テテッテレッテー テテッテレッテー テテッテ テテッテ テーレッテテッテー
フハハ! ショウブダ!
爆発。
爆発。
爆発。
断続的に巻き起こるソレ等の中心に、一体のナビが居た。
全体的に黒いフォルム。
緑のマントを棚引かせながら、しかし殆んど表情を動かさず。
ただ見据えながら、ソードを携えて。
対峙している相手のナビもまた、異様。
体を隠すように覆った黒紫の外套。
顔の半分を、青いレンズの着いた金属的なマスクで覆った黒い顔。
陽炎のように揺らめきながら、距離を取る。
「――《リモコンボム》」
その最中、設置されるモノもまた異様。
規則的な音を鳴らす、ゼンマイの付いたソレは爆弾。
ソレをどのような手段でか、遠隔での操作を可能としているらしい。
緑のマントが爆風に揺れるのを、何処か鬱陶しそうに、顔を顰めた。
「ふははははは……! アメロッパ最強もこの程度か? カーネル!」
「…………」
「……フン、だんまりか。まあ良い! このままこの我輩! ボンバーマン・ブレインが生み出す爆発の檻の中、抜ぅけ出せぬままデリィートされるがいい!」
高笑いを浮かべ、次々とボムを生み出し。
あるいはフリスビーか何かのように投擲されるソレ等を、カーネルはただ躱す。
時折その手を振るい斬り落としはしても。
決して動揺せず。
ただ、黙々と。
気付かない。
気付けない。
否、気付こうとしない。
既に数十。
あるいはそれ以上の巻き起こった爆撃。
悉くを、カーネルがただ避けている事実を。
調子に乗っている。
ならば、乗らせれば良い。
好き勝手言っている。
ならば、言わせておけば良い。
カーネルのスタンスは、ソレだった。
冷徹。
目的を成す。
ただその事にのみ注視し、他を鑑みない。
否。
そうでも、ない。
時折試すようにソードを振るっては、顔を顰めていた。
居もしない何者かを払うように。
「………………」
それもやがて止まる。
ふと。
何かに気付いたかのように、歩みを続けていたカーネルの動きが止まった。
傍へと視線を向ける。
その仕草に、今までにない何かを感じ取ったのだろう。
ボンバーマン・ブレインもまた、その顔を向け、
「……チッ、お呼びでない客が来られたようだな」
「オレが呼んだ」
「はっ! 単独では我輩を倒せないと見たか! ソレは」
「いや」
「正し――なんだとォ!?」
忌まわしそうに。
しかしどこか愉快気な。
そんな高笑いを上げていたボンバーマン・ブレインが一瞬固まり、半身を乗り出すように叫んだ。
だがカーネルはどこ吹く風。
涼し気にその反応を流し。
ただ、近寄って来ているソレ等を見やる。
先頭を走る、シグマ。
後に続いているのは、所属不明のレーザーマン。
そして光祐一朗博士の所有する、エックス。
詳しく言うならば、エックスを待っていた。
それだけの話だった。
そして、来たのであれば話は仕舞いだった。
「ブレイン」
「んん! ――オホン。何だろうか?」
「これより貴様をデリートする」
「――――ふっはははははー! かっちーん!」
口があれば歯をむき出しにでもしていただろう。
そんな、如何にもな感情を剥き出しに怒り狂う姿を眺めながらも。
カーネルは冷静だった。
ただゆっくりと。
ソードを構え。
身を屈めた。
「もういい! 諸共吹き飛「遅い」
瞬間。
影が走る。
真っ黒な影が。
ソレを捉えられるのはどれほど居るか。
その場に居た、殆んどのナビは可能だった。
ただし。
真横を通り抜けられた、一体のナビを除いた。
「ば――バばば、あ、ヤはっ、りテかっげゲゲき」
「遅過ぎたな」
紫の外套が斜めに落ちる。
最中。
強引に顔を動かしたボンバーマン・ブレインの身が床と水平になり、ゆっくりと落ち、
「バ」
「何もかも」
「く」
ながらも動いていた片手もまた。
通り過ぎだ刹那。
既に斬り裂かれていた。
床に倒れ落ち、同時に体が崩れていく。
データの粒子となって、その身は崩壊させていく。
それに合わせるように。
鳴り響いていたゼンマイの音が止んだ。
「――『ソウルリゲインプログラム』起動!」
佇むカーネルを他所に、データの粒子は青いネットナビ。
エックスの中に吸い込まれて行く。
興味深そうに眺めているレーザーマンを尻目に、シグマは一歩、カーネルに歩み寄っていた。
「カーネル」
「シグマ」
「足止め、ご苦労だった。一応聞くが、何か聞けたか?」
「残念ながら収穫はない」
「そうか……であれば、光博士に期待するしかない、か」
既に多少の情報交換は済ませていた両名。
お互いに軽く現状を伝え、同時に顔を向けた。
エックスへと。
瞼を下ろし、そのデータを身に取り込み終えて息を吐いている姿へと。
開かれ、向けられた瞳。
それに何を思うでもなく。
ただ、頷いた。
「初めましてか。オレはカーネル――話は聞いている。早速だが、データの解析にはどれだけ掛かる? 早く済むに越したことはないが」
「あ、はい。オレはエックス……解析は……」
『失礼。光祐一朗です、はじめまして――解析ですが、明日……二十四時間後までには必ず』
「そうですか……シグマ」
「うむ。では……明日の、今より一時間前の時刻に此処で、如何かな? 双方の情報交換も考慮して、だが」
話の主導権をシグマに渡し。
下がったカーネルの意図を継ぐように前へと出、周囲へと顔を向けた。
周囲。
と言っても、この場に居る一同。
エックス。
シグマ。
レーザーマン。
そして、カーネル。
全員の意思を確認するために。
レーザーマン。
カーネル。
この両名だけは暫く互いを見詰め合っていたが、不意に視線を逸らし、頷いた。
そうなれば残りの二名も、拒否する理由はない。
精々、祐一朗が解析にどれぐらい掛かるか、と言った程度だろうが。
ナビ全員からの視線が向いても気にしていない姿に、誰からともなく頷いていた。
問題はないだろう、と。
「それでは、目撃されているボンバーマンシリーズも残り僅か。ともなれば明日が山場になるだろう」
「……オレも同じ意見です」
「………………」
「光博士の遅刻がないようにだけ、お願いしよう」
「おい、カーネル!」
『ハハ……まあ、いざとなればエックスに起こして貰うから……』
「博士……」
無言を貫くレーザーマン。
釘を刺すカーネルを嗜めるシグマ。
苦笑する祐一朗に、額を軽く抑えるエックス。
何処か気の抜けたような一同だが、その殆んどに油断はなかった。
ボンバーマンシリーズ。
その製造者。
明日には、その尻尾が掴めるだろう故に。