エグゼ以外のロックマンを知らず、ボンバーマン(ロックマン)をボンバーマン(ハドソン)からのゲスト出演だと思っています。
《ステルスマイン》を実質、地雷ボムと思っていたりとか。
ゲーム会社が複数あるとかも知らなかった頃の記憶。
これから先、タグの要素も増えて来るかと思います。
それでもよろしければ、今後もお楽しみ頂ければ幸いです。
「パインと名乗ったそのナビと戦闘したが、逃げ遂せられた」
どうしてこうなった。
此処まで大事になるとは。
「姿に関しては黄と白の二色を基調とした――初めて見る純粋な女性型。恐らく、現実の女性とほぼ遜色ない完成度」
そう、白目を剥きたい気分の中。
朗々と、カーネルが語る。
その言葉を聞きながら、人間であれば冷や汗をダラダラと流していたことだろう。
ネットナビであって良かったと、心底から思う。
「ボディには黄色のラインと左右対称の印がボタンのようにあった。目立った特徴としては肩程度までの金髪」
アメロッパ軍ネットナビ精鋭の居並ぶ中。
ワタシはそのエリアの隅で何でもないように腕を組んでいた。
「胸部は人間で表すなら、いわゆる巨乳と称されそうな程に豊満。そしてその胸元にあったナビマークは所謂トランプのクローバーに酷似していた」
胸と併せて拡大された、クローバーのマークを見やる。
ワタシの入っていた機器の修理がようやく終わったと言う体で、だ。
それだけ、今回の事柄は、アメロッパ軍にとって大きく取り扱われてしまっている。
失敗した。
「バトルスタイルは珍しい、ボムを使用――いや、オレとの戦闘中はボム系統以外は使用していない」
甘く見過ぎていた、と言って良い。
完全な失態。
周囲から視線がワタシに集まるのを感じる。
「対峙した時の映像データを抽出してある。この場で一度、確認する」
だが幸か不幸か。
そう言うことになった。
あの時の様子が他に見られるのか。
映し出されようとしている中、既にワタシは自身の記録を振り返っていた。
幾十度ものバグチェック。
それによりワイリー様曰く「全く遺憾ながらバグの類は一切ない」と言うことが証明されて一週間。
いや、流石に酷い言われような気もするが。
ともかく。
六度目になる外出を行っていた。
夜の散歩。
朝から夕方は研究室に他者の目があることもあって外出は控えているのだ。
そしてその行先は当然、ワイリー様が先日に整備された地方。
何が起こるかも分からない地方。
現状、ワタシが最もキャスケット様関連で怪しんでいる地方。
情報収集をしない理由がない。
当然、外套データで身を隠しながら。
「何だかザコが増えてるにゃ~……?」
行きがけの駄賃に《キャノン》でウイルスを殲滅。
数が多く感じられたのは、ワタシの巡回がここ数ヵ月なかったからか。
強さはそこまでないのが幸いだが。
何はともあれ、此処には四度目の訪問。
そしてこの時間帯はあまりナビの姿がないのは承知の上。
だからこそ情報源は限られる。
「うっふふふふ……にゃ~るほどねえ?」
「ハイ ソウイウコト デスノデ ヤカン ノ ガイシュツ ハ オヒカエ クダサルト ……」
「大丈夫大丈夫、天才様に心配はご無用にゃん!」
「アッハイ キノウ モ オハナシ シマシタ カラ シッテ マシタ」
「昨日から変わりにゃいのは良かったです。ばいにゃ~」
「オキヲツケテー」
主にプログラムくん。
と言うかプログラムくんからしか情報は得られない。
そりゃあ夜に歩いてる怪しげな外套姿のナビとか、回避の対象でしかないだろう。
想定の範囲内だから問題はない。
というよりか。
基本的にオペレーターが居るため情報の出し惜しみや制限が出来るネットナビに対し、自立行動が主体のプログラムくんの方が聞いたことを素直に教えてくれ易いから情報源としては便利なのだ。
セキュリティ意識が低いのか、聞いてなくとも割と色々教えてもくれるし。
お陰で情報は簡単に集まった。
隣国の政治と情勢の不安。
それに伴う不法な難民の流入。
何とか流入を抑えたいアメロッパ。
その難民すらも狙う過激派。
何と言うか。
「……ご苦労様、って感じかにゃ~」
難民を狙ったテロ。
と見せ掛けてアメロッパ国民か軍人を巻き込み、対応せざるを得なくする。
それによって国力を削り、発展に使う時間を削ることが狙いだろうか。
ワイリー様がわざわざネットワークや機械の設定を現地で行われたのは、いや光正に会いたくなかったのもあるとは思うが、既にその事態を避けられないと考えて居られるからか。
現実世界を見てないワタシでそれだけパッと思い付くのだ。
実際はもっとややこしい状況だろう。
あるいは、厄介な情勢。
電脳世界の住人だからこその無責任な言い草だが、もう少し仲良くできないものか。
「ん~……?」
止め掛けた足を強引に進める。
思考に能力を割き過ぎた。
追われている。
いや、つけられている、と言うべきか。
外套で視線を隠しながら背後を見やれば、アメロッパ軍の汎用ナビ。
昨日も居るのは見掛けたが、跡をつけて来ることはなかった。
何か情勢の変化か。
しかし、その割にはプログラムくんから新しい情報もなかった。
予め制限されていたか。
足を止め、視線を動かす。
併せ遥か後ろのナビが足を止めているのも感じるが、それよりも。
「…………ふぅ~ん」
このまま先に進めば、居る。
カーネルが何故か。
待ち構えて、居る。
ルートの真ん中に堂々と。
避けようと思えば避けれるだろう。
だが、避ける理由がない。
見た目からしてただでさえ怪しいのに、避ければ怪しさが爆発する。
まさかただ動き回っているだけのナビに対して強硬手段を取ろうとするほど、喧嘩っ早くもない。
一応、最近はしてないが、それなりの交流をしていた自覚はあるし。
様子を見るか。
止めていた足を進める。
無言。
度々現れるウイルスは《キャノン》で適当に蹴散らし。
それ以外の障害はなく。
然程経たず、カーネルと見えた。
軽く頭を下げ、脇へと避ける。
しかし、それを塞ぐように動いた。
確定した。
ワタシに用があるのだと。
「――何か御用ですかにゃ?」
「夜な夜なこの辺りを歩いている不審なナビが居るとの情報があった。それは貴方で間違いないか?」
「ええ、はい。ここ数日はこの辺りを散歩してましたけど?」
「申し訳ないがオペレーターの氏名、あるいは所属か階級をお教え頂けるか?」
正直。
ここでボンバーマンであることを言ってしまうのが一番手っ取り早い。
だが、カーネルは軍属。
幾らワイリー様がお造りになられたとは言え、キャスケット様のナビ。
である以上、情報を絞れるとも思えない。
あと自分から中身をバラすのって、なんか違うし。
ならば、
「――申し訳ないにゃけど、ワタシ、流れのナビなんで」
「流れ? ……他国のナビと言うことか?」
「違いますにゃ~」
「――――」
無言。
しかし行動は分かり易い。
今まで隠されていた《ソード》がその姿を現した。
軽く距離を取る。
何だ。
何をそこまで警戒している。
「――良ければ、アメロッパ軍よりオペレーターを紹介することも出来るが?」
「いえいえ。この天才独りで十分間に合ってますので」
「そう言うな。見ず知らずとは言え、貴様のような怪しいネットナビを放ってはおけない」
「カーネルさんのオペレーター以上に優秀な方が居れば別ですけど、居ないでしょ? 居ないなら結構です」
キャスケット様を褒めつつ断りを入れる。
瞬間。
全身を叩き付けるような威圧感。
さながら突風を受けるような感覚に驚くが、
「――――何のつもりかにゃ~?」
旋風。
斬り上げる一刀。
一歩下がって避けたが、外套データが破損した。
拍子にその切り口から外套がデリートされていき、ワタシの姿を晒すことになる。
だが、妙だ。
不審が勝る。
大した言葉を交わしていないにも関わらず、なぜカーネルほどのナビが手を出してきた。
不快に思うようなことは言っていないハズ。
仮にそうであっても、それを抑えられる理性もまたある。
「――どうやって知った?」
「……何をですにゃ?」
「オレの名を。軍事機密であるオレの名、情報を何処で知った?」
「………………――――――?」
いや。
聞いてないんですけど。
それ。
本当に誰からも聞いてないんですけど。
ワイリー様も仰られていませんでしたけど。
序でに言うとキャスケット様だって欠片もそう言うコト言ってませんでしたけど。
トラップにしても引っ掛けが過ぎる。
むしろ電脳世界で普通に貴方の名前、ワタシ、呼んでたんだが。
普通にプロトの時に共同戦線とかしてたし、欠片もそう言うコト聞いた記憶ないのだが。
等と。
思考が完全にフリーズしたのを、
「言わない――いや、言えないか」
口を割るつもりがないと判断を下したらしい。
自然体な構え。
更なる威圧感が襲い来る。
普段以上。
やはりボンバーマンとして対した時は加減されていた。
思わず膝を突いてしまいそうになるほどに強烈な重圧。
「警告する――両手を挙げ、膝を突け。さもなくば」
不意に、感じる。
肌を触られているような感覚。
見えない手が、ワタシを無遠慮に触ってきているような違和感。
重圧に紛れて感じる、何か。
然程、考えずに思い至る。
なるほど。
これが電子機器やプログラムを制御する機能。
要するに、直接的なハッキング能力。
とはいえ気付いてしまえば問題はない。
不躾な干渉を払い、嗤う。
「さもなくば――――なんですかぁ?」
僅かに上半身を前に出し。
口元を隠すように片手を当て、見上げるような姿勢を取る。
出来るなら本気で勘弁して欲しいが、ここまで至っては致し方ない。
そんなワタシの態度が予想外だったのか、僅かに目を見開いたカーネル。
だが、構えた。
居合のように。
《ソード》を振るえるように。
ワタシはただ、笑みを深めて見せる。
最早避けられないのなら、出来るだけ印象付けて逃げてやる。
「――――デリートする!」
「この天才にやって見せにゃさい、ザーコ!」
幸い。
あの時から《エスケープ》は常に持っているのだから。