ワタシは、ボンバー……   作:無記名 to 稿

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いやあ。

地方基地ながら強敵だった。

まあ、嘘だが。

 

面白いように、近くを徘徊させていたプログラムくんに誘引されていたらしい。

目論見通り。

まだ侵入すらされてないと思っていたのか、警備が厚かった外側さえ抜ければまさにイージーゲーム。

碌に警戒網もセキュリティもなってない内部を悠々と進んでシステムへと手を付けられた。

 

勿論、通信とセキュリティの双方を時限式で押さえて序でに直接、近くにプラグイン出来ないようにパスワード付きの簡易プロテクトも形成。

性能が良いナビだったら抜かれたかも知れないが。

それならそれで手を下せば良し。

流石にメインシステムに手を出せば気付かれると思っていたから。

 

事実、気付かれた。

と言うか流石に其処には警備のネットナビが居たのでバトルになったが。

奇襲に成功してしまえば楽も楽。

一発ブチ当ててから追撃のカラーボールもとい、ペイントボムを喰らわせて指差し「デリート」の一言で済んだ。

無意味にデリートはしたくなかったから、理解があって助かった。

 

まあ、傍から見たら急にメインシステム前に現れた上にあっさり警備のナビ達が無力化された訳だ。

驚愕に歪んでいるオペレーターらしき人物に対して画面越しに手を振って挨拶。

慌てた様子で他のナビ達を集結させていたようだが、セキュリティは既に此方の味方。

直接、接触させようとしていた様子でもプロテクトを誰も抜ける気配はなく。

ただただ無為に時間が過ぎて、完了。

 

「ハイ、お終イ」

 

位の感覚で掌握を完了。

記録は、三時間ちょっと。

警戒が完全に外へと集中していた分、パインの時より楽だったが少し時間が掛かった。

隠密行動の良し悪しであるか。

 

そんな感想を抱きつつ、顔を覆ったり神への祈りを口にしている面々を尻目に復旧。

特に何を言うでもなく立ち去った。

愕然としているナビ達には申し訳ないが、ただ種明かしだけはしておく。

手を振って呼び寄せたプログラムくんから外套を剥がして一瞥だけ。

 

「……オ疲れ様」

「イヤー 大シタ コトジャ アリマセン ヨ !」

「そレでも倍ぐラい使う時間が変わっテたダろうからな」

「ジャア オ言葉 ダケ 頂キマス」

 

そんな会話を交わしながら歩く。

今回のために徘徊用として急遽作ったプログラムくんだ。

だが正直、ボンバーマンとしては使い道がない。

 

なのでアメロッパに警備用のプログラムくんとして雇ってもらうか、はたまたパインに横流しするか。

そんな風になるだろうと今後の説明を軽く交えながらゆっくりと戻る。

ある種、プログラムくんを護衛しながら歩く、と言うのは中々に手が掛かる。

攻撃性能のないと言うのもあるが、向けられた攻撃を防ぐ術がないのだ。

 

普通のナビには。

だがこのボンバーマン。

ボムを生成する能力があるお陰で咄嗟にボムを壁に出来るお陰でウイルス相手にも問題なし。

 

多少、余計な時間を取られこそしたがそれだけ。

幾らかのチップデータをどうするかと考えながら、集合場所の広場に戻り。

思わず、足を止めた。

 

後ろからプログラムくんがぶつかったのも気にならない。

いやはや。

やっぱりワタシはまだ未熟だ。

 

「………………」

「…………?」

「……あア、何。一番ダと思っテたんダがってダけ」

「……そう。ですか」

 

既に、居た。

大袈裟に驚いたような仕草を見せても気にすることなく佇んでいる、アイリス。

アイリスの向かった場所は距離的に近い、と言うことも特になかったハズ。

 

全体的にほぼ同じ。

なら単純な話だ。

ワタシが済ませた約三時間よりも早く掌握を済ませた。

それだけの話なのだろう。

 

幾らカーネルから抜き取ったプログラム用のナビとして調整されたにしろ、驚きの性能と言う他ない。

あるいは電脳獣のように、ワタシも支配され得るかも知れない。

実際、そう言った能力を活用して占領したのだろうが。

それはそれとして、

 

「時間は…………まダあるな」

「……はい」

「コんなトコに居ても仕方ネえ、スクエア行こウぜ?」

「でも、此処に集まる話じゃ……」

「まダ五時にもなってネえんダ。昼過ぎに戻っテ来りゃ良イ」

「…………そう?」

 

有るか無く、頷いたように見えたので一先ず手を掴む。

こうでもしないと鈍いし。

脇に退避していたプログラムくんにも目配せ。

すぐに近寄ってくるのを確認してスクエアへと歩を進める。

 

「最近パインのヤツがブラウニーってケーキを作っタらしくテな」

「…………」

「シンプルなのダ! 所謂、甘苦いっテのがまあ良イ」

「……そうなのね」

「いヤ、そもソもおめえ、何か食べテみたコトあるカ?」

「……ないわ」

「勿体ネえ! ストーンマンから色々聞いテたろウに……マずはバナナが良イ! 味、ってヤツがシンプルで一番分かリ易い」

「……そうなの?」

「オう。何事も経験ダ――百聞ハ一見に如かずっテ言わレるぐれえダ!」

「でも、ゼニーを持ってない」

「そレぐらい気にするナ! コのボンバーマン、おめえが喰い切れネえ量を買ウ金ぐラいはあル」

 

等と適当に話をしながらスクエアへと向かう。

今はストーンマンが居ないが故に、プログラムくんを抜けばワタシとで実質二体。

そうなればどうしても会話の密度も増す訳だが。

 

手を引きながら一瞥。

ぼんやりとした様子でただ前を向いている様は、仮面の所為もあってか感情が読み取れない。

しかしそれでも、確実に分かることもある。

 

「流石に日も出始めタ位となりゃア、ナビも殆んど居ねエか」

「…………」

「どうシた?」

「……スクエアに入ることなんてなかったから」

「ソりゃまた勿体ネえ――別にワイリー様は外に出るグらいで文句言う方デもねえハズダが?」

「…………」

「ン。一先ズ……此処なラ他も通らねえダろ。マあ座れヨ」

 

最初。

それこそ顔を合わせたばかりの時と比べて見て。

口数は増えた。

それに、何処か物珍しそうに周囲を見渡している。

 

その様子も逃げ道やスクエアの構造を確かめる風ではない。

表情を読み取れこそしないが、まるで目を輝かせる子供のような姿が一番近いか。

そう、十中八九。

自我が、あるいは自意識が芽生えている。

 

おおよそ二十年後か。

正確な時期は読み取れないが、本当にワイリー様の元から飛び出していくのだとすれば、ある程度の納得はいく。

適当にデータを組み上げ、丸い椅子とテーブルを形成。

一つに腰掛ければ、あわせて座った。

 

とは言っても、だ。

座りこそしたものの。

相変わらず周囲に目を向けている様子に、これは駄目そうだと見切りを付ける。

 

「……すまネえが、プログラムくん」

「ハイ ! ナニカ ゴヨウデ ショウカ ?」

「ワタシは自販機で色々買っテおく。多分十分ぐラい掛かるカら、ソれまでアイリスに付き添って散歩でモしてテくれ……で、良いカ?」

「? ……散歩?」

「コんな所にタだ座って待つノも暇ダろ?」

「分かった」

 

答えるが早く。

跳ぶように椅子から降りると駆け足、でこそないが足早に気になっていたモノでもあったのか歩いて行く。

驚いている様子のプログラムくんが此方を見るが、黙って手を合わせて頭も下げる。

僅かに呆れを含んで見える目をワタシに向けたような気がするが、すぐさま後を追って行った。

 

さて。

軽く、自販機を見やる。

三体ばかりのナビが並んではいる。

居るが、一分もすれば掃ける。

 

ぶっちゃけ言うと、今から並ぶと用意が早く済み過ぎてしまう。

時間の確認と、併せてワイリー様に繋げられているPETからメールを作成。

カーネルとストーンマンに向けて「進捗いかがですか」との確認を送信。

 

カーネルの方はもしかするとバレルの方が受け取るのかも知れないが、ストーンマンはどうだろうか。

ぶっちゃけ知らない。

ボディに届くような設定してるのか、あるいはワイリー様の何かしらの機器に届くようになっているのか。

軽く時間を使ってもまだある。

 

だが、そろそろ並ぶかと立ち上がって見ればナビは居ない。

やはり早過ぎる。

軽く舌打ちをしつつ、自販機の前に立つ。

 

ラインナップは当然ワタシ自身が用意している訳だから、まだ殆んどないが地方もといスクエア限定品も含めて記録にある。

このスクエア、首都圏にあるから下手にナビが集まるとパンクし兼ねないからと限定品は用意していないんだよな等とどうでも良いことを考えつつ、バナナやワタシ用にアイスを購入して席へと戻った。

 

まだ十分経ってはいないが、案の定居ない。

暇。

あと数分程度だがそんなことを考える間に、メールが返って来た。

 

「早」

 

思わず言葉を漏らして見れば、返信者はワイリー様である。

つまり、ストーンマンに来たメールを勝手に確認したのだろう。

プライバシー意識がないとは思いつつ、まあナビだからとすぐに内心で納得しながら開ければお叱りのお言葉。

 

要約すれば、「幾ら暇だからと言って他にチョッカイを掛けるんじゃあない!」と言う類の返信だ。

肩を竦め、閉じた。

これだけで幾つかの情報が読み取れる。

 

別に、そう大した事柄じゃあない。

単純に、ワイリー様は何処かしらの政府機関から今回の様子を確認しておられると言うコトだ。

そうでなければ「暇だから」等と此方の様子を知っている文言が混じっているハズはない。

 

となると、だ。

恐らくは今回の訓練、ワイリー様は完全にワタシ達の助力が出来ないようにされていると見て良い。

序でに言えば、ご自宅からも完全に切り離されていると言うことだ。

 

もしかすれば。

ストーンマンが居ないからとアタックチャンスを目論む馬鹿が出て来ているかも知れない。

本当にそうなれば今頃、フェイクマンが忙しいことになっていることだろう。

ワイリー様謹製のセキュリティキューブを抜ける輩がどれだけ居るか次第だが。

 

閑話休題。

純粋にネットナビの地力で軍事施設が制圧され得るかの確認試験を行っている、と言うことか。

だが、だとしてもだ。

今回の依頼、あまり確認としてはよろしくない。

 

「……戻った」

「オッ、と……お帰リ。プログラムくんもすまネえな」

「イエ オ気二 ナサラズ」

「まズはその黄色、バナナを食っテみな。現実世界では赤ン坊に食べさセるようなモノらしイ」

「なぜ、赤ん坊に?」

「味が分かり易いんダろうな」

「……そうなのね」

 

さっさと席に着いた。

かと思えば、興味がそそられた様子でバナナを眺めるアイリスに適当に答える。

遠くの、自販機にある説明画面を何処となく熱心そうに見ながら食べる準備を進めているのを尻目に、アイスをワッフルコーンごと食す。

 

ひんやりとした甘さに、歯切りの良いコーンの食感がやはり良い。

軽く頷きながら、逸れていた思考を戻す。

そう。

あまりよろしくないのだ。

 

目の前でバナナを口にしたかと思えば、小さく震えながら間抜け面も晒しているアイリス。

姿や体格は子供と見間違うソレだ。

だが、ワイリー様の手によって形成されたネットナビ。

しかもカーネルのデータを一部とはいえ流用しているソレだ。

 

根本的な性能の方向が違うからこそ、具体的なスペックを推し量ることは出来ない。

それでも、だ。

現在の電脳世界であれば十本の指に入るのではないかと言う所。

上に来るのはそれこそ極少数。

 

間違いないだろう存在は、セレナード。

他にはニホン製のネットナビであるフォルテや、既に居るかは分からないがヤマトマンが入るか入らないか。

追加で光親子が製造している可能性のあるナビも居る。

 

それに、カーネル。

更には知らないネットナビや博士の類が居るかも知れないから五本指とは言い辛いが、十本指に入るとは思う。

まあ、その後を追う形でワタシやストーンマンが続くとして、

 

「……美味かっタか?」

「はい」

「モう一本……いヤ、三本食うカ?」

「ありがとう」

「オう」

 

殆んど反射的に応えて来ているようなアイリスの様子を秘かに微笑ましく思いつつ、自販機に並ぶ。

何に打ち震えていたのか知らないが、ゆっくりと食べ進めていた最後、残念そうに食べ終えた姿は中々に見物だった。

さておき、流石に人間も動き始めている影響か、ナビが並んでいる最後尾に続く。

 

アイリス。

カーネル。

それにワタシと、ストーンマン。

この四体では控えめに言って、参考にはならない。

 

具体的には、性能が良過ぎるから。

だってそうだろう。

一般向けのパソコンとして国家プロジェクトで使うようなスーパーコンピューターをお出しされてどうする。

多少、質が良いパソコンならまだしも、そんなものお出しされた所で参考になるハズがない。

 

この例は流石に極端な話ではあるが、要するにそう言うことなのだ。

釣り合っていない。

状況にそぐわない。

 

仮に一般的なハッカーやそうでなくとも敵対国家を対象レベルとするなら、せめてスタッフマン数体が良い所。

と言うか。

まずはそちらで一旦は確認すべきなのだ。

 

いや、国家としてワイリー様レベルの存在を考慮するのは分からないでもない。

分からないでもないが、それでも過剰過ぎる。

言っても、ワイリー様の傍に光親子が居たからこそ、今のレベルに有られるのではないかと内心考察している。

完全に一から研究しているだろう他が追い付くには些か遠かろうに。

 

金網フェンスの耐久試験をやるのに、自転車じゃなく戦車が突っ込んで来た所で破られて当然、としかならない。

防弾ガラスのチェックのために、弾丸じゃなく砲丸が撃ち放たれた所で性能試験になんぞなりはしない。

そう言う意味で何と言うか、今回の依頼。

些か、引っ掛かる。

 

事前に、他のナビで試験した上での最終確認としてなら分かるのだが。

何と言うか。

考えがなさ過ぎる、と言う意味で。

 

「アいよ」

「ありがとう……」

 

津々浦々。

思考が四方に飛び散る。

纏まらない。

 

ぼんやりと行き交うナビ達を眺めながら、時折自動販売機にバナナを買いに行く。

あるいは。

何を思ってか歩いて行くアイリスを見送って、戻って来るのを待つ。

 

意味のない時間。

こう言う時間もあって良いとは思うが。

さておき。

どれだけの時間をそうやって過ごしただろうか。

何度目かになる散策を終えたアイリスが座り、口を開いた。

 

「…………どうかしたの」

「何がダ?」

「何か、考えているようだから……」

「よく分かっタな」

「…………」

 

バナナを手渡せば、アイリスからそんな言葉を掛けられる。

真面目に、此方の感情の機微に気付けることに驚くが言葉を続けるでもなくバナナを口にした。

聞いてきたが、自分から深く突っ込むつもりはないらしい。

 

聞いといてソレか。

苦笑が出そうになるのを飲み込み、考えを巡らす。

具体的にはこれらの事柄をアイリスに言った所で意味があるか、と言うことだ。

 

「そう」の一言で片付けられそうな気がする。

というか、気がしていた。

だから何も言わずに考えを巡らせていたのだが、

 

「そうダな……ま、大っぴラに口にするコトじゃネえが……」

 

結論から言えば。

話してみることにした。

答えを期待した訳じゃあない。

単に、整理の一環。

 

口に出してみれば案外、考えもまとまって来るんじゃあないか。

正直アイリスから何かしら返ってくるのを期待した訳じゃあない。

訳じゃあない。

訳じゃあなかったが、

 

「そこまで考えてないのではないかしら……?」

「エぇ……?」

 

ザックリとした考え。

時折ワタシをパシりに使いながらもそれを聞いていたアイリスから返って来たのは、身も蓋もない言葉だった。

困惑の言葉しか出ない。

 

アメロッパの人間はそこまで間抜けじゃあないだろうに。

そんな内心を察してか察さずなのか。

五十二本目になるバナナへと手を伸ばしながら、言葉のために口を開いた。

 

「ボンバーマンから見て、わたしは特殊?」

「特殊ダ」

「どの辺りが?」

「機械ダとか、プログラムに干渉出来る能力がダな」

「……なぜ?」

「将来的に見テも、そんナの出来るナビなンか然う然う現れネえっテ分カるからヨ」

 

どれぐらい異常か。

リモコンでパソコンのハッキングがされている。

それぐらい、異常だ。

ある種、特化したナビの極致でないかと思っている。

 

「なぜ分かるの?」

「アぁ……? それコそ、見りゃ分かル」

「電脳世界に居て、見れば分かる?」

「そうダな」

「でもきっと、あそこに並んでいるナビ達やモニター越しにしか見ていない人達には……それが分からない――優れていると思うナビで試すとしか……思わなかったんだと思うわ」

 

スッと。

仮面で伺えないが、アイリスが向けただろう視線に釣られて見やる。

自販機に並ぶネットナビ達。

 

一般的な、それにまだそれほど性能が良いとは感じられないナビ達。

あれらでは、ワタシ達を理解することは叶わない。

そしてそれを介して見るしかないオペレーターもまた。

 

そう、言われれば納得出来る。

判断材料。

判断基準。

そこがそもそも違った。

 

ワイリー様のお作りになったワタシ達のようなネットナビと、最近出回っているネットナビと。

そのスペック差を知らない。

分かっているようで、知っているようで、理解が出来ていない。

 

なるほど。

だからか。

多少なりとも上回っている想定で居るにしても、隔絶しているとまでは思ってはいないのだろう。

生憎、ワタシ達はこのまま技術革新が進んだ二十年近く先でも恐らくアップデートだけで追い付け、追い越せるだけのスペックが既にある。

 

そう言われれば納得しかない。

無理解から来る無謀。

その類か。

ワタシは、現実世界の面々がそれらを理解していると思っていたのだが。

思い返せば頷けてしまう。

 

数を揃えただけで、パインを捕らえられる。

そう思っていたらしいあの軍人の無謀。

本当に、アレ個人が考えたことか。

糸を引く、まではいかずとも吹き込んだ輩が居る可能性もある。

あれもまた、無知から来るソレだったのかと。

 

「…………チッ」

 

苦いモノを舌打ちで誤魔化す。

そうだ。

かつてワタシも、カーネルの底が分からなかった。

今は何となく分かる気がするが、それでも知れてはいない。

 

にも拘らず。

現実世界の、直接見ている訳でもない人間にソレを求めるのは余りにも浅はか。

身勝手。

 

「…………ありガとよ」

「……?」

 

そう口にしても、イマイチ分かっていない様子のアイリスは捨て置く。

恥ずかしいし。

人間だったら赤面しているだろうと思いながらも誤魔化すために立ち上がり、自販機に向かう。

まだ残ってるが、早めに買っておいても問題ないだろう。

 

「ボンバーマン 様」

「オ? どうしタ」

「アイリス 様 ガ アイス ヲ 食ベタイ ト 言ウコト デス」

「まダ味に慣れテないと思ウが……まア、アイリスがそう言うナら試すカ? ダが」

 

チラと時間を一瞥。

社畜をしているナビ達の観察。

その他、ゆっくりとアイリスに餌付け、もとい食育してた所為で時間も随分と経っている。

 

正直、何だかんだ言ってもう間もなく昼になろうと言う具合だ。

人間の昼休憩に併せて、多少なりスクエアも混み始めるだろう。

ワタシは別に問題ないが、アイリスはまだ他の相手に慣れている気配はない。

 

事実。

視線を戻してみれば好奇の目を向けられてはいるが、我関せず。

さり気ない風を装って近付いているナビに向ける視線も、何をしているのか分からないようで冷たい。

気がする。

 

「一度、様子を見に行ク。アイスは後ダ」

「分カリ マシタ オ伝エ シテ オキマス」

 

ふよふよとアイリスの元へと戻るプログラムくんから視線を切る。

カーネルはともかく、ストーンマン。

あちらはまだまだ時間が掛かるだろう。

 

なら、一度様子を見てからでも問題あるまい。

そう思った。

それが失敗だった。

 

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