ワタシは、ボンバー……   作:無記名 to 稿

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013:レーザーマン

 

「オら、《キャノン》! 当テれるっつうコトは当テられもスるんダ! 直線に気を付ケろ!」

「ッ!」

「足を止めんじゃネえぞ間抜ケ! 今度は《ミニボム》ダ!」

「ヌゥウウウウウ!」

 

レーザーマン。

改めて言うが、産まれ立てのネットナビである。

バトルチップを見たことすらなかったらしい。

それはつまりウイルスとのバトルすらしたことのないド素人。

 

「おのれ……! 喰らえ!」

「オっと、今の良カったゼ!」

「くっ……!」

『落ち着けレーザーマン! 攻撃の時に足を止めている、相手の動きをよく見ろ』

「……! ハッ」

 

放っておくと言うことは、見殺しにするのと同意義だ。

性能面だけを見れば問題はなかろうが。

ワイリー様より特に何も言われてはいないが、それは流石に見過ごせない。

 

そう言うことでバトルの特訓。

基礎スペックに差がありそうな雰囲気ではあったが、当然バトルをしたことのないナビに対して不覚を取るはずもない。

伊達や酔狂でカーネルとバトル出来ている訳もない。

最近は負けっぱなしだがともかく、最初はレーザーマンはレーザーを連射して来ていた。

ただし、立ち止まって。

一発当てれば勝てると思ったのだろう。

 

それに対してリーガルは何も言わずその行動を見ていた。

ワタシが《キャノン》や《ミニボム》をチマチマと当てていてもそれは変わらず、キチンと避けるようになり始めてからようやく指示を出すようになってきた。

それがつい先程だ。

リーガルの出した指示に沿う形で、

 

『今!』

「っぐオあ!?」

「当たった! ぅ!」

『その調子だ! だがお前も出来るだけ足を止めるな!』

「っ、ハッ!」

 

一撃喰らって見せる。

普通に痛い。

結構痛いがウイルスやらカーネルで慣れたモノ。

早々に《キャノン》を撃ち込み、しかし掠めるように外す。

ワタシに初めて当てたことでレーザーマンに生じた安心と油断。

それを巧いこと褒めつつも叱るリーガルに対し、信頼関係が出来つつある様子。

一歩間違えれば完全に指示に依存させることになってよろしくないが、その辺りの匙加減も勉強になるだろう。

 

「オラオラ!」

『ボムの軌道をしっかりと見ろ。幾ら数があっても《ミニボム》は見た目より爆発は小さい――お前なら避けられる』

「…………ゴ」

 

回避する刹那、見えたストーンマンからの視線が冷たいものの無視。

これは仕方ない。

現在、ワタシ達はストーンマンの守護するエリアでやり合っている。

今のワタシが許されている行動範囲の中では、プライベートエリアより広いのもあるし、流石にあちらで戦っては部屋がとんでもないことになりかねない。

何度でも言うが、レーザーマンはバトルをしたことがない。

故に誤射が怖い。

 

だからこそ此方に来た訳だが、更に先の、情報保管エリアへの出入り口を守っているストーンマンにレーザーが当たってるのにレーザーマンは気付けていない。

余裕がない所為だ。

リーガルも画面から見える範囲外のようで気付けていない。

ストーンマンも初心者に文句を言うほど狭量じゃあないが、連れて来たワタシには文句がある様子。

一通り終わったら謝らないと。

 

幸いダメージについては、守護に併せてワイリー様の開発された《ストーンボディ》のお陰でか殆んどない。

が、当てられているストーンマンにとってダメージの大小は関係ないか。

そうこうしながら《キャノン》やらを当てている内に、リーガルよりストップが入った。

 

「……アいよ」

「お待ち下さい、リーガル様! わたしはまだ」

『レーザーマン』

「!」

『ボンバーマンは言語機能すら整えられてはいないが、コトをバトルに限定すれば電脳世界屈指の実力者だ』

「酷くナい?」

『――それに初めてのバトルで、数発と言えど攻撃を当てることが出来たのは十分過ぎる戦果だとワタシは考えている』

「…………はい」

『ボンバーマン』

「ア、なんダ?」

『次はワタシ達が勝つ』

「! リーガル様!」

「ハハハ! おめえ等にカ? ハンデ戦なら負ケるかもナ!」

『フン……レーザーマン、プラグアウトしろ』

「ハッ! ……ボンバーマン、次は勝たせて貰う」

 

ワタシの返答を聞かず、レーザーマンはプラグアウトして行った。

微妙な目でそれを見送るストーンマン。

まあ、ワタシはそこまで気にしないが、礼儀もまだなっていないか。

その辺りも今後、リーガルが教えることを期待しておこう。

と言うよりまだ通信は繋がっているようだから、顔を見せたら一応その辺りの話もしておこう。

それよりも、

 

「すマねえな、ストーンマン」

「ゴ」

「そウ拗ねんなっテ。レーザーマンも悪気ガあって当てタ訳じゃねエのは分かっテんだロ?」

「……ゴゴーゴ」

「へーヘー、分かっタ。今後はワタシが外に出れルまで配慮スる、デ、良いダろ?」

「――――」

 

目を細め、しかし返答することもなく医療データを見始めた。

今後の動き次第と言うことだろう。

最低限の機嫌は取れたみたいだしまあ良いか。

肩を竦めて一先ずは待つ。

通信の繋がったままのリーガルの機器から何やら打ち込んでいるらしい音が聞こえて来るのを音楽の代わりに今回のバトルを振り返る。

 

概ね想定の範囲内でコトは済んでいた。

レーザーマンの攻撃はその名の表す通りにレーザーであったから、目元が光ったり掌をワタシに向けようとした段階で動けば簡単に避けられた。

リーガルの指示が出始めてからはそれを成功体験にするためわざと隙を見せて当たるようにしたが。

その上でどうか。

特に問題はなかったようには思えるが。

 

『待たせた』

 

と考えている内に、リーガルから声が掛かる。

 

「レーザーマンは?」

『スリープ状態にした上でオートリカバリープログラムに任せている』

「そウ――え、何そレ?」

『? ……ああ、そうなのか。親父とワタシとで開発しているプログラムの一つだ』

「オ? 自慢か?」

『ナビを回復させつつ小規模なバグも検査修復することで、自立型ナビのお前達にも余計な手間が掛からないようにするためのモノだ――大きなバグは仕方ないにしろ、自立型なのに何かあれば検査等と……手間が掛かるのでは価値が半減すると言って良い』

「へェ……」

「ゴゴ」

 

「まだ試作段階だがな」と注釈を入れてきているが、普通に有能なプログラム。

傍から聞いていたらしいストーンマンも興味深そうな声を漏らしている。

と言うか実は、自立型ナビはそう言った所をどうしているのか気になっていた。

『闇医者』なる存在がウラインターネットに居るのは記録から知っているが、外に出れていた時期に調べた限りウラインターネットはまだ影すらない。

これは光正による対プロト用プログラム『ギガフリーズ』の開発の目途すらまだ立っているかも怪しいからか。

 

今は外からの情報をワイリー様によってシャットアウトされているから分からないが、少なくとも光正は各国を巡り始めてしまったばかりなのに中断させて帰国等と言う対応が取れていないのは分かる。

そうでなければワタシを寄越せと言う話も、既にケリが付いていて然るべきだ。

まだ揉めているから出れないと言うのは想像に難くない。

 

『グレイガ』と『ファルザー』。

帰国してからか、その前には『電脳獣』の問題が片付いてもそれからのネットワークの復旧。

既に終わってるのかあるいは『電脳獣』に前後して『ギガフリーズ』の開発とそれに関わる『ウラインターネット』の整備。

更には『プロト』の管理のための『パルストランスミッションシステム』の完成。

あと死ぬ前ぐらいには過去の秋原町等の『パストビジョン』内に『ココロ・ネットワーク』に関わるデータを隠して回ったりともか。

 

いやはや恐ろしい。

どれか一つ取って見ても、研究者一人が生涯に亘る研究にする内容と言っても問題ないほど技術的には高度な内容だろうに、やることが多くて非常に哀れだ。

まあ、会ったこともない人物。

それ以上の感想は思い付かないが。

 

『―――――おい』

「ン?」

『何かあったのか?』

「別ニ」

 

思考が脇に逸れた。

不審に思われたらしいのを手を振って制して、

 

「さっきのハどうダった?」

『ああ。これで暫くキチンと言うことを聞くだろう――誰に似たのか少々跳ねっ返りで困ったものだ。ダメージまで受けさせてすまないな』

「気にすルな……ナあ、ストーンマン?」

「………………ゴゴゴ」

『……まさかストーンマンにも当たっていたのか? ならばすまなかった』

「ゴ」

「アあ。それにツいての話もあル」

 

思っていた答えと違うが、まあ良い。

ストーンマンの平穏のため。

レーザーマンの今後のため。

ある程度は話を詰めておきたい。

 

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