ワタシは、ボンバー……   作:無記名 to 稿

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037:破壊の一撃

 

既にどれほど過ぎたか。

戦いは一応、三つ巴の様相を見せたままだった。

まず、ワタシことボンバーマン。

爆弾を投げる。

蹴り付ける。

 

攻撃方法自体はシンプル。

分かり易く読み易いとすら言える。

しかし幸い、それを覆すだけのアドバンテージを三つ、有していた。

 

「おのれ、ちょこまかと……!」

「ハッハー! 使っテみレば案外便利ダな、こりゃア!」

 

そう嘯く、まず一つ。

蹴り上げれば着地後、不規則に跳ねる《プルルンボム》。

読めない軌道が半ば強制的に、意識か対応か、リソースを割かせる。

だがこれだけなら厄介なだけだ。

 

しかしワタシがその軌道を読み、的確に《ミニボム》を投げて起爆する。

それだけでも、巻き込まれる可能性のラインが大きく向上する。

弾ける水属性の泡が思いの外に広いと言うのも厄介さを助長してくれていた。

次いで、《ハイパーボム》にエネルギーを充填した先の片割れ、

 

「!」

「チッ……《パワーボム》が……!」

 

《パワーボム》。

十字の爆風を起こす《クロスボム》。

その指向性を向上させ、遥か遠距離まで爆風に巻き込めるよう改良したボム。

一見するだけならエネルギーを充填する前の《ハイパーボム》と殆んど変わらない見た目だが、「P」の文字が書かれている。

 

それを蹴り飛ばしたのを見、即座にフォルテが撃ち抜き躱す。

離れていても遠くまで届く。

しかしその指向性故、爆風の行く方角さえ見極めて軸からズレれば避け易くもある。

欠点ではある。

そう自省しながらも既に次の爆弾を蹴り込んだ。

 

「ッ!」

「優秀ダな、おめえ!」

「お前のソレも想像以上だがな……!」

 

咄嗟に構え、しかし距離を取る選択を選んだフォルテに対して思わず歯噛みした。

十分な距離を取られてはいるが、牽制も兼ねて爆破。

大規模な爆発がエリアの一部ごと周囲を破壊する。

 

《デンジャラスボム》。

大きく爆発する《ビッグボム》。

その威力を向上させ、併せて純粋に爆発範囲を大きく改良されたボム。

同じく一見すればこちらも《ハイパーボム》と変わらない見た目をした、「D」と文字が書かれたソレ。

 

「本当、一瞬でヨく見分けが付ク!」

「生半可な地獄を潜ってはいない! 見えてるぞ、お前も!」

「……一筋縄ではいきませんか」

 

隙を突かんと放たれたらしい流星群のような光を軽く避け、牽制とばかりにフォルテがセレナードへと射ち返す。

しかしそれは無意味と、衝撃波として返された。

爆発音に紛れ舌打ちが響く。

 

《プルルンボム》が跳ね回っては爆発。

隙間を縫うようにフォルテから流星群のように光弾で撃ち返され。

時折、眺めているだけに思えたセレナードが曲線を描く多くの光弾を放つ。

一対一に見せ掛けた三つ巴。

 

とは言っても、何をしたいのかがイマイチ読めない。

いや。

恐らくはフォルテの吸収したナビに何某かの因縁があるのだろうが、ワタシを気にしてか積極的な手出しをしてこない。

 

あるいは二虎競食。

相争わせて消耗を狙っているのか。

そんな真似する程、弱くはないハズだが。

ともかくとして時折、攻撃や流れ弾を反射をしてくるステージギミック程度の存在感しかない。

思い出したように時々、此方にも視線こそ向けてはくるが積極的に何かしようという意図はなさそうだった。

 

なので事故のように向かう流れ弾やらから、セレナードの反射の性質が記録と相違ないか確認する程度。

あとは、気に留める程度で良かろう。

等と。

この争いが始まって早々に決めて掛かってから既にかなり経っている。

 

概ねはこれの繰り返し。

決して狭くはないハズのエリアは余波で次々と破壊され崩壊して行く。

どれほどの時をそう過ごしているか。

 

既に完全崩壊させたエリアは二つ。

被害を受けているエリアはもっと多い。

デリートされたウイルスは数えるのが馬鹿らしいほど。

だが、それらは巻き込まれてデリートされただけのモノではない。

 

「チッ……まタそれカ!」

「お前も俺のことは言えまい!」

 

原因は二つ。

一つは、ウイルスより得られるエネルギーボール。

各々、と言うかワタシとフォルテがダメージを受けた時、手っ取り早い回復の手段としてウイルスから生命力とでも言うべきエネルギーボールを奪取しているためだ。

これらで回復を繰り返しながらバトルを行っているため、多少のことではどうにもならず半ば千日手に陥っていた。

 

もっとも。

あらゆる攻撃を跳ね返しているセレナードはその必要すらなく。

観察と、思い出したようにチョッカイを掛けて来るだけなのだが、ともかく。

そしてもう一つ。

 

「今度は《サンダーボール》カ!」

「…………これも駄目」

 

フォルテの『ゲットアビリティプログラム』。

ワタシとセレナード。

そのどちらかに対する有効打を探るため、手当たり次第にウイルスをデリートし能力の入手を進めているためだった。

 

《ダイナーウェーブ》。

《ハイキャノン》。

《ビッグボム》。

《ガイアハンマー》。

《オオツナミ》。

《トリプルランス》。

《モストクラウド》。

《リモコゴロー》。

等々と。

 

明らかに隙が大きいと見たモノ以外は即座。

手当たり次第に使える手を使って来る厄介さ。

無論、フォルテにとってのバスターである《エアバースト》も織り交ぜながら。

 

並みのナビならば。

と言わず、現在に存在するあらゆるナビでも、回復が間に合わず疾うの昔にデリートされていない方がおかしい攻勢。

カーネルならばあるいはと言った程度か。

しかし幸いワタシはそれらを、自身の持つ記録から大凡の性能性質を把握していたため比較的余裕を持って対処出来ていたが。

 

跳び回る《プルルンボム》を《アクアタワー》で一掃しながら、忌々しそうにフォルテが舌を打つ。

一瞬の油断が命取り。

そんな状況がフォルテの、ネットナビ的にこの表現が合うか若干疑問だが、精神に負荷を与えているのは想像に難くない。

 

対するワタシは、余裕がある。

前のボディでプロトと遣り合ったのだ。

それも数日間。

あの時に比べれば一応、二体に気を配れば良いだけなんだから状況に天と地ほどの差がある。

 

碌なダメージすらないセレナードは言わずもがな。

目を細め、苛立たし気に歯を食い縛り。

その隙間から絞り出すような言葉を漏らした。

 

「やはり――――ヤツの力を試すしかないな……!」

「アぁ!?」

「! それはまさか……!」

 

右腕を掲げた先。

掌の中。

膨大なエネルギーが集まり、輝く。

思わず感嘆の声を漏らしてしまうワタシを他所に、対照的な驚愕の声を上げたセレナードが距離を置く。

中。

 

何が来るか。

それにも、予想が付いているが故。

一瞬の静寂。

 

瞬間。

跳ぶように。

距離があったハズのフォルテがワタシに肉迫した、

 

「オラアッ!」

「ッ」

 

瞬間を蹴り抜く。

ボムだけかと思ってたのか。

カーネルと遣り合うために多少の格闘も心得てある。

蹴り抜いた脇腹。

くの字に曲がり驚愕に顔を歪め吹っ飛、

 

「っぐらえ!!!」

「ナっ、グぇエえええエッ!?!」

 

ばず。

執念深く叩き込まれた破壊のエネルギーが足場諸共をワタシを砕いてきた。

やはり記録にあるゲームみたくは行かない。

 

《アースブレイカー》。

後にそう呼ばれる物に吹き飛ばされ、何とか体勢を立て直さんとする所に放たれる《エアバースト》。

床を跳ね飛ばされながら咄嗟に腕をクロスにさせそれを受ける。

 

直前、割って入った姿がそれを庇った。

数回跳ねてから今度こそ体勢を整えた所でようやく、息を吐く。

そして、今更のように出て来て庇ったセレナードを見やった。

 

「っオイオイ……傍観者気取っテると思エば今度はなんダぁ?」

「………………」

 

問いに返されるのは、無視。

ただ、セレナードは呟いた。

 

「それは、彼の――」

「フンッ……だが解析は終わった! ボムの中でも破格の破壊力だが! この力は最早――俺のモノだ!」

 

嘲るように答えるそれに何を思ったか。

数瞬、目を閉じた。

しかしそれだけ。

ゆっくりと。

フォルテから視線を逸らすことなく、その身を寄せて来る。

 

「――見知らぬ方。お名前は?」

「……ボンバーマンだが、おめえハ?」

「セレナードと申します。今更ですが、協力をお願いしたいのです」

「本当に今更ダな……デ、なんノ?」

「フォルテをデリートします。それが、私から彼に出来るせめてもの弔いです」

「………………そウか、良いゼ」

 

頷く。

セレナードにデリートされるのを是とせず、フォルテにされるのを選んだ。

等と言うのは。

流石に空気を読めていないと自制し、頷いておく。

 

僅かな間は考える時間だったと受け取ったのだろう。

微かな笑みを浮かべ、すぐに消した。

連続して放たれる光弾、《エクスプロージョン》。

それらを軽やかに跳ねるかのように、衝撃波に変え返しながら、余裕を持って口を開いた。

 

「……彼の力は強大です。受けて、お分かりかと思いますが」

「身に染みテる」

「正直な所、手中に収められると思ってもいなかったのです。呑まれるかと――時間は、あるだけ危険なようです。ですが生憎と私は短期で決められるほど威力に優れる攻撃は持っておりません。貴方は?」

「なくハないが……」

 

なくは、ない。

後でアメロッパから戦闘映像の提出を求められるだろうから若干イヤだが。

実際の所それほど期待をしていなかったらしいセレナードが僅かな驚きを隠し切れていない様子で頷いていた。

 

「では、お願いします」

「……しょうがネえな」

 

仕方ないが、そう言うことになった。

即座にセレナードを盾に《プルルンボム》を次々と蹴り出す。

幾つかは撃ち抜き、セレナードの放つ光弾に残りは諦めたらしいフォルテがしかし状況に反して好戦的な笑みを浮かべている。

 

今までの、一対一対一。

間にフォルテが一応は居た、三つ巴染みた乱戦とは違う。

不利。

 

だが、だ。

《アースブレイカー》の一撃を受けたダメージによって、身体に幾つもの罅が見えるワタシ。

周囲にウイルスの姿はなく、回復の猶予はない。

 

一対二になってはいる。

しかし、好機。

フォルテからすれば、ワタシの力を己の物とする絶好の好機。

更なる高みに上り得る機会。

 

もう一度、同じ一撃を与えれば倒せる。

ように見えるだろう。

多少不利とは言っても、逃す理由がないだろう。

そう見えているようで上々。

 

「!」

「ッ」

 

水色の爆弾が荒れ狂う。

光速の弾丸が行き交う。

爆風が一瞬でフォルテを呑み込まんと起これば。

無数の弾丸がワタシの全てを食い潰さんと迫る。

 

曲線を描く光弾が次々と破壊を振り撒けば。

地を這う衝撃波が意にも介さず襲い掛かり。

負けじと爆風が周囲区画毎それを飲み込む。

数十もの爆弾が降り注ぐ中を。

悠然と構えたフォルテが駆る。

 

狙いは当然ワタシ。

しかし見えないだろうがあえて不敵な笑みを浮かべながら爆弾を置いた。

即座に捉えられた様子のPの文字。

躱すためか緩やかな弧を描くようになおも迫り行く中。

僅かに視線を向けてソレを見た。

 

遠く。

一体、紫色のメットールが逃げる姿を。

確かにそれを捉えているワタシの視線と、爆弾に落とされる《ミニボム》。

反応は瞬時。

フォルテの片手はメットールへと向けた。

向けてくれた。

 

《エアバースト》が遠方のメットールを射抜く。

刹那。

《ミニボム》が落ち切るよりも前にその爆弾を軽く蹴り出す。

 

フォルテに向けて。

驚愕に目を剥くも遅く。

素早く弾くように放ったもう一つの《ミニボム》が接触し着火、

 

「ぬぉォォォァォオオオオオオオオオオ!!!」

「ッ、なニぃ!?」

 

した爆風を強引に突き抜け一挙に迫り来る。

予想外。

流石に驚きに竦んでしまった一瞬の内。

バスターを放ったのとは逆の手。

その手の中に、強大な力を渦巻かせながら。

 

「させません――!」

 

知っていたかのように。

セレナードが光弾を放つ。

無防備な横っ面を弾き飛ばさんと。

しかしそれは。

直前で泡と共に弾けた。

 

「《バブルラップ》!」

 

咄嗟のことのように。

再度、蹴り飛ばさんと脚を振り抜こうとしている姿をあえて見せる。

一度受けているからこそ、

 

「俺の――」

 

フォルテは己が勝利を確信した笑みを浮かべ、

 

 

 

 

 

ワタシことボンバーマンはなぜフォルテと戦っているのか。

戦う理由自体は薄い。

むしろセレナードが現れた時点で逃げるのが最良ですらある。

だが、確かな理由があった。

 

フォルテ。

それは、記録にあるロックマンエグゼシリーズに登場する最強のネットナビである。

しかしそれに反し、物語に関わる機会は薄い。

 

間接的に一作品。

二番目の物語でコピーが。

直接的には、一作品。

三番目のみ。

それ以外では物語に直接関与しない。

 

単に。

物語のお仕舞に居るラスボスではないから。

であるにも関わらず、どの作品においても関わり自体はあるという立ち位置。

それらを踏まえ、ワタシはある考えを抱いていた。

 

「フォルテは不要」

 

三番目こそ直接的に関わる。

しかしそれは、絶対的に代替を用意出来ない立ち位置か。

もし物語通りに進んだ場合、致命的な齟齬を引き起こすか。

否。

何かしら、用意し得る立ち位置であるハズだ。

 

『バグの欠片』。

それを用いた研究が進めば何れは、ゴスペルやグレイガの攻撃力のみを再現することも叶うハズ。

可能性のある未来、五大暗黒チップに数えられる《バグチャージ》やダークチップを模倣したらしい《バグライズソード》のように。

 

そしてだ。

おおよそ二十年ほど先のフォルテは、名実ともに最強の座にある。

しかし、今は。

現在のフォルテは、最強の座にあるか。

 

否。

フォルテが強いのは、『ゲットアビリティシステム』により様々な能力を獲得していくからである。

先の、何者かの力を己が手中に収めたように。

それを以って《アースブレイカー》を見せたように。

 

だからこそ、まだ。

インターネットが発展し切っておらず、強いナビが殆んど居ない今ならば。

ウラインターネットが出来て恐らく然程経っていない現在であれば。

 

フォルテはまだ、まだ最強とは言えない。

まだ破壊神と謳われる程の力がないのであれば。

ワタシでも、デリートし得るのではないか。

 

既に一つ、失敗はしている。

キャスケット様は死んだ。

死んでしまった。

 

しかしフォルテをデリート出来れば。

まだまだ物語を、変え得るのではないか。

可能性の模索。

実証実験の一環。

 

あと正直。

将来、いつ、強者の波動だとか何とか言いながら襲い掛かって来るかも分からないのだ。

排除出来る可能性があるならするに限る。

野良の伝説とか怖いし。

 

そのためにこそ。

現在持ち得る切り札の一つ。

奥の手を一つ、切る。

 

 

 

 

 

刹那。

振り被るワタシの脚から、発せられる強烈な光。

勝利の確信。

笑みすら浮かべていたフォルテの視界を、強烈な光が一瞬で晦ます。

 

しかしそれは序章に過ぎない。

振り被る中、エネルギーを回し脚部の装甲に仕込んでいたプログラム機構が起動。

悪寒か。

鋭い。

フォルテは咄嗟にその身体を鉄へと変じた。

《アイアンボディ》。

 

しかしその程度。

凝縮された不発弾。

ボンバーマンとしての、近接戦闘の奥の手。

 

《ブラインド》によるインビジブル状態解除。

《ブラックボム》の直撃によるブレイク性能。

蹴りの一撃と侮るなかれ。

至近での閃光と凝縮された爆薬は故に、範囲を犠牲に性能向上を計った成功例。

 

ワタシの完全なるオリジナル。

防御不能。

あらゆる障害を諸とも砕く、

 

「――《プロットブレイク》!!!」

 

破壊の一撃である。

轟音。

爆炎。

脚から破砕したアーマーが飛び散る。

鋼鉄と化した表皮ごとフォルテを砕かんとした蹴り。

それによって見事、フォルテを蹴り抜いた。

 

デリートも間違いはない。

ハズだった。

しかし、

 

「……チッ」

 

即座に《ミニボム》群を生み出し吹き飛んだフォルテへと放り投げる。

そう。

吹き飛んだフォルテへと。

 

見えぬハズ。

《ブラインド》で視界が。

しかし音で感じ取っているのか。

振り回される炎の刃が、それでも悉くを斬り捨てる。

 

届かない。

生きている。

デリートされていない。

それは、偶然等ではない。

 

「《アンダーシャツ》ダなっ!」

「……俺は」

 

偶然。

等であるハズがない。

地獄を潜り抜ける中で予め仕込んでいた最終ラインだろう。

 

ならば逃げも避けも出来ぬ範囲攻撃。

僅かな間で生み出した「D」と描かれた《デンジャラスボム》を蹴り込む。

しかし、

 

「そレに《バブルラップ》ッ!」

「倒れる訳にはいかない!!!」

 

巨大な爆発はほんの僅かな、泡の薄膜に阻まれる。

近付かせんとすれば前を埋め尽くす《オオツナミ》。

《パワーボム》にて諸共穿ち、合わせるように撃たれた光弾はしかし隙間を縫って躱される。

 

狂乱。

そう見えて冷静。

生き残れる微かな望みを見い出さんと、戻ったらしい見開かれた眼が忙しなく周囲を巡らせているのが見て取れる。

 

一撃。

一発。

《ミニボム》を光弾を、雨霰と降り注がせながら距離を詰めんとするワタシとセレナード。

その間に《ビッグボム》を投げ込まれ目晦ませとされる。

舌打ちする間もなく《エアバースト》、否、連続する《エクスプロージョン》の光弾が目の前の爆煙の中から駆け抜けて迫り来る。

 

流石に。

一旦距離を置いたワタシに反し突っ込もうとするセレナード。

しかし刹那。

 

「ヌォオォォオオオオォオオオオオ!!!!!」

「!」

 

再び巻き起こった轟音。

叫び。

エリアを丸ごと揺るがすほどの一撃。

衝撃と共にエリアだったデータの残骸が散り散りになって周囲へと吹き飛んで行く。

 

小さな残骸を無視して《ミニボム》群を適当に投げ込むワタシ。

対照的に手で軽く弾きながらも警戒を緩めていないセレナード。

共に先を見据え、

 

「…………」

「アぁ?」

 

再び生み出した《デンジャラスボム》で煙のような微塵のデータを吹き散らした先に、フォルテは居ない。

一瞬。

いや、数秒ほどの虚。

 

ボロボロに千切れたエリアの残骸と言わんばかりの場所。

しかし、そのエリアの見渡せる何処にも。

フォルテの姿がない。

 

「……っまさか」

 

何事かに気付いたのか。

セレナードが千切れた端へと近寄った。

そして覗き込む。

まさに今、フォルテによってぶち壊されたエリアの真下を。

 

気付いてワタシも近付き、見やれば、遥か彼方。

墜ちる残骸に紛れるように消えて行く、フォルテの姿。

それをほんの一瞬だけ、捉えることが出来た。

 

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