・マグネットをデリートすることではない。

 

科学省。

そこから盗み出されたデータ。

その行方を追うコト。

だから、デリートしたナビがそのまま消えゆくのを良しと出来ない。

 

「『ソウルリゲインプログラム』、起動!」

 

『ソウルリゲインプログラム』。

かつて、コサック博士の創り出した『ゲットアビリティプログラム』。

それはあらゆるデータを吸収し、己のモノに出来るプログラムであった。

その基本理念を元に、改造していたプログラム。

それこそがこの、『ソウルリゲインプログラム』。

 

だが、目的は別。

アビリティ、能力ではない。

ソウル。

即ち、ネットナビそのものにこそあった。

 

それは怪談。

ネットナビがデリートされた後、その残骸がネットワーク上に残り続け他のネットナビを襲うと言う噂話。

否。

事実。

 

その情報は当然のことながら、第一人者である光祐一朗の元にまで届いていた。

では、原因は何か。

不明。

だが、要素の一端を読み解くことは不可能ではない。

 

つまり、デリートされる瞬間。

その時に最も表出していたプログラムとは何か。

そう、戦闘プログラム。

 

それがデリートの際、ネットワーク上に残り続けてしまうが故の影響なのではないかと考察していた祐一朗は、その対策を考えていた。

即ち、デリート後。

ナビの残骸データが何処かに飛んで行くより前に、回収するといった手法。

乱暴に言ってしまえば、ゴミが散乱する前に掃除機で全て吸い込んでしまうが如し手段。

 

欠点はあった。

残骸とは言ってもナビの容量は膨大で、しかも一ヶ所に留まり続けれる訳ではない。

そんなモノを入れ込める、動く容器を用意すること等、不可能。

故に、机上の空論。

本来であれば。

 

しかし、祐一朗には手段があった。

自身の開発中であった圧縮プログラム。

その試作品をエックスに組み込み、同じく試作品であった『ソウルリゲインプログラム』も搭載することで、些か強引ながら利用することに成功したのだ。

ソレを今回、利用していた。

 

「――――――収集完了」

『よくやった、エックス。戻ってきたら、そのデータの解析をして――どこから来たのか確認しよう』

「……はい」

 

己の内に取り込んだ、ボンバーマン・マグネット。

その感触を確かめるように、胸元を抑えるエックス。

祐一朗は分かっていながらあえて、努めて明るい声を出した。

 

最期に思い浮かべた感情は、何なのか。

知り様はない。

それでも、知れるのかも知れない。

そんな僅かな期待を込めて。

 

まだ続く戦いに思いを馳せながら、視線を彼方へとやった。

何処までも続く電脳世界。

見果てぬ先を眺め。

やがて、その場を後にした。

 

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