ワタシは、ボンバー……   作:無記名 to 稿

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テテッテレッテー テテッテレッテー テテッテ テテッテ テーレッテテッテー

ショウブ……ダ!



ステージ2

 

拳が唸りを上げる。

巨体。

並みのナビ、二体分は超えよう身。

相応に大きい四肢は、一振りでも下手なハンマー系チップを上回る破壊力を秘めている。

 

事実、ただの一振り。

振り下ろし。

それのみで床に穴が開くほどの破壊力。

その有様を今し方、軽やかに避けたナビは顎を擦りながら感嘆の息を吐いた。

 

「ストーンマンがアクセントに加えられているように思えるが……」

『慢心するな』

「まさか。分かっております、閣下」

 

微かな微笑みを浮かべ、しかし次の瞬間には引き締める。

横薙ぎの一撃。

荒れ狂う風音を引き連れるソレを下がることで避けながら。

 

土を焼いて出来ているような、真っ赤な巨体。

真っ黒な顔に、乱れる黄色の線。

ノイズが掛かったそこに、時折現れるモノアイ。

胸元は大きなドクロマーク。

 

まさしく、そのドクロマークが示すように危険。

機動性にこそ難はある。

しかし、並みのナビであれ鎧袖一触。

そう長くは持たないだろう。

 

「ボンバーマン・ゴーレム …… 敵 倒ス ……」

 

並みのナビであれば。

 

「遅いわァっ!」

 

緑色の閃光。

否。

剣撃が閃く。

 

困惑したかのようにその顔の中の線が大きく乱れる。

しかし、ソレを見るモノは居ない。

既にその背後に回り込んだそのナビがもう一撃。

 

「お前から情報を得られそうにないのでな――排除させて貰おう!」

「ナ ?!」

 

そのまま竜巻のように全身を膾切りにしていく。

鈍重な動き。

それがそのまま弱点として剥き出しになった結果である。

 

だがそのまま終わる程、ボンバーマン・ゴーレムもまた甘くはなかった。

周囲を駆け回るソレへの対処を諦め。

両腕を高々と掲げ、

 

『下がれシグマ!』

「オオ !!!」

 

振り下ろした。

轟音と共に拳の叩き付けられた床が陥没。

のみならず、その周囲へとヒビが広がった。

 

「これは……!」

「モウ 走レナイ」

 

エリア一帯。

とまではいかない。

しかし、ボンバーマン・ゴーレムの周囲を駆け回るにはリスクが大きい。

移動するその跡が穴へと変貌する様を見れば、そう判断せざるを得ない。

 

「閣下」

『無論だ。《ガイアハンマー2》、スロットイン!』

「! オノレ …… ! 《ゴーレムボム》 ボンバー シュート !」

 

だからどうした。

そう言わんばかりに手管を変えたシグマへと忌々しそうな声を発し。

岩でも投げ込むかのように、巨大。

下手なナビ程はあろうかと言うボムを、《ガイアハンマー》の衝撃波を受けながらも怯むことなく、投石の如く放り投げた。

 

弧を描く。

ソレに薄らと笑みを浮かべながらなおも迎撃を加えんと腕を向けた。

中、

 

「《マグネットボム》!」

 

空中にあったソレを、横から突っ込んで来たボムが接触。

刹那の間を置き、爆発した。

飛んできた方向。

二体の視線が其方に向けば、片手はバスターを、もう片手は次のボムを携えた青いネットナビ。

 

「マグネット …… ジャ ナイ ! オ前 何者 ?」

「オレはエックス! ボンバーマン・ゴーレム、すまないが倒させて貰う」

『ほう……?』

「閣下」

『一先ずは共闘と行こう。判断は、それからでも遅くはない――後ろには一応気を付けろ』

「ハッ」

 

敵対するネットナビが増えた。

そう、認識してもボンバーマン・ゴーレムは変わらない。

 

「敵 排除 スル ! ボンバー シュート !」

 

次なる一投。

今度は避けた故に、大きな揺れを起こしたソレを次々と構える姿に、その双方は油断なく構えた。

 

 

 

データの残骸がエックスに吸い込まれていく。

その様を見届け。

しかし、シグマは緑色のソードを構えた。

微かに驚きを見せ、その両手を軽く上に掲げた姿に頷く。

 

「すまんがエックス、所属を伺っても構わんか? ――ああ、先に名乗るが私はシグマ。アメロッパ国土保全省に所属している」

「はい、オレはエックス。ニホン科学省に所属しています」

「ニホン?」

『失礼――オペレーターの光祐一朗です。これが証拠になればと思うのですが』

 

ニホンのネットナビが何故、このような場所に。

それに、あのナビを倒す手伝いまでも。

様々な、そして隠し切れなかった微かな疑念をシグマが溢してすぐ。

エックスの背後の空間にその姿が映った。

反応は、

 

『失礼致しましたDr.ユウイチロウ・ヒカリ! 私はサム・モーション、現在はシグマのオペレーターを担当しております。仮、ではありますが』

「改めまして、シグマです。お見知りおきを」

 

劇的。

ソードを即座に納めたシグマ。

それが敬礼をするよりも早く、サム・モーションは自身を映した時には敬礼していた。

一拍遅れてシグマもまた敬礼する。

 

流石にその姿は面食らったのだろう。

一瞬、目を見開いた祐一朗は周りに視線を動かし。

とりあえず。

とでも言うかのように同じ敬礼を返した。

 

『随分と……その、そっくりなんですね?』

『ええ。私の誇りです』

「――して。如何なご用件でこのような場所に? この辺りはウラインターネットの中でも、アメロッパに程近い場所でありますが?」

「ウラインターネット?」

 

エックスが疑念の声を上げた。

知らないのか。

そう考えて僅か。

確かに、ウラインターネットはアメロッパで使われている俗称のようなモノに過ぎない。

そう、気付いて微かに唸った。

 

「ふむ……」

『構わん。答えてやれ』

「ハッ。この不明のインターネットエリア地帯を、アメロッパではウラインターネットと呼称しているのです」

「そうなんですか」

 

頷くエックス。

それとは裏腹に、祐一朗は微かに表情を歪めた。

一瞬だが。

即ち、今回の騒動にアメロッパが関わっている可能性を考慮せざるを得なくなったことに。

 

しかしその一瞬は大きなもの。

捉えるモノも居た。

その上で、察したモノもまた。

 

『――少し前、アメロッパにてボンバーマンを名乗るネットナビが何体か現れました』

「閣下?」

『何かあったとしても責任は私が取る――それ等は僅かながらもアメロッパ各所に被害を出し、その後は此処、ウラインターネットに潜ったのです』

『…………つまり、捜査のために?』

 

沈黙と、疑問の言葉。

頷き、サムは返す。

 

『その通りです。アメロッパとしては撃退に成功したものの、それでも今後も襲撃がある可能性を考慮すれば無視出来ません――故に少数精鋭――シグマの試験運用も兼ね、調査を行っている次第です』

『……なるほど……実は、ニホンも襲撃がありました。科学省にです。そのため、犯人の調査のため私が対応することになったのです』

 

袂を開いたサム。

それに対して、祐一朗もまた同じように開く。

全容をこそ明かしはしない。

しかしアメロッパに調べられれば検討を付けられるだろう。

 

『――であれば』

『ええ。協力出来るのではないかと』

 

だが、それよりも。

優先すべきは『パルストランスミッションシステム』が悪用される可能性の排除。

ならば協力体制を築き、早急に対処をする。

そうすべきだと信じて。

 

サム。

そしてシグマも、幾らか察する所はあった。

だが目の前に吊るされているのは、最高峰。

ニホンのみならず、世界でも最高峰と言っても過言ではない技術者。

光祐一朗と協力出来るという事実。

 

協力とは、一時のモノであるようで、そうではない。

関係を結べることをも意味する。

その前では、今現在の多少の不利益の可能性等、塵芥に等しい。

 

実際問題。

デリートしたボンバーマン・ゴーレムのデータがエックスに吸い込まれた姿を見れば果たして、不利益が存在し得るか。

ボムを携えて現れた姿を見れば分かる。

敵性ナビのデータを取り込み、解析し、己のモノとしているというのだから、当然、その保有していたであろう情報もまた。

そのような勘定もあった。

 

モニター越しに頷き合う二人。

同じように、エックスとシグマもまた目を合わせ、頷く。

ボンバーマン・ゴーレム。

二対一での共闘関係とは言っても、お互いの実力を量るには十分な時間があった。

 

エックスは、その戦闘力を。

シグマは、その総合能力を。

互いが互いを知るに十分な。

 

「――短い間かも知れんが、よろしく頼む」

「はい。よろしくお願いします」

 

オペレータの代わり。

とでも言うかのように。

差し出された手を、エックスは握った。

 

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