運命者達の軌跡   作:藤崎葵

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興が乗って超が付くほど久々に書いたヴァンガード二次。

アキナ×ミコト アキミコかわいいよハァハァ。
付き合ってる設定で妄想と空想と幻想が強めなので解釈違い起こしそうだと思った方は回れ右を推奨しやす。

『それでも構わねぇ! 俺は読むぜ!!』と言う猛者はどうぞ読んだってくださいな


秘密の関係

 

 

 

本日最後の授業終了の鐘が校内に鳴り響き、短いHRが終わると同時に生徒達は席を立つ。

ようやく訪れた放課後を謳歌する為にいそいそと帰り支度をする者。

部活に向かう為に颯爽と教室を去る者。

教室に残って談笑している者様々だ。

同じように、荷物を鞄に詰め帰り支度をしている少年、友人であろうが声をかけてきた。

 

「アキナー。今日バイト無いんだろ? カラオケ行こうぜー!」

 

少年────明導アキナは少々困ったような表情を浮かべ

 

「あー、悪い。今日は予定があるんだ」

 

そう言って返す。

すると友人─────竹松ケントは眉を顰め

 

「最近ずっとだよな。また呼続とヴァンガードファイトすんの?」

 

言いながら彼の前にある席に座る小柄な少年に目を向けた。

少年───呼続スオウは黙々と帰宅の準備を行なっている。

が、時折りアキナの方に目を向けては残念そうな表情をしていた。

初めの頃は感情の起伏がほとんどなく何をするにも『どうでもいい』と返していた彼だが、『運命大戦』と呼ばれる出来事にて彼はアキナにその心を救われた。

それ以来彼はアキナに対して特に心を開き、事あるごとにファイトを申し込んでいる。

アキナは複雑そうな表情で

 

「いや、そっちは断ったんだ。今日は別件」

 

「オレはファイトし足りない。アキナ、ファイトしよう」

 

「だから今日はもう無理なんだって。明日なら付き合うからさ」

 

「……わかった」

 

アキナの言葉にスオウは渋々納得する。

安堵の息を吐く彼にケントはやれやれと肩をすくめ

 

「お前も大変だなアキナ。ま、用事があるなら仕方ないか。また今度付き合えよー」

 

そう言って鞄を片手に教室を去っていく。

それと同時にスオウも席から立ち上がり

 

「アキナ、明日は必ずファイトだ」

 

「わかってるよ。また明日なスオウ」

 

言葉をかけてくるスオウにアキナはそう返した。

彼は頷いて教室を出ていく。

それを見送ったアキナは軽く息を吐いて

 

「……そろそろ行かないと」

 

呟いて自身も教室を後にした。

そのまま昇降口に向かうでもなく、彼は校舎の一角にある空き教室へと歩を進めていく。

扉の前に立ち一呼吸置いてから扉を開けて中へ入ると、そこにはすでに先客の女生徒がおり扉が開いた音に反応してアキナの方へと振り向いた。

彼の姿を視認した後、嬉しそうに彼へと歩み寄っていく。

 

「ごめん西塔さん。待たせちゃったかな?」

 

「大丈夫ですよアキナ先輩。私もさっき来たばかりですから」

 

アキナの言葉に少女─────西塔ミコトは笑みを崩すことなく返す。

少女の微笑みにアキナは僅かに心臓が跳ねたように感じた。

彼女、西塔ミコトは国民的人気を誇るアイドルとして活躍している。

その容姿は言うまでもなく整っており異性同性問わずに惹きつけるほどのモノだ。

同じ学校に在籍しているとはいえ一般人であるアキナが簡単に関われる存在では無い。

だが彼女もまたアキナと同様に『運命大戦』によって選ばれた人物であり、さらには彼の妹である明導ヒカリとはネットヴァンガードでメッセージをする仲でもあり、諸事情で妹の代わりにミコトと会う事になったのをキッカケに、アキナは本来ならば雲の上の存在とも言える彼女と交流する機会を得るに至ったというわけである。

そんな彼女はアキナの様子を気にするでもなく

 

「それじゃぁ先輩。いつもの、お願いします」

 

両腕を広げてそう言った。

 

「そ、それじゃぁ……」

 

多少どもりながらもアキナは両腕を広げているミコトとの距離を縮めると自身の両腕を彼女の背に回して引き寄せた。

同時にミコトも彼の背に両腕を回す。

彼女の言う『いつもの』とは所謂ハグの事だったのだ。

ミコトは擦り寄るように彼の胸に顔を埋めていく。

その表情はとかく幸せそうだ。

対するアキナは気恥ずかしいのか耳まで真っ赤に染まっている。

布越しに伝わる少女特有の体温と柔らかさ、そして仄かに香る甘い匂いに心臓の脈打つ速度は段々と速くなっていく。

 

「アキナ先輩?」

 

「な、なに? 西塔さん?」

 

「まだ慣れてくれないんですか? 心臓の音、すっごく速くなってます」

 

言いながらミコトは上目遣いで彼を見た。

当のアキナは気恥ずかしそうに目を逸らしながら言う。

 

「そりゃ……女の子とこんな事するの、西塔さんが初めてだし」

 

「ふふ。照れてる先輩かわいい」

 

「いや、男に対してかわいいは無くない?」

 

クスクスと笑いながら言うミコトに対しアキナは複雑そうな表情で返す。

 

「お付き合いしてるんですから、そろそろ慣れてくださいね?」

 

「……善処します」

 

彼女の言葉にアキナはそう言って返した。

そう、明導アキナと西塔ミコトは所謂恋人関係にあった。

きっかけは『運命大戦』が終わってしばらく経った日の事。

その日はバイトも無く、またミコトもオフだったのでファイトする為に2人揃ってカードショップへと向かっている途中だった。

不意にミコトは立ち止まり、不思議に思ったアキナが声を掛けた次の瞬間に

 

『私、先輩の事が好きです』

 

そう告げられたのである。

突然の告白にアキナの思考が少しの間フリーズしたのは言うまでもないだろう。

まさか女優業にも進出するほどの国民的アイドルである美少女から異性としての好意を告げられるなど思ってもいなかったのだから。

彼女にとっての明導アキナという存在は同じ運命者カードの所持者であり、親交の深いヒカリの兄という認識だと思っていた。

再び思考が動き出したアキナは最初、『アイドルは恋愛禁止なんじゃない?』と言って誤魔化そうとした。

だが彼女は一歩も引く事なく、『私、本気ですから。喩えファンの人達を裏切る行為だとしても、先輩を好きな気持ちは譲れません』と告げてくる。

自身を見つめる瞳は真剣そのもの。

アキナはたじろぎながらも自身を見つめてくるミコトを見ながら思考を巡らせた。

彼にとってミコトとの交流はとても心地良いと感じている。

コロコロと変わるその表情は見ていて飽きないほどだ。

ファイト中に見せる真剣な目、勝った時の嬉しそうな表情、負けた時の悔しがる表情、そして花の咲くような笑顔。

そこまで思い浮かべて彼は顔に熱が籠るのを感じた。

心臓の鼓動も速くなる。

それはバイト先の先輩であり、ヴァンガードの師匠でもある員弁ナオに対して感じる感情とは全く異なるモノだと自覚するには充分だった。

間が空いた為か、彼を見つめるミコトの瞳には僅かな不安の色が宿っている。

アキナは小さく息を吐き、彼女に向かいあって

 

『西塔さんの気持ち、わかったよ。本当に俺で……いいの?』

 

『はい。先輩じゃなきゃ───嫌です』

 

彼に問われたミコトはハッキリと言って返したのである。

こうして2人は交際を始める事になったのだが、その関係は誰にも明かしていない。

先も述べた通りミコトは絶大な人気を誇るアイドルとして活動している。

もしもこの関係がバレたなら大炎上は避けられず、彼女の芸能活動はおろか私生活にまで影響を及ぼす事は想像に難くない。

もちろん彼らの通う高校にもミコトのファンは数え切れないほど存在しており、特にアキナの友人であるケントの推し方は信者と言っても過言ではない。

もしバレた日には自作の刀を折られた火男(ひょっとこ)面の刀鍛冶の如く、狂乱しながら襲い掛かって来ても不思議ではないとアキナは内心冷や汗を流すほどだ。

そういった理由から2人は秘密の関係を守る為に互いの時間が噛み合った時のみ校舎の片隅ある空き教室へ赴いて逢瀬を重ねているという次第である。

人目を避ける行動に何処か背徳感を感じつつも、アキナは彼女と過ごすこの時間を大切にしており、またミコトも安らぎを感じている。

この日も2人は心ゆくまで寄り添い、次はいつ時間を合わせられるか互いのスケジュールを確認し合った後、人の気配がない事を確認して下校した。

 

 

 

 

数日後。

いつものようにミコトとの時間を過ごす為にアキナは件の空き教室へと向かっていた。

本日は放課後ファイトの誘いをしてくるスオウの説得に手間取った為、少し出るのが遅れてしまっていた。

少々早足で歩いていると、空き教室へと向かっている途中、階段の方から話し声が聞こえてくる。

アキナは足を止めて見つからないように身を潜めた。

側から見れば不審者だが事情が事情なのでやむを得ない。

己の行動に苦笑いを浮かべていると話し声は段々と近くなり、彼の耳へと届いてくる。

 

「最近のみーたん、一段と可愛くなった気がしないか?」

 

「わかるわかる。活動復帰してからさらに可愛くなったよなぁ」

 

どうやらミコトの事を話しているようだ。

盗み聞きになるのは悪いと感じたアキナは迂回する為にそろりとその場を去ろうする。

が、次の瞬間聞こえてきた内容に思わず足を止めてしまう。

 

「あー、 1度でいいからみーたんとお付き合いしてぇなぁ」

 

「そりゃ無理だろー。ミコト様は人気絶頂中のトップアイドルだぞ? オレらみたいな一般人じゃ釣り合わねーって」

 

「だよなぁ。もし付き合えるとしたらそれこそ芸能界のイケメン俳優とかそんなとこだろーなぁ」

 

耳に入ってきた会話。

それは彼らにとって他愛もない世間話。

だがアキナにとっては違った。

彼らの言うようにミコトは世間から注目され認められている有名人だが、自分はただの高校生────── 一般人でしかない。

彼女と過ごす時間の確かに心地良い。

だがそれでいいのだろうか?

彼女が向けてくれる好意にただ甘えているだけなのではないか?

自分は彼女と釣り合えているのだろうか────?

本当に────彼女の隣に居ていいのか?

ぐるぐると思考を巡らせながら歩いていると、いつの間にか彼女が待つ空き教室の扉の前に辿り着いていた。

一瞬だけ躊躇うも、アキナは手を伸ばして扉を開ける。

すでに教室に訪れていたミコトはアキナの姿を見て微笑み

 

「先輩、今日は遅かったですね? もしかして呼続先輩にファイトでも挑まれてたんですか?」

 

言いながら彼に歩み寄ってくる。

しかしアキナは反応せずに入り口に立ったままだ。

彼の様子がいつもと違う事にミコトは疑問符を浮べている。

 

「アキナ先輩?」

 

彼女が呼びかけた次の瞬間。

アキナは何を言うでもなくミコトを自身へ引き寄せた。

いつもは彼女から催促しない限り、彼から抱き寄せられる事はない。

突然の事にミコトは声を出せずにいたが、すぐに様子がおかしい事に気付く。

少しずつ、彼女を捕らえているアキナの両腕に力が入り始めていた。

 

「せ、先輩……? や……痛……っ」

 

身体に小さな痛みが奔る。

自身を捕える腕の力は緩む事なく徐々にミコトの身体を圧迫していっていた。

 

「せん、ぱいっ! アキナ先輩!」

 

そこでようやくアキナは自分の行動に気が付いた。

すぐに両腕の力を緩め彼女から離れるアキナ。

無意識とはいえ女の子が痛がるほどの力で抱きしめるという行動に罪悪感が込み上げる。

 

(俺、何やってんだ……)

 

ようやく解放されたミコトは息を整えている。

 

「ごめん……」

 

「ふぅ……大丈夫ですよ。それよりアキナ先輩、何かあったんですか?」

 

顔を背けて謝る彼にミコトは覗き込むようにして問うてきた。

 

「え? いや……何も……ないけど」

 

そう言いながらアキナは目を逸らす。

だがミコトは彼から目を離す事なく

 

「嘘ですね?」

 

そう返してきた。

 

「アキナ先輩、何か誤魔化そうとする時すぐ表情に出るからわかるんです。なので正直に話してください」

 

真剣な表情で問うてくるミコトに、アキナは誤魔化す事は不可能と察したのか、先程聞いてしまった会話の内容を話した。

そして、今現在自分の中に芽生えている悩み────否、不安を告げる。

それをミコトは黙って聞いていた。

が、次の瞬間にはアキナの両頬にペチンと小さな衝撃が奔った。

ミコトの両手が勢いよく彼の頬に添えられたからだ。

痛みはなく、むしろ彼女の滑らかな手の感触は心地良さすら感じる。

しかし対照的にミコトは軽く頬を膨らませながら彼を睨んでいた。

 

「アキナ先輩のバカ」

 

ようやく口を開いて出てきたのは罵倒。

 

「ちょ、いきなりバカ呼ばわりは酷くない?」

 

「酷いのは先輩の方です! なんですか、釣り合うとか釣り合わないとか……」

 

「けど、実際に俺はただの高校生だから……」

 

「なら、アキナ先輩は『アイドル』の私の事しか見てくれてないんですか?」

 

彼の頬へ手を添えたまま、ミコトはさらに問う。

 

「違う! そんな事ない!」

 

その問いに対し、アキナは声を荒げる形で口を開く。

 

「アイドルだとかそんなの関係ない! 俺は君だから……西塔さんだから好きになったんだ! あ……」

 

そこまで言ってアキナはハッとする。

目に映るミコトは優しい微笑みを向けながら

 

「なら、私と同じですね。私もそうですよ? 貴方だから。先輩だから好きになったんです。いつも真っ直ぐで、誰かのために一生懸命で、優しいアキナ先輩が────好きなんです」

 

言葉を紡いでいく。

 

「西塔さん……」

 

「それに、釣り合うとか釣り合わないとか関係ない人達に言われたくないですよ! それこそタイゾウさんが言ってたように『うるっせぇ!』って感じです。誰がなんと言おうと私はアキナ先輩が好きで、この気持ちを譲る気なんてないんですから!」

 

迷いなく言う彼女に、アキナは自然と笑みが溢れる。

 

「西塔さん、ホント変わったよな。なんか頼もしい」

 

「完璧なアイドルの自分も、オフの緩い自分も、どっちも本気で本当の私ですから」

 

彼の言葉にミコトは満面の笑みでそう返す。

アキナは笑みを向けてくる彼女を再び自身の方へ引き寄せた。

先程とは違い優しく包み込むように抱きしめる。

伝わる温もりにミコトは目を細めながら彼の胸へと顔を埋めていった。

 

「ありがとう、ミコト」

 

「むぅ……やっと下の名前で呼んでくれましたね」

 

「これから2人きりの時はそう呼ぶようにするよ」

 

「嬉しいです。アキナ先輩────大好き」

 

蕩けるような声で好意を伝えるミコト。

そんな彼女に

 

「うん。俺も、君が好きだよ」

 

アキナは耳元で優しく囁いた。

すれ違いが生じたものの、結果的に2人は互いの想いをより一層深めることとなった。

誰にも言えない秘密の関係。

いつ明かせるとも限らないその関係を、彼らはこれからも続けていく。

 

 

 

 

後日、明導家にて。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。いつになったらみーたんを恋人として紹介してくれるの?」

 

「は? え? いや、ヒカリ……お前まさか気付いて???」

 

唐突に言われたアキナは妹であるヒカリを凝視していると、彼女は呆れた様子で

 

「だってお兄ちゃんもみーたんもお互いを見る目が妙に熱っぽいんだもん。アレ見て気付かないなんて呼続さんくらいだよ」

 

そう言った。

この言葉が真実とするならば彼女以外の知人、同じ運命者カードの所持者であり親交のあるナオやタイゾウにもバレてるという事だろう。

 

「そう言う事だから、ちゃんと紹介してね? 早く正式にみーたんの事お義姉ちゃんって呼びたいしー」

 

言いながらウキウキしている妹を他所に、アキナは隠せていると思っていた自分達の関係がモロバレしている事実に只々言葉を失っていた。

さらに後日、この事をミコトに伝えると同じく言葉を失くしつつも、アキナと共に覚悟を決めて2人の関係を正直にヒカリ達へ話した後、彼女達からやや手荒い祝福を受けたのは別の話である。




アキナくんとミコトちゃんかわいいですよね。アキミコ流行れ

どんな話を書いてほしい?

  • ほのぼのした話
  • 甘くイチャつく話
  • アキミコ以外の話
  • ファイト話
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