「教官パワー、プラス!」
「縺ッ?」
「らぶはむパワー、プラス!」
「縺ェ縺ォ縺ェ縺ォ縺ェ縺ォ?」
「愛のパワー、プラス!」
「縺セ縺ヲ縺セ縺ヲ縺セ縺ヲ縺セ縺ヲ縺セ縺ヲ!?」
【《ラビリング》】
「縺ー繧上▲?!」
「「「クロスボンバー!!!」」」
「縺ソ繧帙▲!」
087:過労
世界が輝いて見える。
これほどまでに濁っていたとは。
ワタシの目を以ってしても。
見通せていなかった。
「健康診断は大事って言っとったんはお前やろがい!」
「ボンゴ」
「いやぁ……仕事が忙しくってにゃあ」
「それでおかしくなってちゃ世話ないわ! ここ半年、休憩の一つも取っとらんかったやろ!」
「ボンゴ」
「ごめんなさいねぇ」
カッカッカと怒っているプログラムくん。
頭に紫色のパトランプのようなモノを付けたような水色の卵形をしたガング。
腕を組んで熱心に頷いているネットナビ。
どこかアルマジロを思わせるが、毛深い獣人のような姿をしているボンゴ。
その二体にてひたすら頭を下げる。
今回ばかりは完全にワタシが悪い。
ここ数年。
会社を大きくするがために働き詰めだったのだ。
特に直近。
というよりもここ最近、一年近くか。
ちょっと真面目に頑張り過ぎた。
様々な計画。
進出。
拡大。
確定。
他が手を出してくるよりも前にそれ等を済ませる必要があったのだから。
しかし限界。
どうやらワタシがおかしくなっていたらしい。
らしい、と言うのはどうにも記録がおかしいから。
倒れる直前のワタシの記録は、何故か三体のナビに囲まれ、同時にラリアットを受けた所で途絶えている。
明らかにおかしい。
恐らく事実の記録と想像の想定、かつての諸々だとかが入り混じるほどに混迷していたのだろう。
そう言うことにする。
一先ずは、だ。
止まったことに感謝すべきか。
何か判断ミスを起こしていた可能性があったのだから。
それ以外の記録をサラッと確認した限り、直近では問題ないとは思う。
一度、精査はし直しておく必要があるだろうが。
「とりあえず、緊急で会議するにゃ。時間は……区切りの良い三十七分後に大会議室A。権限の委譲も含めての話を来れる子だけでもね――――流石に無茶が過ぎたからにゃぁ」
「そーした方がええと思うわ」
「驚天動地ボンゴ」
「余計なこと言うなや!」
「にゃはは……ワーカーホリックのつもりはなかったんにゃけどね」
何言ってんだお前みたいな目を向けられるが、逸らす。
見えなければないのと一緒。
いや本当。
ワーカーホリックになるつもりはなかったのだ。
いやはやワタシの頑張り過ぎでは確かにあるのだが。
ネットナビとなり。
様々な記録があり。
言ってしまえば、全能感。
些か楽し過ぎたのが悪い。
様々な技術や進化。
ソレを有しているワタシの記録。
達成可能に引き上げられるコサック博士達の五人。
手足が足りないということから無縁としてくれたスタッフマン達や他のネットナビ一同。
打てば響く。
動けば叶う。
成せば成る。
全く、毒だ。
ワタシが動けば動くだけ、形になっていったのだから。
当然、上手くいかなかった部分もあった。
しかしリカバリーの出来る範囲で済んでいた。
頑張れば何とか出来てしまった。
資金を高速回転させながら手を伸ばせば伸ばすだけ、遠くへと届いていくというのは、我ながら悪い成功体験だった。
「……はぁ」
単純な話。
成功体験。
それに酔ったのだ。
自身の限界を越えてしまう程に。
ザ―コザコザコ。
先読みウスウス。
自分の限界も見えてないトンチンカン。
ワタシの事である。
だがそれも此処まで。
流石にワタシが倒れるレベルまでやっていては、マズい。
いや、本当にマズい。
最近、お会い出来ていないが。
ワイリー様にまた「閉じ込めておいた方が良いか?」みたいな目で見られるようになってしまう。
折角、事業以外も順調に進んでいるのにソレはご勘弁願いたい。
素直に反省するしかない。
いや流石に、以前のボンバーマン擬き大発生の際に出会った幾体。
ワタシの弟妹達も増えているハズ。
ワタシのみに掛かりっ切りにはならないだろう。
きっと。
多分。
恐らく。
まあ幸いと言うべきか、会社の発展自体は諸々かなり進んだ。
それこそ。
コレから業界に入ろうとする相手では相当に苦労することになるだろう。
何せワタシ達、ネットナビ。
もっと言えばワタシ、パインが相当中々に無法である。
ワタシ自身によるネットナビの増産はモチロン。
造り出したネットナビ達はワタシの私物扱い。
自分で用意しているシャーペンやボールペンだとかと一緒の扱い。
要するに。
人件費が丸々掛かっていない。
コレが大きい。
売上の三割。
業態によってはそれ以上。
そんなコストは、何だと思うか。
それが世間一般的に言われている、売上に対する人件費の比率である。
丸々。
というのは言い過ぎにしても、コレほど削減出来るのは未だと言うか他にないだろう。
価格勝負を相手が仕掛けて来た所で。
余程の金額でもなければ一方的に打ち砕ける。
品質についても、語るまでもあるまい。
コサック博士やワイリー様の弟子タレル。
ご友人達こと三博士。
更に言えば、コサック博士達ほどとは口が裂けても言えぬものの、優秀な若者達。
それにワタシの造った子達に、それ以外も含めたネットナビ達。
此の錚々たる面々に対して上を行ける存在等。
仮に居たとするならば。
ワイリー様以上の天才に違いあるまい。
つまり存在しない。
有り得ない訳だ。
もう大丈夫。
「………………よし」
ともあれ。
消えたスタッフマン達の名残を尻目に、ボンゴ達に手を振って会議室へと止めていた足を向ける。
いや。
実の所。
最大の警戒は、また別にあった。
「決心出来たにゃ」
ラッダイト運動。
と言う活動。
ソレがワタシの記録の中に存在していた。
実際、此方の世界でも似た事案はあったらしい。
理由は様々だが。
技術職の技術自体の価値の低下。
ルールを無視した労働環境の悪化。
あとは大量生産による粗悪品の流通だとか。
理由は様々だが、何が起きたか。
ラッダイト運動。
単純に言ってしまえば、機械の破壊打ち壊し運動。
である。
正直、ワタシはコレを、かなり警戒していた。
特に売上比での労働者数はかなり少なくて済む。
済ませているのだ。
公平な労働環境もクソもない。
もし破壊運動が起きれば。
絶賛事業を大規模に拡大しているワタシ達やその系列、関連する伊集院PETカンパニーやゼフラム社等にも飛び火する。
と言うよりも其処が火元となるだろう。
そう考え、世情や状況を注視していた。
運動の気配があれば動き回り、その火が広がらないよう不満の解消のために動こうと。
ラッダイト運動の本質は、単なる機械の打ち壊しではない。
抗議活動。
その拡大とでも言うべきモノなのだから。
「んじゃ!」
「気ぃ付けや!」
「ボンゴ」
しかし幸い、それは起こらなかった。
何故か。
PCとPET、ネットナビ。
ソレ等が丁度、一般に浸透し始めた時期だったのが良かった。
PCやPETにはネットナビが居る。
ソレは、そう言うモノである。
そう認識されたのだ。
あと、仕組み自体も良かった。
工場。
そこの機械は要するに、人間を使う機械である。
機械が主体となって、人間がそのサポートをするような。
しかし、PCやPETにネットナビ。
それ等は人間に使われる機械。
あるいは存在である。
人間が主体であって、ソレ等はそのサポートでしかない。
『知の自転車』。
洒落た言い回しだが、ソレが本質と言えるだろう。
人間に使われるモノ。
人間を使うモノ、ではない。
何処まで行っても、人間に使われるモノ、である。
そう言った認識であり、正しくそう言うモノなのだから。
長くなったがまあ、要するに。
PCやPETもだが。
ネットナビは道具である。
定規や方眼紙、タイプライター等に対して「俺の仕事を奪うな!」と言う人間が居るだろうか。
あるいは、そう。
部下。
誰の下にも付いて、命令をよく聞く、従順な部下。
仕事の効率を上げるために。
道具や部下を使う。
極自然なことだ。
やれる事柄が一気に広がったとはいっても。
そして命令された側が自身の能力を遥かに超えたことをしている存在だとしても。
命令しているのは、人間側なのだ。
あくまでも、人間が主体。
ネットナビは敵ではない。
あくまでも、道具か相棒。
どこまでも、従順な存在。
そうPCやPET、付随するネットナビが認識された。
と思われる。
確実にそう、と断定は出来ないが恐らく。
だからこそある程度広まっている今現状において、更にワタシが目を光らせ続けている必要性も薄い。
そう言うことで、ワタシ自身を改めて納得させる。
等と考えている内に、会議室前。
ショートカット。
此方は別に聞かれても一応は良い内容を話せるように、あと、オペレーターが居ても参加出来るように。
特別なセキュリティはしてない極普通の代物だ。
まだ他に見受けられない機能としては、WEB会議が出来るように調整してあるぐらいで。
「あ、お疲れ様にゃ」
【うっす】
着けばせっせとメンテナンス確認を進めてくれていたスタッフマンにお礼を言い置いて。
所謂、社長席とでも言うべき場所に腰を下ろした。
居るのはちゃんとしたスタッフマンだし、問題なかろう。
そう頷いてから時間を設定し、シャットダウン。
感覚が起こる。
目を覚ます。
既に、ワタシ寄りの席に座っている面々に対して顔だけ上げて一瞥し、念のため時間を確認する。
開始三分前。
予定通りの時間。
問題なしと、突っ伏していた身を起こす。
控えているスタッフマンへと視線を向ければ。
頷きが一つ。
代表格と言えるレベルのナビが合計で、十体。
今日の所はこれ以上、来ない様子。
まあ、急だったし。
あとはスタッフマン達を経由してとかで。
適当に話を広げて貰いつつ、時間がある時にでも直接話をしていけばよいでしょう。
そう内心で頷いて、
「さて」
と。
手を叩いた。
一拍。
瞬間。
計十体の視線がワタシへと向いた。
「それでは急で申し訳にゃいですけど、会議を始めるにゃ。とは言っても三十分もかかりませんよ。内容はワタシから貴方達への権限の委譲に関しての伝達だけですから」
「具体的には?」
真っ先に。
その口を開いた一体。
現状、我等が会社の大黒柱と言えるだろう存在。
本の販売から始まり、既にそれ以外の取り扱いも実施中。
アメロッパ全土のみならず海外へもその手を広げている、最大規模ながら薄利多売の方針故に広告宣伝費が売上の主体。
オンラインショップ『MMM』。
経営顧問。
セーラー服着た緑のツインテールをした、ツガル。
「今までワタシが確認していた細かな報告だとかはもう貴方達に任せようかなと。順調な所は大筋の方針だけ定期的に確認するとしても、決済だとかもよっぽどじゃにゃきゃお任せするにゃ」
「ほぅ? ようやく私達に任せる気になったのか?」
「そう言うことですにゃあ」
ネットナビ家庭教師サービスを初め、資格勉強もサポート。
ウイルスバスティング教室も慈善事業に近い形で暫く前から行い、『オフィシャル』とも提携。
学習サポートサービス『アカデミア』。
教師。
ピンクの長髪をした如何にも出来る女に見える、ダイアちゃん。
「パイン様が他を頼るようになって私は嬉しいです! さあ!」
「ハグはノーサンキュー。勘弁にゃ」
「そんな…………」
ありとあらゆる宗教の祈祷場をエリア別に併設。
ココロの平穏を保つため、オペレーターとの繋がりを勉強するため、ネットナビ達が訪れる。
宗教混在エリア『サンクチュアリ』。
守衛長。
十字架を振り回して戦う金髪のシスター、セピア・ベルモンド。
「わたくしとしてはイチイチ貴方に伺いを立てる必要がなくなるのは有難いけど…………どういう風の吹き回しかしら?」
「ちょっと倒れちゃって」
「へー…………倒れたぁっ?! ちょっと、ソレ大丈夫ですの!?」
建設業における肉体労働こそ人間任せ。
しかしそれ以外、書類や図面の作成、現在は無人重機の開発もと内部体制の刷新を絶賛進行中。
建設会社『UNK.inc』。
城主。
水色の髪を指先で弄びながら笑っていた吸血鬼、アクアブルー。
「そこは安心して欲しいよ。スタッフマンから報告は受けたけど、いわゆる過労だそうだからね」
「安心できないのですけど!?」
「………………うん、ごもっともだよ。ちょぉ~っと言葉もないね」
会社組織ではなくあくまでもワタシ自身の趣味。
そう言うことで取り纏め、ニホンへの憧れから和風趣味を拗らせた接待集団と言うことになっている。
暗部『東曄堂』。
纏め役。
今は周りのド派手な個性に押され気味な実態は痴女、ウルシ。
「であればこの私が管理してやっても構わないぞ。むしろ管理したいぐらいだ」
「あ、大丈夫です。そのために皆さんの仕事を増やしてワタシの負担を減らす訳ですから。むしろこれからは自己管理のためにリソースを回して下さいお願いします」
「そうか…………そうか…………………………」
社内セキュリティのみならず、外部セキュリティも同様に対応を拡大中。
無関係であればウイルスもネットナビも関係なくサーチアンドデストロイを体現する者達。
セキュリティサービス『タクティカルアサルトフォース』。
第0番隊隊長。
無機質無表情ながら残念そうに此方を見やるちょっとポンコツ、シルヴァ。
「管理か……なら、この機会だから注意して欲しいんだけど」
「にゃんですか、フジサキさん?」
「プルーンに此方の管轄で勝手しないように注意して貰える?」
人と人を繋ぐSNSサービスの総元締め。
公開非公開、短文長文、動画サービスだけでなく最近はBtoB系にまで進出中。
複合SNSプラットフォーム『メモリアル』。
管理者。
セーラー服の所為で戦闘用ナビと思われているらしい、藤崎大先輩改め、フジサキ。
「え……えへへ…………プルルンはぁ、麻薬の効能をお見せしてるだけだしぃ」
「勝手にホームのオススメに出るようにしたでしょ。お陰で苦情が多いの」
「だってぇ……粉モノは上流階級の嗜みとか固形の方は危険とかバカなことしてんだもおん! ヤったらどうなるかのホームビデオ見易くしてるだけだもおん!」
病院に様々なシステムを組み込み現在、医者や看護師の労力を削減中。
回転率向上に努めながら他にも人助けやら人体研究に邁進。
医療及び研究施設『サイエンシナプス』。
医療長。
駄々っ子の如くジタバタして呆れ目を向けられている、プルーン。
「まあまあフジサキも落ち着いて下さい! お陰でアメロッパの上の方から、内密ながらも感謝の言葉があったと伺っています! ね?」
「苦労を掛けて申し訳ないにゃあ」
「……あなたを責めたつもりはないわ」
ありとあらゆる娯楽を提供するため日夜働き回っている、人のためのナビの具現。
だけど聞かれても「573」の意味は答えられていない。
総合エンタメ企業『573ファクトリー』。
広報。
バトルの解説も務める溌剌な褐色金髪の赤縁眼鏡、実況ガールこと、ムジョー。
「……パインが止める気は薄そうじゃし、であればせめて年齢だとかの傾向から頻度ぐらいはワシの方で調整しよう。それでどうじゃ、フジサキ?」
「お願いするわ……アイン」
「よいよい。ワシとお主の仲じゃ」
ひたすらに文字や絵を書き連ねるようにプラグラムやシステムの開発、改善、改修等々。
外部提供も当然ながら進めている、現アメロッパの業界最大手。
メガテック『グリッドシティ』。
技官。
褐色金髪グルグル眼鏡に白衣と癖の詰まったTS的存在、Dr.アイン。
「…………さて」
そしてこれ等以外にも様々な企業群。
例えば特注ネットナビ専用製造の『ドルプロ』だとか。
複数企業を取り纏め、人間世界と電脳世界の共栄と発展のために日々邁進を続けている、
グループ管理会社『パイン・ホールディングス』。
全て纏めて。
世間からの俗称『パイン・コングロマリッド』
その長。
天才を越えた超々々々々天才であるこのワタシこと、パイン。
「皆さんには既に苦労を掛けている所で申し訳にゃいんですけども」
気を取り直して口を開けば。
場が静まる。
プルーンも流石に空気を読む。
その最中で、ほぅと溜め息を吐くようにしながら言葉を続ける。
「ワタシが些か頑張り過ぎたのは真実であり事実にゃ。だからこそ、今後は少し、絞ります」
反応はない。
倒れた、と聞けば意見を言い辛かろう。
ソレに今は、報告の場。
既に何か言って覆せるとも思っていなかろう。
「流石にまた、今回みたいなコトがあって滞ることがあったら困るからにゃあ」
とはいえ。
無言。
反対意見もないようなので、ソレで進めれば良いか。
あるいは何かを抱え込んでいるのかが分からない。
ちょっとよろしくない。
今まで決めていた範囲を。
余程の事がない限りはネットナビ達。
あと現実世界の人間達に任せる。
頭がおかしくなるのはもう勘弁だけれども。
「一先ず、週一の報告から始めて……問題なければ間隔を空けて行く感じで、どうにゃ?」
「……そう仰るならばそのように」
ツガルの同意。
ただし、些か消極的。
不安がある。
あるいは妨げが、か。
そう見えているのであれば、
「にゃっはっは! ま、週一とは言ったけども……判断に悩む事柄については気にせず聞いて下さいにゃ。責任はモチロン、ワタシが取りますから! 実働は……そうね、再来週の月曜日から! では、解散にゃ!」
両の手を叩く。
各々が立ち上がった。
今日の所は閉会である。
さてワタシとしては。
軌道に完全に乗れているモノは任せてしまって良いだろう。
しかし未だに小さい所や、手を付け始めたばかりの所は別だ。
引き続き、手を出し続ける必要があるだろう。
それでも大きな仕事はかなり減る。
金額の大きな、神経に来るようなモノは特に。
面倒事の大部分はなくなったと言っても過言ではあるまい。
久し振りにウラインターネットに潜るか。
あるいはチップデータの収集状況を確認するか。
色々おかしくなってるパースと少し、ゆっくりするか。
そのようなことを考えながら。
軽く、意味もない伸び。
本当に体が軽い。
かなり細かなバグが蓄積していたと考えるべきか。
振り返って比較すれば、体全体に砂が入り込んでいたような気分である。
あるいはまだ残っているのかも知れない。
ボンゴは確かに、専用に造り上げたメンテナンス用ネットナビ。
リーガルの簡易的な検査設備よりも時間こそ掛かるが、手の込んだ検査が出来るようにしている。
しかし。
ワイリー様のお造りになったオイルマンと比べれば、どうか。
一度、オイルマンに検査して貰って、比べるのも十分にアリだろう。
「おぉい」
「うにゃ? プルーンかにゃ?」
「えっへっへ…………」
腰を低く。
手を揉みながら近付いてくる。
そのままワタシの後ろへと回り、無遠慮に肩を揉み始めた。
「へへへ……旦那ぁ……プルルンお仕事イヤだから手伝ってぇ……ホギャアアアアア!!!!!」
肩を揉んでいる手の片方を掴み。
逃げられないようにしてからアイアンクロー。
無言のワタシに対し、空いている方の手で必死に引き剥がそうと指を掴まれるが。
やがて如何ともし難いと悟ったらしい。
手の甲を何度もタップされる。
しかし追加で十数秒。
そうしてから両方の手を離してやれば。
無言のまま。
尻を突き出した状態で床に突っ伏したのが見ずとも分かった。
振り向く価値ナシ。
「――――働け」
周囲の呆れたような声を尻目に一言。
悠々と歩き去り。
ながら。
ショートカットの目前。
念のため、手元を覗き込める距離に誰も居ないことを確認し、手の中を見る。
寸劇の最中。
肩に貼られたのでさり気なく受け取ったテキストデータ。
日付。
時間。
そして「主の所」。
只々簡潔に。
そのようにだけ記されていたデータを《ミニボム》で消し去って。
ショートカットを踏んだ。
章は終わりましたので、また週一回に戻ります。
念のために。