「うーっス」
会議終了後。
ワタシはある場所に訪問した。
かなり久し振りに。
入れる存在の限られる、秘密地帯。
其処はどうやら以前から変わりなく。
と言うよりも他の、ワイリーナンバーズだったかの、連中の姿も見当たらない。
それどころか、プログラムくんの姿すら、広さに反して殆んどない。
その様な空間。
「…………ボンバーマンか。何の用じゃ?」
会議は大した内容は、話し合いの中では出ず。
まあ、急な事だったから次回に詳しく、みたいな雰囲気。
それで各々、案を持ち寄ると言うことで。
と言うような非常に、いわゆる竜頭蛇尾とでも言うべきか。
そのような微妙な終わり方だった。
まあ、アレだ。
今後の会議場。
その御披露目会としては中々良かったんじゃあないか、とは思う。
「ヨう、サーゲス。チョイと色々気ニなっテな」
宙から此方を見下ろすサーゲス。
それが緩やかに降り、視線を合わせてくる。
閑話休題。
ワタシは、久方振りに訪れた場所。
情報保管室。
ワタシ達が色々と動き回って手に入れたデータが変わらず保管されている其処。
相も変わらず目も眩むような量が果てしなく続いてこそいるが、流石に数年前よりも片付いて見える。
何ともなしに周囲を見渡してしまっているワタシを他所に。
単独用の移動足場に乗っているサーゲスは訝し気。
ジロジロと顔を眺めてきて、
「……そのような神経があったのか」
「酷クね?」
さらりと軽口を交わし、顎で促した。
先の会議での様相。
ワタシの気になっていた部分を察したのだろう。
あっさりと教えてくれた。
「要するに、組織内政治、と言うヤツじゃな」
「政治」
「少し長くなる……腰を落ち着けるか?」
「老い耄れ立タせとク訳にゃいかネえしな」
「うむ。歳上への配慮は当然、ワシでも出来ることじゃ」
「言いヤがる」
背中を向けたかと思えば、そのままその足場が動き始める。
後に続いて歩く。
スピードは配慮されているだけ有難い。
そのような最中でも、話は続く。
「……ワイリー様のお造りになった者の中でも、特に時期と性能が近しいモノが居る」
「どいつダ?」
「プラネットマン、ナパームマン、ソードマンの三体……まあ、三体じゃ」
ソードマンでちょっと詰まった。
まあ、分かる。
あの三身一体みたいな姿を一体と形容するのは難しいか。
「何れも尋常ではないデータ――未確認飛行物体データ――世界中の軍事機密データ――カーネル等の戦闘データ――そう言ったモノが使用されているのは知っているな?」
「まァ関わってタし……」
噓である。
プラネットマンとナパームマン。
その強さは知っている。
と言っても良いと思われる。
だが、ソードマン。
アイツ、カーネルだとかの近接戦データの塊なのか。
だとすればかなりの遣り手だろう。
今度、手合わせを願うのもアリか。
「それでボンバーマン。暫く前に、お前のコピーデータが……殆んどは下らん代物だったが……流行したじゃろう?」
「…………あア、アレはナあ……」
何時ぞや、ワタシ達で囲ったテーブル。
その一角に勧められるがまま腰を下ろす。
下ろしながら、思わず苦い顔をするしかなかった。
アレは、苦さも入り混じった思い出だ。
本当にワタシのデータが流出していた。
その上、コピーが造られていた。
大多数。
と言うか全てが全て、劣化品。
部分部分で工夫も見られたが。
数を見れば流石に飽きる。
ただただクラッキング能力だけに注力したような代物ばかり。
新進性がない。
何処の、誰が造ったようなのでも、だ。
オリジナリティに欠ける。
もっとこう、なかったのかと聞きたいぐらい。
一番工夫が見られたのが、ダムーシュニクの造ったナビ達なのだから。
彼は技術力は十分ある方だったか。
いやはやしかし、そんなにワタシ、爆弾魔みたいな印象だったのか。
ともあれ、だ。
その排除。
あろうことか、ワイリー様のお手を煩わせる羽目になった。
実に苦い思い出。
「……お前がどう思っているかはともかく。ワイリー様はアレを己の失態と捉え、故にお前と他幾らかに掃討を命じた。命じられた者達の名を言えるか?」
慰めとも付かぬ言葉。
コーヒー、は苦手だった覚えがある。
なのでミルクを生成しながら頷く。
「そリゃ当然、呼ばれタからな。ワタシ、ナパームマン、バーストマン、コマンドマン、グレネードマンで合わセて五体ダ」
「そう。お前はどう思っているかは別じゃが、そいつ等全員、戦争組……確かナパームマンのデータを細分化したデータだとかじゃったか? 分類されておる。プラネットマンにな」
「あー……? ……アー……なルほど」
空いた手の指で側頭を突きながら、ミルクを啜る。
なるほど。
知らなかったが、読めて来た。
「……プラネットマンとソの系列は?」
「宇宙組じゃな」
「なるホど」
戦争組。
ナパームマンを祖に、武器を模したグループ。
宇宙組。
プラネットマンを祖に、宇宙に関するグループ。
多分そのような組分けだろうが、
「差が出タか」
「直接、ワイリー様直々の命を受けた戦争組と、受けなかった宇宙組……当初は結束を促すための共通点ぐらいのようだったんじゃろうがな……」
ナパームマンがどう思っているかはともかく。
プラネットマンとしては内部で適度な交流を持つためのものだったのだろうが。
やってる最中。
まさかのボンバーマン騒動で溝が出来てしまった、と。
どの程度かまでは分からないが。
「今回の会議場の件も、如何にワイリー様のお役に立てるか見せ付けるための一環であったようじゃ。断っておくが、何かしているのは知っていたが何をしていたかまではワシも聞いておらんかった」
「…………序デに、特別な十体とデも演出しよウとしヤがっタか」
「そのようじゃ。恐らくは一桁、シングルディジットナンバーズとでも喧伝したかったんじゃろう――カーネルとアイリスが出て行った、それなりの後じゃ。知らぬのも無理はない」
カーネルとアイリスは。
確かに知らずとも無理はない。
カーネルについてはアメロッパが情報を封鎖して広がらないようにしている。
アイリスも同様。
かつ何処か、十中八九ワイリー様だろうが、誰かもソレに協力している節があった。
身内にもわざわざ広げやしないだろう。
口を滑らせる可能性があるとすればオイルマン辺りが精々だろうが、軽そうに見えてアレは相当堅い。
ワタシのもう一つの姿が広まっていないことが何よりの証明である。
「十は?」
「さあ? ……ゼロ番とかそう言う感じじゃあないか?」
良いのか、それで。
いや。
続くのが、スターマンとグラビティマン、その後にバーストマンだ。
前の二体までなら恐らく宇宙組。
さては入るように数値を調整したか。
「……戦争組と宇宙組ダとか、外に出さセるなよ? 本当に面倒なコトに成り兼ネねぇ」
「あくまでもナンバー付のお遊びじゃろう。気にする必要はあるまい」
「組織が派閥に分かれテるって思われタだけで工作シて来るヤツは居るんダよ……利用すンなら別ダが、面倒臭ぇゾ?」
「…………我々がワイリー様を裏切るとでも?」
「人間かラ見て、裏切らズとも割れルと思わレるだけ面倒ダ」
ワイリー様の不利益になるようなことをするとは思わないが。
その実が大きく二つ、いや無派閥も含めれば最低三つに分かれていると考えれば。
工作を画策するのが人間と言うものだ。
ましてやワイリー様のお造りになられた我々。
もし、味方に出来れば。
そうでなくとも内乱を誘発出来れば。
等と碌でもないことを考えるような輩は、幾らでも居るだろう。
「にしテも些か性急に思うガ……」
「元々、自己証明に飢えておる節があるからな」
「なんデ?」
「ん? ……分からぬとは意外じゃな。未確認飛行物体のデータを基に創られた、ある種の機能検証用ネットナビじゃ。故に、己の能力をワイリー様にお見せする機会に飢えておる」
「存在意義、カ……なラしょうがネえ」
なるほど納得。
ワタシも戦闘用ネットナビ。
戦闘面において、劣っていると称されるのは些か堪える所がある。
まあ、底を見せたことがあると言えるのは、カーネルに対してぐらいだが。
いやしかし。
何でワタシ、こんな策謀みたいなことまで考えなければならないのか。
戦闘用ナビぞ。
我。
「………………所デ」
「うむ」
「プラネットマンから見テ、ワタシは戦争組か?」
「うむ」
でしょうね。
思わず白目を剥く。
「……ワタシ、ナパームマン…………ソードマンもカ?」
「ソードマンは今回ので脱したじゃろうな」
「クソが。三対三にスるつもリだっタんだろウが、一対二じゃネえか」
勝手に追い込まれないでくれませんか。
面倒臭いんですけど。
そう言うの。
「要は、集団票デ優位を取ろウとしタ訳か」
「その二つ以外、明確にグループ的なモノはないからのう」
いや、仕方あるまい。
プラネットマン。
エキセントリックな口調でこそあれど。
ゲームの二作品目では幹部選定係として登場。
しかしすぐに幹部候補としてロックマン達を勧誘したが断られ、排除しようとした印象。
以上に、どうにも言うなれば、評価を気にする完璧主義的な様子が見て取れた。
いわばドツボにハマり易いタイプ。
ワイリー様に対して、事前に話を伺っていれば避けられたのだろうに。
だが、評価を気にする完璧主義。
そのような存在が、絶対の評価者であるワイリー様に対して、作業的でない事柄についてお声掛けすること自体を憚ったのも無理はない。
特に、内容が内容だ。
自身よりも前に造られたネットナビが何体居るか等と。
質問の意図が分からな過ぎる。
ワイリー様なら多分、気にせず教えて下さるだろうが。
もしも。
変なことを聞くヤツ、とでも印象付いてしまえば。
そのようなコトを気にして聞けず仕舞いだったのだと思われる。
そうして自身で調べた結果。
カーネルとアイリスにまでは辿り着けず。
しかし、それ以上は居ないだろうとして、そのまま策を敢行した。
ワタシが声掛けしたのもあの場面、悪い方向に向かったか。
要するに。
自身から言い出したのではなく、要請に従って動いた、と言う大義名分も出来てしまったのだから。
機会としても、お披露目するには絶好のタイミングでもあったろう。
なんか、逆恨みされてないか気になる。
大丈夫だと思いたいが。
出来るだけフォローして好感度を稼ぐ方向で行こう。
「………………一先ズ、ソードマンに助けラれた」
「そうじゃな」
多分、薄々政治的な様子に勘付いていてこれ幸いと逃げたのだろうが。
助けられた。
プラネットマンに助け舟を出した。
そう、素直に思っておこう。
少なくとも、彼方から見れば一対二。
何とか出来なくもない状況であろう。
厳しいだろうが。
そうであるとして。
特別な番号でも少数派で、しかも直接の命を受けたことのない宇宙組。
コレは痛い。
内心を大いに刺激されていることだろう。
今回のご命令。
それも『科学省襲撃』。
襲撃と言うよりデータの強奪が主目的だが、ソレに際しては確実に、自分達が活躍出来るように整えたいハズ。
恐らくそう言った策を立てて来る。
だが、得てして。
派手さを求めれば実利に欠ける。
損害が大きく成り得る。
改めて。
ワイリー様も今回の事柄、襲撃と名を打ってこそいるだけで派手に損害を与える気があまりないように思われる。
あくまでも、あまり、だ。
全く、ではない。
いざとなれば辞さないまでも、今がその時ではないと判断されているように思える。
ぶっちゃけると。
今あんまりにも派手にやった場合、もしもの場合の十数年後の科学省がちょっと怖い。
だから穏当に済ませるつもりである。
そう、仮定する。
策を立て。
だが却下されたとなれば。
ワイリー様の名の下、どのような挙動をするかが読めない。
ソレは困る。
本当に困る。
なれば。
ワタシがすべきこと。
ソレは一つ。
「……状況は大体分かったか?」
「オう」
「で、どうする?」
「ワタシが一番に献策すル、ソレを通ス」
穏便に済ませるにはそれしかあるまい。
と言うよりも。
確実な実利、欲されているだろう中身だけを狙うなら。
ワイリー様の目的を分かっている者は居るまいし。
生憎、ワタシのソレも、推測でしかないが。
そう答えると、意外そうに眉を動かした。
不審に思わず顔を顰める。
何か妙な事を言ったか。
言ってはいないと思うのだが。
数秒ほどの沈黙。
最中に、その手を顎にやって撫でながら、目を此方に向けてくる。
不審。
と言うよりも、疑念。
その類の籠った眼を。
「――――ボンバーマン」
「なんダ?」
「ワシは正直、此度の科学省襲撃はデメリットの大きいだけの、無駄な計画と思うておる」
「ふム……」
「故に、あわよくば立ち消えにさせるようワイリー様に献策するつもりであったのじゃが……お前はそうは思わないのか?」
「具体的なデメリットは?」
キッチリ、五秒。
考えるように目を閉じて。
開いた時。
指を四本、掲げて見せた。
「一つ目と二つ目は、ニホン……科学省と、『オフィシャル』との敵対。三つ目は戦力が割れる可能性。四つ目に、大した収穫がない可能性……すぐ思い付くのはこの辺りかな」
ニホンもとい科学省との敵対。
追加で『オフィシャル』とも。
確かに、今の時期にソレは痛いか。
戦力的にはともかく、国家の力は何だかんだ言って強い。
正直、そうなるとは思えないが。
「三つ目は否定出来ネえな……」
「他は?」
「今回の襲撃は――四つ目に当タるが、間違イなく収穫はアると考えテる」
「予想としてか」
「予想にナるが」
ある種、収穫が有ることを前提とする必要があるだろう。
その上で、
「デ、その収穫物が在っタ場合、科学省はまズ間違いナく襲撃の事実を揉み消ス」
「何故?」
「何を盗られタか、公表出来ネえからダ。外にモ、内にモ」
襲撃があった事実を知ら占める場合。
襲撃の結果、何を取られたのか。
ソレを『オフィシャル』辺りには伝える必要があるだろう。
場合によっては実際の被害状況を確認して貰う必要がある。
「…………『オフィシャル』は国際組織。秘密管理は密に行うじゃろう」
「ソレを差し引いテも、予想の収穫物が合っタら見せれネえんダな、コレが」
警察とて、調査確認現場検証は必要なのだ。
『オフィシャル』とて例外ではない。
だが、科学省――いやニホンがそれをさせられるとは、出来るとは思えない。
万が一にも盗られたモノについてバレれば、襲撃されて奪われることよりも余程マズいのだから。
いや、まだ予測かつ予定のモノではあるが。
再び、沈黙。
瞼を下ろし。
十数秒ほど。
そして開いた。
「…………ワシの知らぬ何かを知っている。そうだな、ボンバーマン」
「そウなる」
「言えぬか」
「約束デな」
「必要なことか?」
「多分……? ワイリー様にとっテは」
「多分か……まあ仕方ない。お前がそう考えるのならお伝えした所で辞めぬのじゃろうし、進める前提で考えよう……しかし確認したいのじゃが」
「オう?」
「予定しているモノがなければ、どうなる?」
それは。
まあ。
決まっている。
「ワイリー様はオ喜びに成らレる。見事に騙された、っテな」
その返事に。
サーゲスは分かり易く溜め息を吐いた。
しかしそれ以上、問うてくるようなことはなく、
「――先の、お前の献策の話に戻るが」
と。
少し前に話が戻った。
襲撃。
その実働についてへと。
「おウ」
「通るかな?」
「通ス」
ソレが最良である。
ならば通るようにするしかない。
通るか通らないかではなく。
通す。
少なくとも。
プラネットマン達が納得するような形であり。
かつナパームマン達もそれなら仕方ない。
そう思える内容にした策を。
「ワシとしては面倒な手間が省けるなら万々歳じゃがな」
「マ、ワタシがザっと考エたヤツがドウか、まず見ロ」
「…………もう出来ていたのか」
「ザっと考えタっつたろ」
言いながら。
頭の中でおおよそ。
あくまでもおおよそ考えた案。
と言うよりも、要点を纏めてこう言う流れにすれば良いんじゃないか。
という程度をテキストデータとして出し、手渡す。
こう言うのは、まず形にするに限る。
大筋。
流れ。
いきなり百点満点の案を出そうとして出せるモノじゃあない。
高い点数を出そうとすればソレだけ時間は掛かるし、何より根本的に間違っているかも分からない。
まず、見せる。
そして確認し、検証する。
そのように渡したソレを軽く流し見、大した時間も掛けず頷いた。
「…………許諾点はあろう。しかし、釣られず奥に来られると困る」
「ナら、其処にはナパームマン達を配置ダ。撤収後の出入方法の隠滅も兼ネる。主動はプラネットマン達に任せル」
万が一の後詰め。
最終ライン。
作戦の成否の分かれ目。
そうとでも言っておけば、張り切るんじゃあないだろうか。
割と脳筋な所ある。
「……宇宙組ではなく?」
「仮称無派閥も含メた全体に、ダ。偏るかラな、文句は言えネえだろ」
案を出し、表側で動いた。
提案側。
それに沿ってだが、重要な部分で動いた。
実働側。
ある種の、名と実。
ソレを分ける。
要所を任され、危険も少ない。
表向きワタシ達が派手に動いては見えるだろうが、実際に重要な事柄に対応したのは彼方側。
実績さえ挙げれれば当然ワイリー様からの評価も高かろうから、ハッピーハッピー。
「奥にはフェイクマンが入れるとして。他を通すためのショートカットはどうするつもりじゃ?」
「ドリルマンが居ル」
「……ヤツか?」
「アあ。得意ダろ? ショートカット作成」
三番目の作品で、科学省とウラインターネットを繋いでいた。
お陰でウラの奥地に行き易くなって非常に助かった記憶がある。
あの、電脳空間を繋げる能力。。
恐らく五番目の作品に出たドリル型のウイルス、ドリクロール系がバトル中にも見せる能力を活用されたのだろう。
工事用機械の無人化を進めている最中。
度々あの手のウイルスが出て来る。
デリートは出来ているが。
ワイリー様も、建設業界に伝手があるようだからその関連で知られ、活用されたのだと思われる。
「…………デ?」
「一度、此方でも少し揉もう。ワイリー様とも事前に確認も兼ねて相談して話は通しておく」
「有難イな。序でニ、ワタシも戦争組扱イから抜ケれりゃ良イんだが……」
「其処までは保証出来ん」
「ダろうな……」
いや。
であれば、
「ナらサーゲス、おめえかラこの案を出セ。イの一番に賛成すル」
「反発して反対されるかも知れんぞ?」
「其処まデ馬鹿じゃネえだろ。あくマでも、おめえの案としテだ」
「……そうじゃな」
一先ずコレで。
少なくとも、ワタシが戦争組とか言う派閥じゃないと判断してくれれば助かる。
最悪でも、積極的だとか中心的だとかではないと。
「………………ワタシ、戦闘用ネットナビだヨな? 頭脳用じゃネえよな?」
「はぁ?」
「……どウ言う意味のダ、ソレ?」
「…………言うべきか?」
「聞かンでオく」
「よっコいしょ」と口にしながら立ち上がる。
サーゲスは相談しておいてくれるとは言ったが。
ワタシの方からも一度、顔を伺いに行かせて頂こう。
ミルクも飲み干し、カップを《ミニボム》で消し飛ばす。
一時間もせず消えるが、前もって。
もし他のナビが入って来れて、誰かが居たと思われてもなんだ。
最近、まともにお会い出来ていなかった。
全員で集まった感じでは特に問題は見当たらなかった。
ストーンマンからも報告もなかった。
だが、ワタシ自身で確認する。
そう言ったことも、大事な事である。
正直、気になることもある。
あの女。
ワイリー様の近くに居られた、女。
秘書には見えたが。
それだけかどうか、そもそも何者であるかが、些か気に掛かる。
「……じゃ、ワタシは一度ワイリー様のトコ行くガ、何かアっか?」
「ないな」
「おウ。ジゃ、また」
「気を付けてな」
ヒラヒラと振られる手を眺め。
背中を向けて、歩き始める。
実はそれだけじゃない。
ぶっちゃけると。
長い間お会いしていないので、久し振りにちゃんと顔を見たい。
と言うのも大きい。
流石に恥ずかしくて、言わなかったが。
去って行った後ろ姿。
ソレが消えてから漸く。
サーゲスはミルクを口にし、呟いた。
「…………ドリルマンにそのような能力、聞いた覚えはないのじゃがな」
誰にともなく。
ただ。
本当にそうであるならば、やはり侮れぬ。
目を細めながら。
そう、密やかに。