ワタシは、ボンバー……   作:無記名 to 稿

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お待たせ致しました。
再開させて頂きます。
暫くの間は、前話のようにワイリー軸の話となります。

それとつい先日、流星のロックマンのパーフェクトコレクションが販売されましたね(露骨な宣伝
あと、ロックマンエグゼの漫画の先生が描いて下さった流星の漫画が公開されているらしいですよ(露骨なry





湖沼での備忘録

 

暗闇の中。

漂う姿があった。

時折、生み出される泡。

 

上へと漂い消えて行くソレに顔を向けることなく。

ただ一心。

手製の潜水マシーンを握り締めて。

水の中を進んでいた。

 

「………………」

『ボス』

「構わん」

『うす』

 

ドンブラー湖。

アメロッパ沖。

シンク島での調査を終えたワイリーは、当初の目的通り、その場所に戻っていた。

そう。

当初の目的通りに。

 

ワイリーにとってシンク島の調査は本来、時間潰しに過ぎなかった。

光正。

彼が携わる羽目になった文明。

その遺跡。

遺物。

 

その痕跡を垣間見れでもすれば儲け物。

殆んど期待してもいなかった事柄であったが、思いの外の収穫を得た。

世間一般に公表すれば、あるいは光正を超える賛辞と称賛を得られただろうだけの収穫。

 

もっとも。

ワイリーはそうしようといった労力を割くほど、現世への関心はなかった。

見付けた文明の利器も、機械工学ひいてはロボットへの転用と言う意味では毛程の役にも立ちそうにない技術ばかり。

 

故に、死蔵。

とまではいかずとも積極的に使おうとは思わない。

その程度の代物でしかなかった。

夜な夜な話し掛けて来ていたモノも含めて、だ。

 

ただ、ソレについては関心を寄せる程度の代物ではあった。

電波を形にしたような物体。

『遺物』と称すべき代物については。

ドンブラー湖の拠点へと戻り、サーゲス達に進めさせていた解析結果。

 

かつて。

バレルを鍛えるために訪れていた中で見出した痕跡。

一時観測した、不自然に強くなることのあった電波。

 

脳を電波が刺激されることで、存在しない像を見ることがある。

あるいは、その類。

それこそがドンブラー湖の怪物、ドッシーの正体なのではないか。

そう言った正体を探る意味で進めていた、ドンブラー湖での電波の解析は思いも寄らぬ結果を出していた。

 

即ち。

その電波は塊のように動いていること。

その電波は一定周期で同じ場所を動き続けていること。

そして。

湖底とされている場所を通り過ぎ、更なる底と思しき場所で消えては現れを繰り返していることを。

 

故にこそ。

ワイリーは一つの可能性を見た。

動き回っている電波。

ソレは、自身の見付けた遺物に相当するナニカではないか、と言った可能性を。

 

『ボス』

「着くか」

 

暗闇を蠢く。

光も届かない、夜の湖底。

潜水マスクの暗視装置。

それに、プルーンことストーンマンにさせている三次元位置情報の確認。

他にも様々な下準備がなければ容易く惑っていたことだろう。

 

だが、辿り着いた。

湖底に。

何処。

果てまで続いているようにも思わせる、水草一つもない、味気ない水底。

 

緩やかに動き続ける潜水マシンに捕まりながら、ワイリーは潜水服の腰元を探った。

大したものではない。

紐を付けただけの、ただの石ころ。

その辺りを探せば見付かりそうなソレを、腰元の小さな網袋から取り出し、落とした。

結果は、

 

「……ふん」

『…………ぅぁー…………』

 

分かり易い。

土煙も上がらず。

ただ、何処までも紐は伸びていく。

水底がある筈の、更に底に向けて。

 

恐らくは、ホログラム技術の一端か。

パインが何やら考えていた、ソレ。

開発の目途が立っていると聞いた代物。

それが既に、何かが完成させていた。

 

引き戻し。

場所を変えて放り。

また引き戻す。

幾度かソレを繰り返すことで、本当に存在する底の境界を作り直させ、頷いた。

 

「潜るぞ」

『マジぃ?』

 

返事もせず、ワイリーは潜水マシンを操作する。

角度を変えたソレは緩やかに。

しかし、確かな速度を以て水底へと突き進み、

 

「……」

 

抜けた。

水底を。

存在するかに思われた場所を。

 

すぐさまに周囲へと視線を向けたワイリーだが、異常はない。

観測器にもまた。

ただ、あるべき底を通り過ぎた。

頭上には、ただ果てしない夜と水の闇が揺蕩っているだけ。

そして、底。

 

一度逸らしていた視線を、戻した。

所々に水草を生やし、崩れ掛けた。

しかし、確かな形を保った三角形に近しい建造物。

神殿。

そう称すべき遺跡が、確かに、其処に。

 

『――――――検索完了。建築様式に類似構造物はアメロッパ以南に点在。湖底に現存する物は歴史上、発見された例なし。そもそもアメロッパの北方で発見された例自体なし』

「よく見ろ、プルーン」

『……下部の破損を確認。元々は湖底になかったと推察。滑落、は周辺地形から考慮出来ない……水面あるいは――――面倒臭ぁ』

「記録には残しておけ」

『うす……』

 

軽い会話を交わしたワイリーとプルーンだったが、それ以上は双方、押し黙った。

沈黙のまま、ゆっくりとマシンのままに。

今度こそ、本当の水底に向けて動き始める。

 

微かな駆動音。

時折、思い出したように動く魚影。

微かな水草の動きを尻目に、そう経たず水底に立った。

 

プルーンの言の通り。

接地面の損傷は激しく、崩れている場所も見受けられる。

しかしそれに反し、全体的な損傷は見受けられない。

何らかの衝撃を受けたにしては奇妙なほど、その全景を保ったソレに、ワイリーは密やかに唾を飲んだ。

 

古代文明。

それも再び、超と付けるべき逸脱した代物。

思いも寄らぬソレ等の導きに、一切何も感じ得ないほど、ワイリーの感受性は鈍くない。

むしろ、逆。

わざわざドンブラー湖にドッシーと言う名の恐竜を探しに来ていた程度には、夢や浪漫に感じ入る感性はあるのだ。

 

濛々と足元から立ち上る土煙を尻目に。

内心のウキウキを隠しながら。

マシンを操作し、その周囲を回り始める。

正面の、如何にも出入り出来そうな場所は完全に閉ざされていると見ての行動であった。

 

『訳ワカメぇ』

「浮かせ得るだけの推力装置は見当たらんな」

『……中?』

「さてな」

 

部分部分に見当たる大きな亀裂。

損壊。

見付けては近付いて覗き見、先へと進む。

そう言ったコトを繰り返しながら周囲を一周し終え、その勢いのままに一角へと向かった。

 

最も大きな亀裂。

なおかつ、中に繋がっていることも伺えた場所。

無言のまま。

躊躇い一つもなく、ワイリーはその狭間へと身を滑り込ませた。

 

中も、当然のことながら水に浸かっている。

水中故の酸化や、浸食の影響は薄い。

しかし、薄過ぎる。

 

古代文明。

そう称しても間違いないハズなのに、目を凝らせば、壁に書き込まれてある文字らしき何かすら読み取れる。

刻まれてすらいない、壁に描かれたような何かをも。

 

『……なんだろ?』

「ワシに聞くな」

『このサルっぽいのバミューダに載ってなかったぁ?』

「…………さて」

 

素知らぬ風に応えるがしかし、ワイリーの視線は目まぐるしく動き回っていた。

月間バミューダ。

そこに掲載されていた中身。

見取れる景色と、かつて流し見た記事の中身。

ソレ等を比較しながら考察を重ねるために。

 

『……んげぇ』

「む」

 

しかし束の間。

プルーンが思わずと言ったように漏らした声に、半ば潜り込んでいた意識が戻る。

屍。

湖底の遺跡の中とは言え、流石にかつての面影を読み解くことは難しいソレを、ワイリーは一瞥した。

 

「プルーン」

『…………帰ったら寝まぁす』

「うむ」

 

寝てばかり。

と言うよりも寝るしかしていないプルーンを半ば強引に連れ立っていたのだ。

気分転換のつもりで。

 

そうでもなければサーゲスか、あるいは別の誰かを連れ立っていた所だが。

失敗だったか。

ワイリーは内心で舌打ちをし、その思考を片隅に追いやりながら冷徹にその躯を見やった。

 

かつての衣服は恐らく、朽ちていてない。

ただ近くには金属か、あるいは別の何某なのかまでは分からないが耐久性のあるらしい物体。

PETとは趣を異としている。

いるが、しかし、何か根本的な近似性を感じさせる物体。

 

機械であろう。

それも、個人が所有するほどに有り触れていた。

そう考えながらワイリーはマシンを一度停め、掬うようにソレを拾い上げる。

軽く眺め見ただけでは、いくらワイリーとて流石に分かり得ない。

何かしらの接続を前提とした小型の機械と言う位しか。

 

顰めっ面でソレを腰元の網袋に放り込み。

そうして屍へと目を向けた。

もっとも、ワイリーが見る必要は最早ない。

 

『――骨格から人類。推定死因は頭蓋骨粉砕――何にもない通路で粉砕するレベルでぶつけられる場所なんてもう決まりじゃん!!!』

「決まりじゃろうな」

『ォオン……』

 

口には出さない。

しかし、何処から来たのかを半ば察しながら。

収穫物を持って更に奥へとマシンを進めていく。

 

入り組んではいない。

むしろ、構造は単純。

通って来ていた通路を抜けた先、上側に抜けるように入った亀裂を抜ければ其処は広間。

いや、回廊だろうか。

 

流されるようにゆっくりと回って行けば、四方に四つの扉があった

恐らく、外から見えていた、大扉らしきモノ。

その内側が、今の此処か。

 

其処を抜けて来ていればさも、歓迎するように待ち構えていたのだろう左右に侍るように在る剣を携えた何か。

その数多の残骸。

残存しているモノの多い遺跡の中で、ある種、ようやく時間の経過を正しく感じさせる代物であった。

 

ソレ等を観察するように。

半ば徘徊するような具合にマシンで泳ぎながらワイリーは眺める。

精巧だったのだろう。

古代の浪漫を感じさせる、彫像を。

 

『――――妙じゃない?』

「何がじゃ?」

『死体無さ過ぎ』

 

一通り見渡した末。

回廊。

と称した通り、中心部にあると思しき広間。

其処に繋がっているのだろう、未だに重厚さを保っている扉の前に止まった所で、プルーンはそう口に出した。

 

小さく言葉を漏らし、ワイリーはその意味を考える。

死体が無さ過ぎる。

一体は、在った。

頭蓋骨粉砕。

おおよそ即死だったろう死体が。

 

そのような死体が、一体。

そのような死体が発生する状況であったにも拘わらず、一体だけ。

なるほど。

妙。

 

人類と称すべき存在が、この遺跡の中にその一人しか居なかったのか。

そんな訳がない。

しかし、ワイリーとプルーンの推察が正しければ、コトが起きた後に逃げる余裕等あるハズもない。

もっと数がなければ合わないのだ。

それこそ、四方の大扉が開いてでも居ない限りは。

 

「………………それはいっッ!?!」

『ボス!?』

 

僅かに沈黙し。

言葉を溢す。

刹那だった。

 

ワイリーの躰が弾かれたのは。

水中であるにも拘わらず。

だが身を即座に翻し、弾き飛ばされながらも広間のだろう扉を足場に振り返った。

視線を走らせた。

だが何も居ない。

 

眼では。

赤外線では。

暗視装置では。

動く何モノも捉えることは出来ていない。

しかし。

 

「プルーン!」

『――電波ビジュアライザー、起動』

 

ワイリーが叫んだ刹那。

潜水服が起動音を発した。

瞬時。

潜水マスクの色が、翡翠のように明るく変貌する。

 

そして。

ワイリー達は見た。

ソレを見た。

 

頭、それに首の根元とでも言うべき胴体の一部。

そこが硬質的な、何か金属のような物体。

しかし、それ以外の大半は、燃えるように揺らめく黄色い何かで構成された巨体。

そう。

あたかも、首長竜を思わせる何かを。

 

ドンブラー湖。

怪物。

ドッシー。

 

だが、ワイリーは振り返っていた。

目の前の存在を無視して背後へと。

遥かに強大な、ナニカ。

遺跡の内側から滲み出し、赤く漏れ出している、強大な電波を発している物体。

ソレが、己の背後の扉の中に存在していることに気付いて。

 

「――驚いたな」

「! ――貴様、話せるのか?」

 

再度。

数限りない発見と開発を繰り返して来たワイリーをして驚きのトップテンはここ数年の内で何度、入れ替わり、更新しているだろうか。

目を剥いて振り返るワイリーだが、そのナニカは何でもないように顔を傾けていた。

傾けているだけだった。

 

「わしを拒んだ。どのようにだ……?」

「…………マグネメタルという金属には、電波を弾く性質がある」

「そうか。知らない――いや、わしが忘れているだけなのか……」

 

首長竜のようなナニカ。

その自問のような言葉にワイリーが返せば、ソレは緑色の両目を僅かに細め、天井を仰いだ。

己の記憶の底を探るように。

しかし、然程と経たずにその長い首を振り、はたと気付いたように存在しない口から言葉を発した。

 

「――おぬし、珍しいな。わしが見えているのか?」

「ああ。見えておる」

「そうか。ならば忠告しておこう。ここを騒がしくするな。騒がしくするなら今度こそ死んでもらう」

「……肝に銘じておこう」

「ならいい――いや、わしの住処に入って来たのだ。少し、頼まれてはくれんか?」

「何を?」

 

顔を逸らし。

体も逸らしたナニカだったが。

しかし思い出したかのようにその体を戻した。

ナニカは、何でもないように、

 

「わしの命を長らえさせる、その手助けを」

 

そう言った。

 

 

 

 

『――――古代文明、ねぇ?』

『キョキョキョ! デモ 中々 ロマン アルジャア ナイデスカ? ネエ?』

『バトルする訳じゃねぇんだろ? だったらどーでもいいなぁ、オレぁ』

『ワガハイも別に……』

 

早速、見られないよう事前に姿を戻していたストーンマン。

ソレから送られて来たデータを確認するサーゲスが呟いた。

それ以外の反応はマチマチ。

 

その巨体を、サーゲスに近付け後ろから覗き込むモノ。

興味なしとそれこそ、人間であれば、欠伸でもしそうなモノ。

腕を組んだまま、困惑気味の声を漏らすモノ。

 

ソレ等の様子を一瞥しながらも、ワイリーは気にはしない。

ただ、その後にあった話と持ち帰った物体。

その整理を脳ミソの中と、現実世界とで進めていた。

 

ブラキオ・ウェーブ。

アメロッパの言葉で表せば、そう言う。

電波で体を構築されたソレは、己をそう名乗った。

その名。

そして、それ以外の殆んどを忘れているのだと。

 

それ以外では唯一、覚えていることは一つ。

ドンブラー湖。

否、その湖底に沈んだ神殿。

それを守護することだけが、己の存在意義だと語った。

 

かつては、己以外にも似た存在が幾つも居た。

しかし時と共にその姿を消したのだとも。

理由は、己が身を休める場所を失ったため。

時と共に身を擦り減らし、やがて解けるように消え去ったのだとも。

 

「………………」

 

身を休める場所。

それこそ、ワイリーの拾った物体。

何処となくPETにも似た、しかし未知の物体だった。

らしい。

 

らしい、と言うのは単純な話。

確かにソレがどうだったか等と覚えていないからだったが。

「分かる話だ」とワイリーは内心で頷いていた。

 

謎の物体。

ソレがPETであたるモノとするならば。

ブラキオ・ウェーブはネットナビに当たる。

 

その身が何時までも、無防備に電脳世界に曝され続けることがあれば。

やがては損傷の度合いがオーバー。

バグによる浸食にも耐え切れず、自壊することだろう。

仲間が解けるように消えたのは恐らく、ソレ。

もっとも、電脳世界ではなく現実世界での事柄ではあるので仮説に過ぎないのだが。

 

だからこその頼み。

多少、無防備に体を休められる場所。

そんな場所を欲するのは自然である。

 

そう。

運が良かった。

お互いに。

 

「………………ウェーブ・チェンジ……電波変換」

 

電波の体で何が出来るのか。

そのような疑念を浮かべたワイリーに、ブラキオ・ウェーブは答えた。

電波変換。

そう称されたと言う能力、あるいは技術のコトを。

 

曰く、電波である自身と人間とを融合させることで物質的な干渉を可能とする技術。

人間を電波へと変換する。

その際の主導権はブラキオ・ウェーブが握っていた。

そしてそれが故、かつて騒がしくなった時に集まっていた人間の一つを使って津波を引き起こしたのだとも。

 

思わぬ形でアメロッパ七不思議の一つの真相を知ったワイリーだが、当然、肝を冷やした。

何せソレを以って、危うく己が身を乗っ取られる所だったのだから。

身を救ったのは、マグネメタルのお陰。

 

遺物の干渉をも弾く物体だ。

今回の目的も、動き回る電波の調査に関連する。

故に、念のため持っていたソレに助けられた形だった。

ワイリーの内心では、また助けられたようで面白くなかったが。

 

閑話休題。

運が良かったのだ。

お互いに。

 

思わぬ形で助かったワイリーだが、それはブラキオ・ウェーブも同様。

身を休める場所。

現行人類にとって未知の塊でしかない機械物質の修理を、ワイリーに依頼出来る状況になったのだから。

 

『ゴゴゴ』

「……なんじゃ、ストーンマン?」

『無視すれば良ーんじゃなーい? っつってるぜぇ!』

「なるほど。ありがとう、オイルマン――神殿はともかく、その奥のモノはどうでも良いらしいからな……貰えると言うんじゃ、貰おうではないか」

『ゴ』

 

不貞腐れたように。

PETの中で布団を、ストーンマンの体なので胴体の一面程度もないが、被って横になっている姿を一瞥しながら返す。

そうすれば至極どうでも良さそうに単語を発し、そのまま目の光を消した。

 

その横で、ナースキャップを被っていたオイルマンを一瞥。

わざわざポーズを変えて親指を立てている姿から目を逸らす。

何の報告もないのであれば、問題なしと言うことだろう。

そういうことにして。

 

閑話休題。

おかしな話だが。

ブラキオ・ウェーブは神殿の中のモノに対する関心はなかった。

「薄い」ではなく「なかった」。

 

神殿を守ると言った命令でも受けていたのだろう。

だが、故にか、その中のモノにまでは関心を持っていなかった。

本末転倒のようであろう。

 

しかし。

神殿を守ること。

神殿の中のモノを守ること

これは似ているようで決して同じ意味ではない。

 

「それに…………コレに関しては、ワシが不利益を被る訳ではない」

 

それに、だ。

つい先日の、アトランピア文明。

その遺産と今回の、ブラキオ・ウェーブが忘れている文明。

それには決定的な違いがあった。

 

機械的な技術、遺物の有無。

ネットワーク文明が発展していたようだが、その殆んどが海中に没して機械の類は藻屑と消えていたアトランピアに対して。

今回の、此方の文明。

水の浸食こそあるものの淡水であり、かつ神殿内部のため水の動きによる浸食も殆んどない。

 

文明の発展も凄まじかったが故の耐久性か。

あるいは単に、運が良かったのか。

修理を依頼された機械遺物が複数、殆んど原型を留めた状態で持ち帰ることが出来ていた。

不足すればまた、潜って探しに行けば良いだけの話。

しかも今度は、案内を頼めばキチンとしてくれるだろう原住民も込みで、だ。

 

PETに似ている。

つまりは此方も結局、ネットワーク文明に近かったのだろう所だけがワイリーには気に入らない所だが、些事。

アトランピアと違って、目に見える形で現存している事実。

 

「ククク……」

 

長くなったが。

自分が全く知らない機械が目の前にある。

その事実が、ワイリーの心を擽っている。

それだけの話だった。

 

「さぁて…………ご開帳と行かせて貰おうかのぅ! ……?」

 

そうして、未知へと手を伸ばし掛けたワイリーだがふと、気付く。

心の内。

何処か、悲しい気持ちがあることに。

 

思い悩んだのは一瞬。

すぐに気が付いた。

何やら色々と思わぬ事態に遭遇し続けて半ば意識の外だったが、そう言えば、

 

「…………………………ドッシー、恐竜じゃなかったか………………」

 

口に出せばそれだけのこと。

電波の体で構成された、未知の存在。

しかし。

伸ばし掛けていたまま手は止まったまま。

やがて、深々と溜め息を吐き、

 

「………………データの整理とかだけ頼んだ」

『どうしたんじゃ?』

「なんか面倒臭くなった………………明日からにするわ」

 

つまらなそうに。

椅子から立ち上がった。

 

 

 

 

 

神殿の奥のモノが恐竜の『遺物』であると知るまで、あと僅か。

 

 

 







前話の後書きに記載していた話は分離して、後々に投稿する方針で進めます。
流石に並行して進めるのは無謀が過ぎました。
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